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第3話 幼稚園をつくりたいんです
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着いた先は、周りには木々ばかりで、ポツンと小さな三角屋根の家があるだけだった。
「ここですか?」
「そうだ。今日からここに住むといい」
「ありがとうございます。本当に助かります」
揺莉は親切にしてもらったのと、住む場所を提供してもらった安心感から、笑顔でエルサリオンにお礼を言う。
そんな笑顔の揺莉の隣には、揺莉の服の裾を掴んだまま、不安そうな顔をしながら、青い瞳でじっと家を見つめるアノーリオンがいた。
揺莉は去ろうと、体を反転させるエルサリオンを見て、焦って呼び止める。
「あ、あの、あともう1つお願いしたいことがあるのですが……」
「なんだ、言ってみろ」
揺莉は家の隣の辺りに歩いて行き、手で四角い形をかたどる。
「この辺りに、もう1つ大きめの四角い家を用意していただけないでしょうか…」
「この小さい家だけでは不満か?」
「いえ、そうではないんです。これからエルフ族のお子さんをみるにあたって、それ専用の家と、それから庭があるといいなと思いまして。そこでお子さん達と過ごしたいんです」
「ほう……。それは、君の元いた世界にあったものかな?」
「そうです。私のいた世界には幼稚園というものがありまして、小さいお子さんが通う所でして。せっかくなので、そういうものを目指そうかな、と。同じようにしたいんです」
揺莉の言葉に、エルサリオンの青い目がキラッと鋭く光るのを見た揺莉は、怖くなり一瞬たじろぐが、このエルフ族の中で唯一話を聞いてくれたエルサリオンに、ここで引いてしまっては、今後自分が生活するうえで不利になると思い、怖い気持ちをもちながらも、真っ直ぐにエルサリオンを見つめた。
エルサリオンはしばらく考え込んでおり、揺莉は握る手に汗が滲む。
「ふむ…まぁいいだろう。そのヨウチエンとやらを、つくるのもいいだろう。なんだ、とりあえず家と庭があればいいんだな」
「あっ、そうです、えっとイメージとしては…」
「良い。話さなくても分かる」
そう言うと、エルサリオンがすっと揺莉に近付き、揺莉の頭の上に手をかざす。
揺莉は視線だけ上げ、エルサリオンを見つめる。エルサリオンは、揺莉の頭の上と手をじっと見つめているだけで、揺莉自身も何も変化を感じなかったが、エルサリオンは程なくして手をどけた。
そして、何かを呟きながら空き地に手のひらをむける。
すると、青色の魔法陣のようなものが現れ、カッとあたり一瞬が眩しく光った。揺莉はあまりの眩しさに、顔を腕でガードし思わず目を瞑る。
少しして、顔の前からおそるおそる腕を下げると、揺莉の小さな家の隣に、白い3階建ての建物がそびえ立っていた。1階から2階までは、3部屋ずつあり、3階には広い一室も。
そして、建物の前には砂でできた、いわゆる園庭も。
「わ…あぁああ!すごい!!私がイメージしていたものの通りに!!」
「これで満足したか」
「はいっ…!もちろんです!本当にありがとうございます。無理を言って、申し訳ありませんでした…!魔法まで使わせてしまって、すみません!ありがとうございます!」
「また必要なことがあれば私に言うといい。さぁ、アノーリオン。もう暗くなる、帰るぞ」
ずっと揺莉にくっついていたアノーリオンは、エルサリオンに声をかけられると、揺莉の服の裾を掴んだまま、心配そうに揺莉の顔を見上げた。
「ほら、パパが呼んでるよ。行っておいで。また明日遊ぼう」
揺莉が笑顔でそう伝えると、アノーリオンは少し躊躇う様子を見せたが、コクンと頷くと待っているエルサリオンの側へ駆け寄っていった。
エルサリオンはアノーリオンが近くに来ると、アノーリオンの肩に手を置き、自分のそばへ引き寄せた。
