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足音
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暑い暑いうるせえなあ……
そんな暑いんなら
いっちょヒヤッとする話をしてやろう
おめえ、お稲荷さんの近くの沼知ってるだろ
あの沼沿いの道、
真っ暗で2人並べばいっぱいになっちまう
せめえ道だし、あんまり通るなって
子供ん時から言われてたが、
お稲荷さんの夏祭りんときゃ
つい近道で通っちまう
そうだなあ……俺が15.6ん時だったか
ばーちゃんも久しぶりに祭りに行きたいと
珍しく言うもんだから兄貴と
連れて行ってやったんだ
小一時間ぐれえで疲れたって言うんで
帰る(けえる)ことにした
少しでも早く、あまり歩かずに済む
沼沿いの道を帰ったんだ(けえったんだ)
「ばあちゃん、大丈夫か?おぶるか?」
ばあちゃんはにっこり笑いながら首振るもんで、ゆっくりゆっくり歩いて帰った(けえった)
俺の前を兄貴が、その隣にばあちゃんが俺は1人で後をついて行ってた
パタパタパタ……
人が走ってくる音が聞こえたんで、
俺はパッと脇に避けた。
兄貴も俺が何も言わずとも
足音に気づいて脇に避けた。
並んでたら通れねえからな。
…………
……いつまで経っても誰も通らねえ……
何度も言うが、あの沼沿いの細い一本道だ
誰もいねえんだ、後ろに
誰も抜かさなかったんだ、俺達を……
俺が聞いた足音は空耳だったと
思いたかったが、何も言わずとも兄貴も
道を譲った。足音が聞こえたからだ
俺と兄貴は何も言わずともしばらくお互いを見たあと、兄貴はばあちゃんを有無を言わさずおぶると一目散に駆け出した
俺も必死について行ったんだが、どうにも足が上手く動かねえし、なんだか身体も重くて
兄貴について行くのに必死だった。
家に着いて、ばあちゃんを座らせ、なんとか落ち着く為に水を飲もうとしたら
「うわああ!」
兄貴が俺を指さし腰抜かしていやがる
「こんな時に脅かすんじゃねえ!」
思わず怒鳴りつけた
「背中……お前……背中」
背中がなんだって言うんだ。
水がめにうつしてみたら……真っ黒に
背中だけが泥だらけだった
「沼の主様だねえ、沼に引きづられんとよかったなあ」
ばあちゃんは呑気に言ったけど、俺はそのあとの記憶が無い、あまりの恐怖に気を失っちまった。
それから俺はもうあの道は通っちゃいねえ、
兄貴もだ
……なんだ?顔色悪いぞ。少しは涼しくなったか?もっと涼しくしてやろうか?
俺がなんで今この話をしたかわかるか?
おめえ、あの沼沿いの道通ってきただろう
背中が真っ黒だぜ
沼に引っ張られなくてよかったな
そんな暑いんなら
いっちょヒヤッとする話をしてやろう
おめえ、お稲荷さんの近くの沼知ってるだろ
あの沼沿いの道、
真っ暗で2人並べばいっぱいになっちまう
せめえ道だし、あんまり通るなって
子供ん時から言われてたが、
お稲荷さんの夏祭りんときゃ
つい近道で通っちまう
そうだなあ……俺が15.6ん時だったか
ばーちゃんも久しぶりに祭りに行きたいと
珍しく言うもんだから兄貴と
連れて行ってやったんだ
小一時間ぐれえで疲れたって言うんで
帰る(けえる)ことにした
少しでも早く、あまり歩かずに済む
沼沿いの道を帰ったんだ(けえったんだ)
「ばあちゃん、大丈夫か?おぶるか?」
ばあちゃんはにっこり笑いながら首振るもんで、ゆっくりゆっくり歩いて帰った(けえった)
俺の前を兄貴が、その隣にばあちゃんが俺は1人で後をついて行ってた
パタパタパタ……
人が走ってくる音が聞こえたんで、
俺はパッと脇に避けた。
兄貴も俺が何も言わずとも
足音に気づいて脇に避けた。
並んでたら通れねえからな。
…………
……いつまで経っても誰も通らねえ……
何度も言うが、あの沼沿いの細い一本道だ
誰もいねえんだ、後ろに
誰も抜かさなかったんだ、俺達を……
俺が聞いた足音は空耳だったと
思いたかったが、何も言わずとも兄貴も
道を譲った。足音が聞こえたからだ
俺と兄貴は何も言わずともしばらくお互いを見たあと、兄貴はばあちゃんを有無を言わさずおぶると一目散に駆け出した
俺も必死について行ったんだが、どうにも足が上手く動かねえし、なんだか身体も重くて
兄貴について行くのに必死だった。
家に着いて、ばあちゃんを座らせ、なんとか落ち着く為に水を飲もうとしたら
「うわああ!」
兄貴が俺を指さし腰抜かしていやがる
「こんな時に脅かすんじゃねえ!」
思わず怒鳴りつけた
「背中……お前……背中」
背中がなんだって言うんだ。
水がめにうつしてみたら……真っ黒に
背中だけが泥だらけだった
「沼の主様だねえ、沼に引きづられんとよかったなあ」
ばあちゃんは呑気に言ったけど、俺はそのあとの記憶が無い、あまりの恐怖に気を失っちまった。
それから俺はもうあの道は通っちゃいねえ、
兄貴もだ
……なんだ?顔色悪いぞ。少しは涼しくなったか?もっと涼しくしてやろうか?
俺がなんで今この話をしたかわかるか?
おめえ、あの沼沿いの道通ってきただろう
背中が真っ黒だぜ
沼に引っ張られなくてよかったな
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