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十四
しおりを挟む※ in 迷宮
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さぁて、今日は何して過ごそう??
人恋しくなってきたし、誰かとお喋りでもしようかな?
パソコン一つで見知らぬ誰とでも繋がれるなんて。
世界はヒッキーに優しい世界へと進化してるわよね!!
二、三時間ほど画面越しに楽しくお喋りを交わし、久々の人との触れ合いに満足して通話を切った。
んー、と両手を伸ばして首を解す。
ちょっと身体も固まったし、ちょっと早いけど身体を解しに魔物倒しにでも行ってこようかな?
今日は早めに行って、んで早めに切り上げてゆっくりお風呂入るのもいいかも。
昨日の迷宮部屋が何故か薔薇園だったからお土産にどっさり摘んで帰ってきた薔薇使って薔薇風呂とか最高じゃない??
冷たいドリンクとポータブルテレビ持ち込んでお風呂で優雅に映画とか見ちゃおっかな!よし、決定!!
るんるん気分で立ち上がりお着換え、お着換え。
今日も今日とてドット絵調の魔物にパンチ、キックにバッサバサ。
剣も中々様になって来たんじゃない?とか油断してたら背後から現れたコカトリスにふっとばされた。
びっ、っくりしたーー!!
不意打ちとは卑怯なりーと思いつつ立ち上がる。
因みに吃驚はしたけど身体的ダメージはゼロ。
何せ怪我するの嫌だからごっつい防御魔法重ね掛けしてるしね。
剣を手に取り構える。
コカトリスといえば石化だけどそれは防御魔法のかかってる私には通用しないから、取り敢えずさっきみたいな物理的にふっ飛ばされる攻撃にだけ気をつけよう。
まずは…。
「死ね、蛇ー!」
剣を絡め取ろうとしてくる鬱陶しい蛇の部分に狙いを付ける。
蛇部分を斬りおとし、本体にも斬撃や回し蹴りを叩き込む。
ふかふかの羽毛で覆われているからかどうにもダメージが浅い。
魔法使えば一発で焼き鳥にしてやれるのに!と思いつつ自分の中の攻撃魔法禁止!のルールを思い出しふるふると首を振った。
どうせやられてもこっちは傷を負わないんだから攻めに出よう。
一つ頷いて走り出す。
助走をつけて大きく飛んだ。
狙うは首。
足を開いて両足で首を挟み込み、ねじりを掛けて落下の勢いを利用して叩き折る!!
狙い通りに決まった一撃にコカトリスの巨体が倒れ込み、そして消えるドット絵とチャラーンとお馴染のポップな音。
「やった!頑張った甲斐あってちょっと多いー。
しかも金の卵落としていったし。ラッキー!!今夜は奮発しちゃおっかな?!」
ウキウキしつつ現れた金貨を拾い集めた。
ヒロインとヒーローのキスシーンで映画は終わった。
胸の高鳴りと興奮のままに身を捩ればパシャンと水音。
やっば、と慌ててポータブルテレビを避難させる。
セーフ、どうやら濡れてはなさそうだ。
ほっと肩を下ろし、ラブシーンの余韻に浸るように瞳を閉じて口元まで湯につかる。
ああ、いいっ。胸がキュンキュンする。
にやにやしながらブクブクと口から泡を吐き出した。
ざぱぁと湯から顔を出し、手を伸ばす。
氷たっぷりの冷たいドリンクをごくごくと喉へと流し込む。
「はぁー生き返るぅぅっ~」
火照った身体に冷たいドリンクが超しみる。倖せ。
こんな穏やかで尊い幸福感はどれくらいぶりだろう。
記憶思い出して、本当に良かったっ!!!
心の底からファウスティーナはそう思った。
もう二度と絶対に記憶を失ったりはしない。
着地には超絶気をつけよう!!そう固く心に誓う。
「それにしても、あの国どうなってんだろー?
仕事も外交も私ってめっちゃ頑張ってたし今頃大混乱してたりして」
あはは、と軽く笑う。
(※ファウスティーナさん、大正解)
湯をくるくると掻き回し、広がる香りを楽しみながら両手で薔薇の花弁を掬った。
「んーいい香り。
揃いも揃ってプライドばっかり高い無能な上に、横柄で横暴で部下を労わることもしらない人間ばっかだからなー。そのうち回らなくなるんじゃない?
他国から愛想つかされたり、色々やらかしてそー。国の危機だったりして?
ま、流石にそれはないかぁ。仮にも一国のトップだもんね。今まで私に頼りっぱなしだったとはいえ、流石に居なくなれば自分達で何とかするしかないもんね」
んー、と伸びをして湯から上がる。
(※ファウスティーナさん、再びの大正解。
但し、前半部分のみ。
再び面倒事を押し付けるべく現在ファウスティーナさんを大捜索中)
「さぁて、アイスでも食べよっかな」
応援ありがとうございます!
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