最弱装備でサクセス〜どうのつるぎとかわの防具しか買えなかった俺だけど【レアリティ777】の効果が凄すぎて最強になってしまった〜

キミちゃん

文字の大きさ
272 / 397
第四部 サムスピジャポン編

23 婚約

しおりを挟む
「変わらないな、ソレイユは。見た目以外……。」

「カリーこそ全く変わってないでがんす。」


 ソレイユの話が終わると、カリーはソレイユの顔をじっと見つめる。

 当然昔の面影は残っているが、やはり加齢に伴ってか、顔つきもそうだが随分老け込んで見えた。
 

「つうかさ、もうその言葉遣いはいいんじゃねぇか? 今のお前だと、違和感半端ねぇぞ。」


 元々ソレイユの可笑しな言葉遣いは、勇者と旅をする際に王子と思われない為にしていた事。

 今は隠す必要もなければ、向こうの世界でいう王様なのだから使う必要はない。

 というよりかは、そもそもそんな言葉を周りの者に聞かれたら、遂にボケたと思われてしまうのではないかと不安にすらなる。


 そう考えたからこそ、カリーは言ってみたのだが、ソレイユは首を横に振った。


「俺っちにとって、この言葉遣いは誇りでげす。」


 ソレイユからしたら、その言葉遣いこそ、唯一何十年もの間消える事のないカリー達の絆。

 そしてカリーと昔と同じ様に話す事で、その心もまたあの当時に戻る事ができた。

 当然カリーの前以外でこういう風に話すことはないが、やはり今だけはあの当時と同じ様に話したいという思いが強かったのである。


「……そうか。そうだよな。」


 カリーもまたソレイユの想いを察して、それ以上は言わないつもりだったが……。


「カリーがそう言うなら……まぁそうするかのう。ふぉっふぉっふぉ。」

「ブッ! いきなりジジイになんなよ!!」

「実際、もう爺さんじゃからのう。」


 突然お爺ちゃんモードに入るソレイユ。

 いきなりすぎて、カリーは思わず吹いてしまう。

 その様子を見てソレイユは年相応に笑い出した。

「いや、なんかそれも違和感が……まぁいいや。それよりも、まだ何か話す事あるんだろ?」

「気付いておったか……率直に聞くがよいか?」

「あぁ、なんでも聞いてくれ。」


 カリーがそう言うと、ひと呼吸開けて尋ねる。


「ロゼの事をどう思う?」

「はっ? いや、どう思うって、ローズに似てるし、性格も気立ても良さそうな子じゃないか?」


 どう思うといきなり聞かれても、カリーは答えあぐねてしまう。

 正直、ロゼの事については未だに整理しきれていないかった。

 なので、あたりさわりのない客観的な事しか口にすることはできない。


 しかし、その返答に満足そうに頷くソレイユ。


「そうじゃろ、そうじゃろ。ワシの自慢の孫じゃ。ならどうじゃ? ロゼと一緒になるつもりはないか?」

「ブハッ!! いきなりすぎるだろ!」


 突然過ぎる婚約話に、カリーは飲んでいたお茶を吹き出した。


「カリーが変わっていないのを見て、ワシは運命じゃと思った。この国は息子ではなくカリーに譲る。そしてロゼと一緒になって、ワシらの夢を叶えないか?」


 そう語るソレイユの瞳は真剣であり、冗談で言っている感じではない。


 だからこそ、カリーもまたその言葉を真剣に受け止めつつ、ゆっくりと口を開いた。

「弱者が守られる世界……だったな。何度も語り合ったからな、お前とは。」

「そうじゃ! どうじゃ悪くない話じゃろ?」


 不安そうな顔を浮かべていたソレイユであったが、カリーの言葉を聞き、喜色を浮かべる。
 

……だが


「そうだな。それもいいな……と言いたいところだが、ダメだ。」

「なぜじゃ!! どうしてじゃ! ロゼとワシとカリーで夢を叶えることができるのじゃぞ!」

「……ソレイユ。ロゼはローズじゃない。それに俺の……いや俺達の夢はそんな小さなものじゃなかっただろ?」

「どういう事じゃ?」

「今、世界は危機に瀕している。その中でこの国だけを守るなんて無理な話だ。だから俺はサクセスと共に世界を救わなければならない。前の世界ではあと一歩のところで届かなかったが、この世界では必ず救ってみせる。じゃないと……俺は夢の先には進めない。」


