最弱装備でサクセス〜どうのつるぎとかわの防具しか買えなかった俺だけど【レアリティ777】の効果が凄すぎて最強になってしまった〜

キミちゃん

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第四部 サムスピジャポン編

58 ザルな関所

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 翌朝、俺達は再び邪魔大国に向けて出発する。

 次の目的地はチョウノと呼ばれる国らしいが、一応そこでイモコがハッタリハンゾウの使いと会う予定だ。

 そこに辿り着くまで概ね二週間かかるとの事であったが、予想に反して馬が元気だったことと、魔獣に足止めされることもなかったので、予定より四日早い到着になる。

 道中立ち寄った村で寄り道とかをしていれば、もう少し遅くなったかもしれないが、どの村も別に面白いものもなかったので、食料の補充と寝るだけで直ぐに出発した。


 そう。つまり、旅は順調であるという事。


 巨大魔獣との戦闘だけは予想外だったが、それ以後全くと言っていいほど問題はない。

 この十日間は、正にゆったりとした旅と言っていいだろう。

 唯一変わった事があるとすれば、元気になったロゼッタがシロマとセイメイから魔法を習うようになった事くらいだ。

 シロマが言うには、ロゼッタは要領が良く、飲み込みが早いため、その成長は著しいとのこと。

 といっても、それはシロマが使うような魔法ではなく、セイメイが使っている呪術と呼ばれるもので、俺達の大陸の魔法とはちょっと違うらしいが。

 セイメイはわかるが、それをどうしてシロマが教えたのが謎だったため確認すると、魔法も呪術も原理は同じらしい。

 ただどういう訳か、シロマには呪術は使えず、逆にセイメイには魔法が使えないとの事で、それについてシロマは真剣に分析をしていた。

 結局わからなかったようだが、そんな事よりも、ロゼッタが元気でいる事が何よりである。

 カリーとシルクも大分心配していたが、今のロゼッタを見て安心していた。

 だが、それでもここ数日、シルクは頭を悩ませてはいたが……。


 というのも、元気があり余り、そして知識を吸収したロゼッタは、遂には実践を求めてしまったのである。

 最初こそシルクはそれに大反対するも、セイメイとシロマによる説得の末、シルクが折れた。

 それでも未だにロゼッタが戦う時は、いつでも助けられるようにシルクは馬車を降りるのだが……


「おじい様、邪魔です。」


 と毎回一蹴されて落ち込んでいる。

 まぁ過保護が過ぎるとウザく思うのは世の常。

 とはいえ、現れる魔獣もそれほど強くないので、実際にシルクの心配は無用ではあった。

 ロゼッタは、シルクは邪魔だというが、シロマとセイメイが隣にいる事には文句を言わない。

 というか、三人パーティで戦っていると言った方が正しいか。

 流石にシロマ達も修行といって、ロゼッタ一人に戦わせる事はもちろんない。

 前衛がいない事は心配だったが、シロマ曰く


「前衛が常にいるとは限らないので、いなくても動ける練習です。」


とのこと。

 要は自分の身は自分で守れるようにしろってことだった。


 そんな感じで現れる魔獣を次々にロゼッタ達が倒していったのだが、敵は強くないとはいえ、ロゼッタはレベルが低かったので、かなり経験値的においしいらしく、レベルが結構あがったらしい。

 俺としては、シロマやロゼッタちゃんが楽しそうに戦う姿を見るのは眼福であり、最近の楽しみの一つであったのだが……


 お願いだから二人してパーティ眼鏡だけはかけないで欲しかったぜ。


 そんな感じで進んでいった俺達は、ようやく遠くに大きな街が見えてきた。

 俺はそれを見て、一緒に御者台に座っているイモコに尋ねる。


「そう言えばさ、チョウノってどんな国なんだ?」

「そうでござるな。チョウノといっても結構広い国でござる故、一言では説明できないでござるが……今向かっている街は、避暑地として有名な重井沢でござる。」


 重井沢……なんとなくだけど、あまりいい響きではない。

 とはいえ、避暑地という位なんだから結構いい場所かもな。


 少しだけ期待に胸を膨らませる俺。

 だって今まで寄った村は、本当にTHE村! って感じでなんもなかったからな。

 少し位は新しい刺激とか欲しいわけよ。


「それで、その重井沢っていうのは何が有名なんだ?」

「そうでござるな。まず、多くの山に囲まれていて涼しく過ごしやすい事で有名でござる。それと食事が美味しいでござるなぁ。」


 美味しい食事に山……ね。

 飯には興味あるけど、あまり面白いところは……


 はっ!!


 そこで俺はある事を思い出す。


「ふ~ん。なるほどねぇ。……それで、例のアレはあるのか?」


 俺がイヤらしい顔をしたのを見て、イモコは何の事を言っているのか直ぐに察した。


 そう、男の希望の都……色町だ。


――だが……


 イモコは申し訳なさそうに首を横に振った。


「残念ながらそういった場所は無いでござるよ……。申し訳ないでござる。」


 それを聞いて肩を落とす俺。


 一体いつになったら、その魅惑のラビリンスに行けるというのだ!

 もはや息子は暴発寸前だぞ!


「ま、まぁ仕方ないか。そんな顔をするなよ、イモコ。お前が悪いわけじゃないんだからさ。」


 自分を慰めるように、イモコを慰める俺。


 だって仕方ないじゃん。
 俺は下半身が暴走するお年頃よ?
 そろそろ何かあってもいいんじゃね?


 そんな事を考えていると、イモコが予想外の事を口にした。


「しかし某がもっと違うルートを具申していれば……少なくともこの大陸一有名なハラヨシには行けたでござるから……。」


 え? 何それ? 聞いてないよ?


「どういう事だ、イモコ!」


 俺はイモコに詰め寄る。


「実は皮肥の南側にそういった店が盛んな街があったでござるよ。しかし、そこを通るにはかなり遠回りになるでござるから……。」


 その話を聞いて俺はショックを受けた。


 過ぎた事を聞いてもしょうがないが、一応確認だけする。


「ちなみに、どのくらい遠回りになったんだ?」


「一週間程でござるな。師匠は先を急ぐと言っていたでござるから、それを優先してセイメイと決めたでござる。」


 一週間か。確かにそれは痛いな。

 時間さえあれば……俺に、時間さえ……。


 俺はショックを受けつつも、イモコがあまりにも申し訳ない顔をしているので、できるだけ面に出さないようにする。


「過ぎた事を言っても仕方ないさ。お、俺は全然……き、きにしてないっぺよ。」


 イモコに気を遣ったつもりだったが、どうやら動揺は隠しきれなかったようだ。


「申し訳ないでござる。しかし、チョウノを越えた先にはトビタティンティンがあるでござる。そこもハラヨシと並んで有名な色町でござるよ。」


「ほ、本当か!? イモコ!」


 思わぬ朗報に、一気に胸が高鳴る俺。

 まさにそれは、俺にとって青天の霹靂だった。


「左様でござる。そこには美女たちが建物の前に立って、殿方を誘ってくれるでござるよ。某も昔一度だけ行ったでござる。」


 その話に興奮した俺は、前のめりになってその続きを求める。


「そ、それで……ど、どうだったんだ?」


 俺はゴクッと生唾を飲み込みながら聞いた。

 すると、イモコは顔に似合わず頬を少しだけ赤くすると一言だけ言う。


「……最高でござった。」


「うひょぉぉ! まじか! 詳しく教えてくれ、イモコ!!」


 そんな興奮する俺の耳に、突然セイメイの声が届いた。


「サクセス様! 検問です。イモコ殿にお願いしたいのですが、よろしいでしょうか?」


 前を見ると、山道を塞ぐように建てられている関所が見える。

 どうやら会話に夢中で気が付かなかったらしい。


「仕方ないでござるな。では行ってくるでござるよ。」


 そう言って、御者台からイモコは降りる。

 ここからがいいところだったので、中途半端に話が終わって残念だが、時間はいくらでもあるので、後でじっくり聞くことにした。


「しかし、なんでこんなところに関所があるんだろ? まだ山道じゃん。」


 ふと疑問に思った俺がそれを口にすると、セイメイが近づいてきて教えた。


「多分でございますが、誰かを探しているのでしょう。以前にはこの場所に関所はありませんでした。それなので、くれぐれもシルクさん達の素性がバレないようにお願いします。」


