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10章 アレクシアと愉快な仲間2
懐かしい者達との再会②
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”枝を寄越せでしゅ!!“というアレクシアの発言が森に響き渡った。
その言葉を聞いた青年は驚いて目を見開いた。それと同時に押し潰されそうな魔力が消えていき、苦しくて立っていられなかった者達はその圧迫感が消えた事でやっと立ち上がれたのだった。
「⋯⋯俺にそんな事を言う奴は世界でただ一人だ。だがそいつは呆気なく死んだ。死んだんだ⋯」
アレクシアを見ながらポツリ、ポツリと話し始めた青年を、アレクシアの父親でありアウラード大帝国皇帝でもあるルシアードが警戒しているが、こんなにも動けなくなるのは初めてでかなり驚き、そして動揺していた。
「エン爺!アリアナは死にまちた。でも生まれ変わって今はアレクシアとちて生きてましゅ!!」
「アレクシア?⋯⋯まさか転生か?」
アレクシアをジッと見つめていた青年の瞳から涙が流れていた。その涙を見たアレクシアが急いで駆け寄って行く姿は凄く感動的で、やっと立ち上がったロインもただただ見守っていた。
だが、それを見事にぶち壊すのもまたアレクシアであった。涙を流す青年へ不躾にもよじ登っていくアレクシアは、亜空間からコップを取り出して流れる涙を必死に入れていく。幼子の顔は欲望に満ちていて周りをドン引きさせていた。
「ふふ、これは世界樹の涙でしゅ!!」
コップに入っていく青年の涙が神秘的な雫の形をした宝石になっていく光景に、魔国の大賢者であるポーポトスもかなり興味津々であった。その顔は弟子と同じく欲望に満ちていて、この師匠にしてこの弟子だなと周りを妙に納得させたのだった。
「おいおい、やっぱりあのガキじゃねーか!!アハハハ!相変わらず自由で失礼な奴だな!」
怒るどころか凄く嬉しそうにアレクシアを抱きしめる青年に、神獣ガイアや竜族組、そして竜族族長ゼストは微笑ましく見守っているが、事情を知らないルシアードやロインはその神秘的な光景に魅入ってしまっていた。特にルシアードは、愛娘を取り返そうとしたが世界樹だという青年の迫力に圧倒されていた。
だが、事情を知る魔国国王陛下デズモンドは恐れる事なくアレクシアを抱っこする青年に近づいていった。
「エン爺、アレクシアを返してくれ。大事な婚約者なんだ」
「ん?お前は魔国の小僧か!相変わらずこいつにベッタリだな!」
アレクシアを抱っこしたまま、デズモンドの頭を優しく撫でる青年。
「こいつがいるって事はあの変な喋り方のガキもいるのか?名前は何とかゴンザレス!」
「ブッ!何でゴンザレスは覚えてるんでしゅか!」
青年の発言がおかしくて大笑いするアレクシア。この光景だけ見れば再会を喜ぶ良い雰囲気だが、ロインは青年を見て顔面蒼白していた。それはこの青年の底知れない魔力や雰囲気を感じてでもあるが、一番は先ほどのアレクシアの恐ろしい発言だった。
”世界樹“
物語の中でしかその名を聞いたことがなかった。世界樹とは世界を統べる存在であり、自然を司る神木でもあるのだ。今目の前で大事な姪がその神に等しい存在の名を口にしたのだ。今までのことを考えたら、この青年がその世界樹という事だろう。
「急にアリアナの魔力を感じてな。エント達も騒ぎ始めて、気になったから見に来たんだよ。威圧して悪かったな!」
「まぁ、許してあげても良いでしゅけど、お詫びに枝を寄越せでしゅ!」
「アハハハ!お前は口を開けば枝を寄越せでしゅ!しか言わないな!」
嬉しそうに話している世界樹ことエン爺とアレクシア。それを見て驚いているのが仲間になったばかりの聖獣おはぎだった。数百年前にこの森にやって来た時にはこの見事な大木は枯れ始めていた。まさかこの大木が世界樹だとは思ってもいなかった。
この地獄森には“神鳥“と“神獣”がいるという噂は聞いていたが、今までその存在を感じた事も無かったのであくまで噂だったのかと思っていた。だが、アレクシアと出会ってからというもの、神獣ガイアや最強竜族が現れたりと驚きの連続であったが、まさか世界樹まで存在するとは思ってもいなくて、自分はとんでもない森にいたのだなと今更ながら震えが止まらない。
