ブラック・スワン  ~『無能』な兄は、優美な黒鳥の皮を被る~ 

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法律違反で捕まったりしないだろうか? 3

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「我が君が憂いなく過ごせる様、全ての敵を屠りましょう。
 あの日の言葉どおり、永久とわに忠義を誓います」

 研ぎ澄まされた刃のような黒曜石の瞳を向けてくれるのは、お馴染我が家の忍者・ハンゾーさんです。

 つか、吃驚した。
 いつものことですがどっから入ってきました?
 扉も窓も閉まってるんですけど。
 天井裏?我が家にそんな抜け道が?
 もうこれは全部『忍者だから』って納得するしかないな。だって不可思議。

「貴方様のご命令が私達の意思であり使命です」

 色々なことに吃驚しすぎて思考が斜め上にいってる俺の前で二人は恭しくこうべを下げた。


「何なりとご命令を」


 二人ともイケメンすぎるんですけどー!!!

 頼もしすぎる味方にはくりと喉が鳴り、歓喜に胸が震える中、俺は心の中で思いっきり叫んだ。

 何なの?!イケメンか?!
 知ってた!!

 あれか?乙女ゲームの世界の住人は全員“可愛い”か“格好いい”を習得してなきゃ駄目とかいう法律でもあるんですか?!

 俺、見かけは兎も角、中身は大分残念な子だけど大丈夫??

「ハンゾー、戻ってらしたのですね」

「ああ、丁度今戻った所だ。事情はよく分からんがリフ殿が何やら忠誠を誓っておられたようなので便乗した」

 二人は意外に仲がいい。
 性格は異なるが忠義に熱い者同士通じあうところがあるのだろうか。

「ところで」

 突如、ぎろりと殺気を孕んだ視線に思わず肩が跳ねた。

「我が君のそのお怪我は一体?」

 ひぃー!!そうだった。
 いや、違うんですよ?大袈裟な手当なだけで怪我はほんのちょこっとで…。

「何でもないよ?ただの掠り傷だから」

 そんな俺の言葉を素通りして説明を求めリフへ向く視線。
 あんな忠義を誓ってくれたのに俺の言葉は無視ですかっ?!

「少々トラブルがございまして。後で詳しくお話ししますね。怪我自体は幸い大したことはありませんのでその点は大丈夫ですよ」

「御身に怪我を負われること自体が問題だろう」

 ちょ、恐い!!リフさんのにこやかな笑顔もハンゾーさんのお怒りも恐いです。
 後でって何?!今ここで話そうよ。
 二人の会話とか恐いんですけどー!!!お願いだから義母上に報復とかしないでね?!


 とりあえず、
 別に傷痕が残ったって男だから気にしないよ。とか言ってる場合じゃありません。
 絶対、絶対。傷痕の一つも残さず直そうと心に誓った俺。

 傷痕以前に遺恨が残る……。

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