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第一章
5 カリーとローズ
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「そ、そういえばよぉ。昨日、姉さんが知らない男を家に呼んだんだよなぁ。あの野郎、姉さんにちょっかいだしたらただじゃおかねぇ。まさかとは思うけど、今日も来るんじゃねぇだろうなぁ……。」
「えぇ~!! やったじゃん! おねぇさん彼氏できたの? みたいみたぁぁーーい!」
「馬鹿! あんなの彼氏な訳ねぇよ!!」
「もう、馬鹿って口癖直してよね! あたしはいいけど、知らない人が聞いたら怒っちゃうよ? それよりも何で彼氏じゃないって思うの? 悪そうな人なの?」
「いや、まぁ、そうだな。馬鹿ってのは、良くないわな。わりぃ。それと昨日来た男はなんか……良い奴で……かっこよかった……。悪そうではないな。」
「うそ!? 珍しい!! カリーが人を褒めるなんて! でも、それならいいじゃない? 素敵な人なんでしょ? 会ってみたいわ。お名前はなんて言うの?」
「確か……フェイルとか言ってたな。外で魔物の大群に襲われた姉がそいつに助けられたらしい。それで飯を奢る為に家に連れてきたんだと。だから彼氏じゃねぇよ。」
俯きながら言いづらそうに言うカリーを見て、ローズはまた悪戯な笑みを浮かべた。
「はは~ん。わかった! ようはカリーは、大好きなお姉さんがその人に取られるのが怖いんでしょ? カリーのシスコン!!」
「んだとぉ、てめぇ! ふざけんな! 誰がシスコンだ!」
「カリーの事だよぉ~。」
「ちょ、待てこら!!!」
「えっへへーー。カリーのずぼしーー。ここまでおいでぇぇ。キャっ!!」
カリーをからかったローズは走って逃げると、川の小石に躓いて倒れそうになった。
しかしそれを、直ぐに走って近づいたカリーが受け止める。
「馬鹿! ケガでもしたらどうすんだよ!!」
「もう……。また馬鹿っていったぁぁ。でも、ごめん。ありがと、カリー。大好きだよ。」
「ちょ……おま……。こんな時に変な事言うんじゃねぇよ。ほら、今度は転ぶなよ。」
ローズの言葉にまたも顔を真っ赤にさせたカリーは、直ぐにローズを立たせて背を向ける。
「……冗談じゃないよ。」
「ん? なんか言ったか?」
「なんでもないですーーだ。カリーのばぁぁーか。鈍感! シスコン!」
「このやろおおぉぉ。まだ言うか! もう許さん!」
「うわぁぁぁーー。クロちゃん、逃げるよぉ!」
「まてこらぁぁぁ!!」
それからしばらく二人は川でふざけ合っていたのだが、暗くなってきた事からそろそろ帰る事に決める。
「なぁ、本当に今日は帰らないのか? 別にうちに来るのはいいんだけどよ、姉さんもいるし。」
「うん。今日はいいの。多分、兄様は分かってると思うから大丈夫。明日には帰るよ。」
「あぁ、お前の兄は頭良さそうだしな、性格は悪そうだけど。俺とは絶対ウマが合わねぇな。」
「性格が悪いわけじゃなくて、色々考えすぎなのよ兄様は。」
「ふ~ん。まぁ兄妹が仲良いのはいい事だな。」
そんな事を話しながら、二人は歩いて姉のいる家に歩いている。
「ねぇ、カリー。カリーは夢ってある?」
「あぁ? いきなりなんだよ。夢か……。そうだな、いつか世界最強の戦士になって、弱い奴が笑って暮らせるようにそいつらを守りてぇ。だからとりあえずは、もう少ししたら俺は冒険者として外の世界に行くつもりだ。」
カリーの答えを聞いて、少し悲し気な表情のローズ。
だがしかし、直ぐにいつもの可憐な笑みを浮かべる。
「そっか! やっぱりカリーは優しいね! じゃあ、アタシもね、そんな国を作れるようにする!」
