131 / 162
10章 アレクシアと愉快な仲間2
アレクシア、久しぶりの狩りへ行く。④
しおりを挟む
「アレクシアはもう何か狩ったのかい?」
ニコニコしながら可愛いひ孫に話しかけるのは初代竜族族長であるミルキルズだ。
「ふ⋯ふん!!シアは化け物級の魔物を狩りまちた!優勝はシアのものでしゅ!!」
威勢よく宣言したアレクシアだが、それが全部嘘だと知ってるウロボロスは呆れていた。
「おお!わしも負けてはおれんぞ!バジリスクなんて小物と遊んでおっては負けてしまうわい!」
「⋯⋯」
『やる気にさせてどうするんだ⋯プッ』
ウロボロスに笑われたアレクシアは、ミルキルズに向かい“負けましぇん!!このボケ!”と暴言を吐きまくり先に進み出すのだった。
ミルキルズと別れたアレクシアは焦っていた。
「バジリスクを小物でしゅと!?あの爺は次元が違いましゅ!」
『奥深くに行けばもっと大物がいるんじゃないか?』
「そうでしゅね!打倒!爺&婆でしゅ!」
やる気満々のアレクシアが浮遊魔法で先に進んでいると、今度は紫色の髪を靡かせた美しい青年が立ってるのが見えてきた。
「ん?あれは見た目詐欺代表取締役のポポ爺でしゅ!」
アレクシアの発言にピイピイ言いながら爆笑する小鳥ウロボロス。また草むらに隠れて様子を見る事にしたアレクシアは、魔国の大賢者であり師匠でもあるポーポトスの行動に注視する。
「おお、これはマンティコアの変異種か!漆黒のマンティコアとは見たことがないわい!」
ポーポトスの目の前にいるのは不気味なくらい静かなマンティコアだった。マンティコアは人の顔を待ち、さそりの尾を持つ獰猛な魔物だ。普通のマンティコアでもS級なのに、今回のマンティコアは全身が黒く、翼まで生えている。そして更に恐ろしいのは⋯
【この森に人族がいるとは、早く立ち去れ】
そう、話せるのだ。ポーポトスを見下ろしていた漆黒のマンティコアは、相手にもならないと森の奥に戻ろうとしていた。
「わしは魔族じゃ。少しは遊べるかもしれんぞ?」
【魔族?あの後ろでこちらを見ている赤子はお前の子か?】
漆黒のマンティコアの視線がアレクシアを捉えた。ポーポトスも気付いていたのか、振り返って焦っているアレクシアを見た。
「お前と言う奴は、また何か企んでいるのか!?」
「まだ考えていましぇん!って言うかそこの黒いおっさん!誰が赤子でしゅか!!」
アレクシアの発言に呆れるポーポトスだが、巨大な漆黒のマンティコアは自分の足元でブーブー文句を言う赤子をジッと見ていた。
【黒いおっさんとはわしのことかい?】
「そうでしゅよ!こっちは紫のじーさんでしゅから⋯⋯いで!」
アレクシアは頭を摩りながら拳骨を落としたポーポトスに向かい猛抗議を始めた。
「ポポ爺!シアがこれ以上馬鹿ちんになったらどうするんでしゅか!!」
「おお、お馬鹿という自覚はあるんじゃな。少し安心したわい」
「ぐぬぬ⋯ああ言えばこう言うじーさんでしゅ!黒いおっさん!この爺をボコボコにして下しゃいな!」
「何じゃと!師匠に向かって何たる態度じゃ!」
自分を無視して言い合うポーポトスとアレクシアを見て何とも言えない気分になる漆黒のマンティコア。
【ポポ爺とやら、相手はまだ赤子じゃ。よしよし、ここは危ない場所じゃ。こっちにおいで】
「だからシアは赤子じゃないでしゅ!もう三歳でもうすぐ四歳になるんでしゅ!」
【何と!生まれたてではないか!何故このような危険な森へ連れてきたのだ!】
漆黒のマンティコアはポーポトスへ説教を始めた。魔物に怒られる大賢者という面白い光景をアレクシアとウロボロスは間近で見ていたが、また大きな地響きがして、それがこちらに迫ってきていた。
そして姿を見せたのは見覚えのある巨大な白銀の狼だった。これに一番驚いたのは漆黒のマンティコアだ。この森では見たこともない白銀の狼から感じられる神聖な魔力に、急いで跪いた。
【まさかこの森に神獣様が⋯あの神々しいお姿。長生きはするもんじゃ】
感動する漆黒のマンティコアだが、それを見事にぶち壊す者が現れたのだ。
「爺!何でその姿なんでしゅか?間違って狩るところでちたよ!そしたらシアが優勝でしゅ!」
信じられない赤子の発言に、漆黒のマンティコアは焦り出す。
【これ!大人しくしてなさい!あとで森の入り口まで送ってあげるから、ね?】
赤子を懸命に宥めている魔物というあり得ない光景に、今度はポーポトスが大笑いしていた。
「この姿の方が動きやすいからのう。まだ長生きしたいから狩らんでおくれ」
アレクシアにお願いする神獣ガイアだが、それに驚くのは漆黒のマンティコアだ。
【神獣様、この赤子をご存知なのですか?】
「ああ、この子はわしの孫のようなものじゃ」
【何と!だからこんなに神々しい赤子なのですね】
