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黄金の瞳を持つ者 1
(ナディア視点)
時を刻む音がやたらと耳につく。普段は気にも留めない秒針の音が、はっきりと聞こえる程の重苦しい沈黙だった。
誰も、何も喋らなかった。
肩を震わせ、大きな瞳から涙を零し続けるベアトリクス様が痛ましい。
その横で彼女の肩を抱くガーネスト様とそっと手を握るダイア様。落ち着かなげに騎士様の守る扉の前を行ったり来たりするメラルドくんに、祈るようにあるいはなにかに想いを廻らせて俯くみんな。
襲撃者がその場で捕らえられたとはいえ、共犯や手引きした者がいないとも限らないし安全確認も必要になってくる。そのため貴族たちは事実確認の間、一時与えられた部屋での待機となった。
事件がアンジェス絡みということもあってか、私やリリー様のいる部屋にはたくさんの騎士様が護衛について下さっている。
親しい友人たちと同じ空間にして下さったのも配慮だろう。
本来なら王族であるダイア様やアレキサンドラ様は個別に護衛がつくはずだったそうなのだけど、ベアトリクス様やリリー様が心配だったみたいで同じ部屋に居る。
脳裏に浮かぶのは先程までの夜会でのこと。
最初はなにが起こったのかわからなかった。
悲鳴の先へ視線を向ければ、血を流す先生の姿があった。
そして…………襲撃者の男は驚くべきことを口にした。
先生が 【アンジェスの皇子】 だと。
どくり、と心臓が大きく音を立てた。
ドクドクと煩い心臓の音に、狂気を宿した男の言葉が被る。
ぽっかりと開いた人の輪が、まるでなにかのステージのようだった。
息を呑んで見つめることしか出来ない私たち。
『……黙れっ……今すぐその薄汚い口を閉じろっ!!』
『貴様になにがわかるっっ……』
そう叫んだ先生の姿は、いつもの優しくて穏やかな先生じゃなかった。
口調も表情も全く違う姿。だけど、違和感を感じるのでなく“らしい”とすら思ってしまう姿だった。
爛々と光る黄金の瞳は萎縮する程の迫力があり、だけどそれ以上に美しくて。
壮絶な美貌は、触れることが赦されないような凄みを帯びて。
ただ 魅入った。
_______あれは 『 誰 』?
時を刻む音がやたらと耳につく。普段は気にも留めない秒針の音が、はっきりと聞こえる程の重苦しい沈黙だった。
誰も、何も喋らなかった。
肩を震わせ、大きな瞳から涙を零し続けるベアトリクス様が痛ましい。
その横で彼女の肩を抱くガーネスト様とそっと手を握るダイア様。落ち着かなげに騎士様の守る扉の前を行ったり来たりするメラルドくんに、祈るようにあるいはなにかに想いを廻らせて俯くみんな。
襲撃者がその場で捕らえられたとはいえ、共犯や手引きした者がいないとも限らないし安全確認も必要になってくる。そのため貴族たちは事実確認の間、一時与えられた部屋での待機となった。
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親しい友人たちと同じ空間にして下さったのも配慮だろう。
本来なら王族であるダイア様やアレキサンドラ様は個別に護衛がつくはずだったそうなのだけど、ベアトリクス様やリリー様が心配だったみたいで同じ部屋に居る。
脳裏に浮かぶのは先程までの夜会でのこと。
最初はなにが起こったのかわからなかった。
悲鳴の先へ視線を向ければ、血を流す先生の姿があった。
そして…………襲撃者の男は驚くべきことを口にした。
先生が 【アンジェスの皇子】 だと。
どくり、と心臓が大きく音を立てた。
ドクドクと煩い心臓の音に、狂気を宿した男の言葉が被る。
ぽっかりと開いた人の輪が、まるでなにかのステージのようだった。
息を呑んで見つめることしか出来ない私たち。
『……黙れっ……今すぐその薄汚い口を閉じろっ!!』
『貴様になにがわかるっっ……』
そう叫んだ先生の姿は、いつもの優しくて穏やかな先生じゃなかった。
口調も表情も全く違う姿。だけど、違和感を感じるのでなく“らしい”とすら思ってしまう姿だった。
爛々と光る黄金の瞳は萎縮する程の迫力があり、だけどそれ以上に美しくて。
壮絶な美貌は、触れることが赦されないような凄みを帯びて。
ただ 魅入った。
_______あれは 『 誰 』?
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