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「そろそろくノ一来ないかなー」(某メイドの独り言) 1
しおりを挟むたららたったた~!
手に持った布を両手でぴんと張る。
『ちょうこうせいのうえりまき~☆』
両手で思いっきり引っ張りつつ、脳内で某猫型ロボット風に言ってみる。(実際やったら変人の仲間入りだからあくまで脳内のみで)
力の限り引っ張っても裂けるどころか少しの軋みも見せない伸縮性に富んだ黒い布。
ネズミが嫌いな某ロボット風に紹介したとおり、超高性能な襟巻である。
何処が超高性能かというと、伸縮性もさることながら偏にその耐久性に尽きる。
何せ竜の鱗を粉末化したりして練り込んだ糸で織られた特別性。
その防御力たるや、金属製の鎧さえ遥かに凌ぐ。
それを持ってある一室へと向かう。
今日は確か和菓子が手に入ったからとベアトリクスがサスケをお茶に誘っていた筈だから。
因みに用があるのはサスケではなくハンゾーである。
それなのに何故サスケに会いに行ってるかって?
ハンゾー含め、影の連中は基本何処に潜んでいるかわからないからです。
見かけた影の誰かに言伝を頼むか、影の皆がよく鍛錬を行ってる鍛錬場へ出向いてやっぱり誰かに言伝を頼むのが手っ取り早い。
いや、一番手っ取り早いのは「誰かー!!」って呼び掛けることなんだけど。
そうすると大抵、何もないところからシュタって誰か現れてくれるから。
でも俺あれ嫌い。
気配もなく後ろに跪かれた時のビクッっと感。
何なの、俺が小心者なの?
いや、だってどっから……。
そして本当に誰も居なかった時の、一人で誰も居ない空間へ向けて呼び掛けてる虚しさ……。
故に俺は、足を運んでサスケに会いに行く。
「ハンゾー様ですか?」
口の中のお菓子をもぐもぐごっくん。
若干急いで咀嚼した後でこてんと首を傾げるサスケ君。
「ハンゾー様」
俺の背後に視線をやったサスケが呼び掛けた刹那。
「何用でございましょう」
俺のすぐ背後に跪くハンゾーさん。
………。
吃驚するのが嫌でわざわざサスケに会いにきたのに……!!
若干引き攣りそうになる口元を根性で抑えながら俺は振り返った。
眼力鋭い黒い瞳と漆黒の髪。今日も今日とて黒装束に身を包んだ全力忍者なハンゾーさんが跪いた体勢のまま俺を見上げていた。
「これをハンゾーにと思って」
差し出した黒い布を捧げ持つように両手で受け取るハンゾー。
「我が君から俺にっ!?」
感動を滲ませ布を凝視した後、「有り難き倖せ」と首を垂れる姿は相変わらず何処の時代劇だと言わんばかりで。ハンゾーたちこそ転生者じゃないのかっていう疑問がいつも付き纏う。
いや、影の中にソラ以外に転生者は居ないっぽいんだけどさ……。
納得いかぬ……。
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