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第二章(謎解きのおわり)
検温タイム。
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太郎さんが天井に貼り付けたスマホの画面には、自分のものであるとは認めたくないくらいに、情けない顔が映し出されていた。
いや、誰だって突然に同性に押し倒されたら、こんな顔になるに決まってる……たぶん。
そして、厄介なのは、自分の残念な顔を確認させられているだけではない。
その画面の向こう側の世界で、高校時代の親友に、この一部始終を観られているのだ。
しかも、その親友は、僕のことを好きらしい。
どうだ! ははは、ややこし過ぎるだろう!?
僕がベッドに転がされたまま、全く体勢を立て直せずにいると、太郎さんが当然のように、僕の上にのしかかってきた。
「……あのっ……あのっ」
「ハイ! では、お熱お測りしまーす」
ピッ
大男に組み敷かれている、のっぴきならない状況下で、機械音のマヌケな音が鳴り響いた。
「……え?」
「うん、ヨシ! 平熱です」
太郎さんが、僕のおでこに当てたものは、非接触型の体温計のようだった。
なんてもの持ち歩いてんだ、この人。まさか……。
「あっ、お店の備品ではありませーん、俺の私物でーす!」
……チッ。
一体どこまで、抜け目がないんだ、この人は……。
「……いきなり、何なんですか?」
「いや、だってさあー、このご時世、ちゃあんと体調確認しないと、安心してイチャイチャできねーじゃん?」
「……イチャ……なんてしないですよ」
「顔射はしたのに?」
「!?」
「……顔射はしたのに?」
僕が、うぐぐっと口ごもると、時間差でスマホからも追い打ちが来た。とんでもない山びこだな……。
でも、本屋で再会したときから感じたことだが、口数が少ないとはいえ、間宮は、なんか元気そうなんだよな……。
いや、別に落ち込んでいて欲しかったわけではないのだけれど、一年近く前のこととはいえ……その、あのう……ベッドを共にした? 仲とは思えないくらいテンションがナチュラルなんだよな……。
「……あの……これって、何が目的なんですか?」
「……んー?」
「あと……どうして間宮は、普通に会話しないんでしょうか?」
「……んー、気になる?」
「……え?」
すると、太郎さんは、身体を傾けて、ベッドに寝かされている僕の顔に、自分の顔を近づけてきた。
逃げようにも、両腕共に押さえつけられているので、為すすべがない。
「ぶっちゃけ大吉クンって、マミリンのこと、どう思ってる?」
僕は、思わず目を泳がせてしまった。
「……どうって……」
間宮は、たった一人の大切な親友で、楽しかった青春を共に過ごした仲間で、そして……。
今いる場所が場所なだけに、僕はどうしても、間宮の、あの白い尻を思い出さずにはいられなかった。
思わず、うっ……と、胸に何かが詰まったような気分になる。
間宮の、我を忘れて僕を求めてきたときの、だらしなく開かれた口と八重歯と、あの表情と……。
……だけど……。
「……間宮は……僕にとって、特別な人間です……でも……」
「セックスしたいとは思わない?」
「……」
その通りだった。
高1の夏に、間宮の自慰行為を目撃して以来、間宮の尻のことばかりが頭から離れず、望んだわけではないものの、結果として、それをオカズに抜いてしまったこともある自分に、こんなことを言える資格があるとは思えないが……。
「間宮は……家族のような存在なので……そういう対象では無いです」
事実、僕は、間宮の尻で抜くことが理性では受け入れられずに、勃起不全になっていたし、1年前にベッドで間宮に刺激されて、9年ぶりに勃起してしまった後も、今日に至るまで、やっぱり不能は続いている。
かなり都合が良いことを言っているのは分かるけれど、やっぱりどうしても僕は、間宮とは親友のままでいたいのだ。
いや、誰だって突然に同性に押し倒されたら、こんな顔になるに決まってる……たぶん。
そして、厄介なのは、自分の残念な顔を確認させられているだけではない。
その画面の向こう側の世界で、高校時代の親友に、この一部始終を観られているのだ。
しかも、その親友は、僕のことを好きらしい。
どうだ! ははは、ややこし過ぎるだろう!?
僕がベッドに転がされたまま、全く体勢を立て直せずにいると、太郎さんが当然のように、僕の上にのしかかってきた。
「……あのっ……あのっ」
「ハイ! では、お熱お測りしまーす」
ピッ
大男に組み敷かれている、のっぴきならない状況下で、機械音のマヌケな音が鳴り響いた。
「……え?」
「うん、ヨシ! 平熱です」
太郎さんが、僕のおでこに当てたものは、非接触型の体温計のようだった。
なんてもの持ち歩いてんだ、この人。まさか……。
「あっ、お店の備品ではありませーん、俺の私物でーす!」
……チッ。
一体どこまで、抜け目がないんだ、この人は……。
「……いきなり、何なんですか?」
「いや、だってさあー、このご時世、ちゃあんと体調確認しないと、安心してイチャイチャできねーじゃん?」
「……イチャ……なんてしないですよ」
「顔射はしたのに?」
「!?」
「……顔射はしたのに?」
僕が、うぐぐっと口ごもると、時間差でスマホからも追い打ちが来た。とんでもない山びこだな……。
でも、本屋で再会したときから感じたことだが、口数が少ないとはいえ、間宮は、なんか元気そうなんだよな……。
いや、別に落ち込んでいて欲しかったわけではないのだけれど、一年近く前のこととはいえ……その、あのう……ベッドを共にした? 仲とは思えないくらいテンションがナチュラルなんだよな……。
「……あの……これって、何が目的なんですか?」
「……んー?」
「あと……どうして間宮は、普通に会話しないんでしょうか?」
「……んー、気になる?」
「……え?」
すると、太郎さんは、身体を傾けて、ベッドに寝かされている僕の顔に、自分の顔を近づけてきた。
逃げようにも、両腕共に押さえつけられているので、為すすべがない。
「ぶっちゃけ大吉クンって、マミリンのこと、どう思ってる?」
僕は、思わず目を泳がせてしまった。
「……どうって……」
間宮は、たった一人の大切な親友で、楽しかった青春を共に過ごした仲間で、そして……。
今いる場所が場所なだけに、僕はどうしても、間宮の、あの白い尻を思い出さずにはいられなかった。
思わず、うっ……と、胸に何かが詰まったような気分になる。
間宮の、我を忘れて僕を求めてきたときの、だらしなく開かれた口と八重歯と、あの表情と……。
……だけど……。
「……間宮は……僕にとって、特別な人間です……でも……」
「セックスしたいとは思わない?」
「……」
その通りだった。
高1の夏に、間宮の自慰行為を目撃して以来、間宮の尻のことばかりが頭から離れず、望んだわけではないものの、結果として、それをオカズに抜いてしまったこともある自分に、こんなことを言える資格があるとは思えないが……。
「間宮は……家族のような存在なので……そういう対象では無いです」
事実、僕は、間宮の尻で抜くことが理性では受け入れられずに、勃起不全になっていたし、1年前にベッドで間宮に刺激されて、9年ぶりに勃起してしまった後も、今日に至るまで、やっぱり不能は続いている。
かなり都合が良いことを言っているのは分かるけれど、やっぱりどうしても僕は、間宮とは親友のままでいたいのだ。
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