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第一章(謎解きのはじまり)
ラノベ女キャラについて間宮はかく語りき。
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小説そのものじゃなくて、脇役であるはずの挿絵イラストの方を褒めたら、間宮の気を悪くするかと思っていたが、むしろ上機嫌になってくれて安心した。
「この絵師が先生とコラボしたのって、この作品が初なんだけど、めっっちゃ世界観合いまくってるよな! ほんと、俺も感動しちゃってさあー」
「そうなんだ」
「なんて言ったらいいんだろうな? この先生の作中のキャラと、イラストがバシッて合ってるっていうか……まじでイメージがピッタリなんだよな、これからもずっと先生のイラスト描いて欲しいよなあ」
「うん」
「……でもなあー、」
「ん?」
「唯一の欠点というか……ほら、この絵描きってさあー、幼児体型が好きっぽいじゃん」
「幼児体型?」
そう聞き返すと、間宮の耳がほんの少し赤くなった。間宮は、学校ではいつもマスクを着用している。本人曰く、年中アレルギーだからというのが理由らしいが、僕は別の理由があることを密かに知っている。
「だっ、だから、ほら、この絵師の描くイラストってさあ、ちょっと女子の描き方が控えめじゃんか」
何のことだか分からずに僕は、表紙を凝視してみた。
「……控えめ?」
すると間宮の耳はますます赤くなっていき、マスク越しにも、唇をとんがらせているのが分かった。間宮は、そのまま、そっぽを向いたまま言った。
「……胸だよ」
「胸……」
「……」
「……え?」
「だっから、え? じゃねーんだよ、え? じゃ!」
耐えきれなかった間宮が顔をついに真っ赤にしながら、僕を指差して何やら必死に訴えかけている。すると、教室の前の方でグループを組んでいた女子の何人かが、「間宮、うるさーい」と茶々を入れだした。
間宮は今度は猫みたいに全身の毛を逆立てながら「うっせー! ブス!」と応戦している。
僕はというと、相変わらずの難問を前にして、机に肘を付きながら、なおも表紙をニラみ続けていた。
「……ああ、控えめに言っても可愛すぎるってこと?」
「ちっがーう!!」
女子にからかわれた間宮が、肩でフーッフーッと大きく息をつきながら、諦めたかのように手のひらで目を覆って上を向いた。そのまま、指の隙間から、僕の様子を確認しつつ、キョロキョロと辺りを見回した。
それから、そろそろと、僕の耳元に顔を近づけると、物凄いちっちゃな声でささやいた。
「貧乳すぎる……ってことだよ」
僕は、思わず耳をこすった。マスクの繊維がくすぐったい。
ようやく間宮から教えてもらえたので、改めて表紙を確認してみる。表紙には、作中に出てくるキャラが全員、大小色々な大きさで描かれていたのだけれど、その中で女の子キャラは3人いた。その一人ひとりの胸を、指でたどって確認していく。
「……いや、別に普通だと思うけど」
すると間宮は、大げさに両手を広げて天井を仰ぎ見た。
「だーっ! 分かってないなあー、お前はラノベ読んだことないから知らないだけなんだって」
「そんなこと、言われてもなあ」
「いいか? 普通、ラノベの女キャラって言えば、こんくらいのサイズが当たり前なんだよ、こんくらいの!」
そう言いながら、間宮は自分の両腕を使って、胸の形のポーズを取ってみせた。
「でも、この女の子のキャラって全員、僕らと同じ高校生だよな。うちのクラスに、そんなスイカみたいなおっぱいの女子いるか?」
そう答えると、間宮は、「んなっ! ばっ、おまっ!」と、言葉にならない発声を何度か繰り返していた。
やばい、ちょっとからかいすぎたかな。いつの間にか間宮の顔は、茹でダコ状態になっていた。汗で前髪が額に張り付いている。籠もりきった蒸気がマスクを湿らせていた。僕は、間宮が通常の呼吸を取り戻すまで、じっとそのマスクの濡れた口元を眺めていた。
「この絵師が先生とコラボしたのって、この作品が初なんだけど、めっっちゃ世界観合いまくってるよな! ほんと、俺も感動しちゃってさあー」
「そうなんだ」
「なんて言ったらいいんだろうな? この先生の作中のキャラと、イラストがバシッて合ってるっていうか……まじでイメージがピッタリなんだよな、これからもずっと先生のイラスト描いて欲しいよなあ」
「うん」
「……でもなあー、」
「ん?」
「唯一の欠点というか……ほら、この絵描きってさあー、幼児体型が好きっぽいじゃん」
「幼児体型?」
そう聞き返すと、間宮の耳がほんの少し赤くなった。間宮は、学校ではいつもマスクを着用している。本人曰く、年中アレルギーだからというのが理由らしいが、僕は別の理由があることを密かに知っている。
「だっ、だから、ほら、この絵師の描くイラストってさあ、ちょっと女子の描き方が控えめじゃんか」
何のことだか分からずに僕は、表紙を凝視してみた。
「……控えめ?」
すると間宮の耳はますます赤くなっていき、マスク越しにも、唇をとんがらせているのが分かった。間宮は、そのまま、そっぽを向いたまま言った。
「……胸だよ」
「胸……」
「……」
「……え?」
「だっから、え? じゃねーんだよ、え? じゃ!」
耐えきれなかった間宮が顔をついに真っ赤にしながら、僕を指差して何やら必死に訴えかけている。すると、教室の前の方でグループを組んでいた女子の何人かが、「間宮、うるさーい」と茶々を入れだした。
間宮は今度は猫みたいに全身の毛を逆立てながら「うっせー! ブス!」と応戦している。
僕はというと、相変わらずの難問を前にして、机に肘を付きながら、なおも表紙をニラみ続けていた。
「……ああ、控えめに言っても可愛すぎるってこと?」
「ちっがーう!!」
女子にからかわれた間宮が、肩でフーッフーッと大きく息をつきながら、諦めたかのように手のひらで目を覆って上を向いた。そのまま、指の隙間から、僕の様子を確認しつつ、キョロキョロと辺りを見回した。
それから、そろそろと、僕の耳元に顔を近づけると、物凄いちっちゃな声でささやいた。
「貧乳すぎる……ってことだよ」
僕は、思わず耳をこすった。マスクの繊維がくすぐったい。
ようやく間宮から教えてもらえたので、改めて表紙を確認してみる。表紙には、作中に出てくるキャラが全員、大小色々な大きさで描かれていたのだけれど、その中で女の子キャラは3人いた。その一人ひとりの胸を、指でたどって確認していく。
「……いや、別に普通だと思うけど」
すると間宮は、大げさに両手を広げて天井を仰ぎ見た。
「だーっ! 分かってないなあー、お前はラノベ読んだことないから知らないだけなんだって」
「そんなこと、言われてもなあ」
「いいか? 普通、ラノベの女キャラって言えば、こんくらいのサイズが当たり前なんだよ、こんくらいの!」
そう言いながら、間宮は自分の両腕を使って、胸の形のポーズを取ってみせた。
「でも、この女の子のキャラって全員、僕らと同じ高校生だよな。うちのクラスに、そんなスイカみたいなおっぱいの女子いるか?」
そう答えると、間宮は、「んなっ! ばっ、おまっ!」と、言葉にならない発声を何度か繰り返していた。
やばい、ちょっとからかいすぎたかな。いつの間にか間宮の顔は、茹でダコ状態になっていた。汗で前髪が額に張り付いている。籠もりきった蒸気がマスクを湿らせていた。僕は、間宮が通常の呼吸を取り戻すまで、じっとそのマスクの濡れた口元を眺めていた。
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