「明日、明るくなったらアノーリオンをここに寄こそう。ただし、暗くなる前には帰してほしい」
「分かりました。暗くなる前にアノーリオンくんを送って行きますね」
「いや、ついてくる必要はない。アノーリオンを1人帰してくれればいい」
「えっ…1人で帰るってことですか…?お家がどこか分かりませんが、まだ幼いのに、1人で出歩くのは危なくないですか…?」
「この里には結界をはっている。基本、エルフ族以外は立ち入ることはない。それに、里内での危険なこと程度なら、ある程度アノーリオンも自分で対象できる」
「そう…ですか…わかりました…。あっ、あと、すみません、食べ物や飲み物などは…」
「この里の食材や飲料は、家の中に適宜入っている。自由に使うといい」
「あっ、わかりました、ありがとうございます!それでは、明日からどうぞよろしくお願いいたします。アノーリオンくん、またね、明日待ってるね」
揺莉は、アノーリオンに笑顔で手を振る。
アノーリオンはニコニコと笑いながら手を振り、先に歩いているエルサリオンの後を追いかけて行った。
「ふぅ~……。さて、まずは何か食べようかな」
1人になった揺莉は、小さな三角屋根の家の扉を開け中に入る。
中は、揺莉の世界とは違っており、テーブルと椅子があるだけだった。そして、そのテーブルの上には、未加工のよく分からない肉。そして、銀色のウォーターピッチャーらしきもの。
上の蓋を開けると、中には何か液体が入っていて匂いはせず、そばにあったカップに注ぎ出てきた透明の液体を飲むと、無味無臭だった。
「水…かな…?でも、この肉はほんとに、何の肉なの…?それに、ガスとか火もないのに、どうやってこれを食べろと…??」
揺莉は生肉を見つめながら、ため息をつく。
幸いなことに、お腹が劇的に減っているわけではなかったので、食べるのはやめて奥にあるベッドへと向かう。
エルフ族サイズなのか、揺莉が寝ると縦横随分とあまる、大きなベッドだった。
揺莉は片腕をおでこにあて、天井をじっと見ながら1人呟く。
「疲れた……。でも、良かった、なんとかここにいることができて…。何かやらなきゃって思って、思わず幼稚園やるって言っちゃったけど、私、幼稚園の先生なんて、やったことないんだよね…。あははっ、私ってば突拍子もないこと突然言っちゃったな…」
役に立つことができると思わせたくて、つい幼稚園を開くことにしてしまった揺莉は、明日からのことを考えて不安になる。
「幼稚園の建物を魔法でつくってもらっちゃったけど…よく考えたら、アノーリオンくんしか来ないじゃん。あんな広い建物で私と子ども1人どうするのよ…」
揺莉は、フフッと自重気味に笑ったあと、ふと思い出す。
自分の子どもが3人、楽しそうに幼稚園に通っていたことを。
「みんな元気かな……」
子ども3人を思い出して、揺莉は目がうるっとしてしまう。
「会いたいなぁ…子どもたちに……」
揺莉はベッドで静かに1人、涙を流した。
◇◇◇◇
ハッと目を開けると、目の先には天井が。小鳥の囀りが聞こえ、小さな窓からは、日の光が入ってきているのに気付く揺莉。
「あれっ、もう朝…!?」
揺莉は、慌ててベッドから起き上がる。
昨日、泣きながらいつの間にか眠ってしまっていたらしい。
「えっ、どうしよう、今何時??そもそも何時とか、あるのかな?あっ…アノーリオンくんは…!もう来ちゃってるかな!?」
揺莉は慌てて家の扉を開けて外を見ると、アノーリオンが家の前に積もっている木の葉の上にしゃがみ、持っている木の枝で葉っぱをツンツンとつついていた。
「アノーリオンくん!!ごめんなさい!待たせちゃってたよね、ごめんね、私今起きて…」
揺莉が声を上げると、アノーリオンは笑顔になり走ってこちらに近づいてきた。
「揺莉、おはよう」
ニコニコ笑って太もも辺りにギュッとくっついてくるアノーリオンに、人懐っこくて可愛いなぁと、気持ちがくすぐったくなる。