 カリーは、あの時……フェイルに逃がされた時の事を思い出したのか、辛そうな表情を浮かべていた。

 そしてソレイユもまた、あの時の事を思い出し、カリーの答えの意味を理解する。

「……残念じゃが、カリーの言う通りじゃな。この大陸外の事はわからぬが、この大陸もまた危機に瀕しているのも事実。自分達だけの事を考えるなんて、どうかしていたのじゃ。すまぬ、カリー。」

「いや、それが普通だと思うぞ。それに、ソレイユは自分の事だけを考えている訳じゃないだろ? お前はいつだって、広い視野で物事を考えて動く奴だ。さっきの事だって、この国の事を思っての事だってわかってるさ。」

「そう言われるとむず痒いのう。そうじゃな、ワシは焦り過ぎていたようじゃ。これだけ歳をとると、いつ迎えがくるかわからなくなっていたからのう。じゃが、それとは別にロゼと一緒になるのは構わないという事かのう?」


 還暦を過ぎたソレイユは、確かにいつ死んでもおかしくはない。

 だが哀愁漂わせて話しているにもかかわらず、最後にサラッとぶち込んでくるのも相変わらずだった。


 しかし、カリーの答えは早い。


「悪りぃ。それも無理だ。別にロゼが嫌いとかじゃない。だけどな、ローズに似ているからって、ローズの代わりみたいに思っていたら、ロゼちゃんが可哀そうだろ。だから今は無理だ。悪いな、ソレイユ。」


 今でもカリーの中でローズへの想いは色褪せてはいない。

 だからこそ似ているからといって、ロゼを見る自分の視線の先にローズがいるのではあまりに酷だ。


 そう思うからこそ、中途半端な気持ちで一緒になるなど言えるはずもなかったのである。

「そうか……そうじゃな。なんだか、ワシばかり浮かれてしまって馬鹿みたいじゃな。」


 カリーの返答を聞いたソレイユは、残念そうに自虐的に笑うが、カリーはその顔に違和感を感じた。


「いや、そんな事ねぇよ。俺だって複雑なんだ。それよりも……まだ何か隠していることがあるだろ? というか本当の事話せや。」

 カリーは、ソレイユが隠しているであろうことについて追及すると、ソレイユはハッと顔を上げて驚く。


「……そんなにワシはわかりやすいか?」

「あぁ、つうかお前だからわかるんだよ。どんだけ一緒にいたと思ってるんだよ。お前が急いでいた理由、それはお前の年齢じゃなく、ロゼの病気の事じゃないのか?」


 カリーはある程度予想していた。

 ロゼが今朝血を吐いた事、そして、鬼気迫る勢いで部屋に入ってきたソレイユ。

 それを見れば、ロゼの状態が普通でない事など容易に予想できる。

……にもかかわらず、自分との婚約を迫ってきたのだ、そう考えればソレイユがいきなり婚約の話を進めてきたのも納得だ。


「その通りじゃ。ロゼは不治の病にかかっておる。今でこそ安定しているが、いつ命を落とすかわからないのじゃ。ワシは……二度も失いたくない。何もできぬまま……また……。」


 悲痛な面持ちを隠すように、両手で顔を覆うソレイユ。


 ローズが死んだとき、何もできなかった事に心を苦しめていたのはカリーだけではない。

 ソレイユもまた、何十年経とうともあの当時の悲惨な思いは消えていなかったのだ。

「やっぱりな。そんな事だろうと思ったぜ。でも安心しな。俺の仲間に一人、ロゼの体を治せるかもしれない奴がいる。そういう状況なら一度サクセス達と合流して、その人を連れてくるぜ。」

