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己の行動に一切の悔いはない 3

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「初めまして、本日より着任させて頂くカイザー・フォン・ルクセンブルクと申します。担当は音楽です。以後お見知りおきを」

 第一印象は肝心!と優雅に微笑みを浮かべて挨拶をする、も……。

『マ、マジで公爵来たっ?!どうなってんだよっ、一体!!』

『な、何でこんな人がこの学園にっ??』

『きゃーっ!!なにこの美形っ!!はっ、もしかして玉の輿狙えるっ??!』

 うわーい。大混乱。

 ガタガタと椅子を鳴らす人、真っ青になる人に、反対に真っ赤になってくらりと倒れ込む人。
 久々に心の声が抑える術もなくぐわんぐわん来ますね。

 まぁ、そらそうか。
 公爵家の、しかも代理とはいえ当主が教師とか普通に考えてないしな。お騒がせして申し訳ない。

 でも、専門教科の教師は個別に部屋割り当てられてるから普段は職員室じゃなくてそこに籠ってる予定なんで、気軽にスルーして下さい。

 適度に挨拶を交わした後、早速個室へGO!

 いや、だってずっとあの空間にいるとか耐えられない。
 めっちゃ気遣われてるしね。俺があのまま職員室に居座ったら他の先生たちだって気が抜けないだろうし。慣れてくれるまでは適度な距離感を保ちますよ。

 元学園の生徒ということもあり、迷いなく辿り着いた音楽室傍の個室へ入るなり俺はぐでーっとソファに身を預けた。
 勿論鍵を掛けることは忘れない。

 落ち着く。
 さして広くはない個室だが、人目が無く自分を偽らなくてすむことのなんと落ち着くことか。
 よし、計画通り此処を俺の巣としよう!

 今日は入学式もあるし、就任初日で職員室へ挨拶にも行かなきゃいけないから早めに家を出たけど、明日からはガーネストたちと登校出来るし。出勤の日は学園でも顔を見られる。

 今日は居ないがリフも俺の従者として学園の関係者として登録済みだ。

 助手として関係者を連れている教師もいるし、何より身の回りのことを自分で出来ない人間が多い。研究者気質の人間然り、身分の高い人間然り。
 お茶さえ自分で淹れられない貴族としては当然補助してくれる人間が必要で、申請すれば従者やメイドをつけることも可。

 学生は不可なのに模範となる教師としてそれでいいのか、と言いたくもあるけれど。

 俺は別にお茶も淹れられるし、何なら家事全般出来るけど申請出来るなら申請しない手はない。

 リフは有能だし、何かあった時にあの異能は心強いしな。
 空き時間にここで公爵ウチの仕事も進められるし。

 ……と、いうか。

 リフさんから
「私がカイザー様のお傍に居るのは当然でしょう?」とにこやかに宣言されましたしね。
 笑顔なのに圧が凄くて「モチロンデスヨー」と答えるしかないよね。

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