「おはよう、アノーリオンくん」
「揺莉、なんか食べた?」
「あっ、まだ食べてない。アノーリオンくんは?」
「食べたよ。揺莉、食べちゃいなよ。待ってるから」
「うん、そうだね」
揺莉はアノーリオンと会話しながら、ふとなんともいえない違和感を覚えた。
(…ん?なんだろ、なんか昨日と違うような……)
揺莉は、揺莉より先に家の中に入っていくアノーリオンをじっと見つめる。
青い瞳に、金色で少しカールした髪の毛。
(見た目は一緒だよね…なんだろう、喋ってるとなにか……)
「あっ、なんか、昨日より会話が上手くなってる気がする…??」
昨日会ったときよりも、今朝は随分と会話がスムーズに行えたように思えたのだ。
「なんだろう、あれ…同じ人物だよね…?」
思わずそう考えるほどに、変化が著しく感じた。
「ねーぇー、揺莉ー、早くご飯食べちゃいなよー」
アノーリオンが家の中から顔をヒョコっと出して、揺莉を呼ぶ。
「あ、ごめん」
揺莉は慌てて家の中に入ると、テーブルの上の肉について尋ねる。
「ねぇねぇ、これって、どうやって調理して食べるか知ってる?」
「うん、知ってるよ。焼くんだよ。ほら、こうやって」
アノーリオンは人差し指を出すと、青色の炎を出し肉を炙っていく。
「すごい!アノーリオンくん、もう魔法使えるんだねぇ!」
「みんな使えるよ。俺らくらいの歳の子は、みんなやってるよ。はい、できたよ」
アノーリオンに焼けた肉を手渡され、揺莉はゆっくりとかぶりつく。
中からジューシーな汁があふれ、とても美味しかった。
「う~ん!美味しい!」
味わって食べると共に、揺莉はふと疑問に思い始める。
「…アノーリオンくん、今日のお昼ご飯とか、何か持ってきてる…?」
「ううん、持ってきてないよ」
「だよね…」
揺莉は肉を持ったまま、途方に暮れる。
ここでの調理の仕方もさることながら、食料の調達方法も知らない。
(幼稚園やるって言いながら、何も考えてなかった…お昼ご飯どうしよう…)
揺莉が困っていると、家の外から声がした。
「ここですか?」
「そうだ。今日からここに住むといい」
「ありがとうございます。本当に助かります」
揺莉は親切にしてもらったのと、住む場所を提供してもらった安心感から、笑顔でエルサリオンにお礼を言う。
そんな笑顔の揺莉の隣には、揺莉の服の裾を掴んだまま、不安そうな顔をしながら、青い瞳でじっと家を見つめるアノーリオンがいた。
揺莉は去ろうと、体を反転させるエルサリオンを見て、焦って呼び止める。
「あ、あの、あともう1つお願いしたいことがあるのですが……」
「なんだ、言ってみろ」
揺莉は家の隣の辺りに歩いて行き、手で四角い形をかたどる。
「この辺りに、もう1つ大きめの四角い家を用意していただけないでしょうか…」
「この小さい家だけでは不満か?」
「いえ、そうではないんです。これからエルフ族のお子さんをみるにあたって、それ専用の家と、それから庭があるといいなと思いまして。そこでお子さん達と過ごしたいんです」
「ほう……。それは、君の元いた世界にあったものかな?」
「そうです。私のいた世界には幼稚園というものがありまして、小さいお子さんが通う所でして。せっかくなので、そういうものを目指そうかな、と。同じようにしたいんです」
揺莉の言葉に、エルサリオンの青い目がキラッと鋭く光るのを見た揺莉は、怖くなり一瞬たじろぐが、このエルフ族の中で唯一話を聞いてくれたエルサリオンに、ここで引いてしまっては、今後自分が生活するうえで不利になると思い、怖い気持ちをもちながらも、真っ直ぐにエルサリオンを見つめた。
エルサリオンはしばらく考え込んでおり、揺莉は握る手に汗が滲む。
「ふむ…まぁいいだろう。そのヨウチエンとやらを、つくるのもいいだろう。なんだ、とりあえず家と庭があればいいんだな」