「ふふ!シアは神々しい赤子⋯⋯って誰が赤子でしゅか!立派な美少女に向かって失礼な魔物でしゅね!」
赤子扱いが気に入らないアレクシアは漆黒のマンティコアと神獣ガイアへ猛抗議をして説教すら始めた。
「ホホホ。あのマンティコアは恐らく聖獣じゃ。聖獣と神獣に説教するとは小さいくせに大物じゃのう!」
『大物というか大馬鹿というのか』
ポーポトスとウロボロスは呆れながらも、その光景を微笑ましく見ていた。
ニコニコしながら可愛いひ孫に話しかけるのは初代竜族族長であるミルキルズだ。
「ふ⋯ふん!!シアは化け物級の魔物を狩りまちた!優勝はシアのものでしゅ!!」
威勢よく宣言したアレクシアだが、それが全部嘘だと知ってるウロボロスは呆れていた。
「おお!わしも負けてはおれんぞ!バジリスクなんて小物と遊んでおっては負けてしまうわい!」
「⋯⋯」
『やる気にさせてどうするんだ⋯プッ』
ウロボロスに笑われたアレクシアは、ミルキルズに向かい“負けましぇん!!このボケ!”と暴言を吐きまくり先に進み出すのだった。
ミルキルズと別れたアレクシアは焦っていた。
「バジリスクを小物でしゅと!?あの爺は次元が違いましゅ!」
『奥深くに行けばもっと大物がいるんじゃないか?』
「そうでしゅね!打倒!爺&婆でしゅ!」
やる気満々のアレクシアが浮遊魔法で先に進んでいると、今度は紫色の髪を靡かせた美しい青年が立ってるのが見えてきた。
「ん?あれは見た目詐欺代表取締役のポポ爺でしゅ!」
アレクシアの発言にピイピイ言いながら爆笑する小鳥ウロボロス。また草むらに隠れて様子を見る事にしたアレクシアは、魔国の大賢者であり師匠でもあるポーポトスの行動に注視する。
「おお、これはマンティコアの変異種か!漆黒のマンティコアとは見たことがないわい!」
ポーポトスの目の前にいるのは不気味なくらい静かなマンティコアだった。マンティコアは人の顔を待ち、さそりの尾を持つ獰猛な魔物だ。普通のマンティコアでもS級なのに、今回のマンティコアは全身が黒く、翼まで生えている。そして更に恐ろしいのは⋯
【この森に人族がいるとは、早く立ち去れ】
そう、話せるのだ。ポーポトスを見下ろしていた漆黒のマンティコアは、相手にもならないと森の奥に戻ろうとしていた。
「わしは魔族じゃ。少しは遊べるかもしれんぞ?」
【魔族?あの後ろでこちらを見ている赤子はお前の子か?】
漆黒のマンティコアの視線がアレクシアを捉えた。ポーポトスも気付いていたのか、振り返って焦っているアレクシアを見た。
「お前と言う奴は、また何か企んでいるのか!?」
「まだ考えていましぇん!って言うかそこの黒いおっさん!誰が赤子でしゅか!!」
アレクシアの発言に呆れるポーポトスだが、巨大な漆黒のマンティコアは自分の足元でブーブー文句を言う赤子をジッと見ていた。
【黒いおっさんとはわしのことかい?】
「そうでしゅよ!こっちは紫のじーさんでしゅから⋯⋯いで!」
アレクシアは頭を摩りながら拳骨を落としたポーポトスに向かい猛抗議を始めた。
「ポポ爺!シアがこれ以上馬鹿ちんになったらどうするんでしゅか!!」
「おお、お馬鹿という自覚はあるんじゃな。少し安心したわい」
「ぐぬぬ⋯ああ言えばこう言うじーさんでしゅ!黒いおっさん!この爺をボコボコにして下しゃいな!」
「何じゃと!師匠に向かって何たる態度じゃ!」
自分を無視して言い合うポーポトスとアレクシアを見て何とも言えない気分になる漆黒のマンティコア。
【ポポ爺とやら、相手はまだ赤子じゃ。よしよし、ここは危ない場所じゃ。こっちにおいで】
「だからシアは赤子じゃないでしゅ!もう三歳でもうすぐ四歳になるんでしゅ!」
【何と!生まれたてではないか!何故このような危険な森へ連れてきたのだ!】
漆黒のマンティコアはポーポトスへ説教を始めた。魔物に怒られる大賢者という面白い光景をアレクシアとウロボロスは間近で見ていたが、また大きな地響きがして、それがこちらに迫ってきていた。
そして姿を見せたのは見覚えのある巨大な白銀の狼だった。これに一番驚いたのは漆黒のマンティコアだ。この森では見たこともない白銀の狼から感じられる神聖な魔力に、急いで跪いた。
【まさかこの森に神獣様が⋯あの神々しいお姿。長生きはするもんじゃ】
感動する漆黒のマンティコアだが、それを見事にぶち壊す者が現れたのだ。
「爺!何でその姿なんでしゅか?間違って狩るところでちたよ!そしたらシアが優勝でしゅ!」
信じられない赤子の発言に、漆黒のマンティコアは焦り出す。
【これ!大人しくしてなさい!あとで森の入り口まで送ってあげるから、ね?】
赤子を懸命に宥めている魔物というあり得ない光景に、今度はポーポトスが大笑いしていた。
