転生皇女は冷酷皇帝陛下に溺愛されるが夢は冒険者です!

akechi

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11章 アレクシアと波乱のお披露目会

いよいよ始まるお披露目会③〜残された者達は?〜

「んー⋯アレクシアよ!それはわしの大福じゃぞ!」

そう叫びながら飛び起きたのは、絶世の金髪美少年になった初代竜族族長のミルキルズだ。少しの沈黙の後、ボサボサに逆立った髪のままで起き上がるとはだけた着物を直してフラフラとアレクシアの部屋へ向かって行く。

「ん?アレクシアの気配はするが⋯何か変じゃぞ!!」

部屋に近付いていくとすぐに違和感を覚えたミルキルズは勢い良くドアを開けた。ドアは無惨にも粉々になったがそんなのは気にしないミルキルズは、ソファーに座っているアレクシアを発見した。だが何故かミルキルズを見る事なく真剣に本を読んでいた。

「アレクシアよ、具合はどうじゃ?」

「⋯⋯」

ミルキルズの問いに答えずに、本を真剣に読んでいるアレクシア。

「何の本を真剣に読んでるんじゃ?⋯⋯“淑女の心得”⋯⋯お主は何者じゃ!!アレクシアがこんな本を真剣に読むわけがないわい!!」

「⋯⋯馬鹿ちん!」

「何じゃと!?反抗期かのう!」

「馬鹿ちん!馬鹿ちん!馬鹿ちん!」

壊れたおもちゃのように“馬鹿ちん”を連呼するアレクシアを見て首を傾げるミルキルズ。

「気配はアレクシアなんじゃが⋯風邪を引いてるからからかのう~?アレクシアよ、生姜湯を持ってこようか?」

「馬鹿ちん!」

「何でじゃ!」

兎に角“馬鹿ちん”しか言わないアレクシアに、ミルキルズもどうして良いか分からずに頭を抱えていた。するとそこへロインの授業を終えた爺達が戻ってきた。彼等の目の下には大きな隈が出来ていてフラフラの状態であった。

「アレクシア~!具体は良くなったか~!」

エン爺が本を読んでいるアレクシアに声をかけた。

「馬鹿ちん!」

「ああ!?⋯⋯おい、アレクシア?」

エン爺は何かを感じたのかアレクシアの肩に触れた。すると微かにアレクシア以外の気配が混ざってることに気付いた。

「この気配は⋯夜叉だな!これは夜叉が創り出した偽物だ!」

エン爺がそう言うと、徐にアレクシアへ手を翳すと何やら唱えた。するとアレクシアだったものがいきなり弾けた。これには他の爺達も驚いて固まってしまった。

「偽物!?じゃあアレクシアはどこに行ったんじゃ!」

初代魔国国王陛下であるデイルズの顔は青ざめていく。魔国の大賢者であるポーポトスはと言うと何やら考えていた。

『おい!あいつの気配がいきなり消えたぞ!』

『赤子は無事か!?』

そこへ異変を察知して小鳥姿のウロボロスと、子猫姿のおはぎがやって来た。彼等は女官のハナに捕まりそうだったのでまたしても逃げていた。特にウロボロスはハナが苦手で一日中逃げ回る日々が続いていた。

「夜叉の仕業じゃが、彼奴が関わっていないわけがない!」

ポーポトスが不出来な弟子アレクシアの気配を探るが、完璧に消している為か見つからない。

「くそ!あいつ逃げ出したな!」

エン爺は悔しそうにしながらも心配なのかアレクシアの気配を探っていた。他の爺達も必死に探している中、いきなりアレクシアの気配が消えた事で父親でありアウラード大帝国皇帝でもあるルシアードと側近ロイン、そして母方の祖父であるローランドが急いでやって来た。大騒ぎしそうな魔国国王陛下デズモンドは側近のランゴンザレスと幸い魔国に戻り仕事をしていた。

「む!アレクシアはどこに行った!!」

「おいおい!俺達を睨むなよ!こっちも探してるんだ!」

ルシアードに睨まれたので竜族族長のゼストが反論する。

「皇女は元気になったみたいですね?残りの数日は個別に授業を受けて頂きましょう」

底知れぬ恐ろしさが滲み出ている笑みを浮かべたロインに、ここにいる皆が震え上がる。

「おいおい!もしかしたら事件に巻き込まれてるかも知れないだろ!」

ローランドがアレクシアを見つける事が優先だと捜索に動き出そうとした。

『子犬達の気配を探るか!子犬のいる所にあいつもいるだろう!!』

ウロボロスの提案で白玉達の気配を探る爺達だが、その前に気になる気配を感知した。

「この気配はライアードとライガじゃないか!?」

「ああ、久しいのうー!」

デイルズとミルキルズが嬉しそうに騒ぎ出した。

「む。また増えるのか?」

「⋯⋯ええ。嫌な予感がします」

頭を抱えてしまったルシアードと同じく胃を摩るロインであった。




「あ。偽アレクシアが破壊されたぞ~!」

「嫌な言い方しましゅね!あんな馬鹿ちんしか言わないのはすぐにバレましゅよ!爺達を馬鹿にしすぎでしゅ!」

ギルドに移動中、夜叉が悪びれる事なく報告する。

「いやお前って馬鹿ちんしか言わないじゃん?」

「このやろー!」

怒りに任せて夜叉に飛びかかろうとするアレクシアを、再会したばかりのライアードとライガが必死に宥めるのだった。











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