「ん?小鳥の姿になってるが、ウルスラか!お前もかなり久しいな!昔は死にかけのお前によく魔力を分けてやったな!」
『おい!何回も言ってるが今は邪悪竜ウロボロスだ!こいつが付けた名だぞ!』
気配を消していてもエン爺には意味がなかった。なので元の小さな黒竜姿に戻りエン爺の周りをパタパタと飛び回りながら文句を言う。
「木と竜!喧嘩しないで下しゃいな!それにエン爺、ここの空間に結界を張りまちたね!?今すぐ解いて下しゃいよ!」
「ああ、そうだった!もしアリアナの魔力を悪用している奴だったら地獄を見せてやろうと思ってな!出られないように結界を張ったんだった!」
アレクシアに怒られたエン爺は指をパチンと鳴らした。すると今まで感じなかった者達の魔力が近付いてくるのがわかった。一番に現れたのはエルフの女王エルメニアと側近ナナーサであった。
二人は急いでエン爺の前にやって来ると徐に跪いた。
「世界樹よ、お久しぶりでございます」
「おお、エルフの長か。そんな堅苦しくなるな!こいつなんて再会早々に”枝を寄越せでしゅ“だぞ!?」
それを聞いたエルメニアは知らん顔をして口笛を吹いているが全然鳴っていないアレクシアをジト目で見る。
「貴女は全く!何回言ったら分かるの!!この御方がどんな存在か知っているでしょう!?」
「偉い木の爺しゃん」
そう言った瞬間にエルメニアから拳骨を喰らったアレクシア。その光景を見ていたエン爺とウロボロスは指差して爆笑していた。そんな状況の中で、風に靡く木々達から声が聞こえてきた。それは喜びを隠しきれないエント族の声だった。
『族長様が元気になった!アリアナが戻ってきたよ!!』
『嬉しいな!嬉しいな!』
『アリアナに会えて族長が嬉しそうだね!!我も嬉しい!』
「そうかぁ?相変わらず豆粒だな!いつになったら大きくなるんだ!?」
「何でしゅと!?最後に言ったエント族ーー!!出てこいでしゅーー!!」
禁句である”豆粒“と言われたアレクシアがプンスカと怒るが、それはエント族ではなくアレクシア達の背後から歩いて来た人物が放った言葉であった。彼はこちらに手を振るミルキルズや気まずそうなロウジと共にやって来た。それと同時に空からは美しい音色のような鳴き声が聞こえ、まるで燃えているような真紅の大きな鳥がこちらに向かって来たのだった。
その言葉を聞いた青年は驚いて目を見開いた。それと同時に押し潰されそうな魔力が消えていき、苦しくて立っていられなかった者達はその圧迫感が消えた事でやっと立ち上がれたのだった。
「⋯⋯俺にそんな事を言う奴は世界でただ一人だ。だがそいつは呆気なく死んだ。死んだんだ⋯」
アレクシアを見ながらポツリ、ポツリと話し始めた青年を、アレクシアの父親でありアウラード大帝国皇帝でもあるルシアードが警戒しているが、こんなにも動けなくなるのは初めてでかなり驚き、そして動揺していた。
「エン爺!アリアナは死にまちた。でも生まれ変わって今はアレクシアとちて生きてましゅ!!」
「アレクシア?⋯⋯まさか転生か?」
アレクシアをジッと見つめていた青年の瞳から涙が流れていた。その涙を見たアレクシアが急いで駆け寄って行く姿は凄く感動的で、やっと立ち上がったロインもただただ見守っていた。
だが、それを見事にぶち壊すのもまたアレクシアであった。涙を流す青年へ不躾にもよじ登っていくアレクシアは、亜空間からコップを取り出して流れる涙を必死に入れていく。幼子の顔は欲望に満ちていて周りをドン引きさせていた。
「ふふ、これは世界樹の涙でしゅ!!」
コップに入っていく青年の涙が神秘的な雫の形をした宝石になっていく光景に、魔国の大賢者であるポーポトスもかなり興味津々であった。その顔は弟子と同じく欲望に満ちていて、この師匠にしてこの弟子だなと周りを妙に納得させたのだった。
「おいおい、やっぱりあのガキじゃねーか!!アハハハ!相変わらず自由で失礼な奴だな!」
怒るどころか凄く嬉しそうにアレクシアを抱きしめる青年に、神獣ガイアや竜族組、そして竜族族長ゼストは微笑ましく見守っているが、事情を知らないルシアードやロインはその神秘的な光景に魅入ってしまっていた。特にルシアードは、愛娘を取り返そうとしたが世界樹だという青年の迫力に圧倒されていた。
