自分こそは妹だと言い張る、私の姉

ゆきな

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相変わらずのクシャクシャの前髪に顔を隠したスチュアートに、レイラは素早く駆け寄っていく。
その背中をカトリーヌはぼんやりと見送ることしかできなかった。

なんだかもうイヤな予感しかしなかった。

レイラはスチュアートの前に立つと、丁寧にお辞儀をしてから

「突然お邪魔して申し訳ございません!
ですが、これには深いわけがございまして。
というのもですね!実は……」

と、早口にまくし立てていく。

よくもまあ、こんなにつらつらと言葉が出てくるものだ。

呆れるのを通り越して、もはや感心さえしている間に、レイラは早くも身の上話を終えたらしい。

「……というわけで、出来ればしばらくの間、こちらにおいては頂けませんか?
ご迷惑だとは思いますが、どうしてもこのまま家にいるのは怖くて……。
頼ることができるのは、カトリーヌとスチュアート様だけなのです!」

レイラは言ってから、カトリーヌの方に顔を向けた。
そしてカトリーヌが何事かと驚くことさえ出来ぬうちに、勢いよく抱きついてきたのである。

「ちょ、ちょっと…….どうしたの?」

こんなことをされたことがなかったカトリーヌは面食らってしまった。
しかしレイラは構わずに力一杯背中に手を回してくると

「カトリーヌ……私、家に戻るなんて怖いのよ。
お願い。助けて……」

と力ない声で言った。

カトリーヌは震えるレイラの肩を見ながら、どうせまたこれも演技でしょう、と思わないでもなかった。

しかし、もしかしたら本当に困っているのかもしれない、と気にかける気持ちも段々と大きくなってきてしまって。
チラリとスチュアートを見上げると、彼が口を開いた。

「カトリーヌ、きみの好きにしたらいい」
「好きに……ですか」

カトリーヌは呟いて、小さく溜め息をついた。
巻きついているレイラの腕に、ますます力がこもる。

それを力づくで振り解いて追い返すことは、カトリーヌにはできなかった。

「では……しばらくレイラ……お姉様をここに滞在させて頂いてもよろしいでしょうか」
「ああ」

スチュアートが言うと同時に、レイラはパッと体を離すと

「ありがとう、カトリーヌ!」

と途端に笑顔になって言うが早いか、もう駆け出していた。
そしてスチュアートの前まで来ると、彼の手を両手で握ったのである。

「ありがとうございます、スチュアート様!
ご迷惑をお掛けしますが、どうぞよろしくお願いします!」

もちろんとびきりの笑みを浮かべ、小首を傾げることも忘れてはいない。
これにはカトリーヌもギョッとして目を見開いてしまった。

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