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秘密の訪問
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「そういうわけですのよ、クリス様。
どうでしょう。
私に協力して頂けますか?」
アリッサがクリスに言った。
「……お話は、よく分かりました」
ここはアリッサの私室。
アリッサがこっそりと窓のカギを開けておいたおかげで、クリスは屋敷に忍び込むことができたのである。
真夜中なこともあり、使用人ですら、誰一人彼の秘密の訪問に気づく者はなかった。
クリスはソファから身を乗り出すと、向かい合っているアリッサの顔を覗き込んだ。
「つまりこういうことですね?
私に、デイジー様を誘惑して関係をもって欲しい、と」
「ええ、そうですわ」
アリッサは扇で微笑みを隠しながら目を細めた。
「そしてあの子と結婚しようなんて思う人がいなくなるようにして欲しいのです」
「それは確かに……結婚前に男の誘惑にのったなんて噂になれば、まともな結婚なんて出来なくなるのは目に見えているでしょうね」
クリスは首を横に大きく振ってから、アリッサに目を戻して、身を乗り出すようにして続けた。
「ですが、私としては……あんな小娘なんかより、あなたの方が良いのですがね」
「まあ、お上手ですこと」
「本当のことですよ。
茶番はこの辺にしましょう。
僕とあなたの仲じゃないですか」
クリスは立ち上がると、アリッサの横に腰掛け、耳元で甘い声を出した。
「私はあなたが欲しい」
「あら……ご冗談を」
「冗談なんかじゃないさ」
クリスの手がアリッサの腰に回され、彼女の体を引き寄せる。
彼は顔を寄せ、ほとんど唇が触れ合わんばかりの距離で囁いた。
「良いだろ?」
「ちょっと。やめて。
この屋敷にはデイジーもいるのよ」
アリッサはクリスの胸を押し返しながら言った。
しかしそれは形ばかり。
その腕に力がほとんど入っていないのを感じとったクリスは、強引に唇を重ね合わせた。
「ひどいな。
あんな子どものことは気にすることなんかないさ。
部屋は離れてるんだろ?
何をしたって聞こえるはずはないし、バレやしない。
それに何も初めてってわけじゃない」
「もう2年も前に終わったことでしょう」
「でも俺は、ずっとあなたのことを忘れられなかった」
再び唇を重ねながら、ドレスのリボンを解こうとしてくるクリスの手を、アリッサがとめた。
「待って。まずはデイジーの話よ。
もちろん協力してくれるでしょう?」
「そうだなぁ……あまり気乗りはしないけど」
「そんなの口ばっかり!
私がいなくたって、口説こうとしていたくせに。
それにあの子は、まあ、頭は悪いけど顔は悪くないんだから、遊び相手にするには良いでしょう?」
「まあ……ね」
「それにあの子には、死んだ両親が残した遺産がたんまりあるのよ。
上手くやれば、私だけじゃなく、あなただって良い思いは出来るはず」
「ふうん、なるほどな」
クリスは適当に頷きながらも、さっさとアリッサのドレスのリボンを解いてしまうと、開いた胸元に唇を押し当てた。
「わかった、やってやるよ。
でも……今はもう黙って」
それからクリスは再びアリッサの唇を自身の唇で塞ぐと、キスを深めていった。
アリッサがクスクス笑う。
クリスの指が、彼女の白い肌の上を撫でる。
アリッサが熱っぽいため息をもらしてソファーに倒れ込むと、クリスは素早く彼女の体の上にのしかかっていった。
どうでしょう。
私に協力して頂けますか?」
アリッサがクリスに言った。
「……お話は、よく分かりました」
ここはアリッサの私室。
アリッサがこっそりと窓のカギを開けておいたおかげで、クリスは屋敷に忍び込むことができたのである。
真夜中なこともあり、使用人ですら、誰一人彼の秘密の訪問に気づく者はなかった。
クリスはソファから身を乗り出すと、向かい合っているアリッサの顔を覗き込んだ。
「つまりこういうことですね?
私に、デイジー様を誘惑して関係をもって欲しい、と」
「ええ、そうですわ」
アリッサは扇で微笑みを隠しながら目を細めた。
「そしてあの子と結婚しようなんて思う人がいなくなるようにして欲しいのです」
「それは確かに……結婚前に男の誘惑にのったなんて噂になれば、まともな結婚なんて出来なくなるのは目に見えているでしょうね」
クリスは首を横に大きく振ってから、アリッサに目を戻して、身を乗り出すようにして続けた。
「ですが、私としては……あんな小娘なんかより、あなたの方が良いのですがね」
「まあ、お上手ですこと」
「本当のことですよ。
茶番はこの辺にしましょう。
僕とあなたの仲じゃないですか」
クリスは立ち上がると、アリッサの横に腰掛け、耳元で甘い声を出した。
「私はあなたが欲しい」
「あら……ご冗談を」
「冗談なんかじゃないさ」
クリスの手がアリッサの腰に回され、彼女の体を引き寄せる。
彼は顔を寄せ、ほとんど唇が触れ合わんばかりの距離で囁いた。
「良いだろ?」
「ちょっと。やめて。
この屋敷にはデイジーもいるのよ」
アリッサはクリスの胸を押し返しながら言った。
しかしそれは形ばかり。
その腕に力がほとんど入っていないのを感じとったクリスは、強引に唇を重ね合わせた。
「ひどいな。
あんな子どものことは気にすることなんかないさ。
部屋は離れてるんだろ?
何をしたって聞こえるはずはないし、バレやしない。
それに何も初めてってわけじゃない」
「もう2年も前に終わったことでしょう」
「でも俺は、ずっとあなたのことを忘れられなかった」
再び唇を重ねながら、ドレスのリボンを解こうとしてくるクリスの手を、アリッサがとめた。
「待って。まずはデイジーの話よ。
もちろん協力してくれるでしょう?」
「そうだなぁ……あまり気乗りはしないけど」
「そんなの口ばっかり!
私がいなくたって、口説こうとしていたくせに。
それにあの子は、まあ、頭は悪いけど顔は悪くないんだから、遊び相手にするには良いでしょう?」
「まあ……ね」
「それにあの子には、死んだ両親が残した遺産がたんまりあるのよ。
上手くやれば、私だけじゃなく、あなただって良い思いは出来るはず」
「ふうん、なるほどな」
クリスは適当に頷きながらも、さっさとアリッサのドレスのリボンを解いてしまうと、開いた胸元に唇を押し当てた。
「わかった、やってやるよ。
でも……今はもう黙って」
それからクリスは再びアリッサの唇を自身の唇で塞ぐと、キスを深めていった。
アリッサがクスクス笑う。
クリスの指が、彼女の白い肌の上を撫でる。
アリッサが熱っぽいため息をもらしてソファーに倒れ込むと、クリスは素早く彼女の体の上にのしかかっていった。
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