24 / 48
24
しおりを挟む
相変わらずのクシャクシャの前髪に顔を隠したスチュアートに、レイラは素早く駆け寄っていく。
その背中をカトリーヌはぼんやりと見送ることしかできなかった。
なんだかもうイヤな予感しかしなかった。
レイラはスチュアートの前に立つと、丁寧にお辞儀をしてから
「突然お邪魔して申し訳ございません!
ですが、これには深いわけがございまして。
というのもですね!実は……」
と、早口にまくし立てていく。
よくもまあ、こんなにつらつらと言葉が出てくるものだ。
呆れるのを通り越して、もはや感心さえしている間に、レイラは早くも身の上話を終えたらしい。
「……というわけで、出来ればしばらくの間、こちらにおいては頂けませんか?
ご迷惑だとは思いますが、どうしてもこのまま家にいるのは怖くて……。
頼ることができるのは、カトリーヌとスチュアート様だけなのです!」
レイラは言ってから、カトリーヌの方に顔を向けた。
そしてカトリーヌが何事かと驚くことさえ出来ぬうちに、勢いよく抱きついてきたのである。
「ちょ、ちょっと…….どうしたの?」
こんなことをされたことがなかったカトリーヌは面食らってしまった。
しかしレイラは構わずに力一杯背中に手を回してくると
「カトリーヌ……私、家に戻るなんて怖いのよ。
お願い。助けて……」
と力ない声で言った。
カトリーヌは震えるレイラの肩を見ながら、どうせまたこれも演技でしょう、と思わないでもなかった。
しかし、もしかしたら本当に困っているのかもしれない、と気にかける気持ちも段々と大きくなってきてしまって。
チラリとスチュアートを見上げると、彼が口を開いた。
「カトリーヌ、きみの好きにしたらいい」
「好きに……ですか」
カトリーヌは呟いて、小さく溜め息をついた。
巻きついているレイラの腕に、ますます力がこもる。
それを力づくで振り解いて追い返すことは、カトリーヌにはできなかった。
「では……しばらくレイラ……お姉様をここに滞在させて頂いてもよろしいでしょうか」
「ああ」
スチュアートが言うと同時に、レイラはパッと体を離すと
「ありがとう、カトリーヌ!」
と途端に笑顔になって言うが早いか、もう駆け出していた。
そしてスチュアートの前まで来ると、彼の手を両手で握ったのである。
「ありがとうございます、スチュアート様!
ご迷惑をお掛けしますが、どうぞよろしくお願いします!」
もちろんとびきりの笑みを浮かべ、小首を傾げることも忘れてはいない。
これにはカトリーヌもギョッとして目を見開いてしまった。
その背中をカトリーヌはぼんやりと見送ることしかできなかった。
なんだかもうイヤな予感しかしなかった。
レイラはスチュアートの前に立つと、丁寧にお辞儀をしてから
「突然お邪魔して申し訳ございません!
ですが、これには深いわけがございまして。
というのもですね!実は……」
と、早口にまくし立てていく。
よくもまあ、こんなにつらつらと言葉が出てくるものだ。
呆れるのを通り越して、もはや感心さえしている間に、レイラは早くも身の上話を終えたらしい。
「……というわけで、出来ればしばらくの間、こちらにおいては頂けませんか?
ご迷惑だとは思いますが、どうしてもこのまま家にいるのは怖くて……。
頼ることができるのは、カトリーヌとスチュアート様だけなのです!」
レイラは言ってから、カトリーヌの方に顔を向けた。
そしてカトリーヌが何事かと驚くことさえ出来ぬうちに、勢いよく抱きついてきたのである。
「ちょ、ちょっと…….どうしたの?」
こんなことをされたことがなかったカトリーヌは面食らってしまった。
しかしレイラは構わずに力一杯背中に手を回してくると
「カトリーヌ……私、家に戻るなんて怖いのよ。
お願い。助けて……」
と力ない声で言った。
カトリーヌは震えるレイラの肩を見ながら、どうせまたこれも演技でしょう、と思わないでもなかった。
しかし、もしかしたら本当に困っているのかもしれない、と気にかける気持ちも段々と大きくなってきてしまって。
チラリとスチュアートを見上げると、彼が口を開いた。
「カトリーヌ、きみの好きにしたらいい」
「好きに……ですか」
カトリーヌは呟いて、小さく溜め息をついた。
巻きついているレイラの腕に、ますます力がこもる。
それを力づくで振り解いて追い返すことは、カトリーヌにはできなかった。
「では……しばらくレイラ……お姉様をここに滞在させて頂いてもよろしいでしょうか」
「ああ」
スチュアートが言うと同時に、レイラはパッと体を離すと
「ありがとう、カトリーヌ!」
と途端に笑顔になって言うが早いか、もう駆け出していた。
そしてスチュアートの前まで来ると、彼の手を両手で握ったのである。
「ありがとうございます、スチュアート様!