 そう言って馬車に戻るセイメイ。


 なるほど、っと言いたいところだがよくわからん。

 まさかとは思うけど、シルクを探してるわけではないだろう。


 そして役人と話を終えたイモコが戻ってきた。


「どうだった? イモコ。」

「問題ないでござる。某が名乗ったら、そのまま素通りさせてくれるとのことでござるよ。」

「流石イモコだ。大野大将軍さまさまだな。」

「やめるでござるよ。それに探しているのは我々とは全く関係のない者のようでござった。誰が行っても平気だったでござるよ。」


 大野将軍というと、何故かイモコは恥ずかしそうにする。

 俺としては、立派な肩書なんだからもっと自慢してもいいと思うのだが。


「ふ~ん、ちなみに誰なんだ。探しているのは? 有名な盗賊とかかな?」

「詳しくはわからないでござる。流石にそれは某にも教えてはくれなかったでござるよ。しかし、一つだけ忠告されたでござる。」

「へぇ。なんて?」

「高齢の女性を連れて歩かない方がいい。との事でござるな。」


 は? ちょっと意味わかんねぇ。


「高齢の女性? なんじゃそりゃ? ようは婆さんを連れて歩くなって事か?」

「そうでござる。そしてその事は後でセイメイと相談するつもりでござるよ。」


 何故か意味深な事を口にするイモコ。

 婆さんには全く興味ないんだが。


「何か気になる事でもあったか? 流石の俺も婆さんには手を出さないぞ?」

「わかっているでござる。ちょっとこの場では話せないでござるから、それについては後程話すでござるよ。」


 よかった。

 性欲有り余る俺が老婆にすら手を出すと心配していたのかと思ったぜ。

 そう言う事なら、後でゆっくり聞くとするか。


「わかった。それで、この関所を通ったらもう重井沢に入るって事でいいのか?」

「そうでござる。それと、重井沢に入ったら宿が指定されている故、申し訳ないでござるがそこに向かうでござるよ。」

「指定? ハンゾウからか?」

「そうでござる。」

「わかった。まぁそこは任せるよ。じゃあさっさと関所抜けちまおうか。」


 そう言って門を抜けようとしたその瞬間、役人の一人が声を上げた。


「待たれよ! 今、中で女性のような者が見えたぞ。大野大将軍に失礼ではあるが、一応確認させていただきたい。」


 それを聞いて冷や汗をかいたのは俺だ。

 高齢の女性を探しているとは聞いていたが、ロゼッタの事がバレるのもあまり喜ばしくはない。

 そう思うも、もはや止めるには遅すぎるし、無理に止めればあやしまれてしまう。


 故に見守っているしかなかったのだが……


「失礼しました。問題ありません。」


 そう言うと、役人は馬車から降りる。

 どうやら本当に老婆以外には興味がないようだ。


 ホッとする俺だったが、ふと馬車の中にいるロゼッタが目に映る……


(なんであれが問題ないわけ?)


 なぜそう思ったかというと、ロゼッタは例のパーティメガネを装備していたからだ。

 普通に考えたら、どう見てもおかしいでしょ。

 なぜ問題なかったのか、訳がわからん。


 とはいえ、わざわざこちらからそんな事を突っ込むわけにはいかにので、そのままスルーしてイモコと一緒に御者台に座る。


「出発するでござる。」


 イモコがそう言うと、役人や門兵はイモコに対して綺麗な敬礼をして見送ってくれた。


 こうして無事関所を抜けた俺達は、遂にハンゾウと約束をしたチョウノ、重井沢に到着するのであった。
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