「ほ、本当か!? 治せるのか!!」

「わかんねぇ。だけど、その子の回復魔法はケタ違いだ。それに、知識も半端ねぇ。魔法で無理だとしても何かしら手掛かりは得られるはずだ。期待してていいぞ。だから一人で抱え込むな、ソレイユ。もうお前は一人じゃねぇ。」


 その言葉にソレイユは、大粒の涙を静かに流す。


 これほど安心したことなど、この世界に来てから一度もなかった。

 そのくらい、カリーがいるという事実がソレイユにとって大きな事であったのである。


「……カリー。すまんのう、歳をとって涙腺が緩くなったようじゃ。本当に信じてよいか? カリー。」

「当たり前だろ! 俺とお前の仲で嘘はねぇ。今度こそ必ず救うぞ。ソレイユ。」


 あの時と同じようにカリーがソレイユに手を差し伸べると、ソレイユはその手を取って強く握る。


 その手を握った瞬間、全身から力が湧きあがった。


 初めて二人が心を交わしたあの時、その当時の想いがフラッシュバックする。


「そうじゃな。今度こそ、必ずじゃ! ワシにできる事はなんでもするぞ。」

「あぁ、期待しているぜ。じゃあ俺は一度戻ってサクセスに話してくる。直ぐ戻るから待っててくれよ。」


 カリーはそう告げると、急ぎ、サクセスが泊まる宿に戻るのであった。

しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

追放された『ただの浄化係』、実は国中の魔石を満たしていた精霊姫でした〜今さら戻れと言われても、隣国のイケメン皇帝が離してくれません〜

ハリネズミの肉球
ファンタジー
「おい、城の噴水が止まったぞ!?」 「街の井戸も空っぽです!」 無能な王太子による身勝手な婚約破棄。 そして不毛の砂漠が広がる隣国への追放。だが、愚かな奴らは知らなかった。主人公・ルリアが国境を越えた瞬間、祖国中の「水の魔石」がただの石ころに変わることを! ルリアは、触れるだけで無尽蔵に水魔力を作り出す『水精霊の愛し子』。 追放先の干ばつに苦しむ隣国で、彼女がその力を使えば……不毛の土地が瞬く間に黄金のオアシスへ大進化!? 優しいイケメン皇帝に溺愛されながら、ルリアは隣国を世界一の繁栄国家へと導いていく。 一方、水が完全に枯渇し大パニックに陥る祖国。 「ルリアを連れ戻せ!」と焦る王太子に待っていたのは、かつて見下していた隣国からの圧倒的な経済・水源制裁だった——! 今、最高にスカッとする大逆転劇が幕を開ける! ※本作品は、人工知能の生成する文章の力をお借りしつつも、最終的な仕上げにあたっては著者自身の手により丁寧な加筆・修正を施した作品です。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

ハズレスキル『自動販売機』を授かって婚約破棄されましたが、 実は回復薬も魔力食も出せる最強スキルでした

暖夢 由
ファンタジー
十八歳の成人儀式で授かったのは、誰も聞いたことのない《自動販売機スキル》。 役立たずと嘲られ、婚約者レオンには即座に婚約を破棄され、人生が崩れ落ちたように思えた。 だがそのスキルには、食べ物を作り、摂取すれば魔力を増やし、さらに“治癒効果”を付与できるという隠された力があった。 倒れた母を救い、王都の名門・ヴァルセイン伯爵夫人を救ったことで、カミーラは“呪詛”という闇の存在を知る。伯爵邸で出会った炎の力を持つ公爵家次男レグナスとの出会いが、彼女の運命を大きく変えていく。 やがて王都全体に“謎の病”が蔓延。カミーラは治癒スープの炊き出しを行い、人々を次々と回復へ導く。 一方、病の裏で糸を引いていたのは………。 “無価値”と嘲られたスキルが、いま世界を癒し、未来を照らす光となる――。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...