「いや、お前王女だろ? 無理だろ。つか、それは俺の夢であって、お前の夢じゃないじゃん!」
「ぶぅーー。……だって、私の夢は絶対叶わないから……。だからいいの。じゃあやっぱりあたしの夢は、カリーの夢が叶う事にする! そのためにいい国にするんだから!」
ローズにとって本当の夢は、カリーと結婚をし、二人で質素な暮らしをしながら笑い合って生きる事。
しかし、王女という立場がそれを許さないし、何よりも旅立つ事を口にしたカリーの夢の足かせに、自分がなる訳にはいかない。
故に、それを飲み込んだ。
「んだよ。ずりぃぃな。まぁいいや、でもな、俺だってお前が夢を持つなら全力で応援するんだからな。困ったら、絶対俺を頼れよ。絶対に俺がなんとかしてやる。……っておい、なんで泣くんだよ!」
カリーの言葉を聞いて、つい隠している気持ちが表に出そうになり涙がこぼれるローズ。
……だが。
「なんちゃってぇぇ。嘘泣きでしたぁぁ。」
ローズは無理に作り笑いを浮かべた。
「ったく。もうふざけんなよ。もうすぐ家に着くってのに……。姉さんに見られたら……。」
「カリー―!! 何を見られたらですって?」
「ね、ねぇさん!? ち、ちがうんだ。これは違うんだって! ほら、ローズからも言ってくれ。」
「おねぇさまーーー! カリーが……カリーが……。」
「あんた何したのよ! この子はこの国の王女様なのよ?」
涙を隠しきれなかったローズは、この場を利用して残った涙をローズに抱き着きながら吐き出す。
そして、気付く。
カリーが自分の事を初めてローズと呼んだ事に。
「おねぇさま。カリーが……。あたしの事をローズって呼んでくれたんです!!」
今度は満面の笑みをバンバーラに向けて、喜ぶローズ。
バンバーラはもう何がなんだかわからない。
そしてカリーもまた、何が何だかさっぱりだった。
「と、とりあえず、二人とも中に入りなさい。こんな時間に王女様がここにいる事についてゆっくり聞かせてもらうからね。」
バンバーラは、またカリーが何か問題を起こしたのだと予想しながらも人目につくのを避けるため、直ぐに二人を家に入れるのであった。
「えぇ~!! やったじゃん! おねぇさん彼氏できたの? みたいみたぁぁーーい!」
「馬鹿! あんなの彼氏な訳ねぇよ!!」
「もう、馬鹿って口癖直してよね! あたしはいいけど、知らない人が聞いたら怒っちゃうよ? それよりも何で彼氏じゃないって思うの? 悪そうな人なの?」
「いや、まぁ、そうだな。馬鹿ってのは、良くないわな。わりぃ。それと昨日来た男はなんか……良い奴で……かっこよかった……。悪そうではないな。」
「うそ!? 珍しい!! カリーが人を褒めるなんて! でも、それならいいじゃない? 素敵な人なんでしょ? 会ってみたいわ。お名前はなんて言うの?」
「確か……フェイルとか言ってたな。外で魔物の大群に襲われた姉がそいつに助けられたらしい。それで飯を奢る為に家に連れてきたんだと。だから彼氏じゃねぇよ。」
俯きながら言いづらそうに言うカリーを見て、ローズはまた悪戯な笑みを浮かべた。
「はは~ん。わかった! ようはカリーは、大好きなお姉さんがその人に取られるのが怖いんでしょ? カリーのシスコン!!」
「んだとぉ、てめぇ! ふざけんな! 誰がシスコンだ!」
「カリーの事だよぉ~。」
「ちょ、待てこら!!!」
「えっへへーー。カリーのずぼしーー。ここまでおいでぇぇ。キャっ!!」
カリーをからかったローズは走って逃げると、川の小石に躓いて倒れそうになった。
しかしそれを、直ぐに走って近づいたカリーが受け止める。
「馬鹿! ケガでもしたらどうすんだよ!!」
「もう……。また馬鹿っていったぁぁ。でも、ごめん。ありがと、カリー。大好きだよ。」
「ちょ……おま……。こんな時に変な事言うんじゃねぇよ。ほら、今度は転ぶなよ。」
