恋桜の魔法

星月

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手紙

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「春君……今日は、一緒に寝て欲しいです。駄目かな?それから、この手紙見て欲しいです。今は私は読めないから」

 彼女は弱々しくお願いする。そんな彼女の顔を確認し、手紙を返して貰う。
 「疲れたよね?寝よう」

 俺等は寝ることにした。俺等が目を覚ますと、朝になっていた。
 「春君おはよう。今日は、休みだからもっと寝ていても良いんだよ」
 「この声は、……美春?手を握ってくれ」

 俺は彼女を呼んだ瞬間、優しく手を握る。
 「ありがとう。下まで連れていってくれんか?」
 
 彼女はしっかり手を握りしめ、ゆっくりと、一歩ずつ階段を落ちて行く。広いフロントの扉を開ける。とそこには、昨日帰ったはずの皆が集まっていた。
 「雪島先輩、おはようございます。兄をソファーに寝かせて下さい」

 言われたようにソファーに寝かせてくれる。
 「お兄ちゃん、出来るだけ目を大きく開けて」
 
 慣れている手付きで、目薬を使う。
 「お兄ちゃん15分、目を瞑ってね。兄を、下までありがとうございました。感謝します」
 「気にしないで、いいわよ。それはそうと春君何処か悪いの?」

 その質問に対し雪菜は困った顔を見せる。本人が話しかける。
 「今から6年前、大きな事故で脳と目に影響喰らった。以上」
 「先輩も苦労したんっすね」
 「私決めたわ。春君に渡した手紙読むから頂戴」

 彼女は覚悟を手紙読むことにした。
 「俺のポケットにある。」

 雪菜は服のポケットから、何通かの手紙を取り出し
手渡しする。
 「渡す前にお願いがあります。それは皆の前で手紙を声を出し読みきって下さい」
 「わかりました。」

 俺の妹である雪菜は、何通かの手紙を渡す。そして手紙読む。
 「この手紙を読むということは、俺はこの世にはいない。俺は雪島千夏を愛していた。そんな彼女も、俺を愛してくれていたと思う。そんな二人の最愛なる娘が美春と美亜である。」

 これで一枚の手紙が終わる。それを読んでいた、彼女は震え声で泣きそうだった。
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