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「は?こんな底辺オメガを嫁にしろとか正気か?正井家は一条家を馬鹿にしているのか?」
目の前のアルファの威圧に応接室で並んで座っていた両親が身を縮こまらせた
豪華絢爛な応接室は一条家の持ち物であり、ビルのワンフロアをぶち抜いた広い大理石フロアであり、まるで室内を飾り立てるような華やかなシャンデリアが幾重にも重なり合うように輝いている
鼻につくような香りはカサブランカを大量に室内に生けてあるからだろう
その室内に確かに自分は似つかわしくない
正井陽は正に劣性オメガであり、本当ならばこの場に連れてこられるのは弟である優性であり高位オメガの正井賛であった
目の前で怒りに満ちている高位アルファ、一条琉偉にまさしく相応しいだろう
陽も正装しているとはいえ、オメガといえば華やかで繊細で美しい者が多い中、陽は繊細でもないし、華やかでもない
一方の賛はオメガらしく繊細で、華やかで色白、守ってあげたくなるような儚さまである
そしてその儚さ、病弱であるという点で賛は今入院中であり、陽が身代わりにならなければならなかった理由の一旦である
両親とて賛を連れてきたかっただろう
一条家とは懇意になりたいし、姻戚関係になれたら最高であったのに、今ここに賛はいない
一条家としたら最悪だし、馬鹿にされていると感じていてもおかしくない
ガタガタと震え出した両親に申し訳なくて膝の上で手を握り込む
一条は、はっと鼻で笑いながら応接室を出て行ってしまった
静かになった室内で深い失望のため息が漏れる
惨めで悔しくて、そして申し訳なくて堪らなかった
これが最悪な、陽と一条の出会いであり、最後の接触となる
その筈だったのだーー
目の前のアルファの威圧に応接室で並んで座っていた両親が身を縮こまらせた
豪華絢爛な応接室は一条家の持ち物であり、ビルのワンフロアをぶち抜いた広い大理石フロアであり、まるで室内を飾り立てるような華やかなシャンデリアが幾重にも重なり合うように輝いている
鼻につくような香りはカサブランカを大量に室内に生けてあるからだろう
その室内に確かに自分は似つかわしくない
正井陽は正に劣性オメガであり、本当ならばこの場に連れてこられるのは弟である優性であり高位オメガの正井賛であった
目の前で怒りに満ちている高位アルファ、一条琉偉にまさしく相応しいだろう
陽も正装しているとはいえ、オメガといえば華やかで繊細で美しい者が多い中、陽は繊細でもないし、華やかでもない
一方の賛はオメガらしく繊細で、華やかで色白、守ってあげたくなるような儚さまである
そしてその儚さ、病弱であるという点で賛は今入院中であり、陽が身代わりにならなければならなかった理由の一旦である
両親とて賛を連れてきたかっただろう
一条家とは懇意になりたいし、姻戚関係になれたら最高であったのに、今ここに賛はいない
一条家としたら最悪だし、馬鹿にされていると感じていてもおかしくない
ガタガタと震え出した両親に申し訳なくて膝の上で手を握り込む
一条は、はっと鼻で笑いながら応接室を出て行ってしまった
静かになった室内で深い失望のため息が漏れる
惨めで悔しくて、そして申し訳なくて堪らなかった
これが最悪な、陽と一条の出会いであり、最後の接触となる
その筈だったのだーー
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