ローズの言葉にまたも顔を真っ赤にさせたカリーは、直ぐにローズを立たせて背を向ける。
「……冗談じゃないよ。」
「ん? なんか言ったか?」
「なんでもないですーーだ。カリーのばぁぁーか。鈍感! シスコン!」
「このやろおおぉぉ。まだ言うか! もう許さん!」
「うわぁぁぁーー。クロちゃん、逃げるよぉ!」
「まてこらぁぁぁ!!」
それからしばらく二人は川でふざけ合っていたのだが、暗くなってきた事からそろそろ帰る事に決める。
「なぁ、本当に今日は帰らないのか? 別にうちに来るのはいいんだけどよ、姉さんもいるし。」
「うん。今日はいいの。多分、兄様は分かってると思うから大丈夫。明日には帰るよ。」
「あぁ、お前の兄は頭良さそうだしな、性格は悪そうだけど。俺とは絶対ウマが合わねぇな。」
「性格が悪いわけじゃなくて、色々考えすぎなのよ兄様は。」
「ふ~ん。まぁ兄妹が仲良いのはいい事だな。」
そんな事を話しながら、二人は歩いて姉のいる家に歩いている。
「ねぇ、カリー。カリーは夢ってある?」
「あぁ? いきなりなんだよ。夢か……。そうだな、いつか世界最強の戦士になって、弱い奴が笑って暮らせるようにそいつらを守りてぇ。だからとりあえずは、もう少ししたら俺は冒険者として外の世界に行くつもりだ。」
カリーの答えを聞いて、少し悲し気な表情のローズ。
だがしかし、直ぐにいつもの可憐な笑みを浮かべる。
「そっか! やっぱりカリーは優しいね! じゃあ、アタシもね、そんな国を作れるようにする!」
「いや、お前王女だろ? 無理だろ。つか、それは俺の夢であって、お前の夢じゃないじゃん!」
「ぶぅーー。……だって、私の夢は絶対叶わないから……。だからいいの。じゃあやっぱりあたしの夢は、カリーの夢が叶う事にする! そのためにいい国にするんだから!」
ローズにとって本当の夢は、カリーと結婚をし、二人で質素な暮らしをしながら笑い合って生きる事。
しかし、王女という立場がそれを許さないし、何よりも旅立つ事を口にしたカリーの夢の足かせに、自分がなる訳にはいかない。
故に、それを飲み込んだ。
「んだよ。ずりぃぃな。まぁいいや、でもな、俺だってお前が夢を持つなら全力で応援するんだからな。困ったら、絶対俺を頼れよ。絶対に俺がなんとかしてやる。……っておい、なんで泣くんだよ!」
カリーの言葉を聞いて、つい隠している気持ちが表に出そうになり涙がこぼれるローズ。
……だが。
「なんちゃってぇぇ。嘘泣きでしたぁぁ。」
ローズは無理に作り笑いを浮かべた。
「ったく。もうふざけんなよ。もうすぐ家に着くってのに……。姉さんに見られたら……。」
「カリー―!! 何を見られたらですって?」
「ね、ねぇさん!? ち、ちがうんだ。これは違うんだって! ほら、ローズからも言ってくれ。」
「おねぇさまーーー! カリーが……カリーが……。」
「あんた何したのよ! この子はこの国の王女様なのよ?」
涙を隠しきれなかったローズは、この場を利用して残った涙をローズに抱き着きながら吐き出す。
そして、気付く。
カリーが自分の事を初めてローズと呼んだ事に。
「おねぇさま。カリーが……。あたしの事をローズって呼んでくれたんです!!」
今度は満面の笑みをバンバーラに向けて、喜ぶローズ。
バンバーラはもう何がなんだかわからない。
そしてカリーもまた、何が何だかさっぱりだった。
「と、とりあえず、二人とも中に入りなさい。こんな時間に王女様がここにいる事についてゆっくり聞かせてもらうからね。」
バンバーラは、またカリーが何か問題を起こしたのだと予想しながらも人目につくのを避けるため、直ぐに二人を家に入れるのであった。
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