だが、事情を知る魔国国王陛下デズモンドは恐れる事なくアレクシアを抱っこする青年に近づいていった。
「エン爺、アレクシアを返してくれ。大事な婚約者なんだ」
「ん?お前は魔国の小僧か!相変わらずこいつにベッタリだな!」
アレクシアを抱っこしたまま、デズモンドの頭を優しく撫でる青年。
「こいつがいるって事はあの変な喋り方のガキもいるのか?名前は何とかゴンザレス!」
「ブッ!何でゴンザレスは覚えてるんでしゅか!」
青年の発言がおかしくて大笑いするアレクシア。この光景だけ見れば再会を喜ぶ良い雰囲気だが、ロインは青年を見て顔面蒼白していた。それはこの青年の底知れない魔力や雰囲気を感じてでもあるが、一番は先ほどのアレクシアの恐ろしい発言だった。
”世界樹“
物語の中でしかその名を聞いたことがなかった。世界樹とは世界を統べる存在であり、自然を司る神木でもあるのだ。今目の前で大事な姪がその神に等しい存在の名を口にしたのだ。今までのことを考えたら、この青年がその世界樹という事だろう。
「急にアリアナの魔力を感じてな。エント達も騒ぎ始めて、気になったから見に来たんだよ。威圧して悪かったな!」
「まぁ、許してあげても良いでしゅけど、お詫びに枝を寄越せでしゅ!」
「アハハハ!お前は口を開けば枝を寄越せでしゅ!しか言わないな!」
嬉しそうに話している世界樹ことエン爺とアレクシア。それを見て驚いているのが仲間になったばかりの聖獣おはぎだった。数百年前にこの森にやって来た時にはこの見事な大木は枯れ始めていた。まさかこの大木が世界樹だとは思ってもいなかった。
この地獄森には“神鳥“と“神獣”がいるという噂は聞いていたが、今までその存在を感じた事も無かったのであくまで噂だったのかと思っていた。だが、アレクシアと出会ってからというもの、神獣ガイアや最強竜族が現れたりと驚きの連続であったが、まさか世界樹まで存在するとは思ってもいなくて、自分はとんでもない森にいたのだなと今更ながら震えが止まらない。
「ん?小鳥の姿になってるが、ウルスラか!お前もかなり久しいな!昔は死にかけのお前によく魔力を分けてやったな!」
『おい!何回も言ってるが今は邪悪竜ウロボロスだ!こいつが付けた名だぞ!』
気配を消していてもエン爺には意味がなかった。なので元の小さな黒竜姿に戻りエン爺の周りをパタパタと飛び回りながら文句を言う。
「木と竜!喧嘩しないで下しゃいな!それにエン爺、ここの空間に結界を張りまちたね!?今すぐ解いて下しゃいよ!」
「ああ、そうだった!もしアリアナの魔力を悪用している奴だったら地獄を見せてやろうと思ってな!出られないように結界を張ったんだった!」
アレクシアに怒られたエン爺は指をパチンと鳴らした。すると今まで感じなかった者達の魔力が近付いてくるのがわかった。一番に現れたのはエルフの女王エルメニアと側近ナナーサであった。
二人は急いでエン爺の前にやって来ると徐に跪いた。
「世界樹よ、お久しぶりでございます」
「おお、エルフの長か。そんな堅苦しくなるな!こいつなんて再会早々に”枝を寄越せでしゅ“だぞ!?」
それを聞いたエルメニアは知らん顔をして口笛を吹いているが全然鳴っていないアレクシアをジト目で見る。
「貴女は全く!何回言ったら分かるの!!この御方がどんな存在か知っているでしょう!?」
「偉い木の爺しゃん」
そう言った瞬間にエルメニアから拳骨を喰らったアレクシア。その光景を見ていたエン爺とウロボロスは指差して爆笑していた。そんな状況の中で、風に靡く木々達から声が聞こえてきた。それは喜びを隠しきれないエント族の声だった。
『族長様が元気になった!アリアナが戻ってきたよ!!』
『嬉しいな!嬉しいな!』
『アリアナに会えて族長が嬉しそうだね!!我も嬉しい!』
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「何でしゅと!?最後に言ったエント族ーー!!出てこいでしゅーー!!」
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