1 / 3
素直になれない子
しおりを挟む
昔からそうだった
中々素直になれない。
親しければ親しいほど
素直にありがとうやごめんなさいが
言えないのだ。
近所では挨拶のよくできる子。
だけど家の中ではわがままな子。
なぜか素直な自分を家族にさらけ出すのが
とても恥ずかしいのだ。
小さいながらに他の子と同じように
素直な子どもじゃないことに
妙な悲しさを持っていた。
それは中学生になっても変わっていなかった。
「あーちゃん!昼ごはん!」
夏休み
そう階段の下から叫ぶのは祖母。
私は学校では猫を被ってるので
そこそこ友達はいた。
だがどこか壁を作ってしまっていて
本当の友達は居なかった。
心をさらけ出すのがニガテなのだ。
「お腹すいてないからいい!」
祖母がブツブツと言いながら
去っていく音が聞こえる。
本当にお腹がすいてなかったわけではない。
だけど祖母が作るご飯に妙な
嫌悪感があったのだ。
潔癖ではないがどうしても
汚いかもしれないというイメージが
こびりついて拒絶してしまう。
わざわざ私のためだけに作ってくれてるのに
なぜ拒否してしまうのか。
ありがとうと素直に食べたいのにという
感情で頭の中はいつもぐちゃぐちゃ。
可愛げのない孫でごめんなさいと
心のなかで思いながら私は窓から見える
海をしばらく眺めて
もう一度布団に潜り込んだ。
夕方頃、お腹がへって目が覚めた。
階段を降りて台所へ向かうと
お昼に作ったであろう炒飯に
ラップがかけてあり置いてある。
祖母は夕方の時代劇を祖父と観ている。
私は静かにちゃーはんを持って
上へあがる。
今日の昼は炒飯だったのか。
祖母の炒飯だけは拒絶なく食べれる。
本当に美味しくてぺろりとたいらげた。
黙って空になった皿を見て祖母は
どう思っているんだろう。
祖母は夏休み中私の昼ごはんを
作ってくれた。
だけど私は炒飯しか口をつけず
祖母はどんな気持ちで手作りのご飯を
生ゴミへ入れていたのだろう。
回想はここまでだ。
私は今年社会人4年目に入った。
祖母は私が誕生日を迎えるとともに
死んだ。
中々素直になれない。
親しければ親しいほど
素直にありがとうやごめんなさいが
言えないのだ。
近所では挨拶のよくできる子。
だけど家の中ではわがままな子。
なぜか素直な自分を家族にさらけ出すのが
とても恥ずかしいのだ。
小さいながらに他の子と同じように
素直な子どもじゃないことに
妙な悲しさを持っていた。
それは中学生になっても変わっていなかった。
「あーちゃん!昼ごはん!」
夏休み
そう階段の下から叫ぶのは祖母。
私は学校では猫を被ってるので
そこそこ友達はいた。
だがどこか壁を作ってしまっていて
本当の友達は居なかった。
心をさらけ出すのがニガテなのだ。
「お腹すいてないからいい!」
祖母がブツブツと言いながら
去っていく音が聞こえる。
本当にお腹がすいてなかったわけではない。
だけど祖母が作るご飯に妙な
嫌悪感があったのだ。
潔癖ではないがどうしても
汚いかもしれないというイメージが
こびりついて拒絶してしまう。
わざわざ私のためだけに作ってくれてるのに
なぜ拒否してしまうのか。
ありがとうと素直に食べたいのにという
感情で頭の中はいつもぐちゃぐちゃ。
可愛げのない孫でごめんなさいと
心のなかで思いながら私は窓から見える
海をしばらく眺めて
もう一度布団に潜り込んだ。
夕方頃、お腹がへって目が覚めた。
階段を降りて台所へ向かうと
お昼に作ったであろう炒飯に
ラップがかけてあり置いてある。
祖母は夕方の時代劇を祖父と観ている。
私は静かにちゃーはんを持って
上へあがる。
今日の昼は炒飯だったのか。
祖母の炒飯だけは拒絶なく食べれる。
本当に美味しくてぺろりとたいらげた。
黙って空になった皿を見て祖母は
どう思っているんだろう。
祖母は夏休み中私の昼ごはんを
作ってくれた。
だけど私は炒飯しか口をつけず
祖母はどんな気持ちで手作りのご飯を
生ゴミへ入れていたのだろう。
回想はここまでだ。
私は今年社会人4年目に入った。
祖母は私が誕生日を迎えるとともに
死んだ。
0
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
嘘はあなたから教わりました
菜花
ファンタジー
公爵令嬢オリガは王太子ネストルの婚約者だった。だがノンナという令嬢が現れてから全てが変わった。平気で嘘をつかれ、約束を破られ、オリガは恋心を失った。カクヨム様でも公開中。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
【完結】愛されないと知った時、私は
yanako
恋愛
私は聞いてしまった。
彼の本心を。
私は小さな、けれど豊かな領地を持つ、男爵家の娘。
父が私の結婚相手を見つけてきた。
隣の領地の次男の彼。
幼馴染というほど親しくは無いけれど、素敵な人だと思っていた。
そう、思っていたのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる