「≪最悪の迷宮≫? いいえ、≪至高の楽園≫です!!」~元皇女は引き籠り生活を満喫しつつ、無自覚ざまぁもしていたようです。~

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三十二

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まぁ、ハイ、サヨナラーってわけにもいかないよね……。

迷宮ではまともな食事も出来なかったのではないかと、温かな食事やファウスティーナの好物を用意してくれたセドリックの気遣いと料理人たちの頑張りに感謝しつつ舌鼓を打つ。

もぐもぐ、うまぁー。

食事はいつだってしっかりばっちり食べたいモノを食べてたけど、手間暇かかった最上級の食事は流石に美味しい。
マナーが少し気がかりだったが、意外に一度身に着けた作法というのは忘れてないものだ。良かった。

次々と運ばれる料理を味わいながら、しょーもない話に耳を傾ける。

しょーもないのは主にクズ共の話ね。

聞けば聞く程、「救いようのねぇ奴らだな」って感想しか抱けない。
身内が混じってるのが辛い。
やっぱ献血と輸血しまくってこの血を入れ替えるべきかしら……。

正直、「仕事も外交も私ってめっちゃ頑張ってたし今頃大混乱してたりして」と思って笑ってはいた。

でも同時に「仮にも一国のトップだもんね。今まで私に頼りっぱなしだったとはいえ、流石に居なくなれば自分達で何とかするしかないもんね」とも思っていたけど……。


……全然っ、大丈夫じゃなかったらしい!


仕事は溜まりまくるは、重要な契約が書類の放置で無効になるは、外交は失態を繰り返しまくり、結界は維持出来ず侵入者や流行り病が国を襲うはで大混乱。

そんな大混乱の中でもクズ共は状況を悪化させまくり、挙句の果てには私さえ戻れば全て何とかなると思ってたらしい。

死ねよ。
思わずファウスティーナは心の中で毒づいた。

国の惨状に「僕にもっと力があれば……」とセドリックは悔やんでたけど、幼かったんだから仕方ない。むしろ、中途半端に口出ししてたら奴らに排除されてたことを思えば水面下で努力を重ね続けた彼は正しい。

しかも、だ。
クズ共は神子の所業を露わにして捕らえた後も非道を重ね続けたらしい。

神子の処刑が公表された後も王都周辺のみを覆った結界と絶えない貴族の衰弱や不審死に疑問を抱き調べていると、貴賓牢の一つにて神子を発見。
部屋には幾人かの髪や血のしみ込んだハンカチなど。しかもそれは謎の衰弱を遂げている被害者たちの髪色などと酷似していた。

貴賓牢とはいえ牢に居る神子にそれらを手に入れる術はない。
手引きした者がいるのは確実だし、何より皇帝が処刑を公表した神子が生きているのだ。
真っ黒黒。

そんな折のファウスティーナの帰還。

ついにセドリックたちは動いた、というわけだったらしい。



口の中のモノを飲み込んで、大きく溜息。

マジ、死ねよ。
奴らに関してはもう、本当にそれしか感想が出てこない

あとセドリックたちに関しては「頑張ったね……っ」と感動と共に…………無茶苦茶後ろめたいっ!!
ごめんねっ!
おねーちゃん国放り出してめっちゃヒッキー生活エンジョイしてて本当にごめんねっ!!

いや、悪いのは全部あのクズ共なんだけどさ……、でも私にも一応罪悪感だとか良心もほんのちょびっとはあるんですよっ……。

だからといって国に留まれと言われたら別問題だけど!!


そして、フォークとナイフを置いて、真剣な瞳でファウスティーナを見据えたセドリックが一拍の後、口を開いた。

「ファウスティーナ様、これからは……この国に、イグナスに留まって下さるんですよね?」


予想通りのその言葉に、

注がれる幾つもの少しの不安と、期待やら希望やらを籠めて輝く瞳にファウスティーナはひくり、と口元を引き攣られせた。




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