「あっ、そうです、えっとイメージとしては…」
「良い。話さなくても分かる」
そう言うと、エルサリオンがすっと揺莉に近付き、揺莉の頭の上に手をかざす。
揺莉は視線だけ上げ、エルサリオンを見つめる。エルサリオンは、揺莉の頭の上と手をじっと見つめているだけで、揺莉自身も何も変化を感じなかったが、エルサリオンは程なくして手をどけた。
そして、何かを呟きながら空き地に手のひらをむける。
すると、青色の魔法陣のようなものが現れ、カッとあたり一瞬が眩しく光った。揺莉はあまりの眩しさに、顔を腕でガードし思わず目を瞑る。
少しして、顔の前からおそるおそる腕を下げると、揺莉の小さな家の隣に、白い3階建ての建物がそびえ立っていた。1階から2階までは、3部屋ずつあり、3階には広い一室も。
そして、建物の前には砂でできた、いわゆる園庭も。
「わ…あぁああ!すごい!!私がイメージしていたものの通りに!!」
「これで満足したか」
「はいっ…!もちろんです!本当にありがとうございます。無理を言って、申し訳ありませんでした…!魔法まで使わせてしまって、すみません!ありがとうございます!」
「また必要なことがあれば私に言うといい。さぁ、アノーリオン。もう暗くなる、帰るぞ」
ずっと揺莉にくっついていたアノーリオンは、エルサリオンに声をかけられると、揺莉の服の裾を掴んだまま、心配そうに揺莉の顔を見上げた。
「ほら、パパが呼んでるよ。行っておいで。また明日遊ぼう」
揺莉が笑顔でそう伝えると、アノーリオンは少し躊躇う様子を見せたが、コクンと頷くと待っているエルサリオンの側へ駆け寄っていった。
エルサリオンはアノーリオンが近くに来ると、アノーリオンの肩に手を置き、自分のそばへ引き寄せた。
「明日、明るくなったらアノーリオンをここに寄こそう。ただし、暗くなる前には帰してほしい」
「分かりました。暗くなる前にアノーリオンくんを送って行きますね」
「いや、ついてくる必要はない。アノーリオンを1人帰してくれればいい」
「えっ…1人で帰るってことですか…?お家がどこか分かりませんが、まだ幼いのに、1人で出歩くのは危なくないですか…?」
「この里には結界をはっている。基本、エルフ族以外は立ち入ることはない。それに、里内での危険なこと程度なら、ある程度アノーリオンも自分で対象できる」
「そう…ですか…わかりました…。あっ、あと、すみません、食べ物や飲み物などは…」
「この里の食材や飲料は、家の中に適宜入っている。自由に使うといい」
「あっ、わかりました、ありがとうございます!それでは、明日からどうぞよろしくお願いいたします。アノーリオンくん、またね、明日待ってるね」
揺莉は、アノーリオンに笑顔で手を振る。
アノーリオンはニコニコと笑いながら手を振り、先に歩いているエルサリオンの後を追いかけて行った。
「ふぅ~……。さて、まずは何か食べようかな」
1人になった揺莉は、小さな三角屋根の家の扉を開け中に入る。
中は、揺莉の世界とは違っており、テーブルと椅子があるだけだった。そして、そのテーブルの上には、未加工のよく分からない肉。そして、銀色のウォーターピッチャーらしきもの。
上の蓋を開けると、中には何か液体が入っていて匂いはせず、そばにあったカップに注ぎ出てきた透明の液体を飲むと、無味無臭だった。
「水…かな…?でも、この肉はほんとに、何の肉なの…?それに、ガスとか火もないのに、どうやってこれを食べろと…??」
揺莉は生肉を見つめながら、ため息をつく。
幸いなことに、お腹が劇的に減っているわけではなかったので、食べるのはやめて奥にあるベッドへと向かう。
エルフ族サイズなのか、揺莉が寝ると縦横随分とあまる、大きなベッドだった。
揺莉は片腕をおでこにあて、天井をじっと見ながら1人呟く。
「疲れた……。でも、良かった、なんとかここにいることができて…。何かやらなきゃって思って、思わず幼稚園やるって言っちゃったけど、私、幼稚園の先生なんて、やったことないんだよね…。あははっ、私ってば突拍子もないこと突然言っちゃったな…」
役に立つことができると思わせたくて、つい幼稚園を開くことにしてしまった揺莉は、明日からのことを考えて不安になる。
「幼稚園の建物を魔法でつくってもらっちゃったけど…よく考えたら、アノーリオンくんしか来ないじゃん。あんな広い建物で私と子ども1人どうするのよ…」
揺莉は、フフッと自重気味に笑ったあと、ふと思い出す。
自分の子どもが3人、楽しそうに幼稚園に通っていたことを。
「みんな元気かな……」
子ども3人を思い出して、揺莉は目がうるっとしてしまう。
「会いたいなぁ…子どもたちに……」
揺莉はベッドで静かに1人、涙を流した。
◇◇◇◇
ハッと目を開けると、目の先には天井が。小鳥の囀りが聞こえ、小さな窓からは、日の光が入ってきているのに気付く揺莉。
「あれっ、もう朝…!?」
揺莉は、慌ててベッドから起き上がる。
昨日、泣きながらいつの間にか眠ってしまっていたらしい。
「えっ、どうしよう、今何時??そもそも何時とか、あるのかな?あっ…アノーリオンくんは…!もう来ちゃってるかな!?」
揺莉は慌てて家の扉を開けて外を見ると、アノーリオンが家の前に積もっている木の葉の上にしゃがみ、持っている木の枝で葉っぱをツンツンとつついていた。
「アノーリオンくん!!ごめんなさい!待たせちゃってたよね、ごめんね、私今起きて…」
揺莉が声を上げると、アノーリオンは笑顔になり走ってこちらに近づいてきた。
「揺莉、おはよう」
ニコニコ笑って太もも辺りにギュッとくっついてくるアノーリオンに、人懐っこくて可愛いなぁと、気持ちがくすぐったくなる。
「おはよう、アノーリオンくん」
「揺莉、なんか食べた?」
「あっ、まだ食べてない。アノーリオンくんは?」
「食べたよ。揺莉、食べちゃいなよ。待ってるから」
「うん、そうだね」
揺莉はアノーリオンと会話しながら、ふとなんともいえない違和感を覚えた。
(…ん?なんだろ、なんか昨日と違うような……)
揺莉は、揺莉より先に家の中に入っていくアノーリオンをじっと見つめる。
青い瞳に、金色で少しカールした髪の毛。
(見た目は一緒だよね…なんだろう、喋ってるとなにか……)
「あっ、なんか、昨日より会話が上手くなってる気がする…??」
昨日会ったときよりも、今朝は随分と会話がスムーズに行えたように思えたのだ。
「なんだろう、あれ…同じ人物だよね…?」
思わずそう考えるほどに、変化が著しく感じた。
「ねーぇー、揺莉ー、早くご飯食べちゃいなよー」
アノーリオンが家の中から顔をヒョコっと出して、揺莉を呼ぶ。
「あ、ごめん」
揺莉は慌てて家の中に入ると、テーブルの上の肉について尋ねる。
「ねぇねぇ、これって、どうやって調理して食べるか知ってる?」
「うん、知ってるよ。焼くんだよ。ほら、こうやって」
アノーリオンは人差し指を出すと、青色の炎を出し肉を炙っていく。
「すごい!アノーリオンくん、もう魔法使えるんだねぇ!」
「みんな使えるよ。俺らくらいの歳の子は、みんなやってるよ。はい、できたよ」
アノーリオンに焼けた肉を手渡され、揺莉はゆっくりとかぶりつく。
中からジューシーな汁があふれ、とても美味しかった。
「う~ん!美味しい!」
味わって食べると共に、揺莉はふと疑問に思い始める。
「…アノーリオンくん、今日のお昼ご飯とか、何か持ってきてる…?」
「ううん、持ってきてないよ」
「だよね…」
揺莉は肉を持ったまま、途方に暮れる。
ここでの調理の仕方もさることながら、食料の調達方法も知らない。
(幼稚園やるって言いながら、何も考えてなかった…お昼ご飯どうしよう…)
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