ご迷惑をお掛けしますが、どうぞよろしくお願いします!」
もちろんとびきりの笑みを浮かべ、小首を傾げることも忘れてはいない。
これにはカトリーヌもギョッとして目を見開いてしまった。
45
あなたにおすすめの小説
痛みは教えてくれない
河原巽
恋愛
王立警護団に勤めるエレノアは四ヶ月前に異動してきたマグラに冷たく当たられている。顔を合わせれば舌打ちされたり、「邪魔」だと罵られたり。嫌われていることを自覚しているが、好きな職場での仲間とは仲良くしたかった。そんなある日の出来事。
マグラ視点の「触れても伝わらない」というお話も公開中です。
別サイトにも掲載しております。
彼の妹にキレそう。信頼していた彼にも裏切られて婚約破棄を決意。
佐藤 美奈
恋愛
公爵令嬢イブリン・キュスティーヌは男爵令息のホーク・ウィンベルドと婚約した。
好きな人と結ばれる喜びに震え幸せの絶頂を感じ、周りの景色も明るく見え笑顔が輝く。
彼には妹のフランソワがいる。兄のホークのことが異常に好き過ぎて婚約したイブリンに嫌がらせをしてくる。
最初はホークもフランソワを説教していたが、この頃は妹の肩を持つようになって彼だけは味方だと思っていたのに助けてくれない。
実はずっと前から二人はできていたことを知り衝撃を受ける。
侯爵令嬢はざまぁ展開より溺愛ルートを選びたい
花月
恋愛
内気なソフィア=ドレスデン侯爵令嬢の婚約者は美貌のナイジェル=エヴァンス公爵閣下だったが、王宮の中庭で美しいセリーヌ嬢を抱きしめているところに遭遇してしまう。
ナイジェル様から婚約破棄を告げられた瞬間、大聖堂の鐘の音と共に身体に異変が――。
あら?目の前にいるのはわたし…?「お前は誰だ!?」叫んだわたしの姿の中身は一体…?
ま、まさかのナイジェル様?何故こんな展開になってしまったの??
そして婚約破棄はどうなるの???
ほんの数時間の魔法――一夜だけの入れ替わりに色々詰め込んだ、ちぐはぐラブコメ。
大きくなったら結婚しようと誓った幼馴染が幸せな家庭を築いていた
黒うさぎ
恋愛
「おおきくなったら、ぼくとけっこんしよう!」
幼い頃にした彼との約束。私は彼に相応しい強く、優しい女性になるために己を鍛え磨きぬいた。そして十六年たったある日。私は約束を果たそうと彼の家を訪れた。だが家の中から姿を現したのは、幼女とその母親らしき女性、そして優しく微笑む彼だった。
小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+にも投稿しています。
溺愛されている妹の高慢な態度を注意したら、冷血と評判な辺境伯の元に嫁がされることになりました。
木山楽斗
恋愛
侯爵令嬢であるラナフィリアは、妹であるレフーナに辟易としていた。
両親に溺愛されて育ってきた彼女は、他者を見下すわがままな娘に育っており、その相手にラナフィリアは疲れ果てていたのだ。
ある時、レフーナは晩餐会にてとある令嬢のことを罵倒した。
そんな妹の高慢なる態度に限界を感じたラナフィリアは、レフーナを諫めることにした。
だが、レフーナはそれに激昂した。
彼女にとって、自分に従うだけだった姉からの反抗は許せないことだったのだ。
その結果、ラナフィリアは冷血と評判な辺境伯の元に嫁がされることになった。
姉が不幸になるように、レフーナが両親に提言したからである。
しかし、ラナフィリアが嫁ぐことになった辺境伯ガルラントは、噂とは異なる人物だった。
戦士であるため、敵に対して冷血ではあるが、それ以外の人物に対して紳士的で誠実な人物だったのだ。
こうして、レフーナの目論見は外れ、ラナフェリアは辺境で穏やかな生活を送るのだった。
望まない相手と一緒にいたくありませんので
毬禾
恋愛
どのような理由を付けられようとも私の心は変わらない。
一緒にいようが私の気持ちを変えることはできない。
私が一緒にいたいのはあなたではないのだから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる