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その頃、迷宮の外では…

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・




「何だっ!この書類の山はっ!!?」

苛立たし気な怒鳴り声に文官たちは肩を竦める。


机の上にうずたかく積まれた書類の山。
山、山、山……。
今にも雪崩を起こしそうな紙の束は正に山と呼ぶにふさわしい。


近頃は皇帝も正妃も宰相も騎士団長も神子も揃いも揃って機嫌が悪い。

何故なら…。




「何故仕事がこんなに溜まっているんだ!!」

「それは皇帝陛下の処理待ちのほんの一部でございまして…」

「量が可笑しいだろう、量が」

「今まではファウスティーナ様が皇帝陛下のお仕事もこなしていらっしゃいましたので」

「宰相は一体何をしているっ?!」

「はぁ…宰相様も書類に追われていらっしゃいます…」


皇帝と宰相は終わらない書類仕事に忙殺されていた。




「手に入らないってどういうことよっ?!!」

「希少な織物ですので入手が非常に困難で……。布の入荷だけでも半年はかかるそうです」

「半年も待てるわけないでしょうっ!!何とかしなさいよっ!!」

「そう言われましても……」

「もうっ、じゃあ頼んでた美容液は?……なによその反応?
 まさかそれも手に入らないっていうんじゃないでしょうね?!」

「ファウスティーナ様の口利きで特別に交渉のあった商会ですので、
 その、今後は……取引を取りやめると」


正妃は希少なドレスや美容品が手に入らず癇癪をおこしていた。




「結界が弱まっている…?」

「はい。小競り合い程度ですが他国の民が攻め入り争いとなっている地域があるのはその所為かと」

「神子は何をしてるんだ?」

「それが…少々体調を崩し臥せっていらっしゃるそうです」

「ちっ、面倒な。取り敢えず小隊を向かわせろ。長引くようなら俺も出る」

「はっ」


騎士団長は他国の小競り合いやファウスティーナを支持する市民の鎮圧に奔走していた。




「どうしよう?どうしたらいいの??」

「お嬢様、どうかお心を落ち着けて……」

「落ち着いてられるわけないでしょうっ?!!なんでっ、どうしてよっ?!」

「騎士団からも要請がきております。何とかお嬢様自身のお力で…」

「わかってるわよっ!わかってるけど………」

「まさか……お嬢様ご自身のお力だけでは結界を維持出来ないのですか……?!」



神子と呼ばれる少女は結界を維持出来ず仮病を使って雲隠れしていた。




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