転生皇女は冷酷皇帝陛下に溺愛されるが夢は冒険者です!

akechi

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10章 アレクシアと愉快な仲間2

アレクシア、久しぶりに狩りへ行く。②

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「アレクシア様、どうなされたんですか?」

ロインは何故か自分の足にしがみついて動かないアレクシアに困惑していた。

アウラード大帝国の重鎮である“四騎士”と呼ばれる貴族、アレクシアの母方の祖父であるローランド・キネガー公爵、側妃バレリーの父親であるハロルド・モール侯爵、ルビー側妃の父親であるコウリン・スライダー侯爵、そしてラルク・サイドラ辺境伯との話し合いが始まっても、部屋の隅にポツンと座り、ひたすらお手玉で遊んでいたアレクシアだったが、いきなり立ち上がり、いつもの奇声“ウオーーでしゅ!”と言いながらロインにしがみついたのだ。

この状況にアレクシアの父親でありこのアウラード大帝国の皇帝であるルシアードをはじめとして、アレクシアの婚約者であり魔国国王でもあるデズモンド、そして前世アリアナ時代の育ての親であり竜族族長のゼストが殺意を隠さずにロインを睨みつけていた。

更に爺や婆も不思議そうにアレクシアを見守っていたが、気になったウロボロスがアレクシアの頭に乗って突き始めた。

『おい!お前は一体何やってるんだ?』

「ロイン伯父上にお願いをしてましゅ」

「お願いですか?これが?」

アレクシアの発言に苦笑いするロイン。

「む。願いだったら俺が聞いてやるからこっちに来なさい」

ルシアードがアレクシアを抱っこしようとしたが、どんなに引き離そうとしてもびくともしない。それを見ていたロウジもアレクシアを引き剥がそうとしたがそれでもびくともしないのでさすがに皆が驚いていた。

「シアは数時間でもいいから狩りに行きたいでしゅ!!今までハードスケジュールでちたから自由がほちい!!ウオーー!!」

「狩りって⋯あなたは皇女なのですよ?それに今は礼儀作法や婚約式の準備もあるんですから⋯」

「明日から頑張りましゅから!今から夕方までの少しだけでしゅ!!それが駄目ならずっとくっ付いたままでしゅよ!」

「どんな脅しですか。⋯⋯分かりました。今日だけですよ?明日からは覚悟してくださいね」

「やったーー!!」

ロインの忠告をもう聞いちゃいないアレクシアは嬉しさのあまり五匹の子犬従魔達と小躍りしていた。だが、ここで始まるのが誰が一緒に行くかの争いだった。

「む。俺は保護者だ。一緒に⋯」

「駄目です。陛下は会議に絶対必要な方です。それに今後アレクシア様と過ごしたいなら仕事を片付けて下さい」

「⋯⋯」

ロインに笑顔で却下され、あえなく撃沈するルシアード。

「俺は婚約者だ。一緒に⋯」

「駄目よ!婚約式の話し合いにはあなたがいないと!今後アレクシアといたいならちゃんと参加して!」

ランゴンザレスに却下され、あえなく撃沈するデズモンド。

「俺が⋯」

「駄目です。あなたはお披露目会の話し合いに絶対必要な方です。今後アレクシア様と過ごしたいなら協力をして下さい」

ロインにこれまた笑顔で却下され、あえなく撃沈するゼスト。

悲しそうな最強トリオ、そしてロイン、呆れる四騎士、ランゴンザレスは大事な会議の続きを始めたのだった。




悲しそうな最強トリオと打って変わって、ご機嫌なアレクシアは爺や婆、狩りと聞いてテンションMAXの子犬従魔達やウロボロス、そしてロウジを連れて森へと向かうが、森の入り口に着いた時にアレクシアがとんでもない事を言い出した。

「ふふふ⋯シアは良い事を考えまちた!!」

「何よ、嫌な予感しかしないわ!」

エルフの女王であるエルメニアは怪訝な顔をする。

「こんな森じゃシアは退屈でしゅ!なので地獄森へ行きましゅ!!」

アレクシアの爆弾発言に皆が驚くと思ったが、さすがアレクシアの仲間と言っていいくらいの反応だった。

「おー!良いのう!わしも暴れるぞ!」

初代魔国国王陛下であるデイルズは不敵に笑う。魔国の大賢者ポーポトスは新しい魔法を試そうかのう~と嬉しそうに杖を確認していた。

「わしも久しぶりに狩りを楽しめるぞい!」

竜族初代族長であるミルキルズもウキウキしていた。その横にいるアランカルトもちょっと嬉しそうだった。エルフであるエルメニアとナナーサは嬉しくて興奮状態の神獣ガイアを必死に宥めていた。

『狩りだーー!!イエーーイ!!』白玉はお尻をフリフリして駆け回っていた。

『新鮮な肉ーー』黒蜜が涎を垂らして駆け回る。

『『『かかってこーーい!!!』』』すでにやる気満々のみたらし&きなこ&あんこ。

そんな五匹を見て笑っているウロボロスも楽しみなのか尻尾を振っていた。

「地獄森か!俺も久々だな!」

ロウジも嬉しそうだ。

「地獄森の帰り道に竜の里に寄りましゅから、ロウジしゃんはロウ爺やロウリヤしゃんに会って下しゃいな!孫のロウもいるんでしゅから!」

「⋯⋯そうだな。かなり心配をかけたしな⋯孫にも会いたい!」

「まあ、ロウ爺に半殺しにされるのは覚悟して下しゃいよ!」

「ウッ⋯ああ」

ロウジが頭を抱えているのを無視して、アレクシアは地獄森へと行く準備を始めた。地獄森とは竜の里の近くにある森で、SS級の魔物が普通に生息している地獄のような森なのだ。SS級とは一頭でも世界災害レベルでS級冒険者パーティや国家が協力して多大の被害を出しながらもやっと倒せるかぐらいの超レアな存在だ。

「ミル爺!早く転移魔法お願いちましゅ!」

「あいよ!」

ミル爺の転移魔法で皆が地獄森へと向かった。

地獄森の魔物達は自分が一番強者だと思っていたが、今日この日、その考えが間違いだったと思い知らされる事になるのだった。











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