「この姿の方が動きやすいからのう。まだ長生きしたいから狩らんでおくれ」
アレクシアにお願いする神獣ガイアだが、それに驚くのは漆黒のマンティコアだ。
【神獣様、この赤子をご存知なのですか?】
「ああ、この子はわしの孫のようなものじゃ」
【何と!だからこんなに神々しい赤子なのですね】
「ふふ!シアは神々しい赤子⋯⋯って誰が赤子でしゅか!立派な美少女に向かって失礼な魔物でしゅね!」
赤子扱いが気に入らないアレクシアは漆黒のマンティコアと神獣ガイアへ猛抗議をして説教すら始めた。
「ホホホ。あのマンティコアは恐らく聖獣じゃ。聖獣と神獣に説教するとは小さいくせに大物じゃのう!」
『大物というか大馬鹿というのか』
ポーポトスとウロボロスは呆れながらも、その光景を微笑ましく見ていた。
691
あなたにおすすめの小説
公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
谷 優
恋愛
公爵家の末娘として生まれた幼いティアナ。
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。
ただ、愛されたいと願った。
そんな中、夢の中の本を読むと自分の正体が明らかに。
◆恋愛要素は前半はありませんが、後半になるにつれて発展していきますのでご了承ください。
オネエ伯爵、幼女を拾う。~実はこの子、逃げてきた聖女らしい~
雪丸
ファンタジー
アタシ、アドルディ・レッドフォード伯爵。
突然だけど今の状況を説明するわ。幼女を拾ったの。
多分年齢は6~8歳くらいの子。屋敷の前にボロ雑巾が落ちてると思ったらびっくり!人だったの。
死んでる?と思ってその辺りに落ちている木で突いたら、息をしていたから屋敷に運んで手当てをしたのよ。
「道端で倒れていた私を助け、手当を施したその所業。賞賛に値します。(盛大なキャラ作り中)」
んま~~~尊大だし図々しいし可愛くないわ~~~!!
でも聖女様だから変な扱いもできないわ~~~!!
これからアタシ、どうなっちゃうのかしら…。
な、ラブコメ&ファンタジーです。恋の進展はスローペースです。
小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。(敬称略)
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……
タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。
事情があってメイドとして働いていますが、実は公爵家の令嬢です。
木山楽斗
恋愛
ラナリアが仕えるバルドリュー伯爵家では、子爵家の令嬢であるメイドが幅を利かせていた。
彼女は貴族の地位を誇示して、平民のメイドを虐げていた。その毒牙は、平民のメイドを庇ったラナリアにも及んだ。
しかし彼女は知らなかった。ラナリアは事情があって伯爵家に仕えている公爵令嬢だったのである。
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
結婚しても別居して私は楽しくくらしたいので、どうぞ好きな女性を作ってください
シンさん
ファンタジー
サナス伯爵の娘、ニーナは隣国のアルデーテ王国の王太子との婚約が決まる。
国に行ったはいいけど、王都から程遠い別邸に放置され、1度も会いに来る事はない。
溺愛する女性がいるとの噂も!
それって最高!好きでもない男の子供をつくらなくていいかもしれないし。
それに私は、最初から別居して楽しく暮らしたかったんだから!
そんな別居願望たっぷりの伯爵令嬢と王子の恋愛ストーリー
最後まで書きあがっていますので、随時更新します。
表紙はエブリスタでBeeさんに描いて頂きました!綺麗なイラストが沢山ございます。リンク貼らせていただきました。
私の家族はハイスペックです! 落ちこぼれ転生末姫ですが溺愛されつつ世界救っちゃいます!
りーさん
ファンタジー
ある日、突然生まれ変わっていた。理由はわからないけど、私は末っ子のお姫さまになったらしい。
でも、このお姫さま、なんか放置気味!?と思っていたら、お兄さんやお姉さん、お父さんやお母さんのスペックが高すぎるのが原因みたい。
こうなったら、こうなったでがんばる!放置されてるんなら、なにしてもいいよね!
のんびりマイペースをモットーに、私は好きに生きようと思ったんだけど、実は私は、重要な使命で転生していて、それを遂行するために神器までもらってしまいました!でも、私は私で楽しく暮らしたいと思います!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。