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二章 小蘭(シャオラン)の掃除
皇太子の暴挙②
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「おい!何もしてないぞ!?」
皇太子である龍鳳は、自分に向けられている冷たい視線に焦り、頬を抑えて泣いている小蘭に向かい詰め寄るが、それが逆効果だと気づいていない。昔から爪が甘い龍鳳は、側近達の呆れた視線にも全く気づかない鈍感ぶりだ。
「その嘘泣きをやめろ!早く立て!」
龍鳳は小蘭を立ち上がらせようとするが、そこに春惋が割って入る。
「其方は誰だ!?この女を庇うと其方も捕らえるぞ!!」
「あら、私を知らないのですか?結構名は知られていると思っていましたがねぇ?」
春惋は龍鳳を真っ直ぐに見つめて不敵に笑った。
「殿下、この方は麗美(レイビ)商会の副会頭で緑州王の従姉妹でもある緑春惋様でございます。」
「何!?あの麗美商会の副会頭!?女子(おなご)がそんな地位で商売など出来るのか!」
側近の耳打ちでやっと目の前の美女の素性を理解した龍鳳だが、またしても空気の読めない発言をしてしまう。
「はっ!本当にいつの時代の考え方をお持ちなのやら‥‥呆れてしまいます。殿下はどういう教育をお受けになったのですか?」
鼻で笑いながら側近達を睨みつける春惋。皇后である帝華妃の影響を受けて育った龍鳳は、女子は早く結婚して、夫となる者に尽くすのが幸せだという古びた考え方を持ってしまっていた。側近達も帝家の者で固められてしまったので、その偏った考え方を正してくれる者もいなかった。哀れといえば哀れだろうが、第二皇子である龍麒は自分の意思を持ち、幼くして母親と距離を取ったおかげで公正な判断が出来る賢さと寛大な心を持って成長した。
「殿下、公の場ではそのような発言はお控えください」
「あら、公の場じゃなければ何を言ってもいいにかしら?周りがそんな考え方だから殿下も古い考え方なのね」
それを聞いていた小蘭も龍鳳やその側近達の考え方に呆れ果てていた。
「まあどうでもいい!とにかくこの女を拘束して牢へ放り込め!私が直々に尋問してやるから覚悟しろ!その娘の罪を追及して紅司炎も宰相の座から引き摺り下ろしてやる!」
皆が見ている場で紅家の批判をする龍鳳に、さすがの側近達も冷や汗が止まらない。
「あーあ。言っちゃった。本当に救いようがない御方だこと」
春惋は周りにいる女官や宦官達は龍鳳を見て失笑しているのを見て苦笑いしか出てこない。
「春惋、私は牢に連れてかれるけど心配しないでと父上に伝えて。まぁどうであれ皇后を打ったのは事実だしね」
「‥‥。司炎様も怖いけど光海様や龍麒殿下の方が怖いわ。それに黒家が動きそうよ?」
「天ちゃんを説得に行かせたから時間稼ぎはできるでしょう?」
「うーん。天様かぁ‥‥不安しかない」
春惋は小蘭と話していたが、無視されている事が気に入らない龍鳳が彼女を押し退けて小蘭の腕を掴み無理矢理立たせた。そして焦る側近達を無視して、小蘭を強引に引っ張り尋問所に連行して行ったのだった。
春惋は、深く溜息を吐いた。そして急ぎ各所に連絡する為に動き出したのだった。
一方で、大理寺(警察機関)は大騒ぎになっていた。
いきなり少女を引っ張りながら皇太子である龍鳳が顔面蒼白の側近達と共に現れたのだ。そしてその少女を地下牢に入れろと言い始めて大理寺職員は頭を抱えていたのだ。
少女は以前に皇帝陛下と行動していたその人物で、しかも今は不在の大理寺卿(警察長官)の恩人とも聞いていたからだ。
「皇太子殿下。この少女の罪状は何なのでしょう?」
「国母である我が母上を打ったのだ!目撃者も多数いる!死罪にもなる大罪だ、私が自ら尋問するから地下にいある尋問室に連れて行く!」
皇后を打ったと聞いて驚く大理寺職員だが、少女の意見も聞かないと尋問室には連れて行けない。地下の尋問室は拷問部屋とも呼ばれる大罪を犯した者や、間者を尋問する場所なのだ。
「殿下!いい加減にして下さいませ!この方は紅家のご令嬢ですよ!?尋問室など‥‥もし紅州王にでも知られたら終わりです!」
「紅州王が何だというのだ!我は皇太子だぞ!?なぜ高官ごときを恐れねばならぬのだ!」
皇太子の発言を聞いた大理寺職員は、小蘭が紅家の令嬢と聞いて顔面蒼白になった。
「な!?紅家の‥‥まさか戦姫様!?」
「ええ、でも皇后様を打ったのは本当よ。きちんと罰は受けるわ。案内してちょうだい」
小蘭の言葉に大理寺職員は何とも言えなくなり、ニヤリと嫌な笑みを浮かべる龍鳳はそんな小蘭を引き摺るように大理寺内へ連れて行く。
「ああ、その前にやっとく事がある」
龍鳳は小蘭に方を向くと、思いっきり殴りつけた。小蘭は口から血を流して吹き飛んだ。頬は一気に腫れ上がり、口からは止めどなく血が流れている小蘭の顔は見るも無惨になっていた。
「アハハハ!あんなに綺麗な顔だったのに見てみろ!アハハハ!」
倒れ込む小蘭を指差しながら大笑いする龍鳳に、側近達も大理寺職員も完全に引いていた。職員達は倒れた小蘭を起こしてあげ、狂気じみた龍鳳の行為に苦言を刺す。
「殿下!この方の尋問は我々で行いますので、このような事はお止め下さい!」
「ふん!どうせ死罪になるのだ!何をしようと勝手であろう!」
龍鳳の暴挙に側近達は頭を抱えていた。このままでは自分達の命がないと血の気が引いていくが、龍鳳の暴走は止まらない。
大理寺職員を押し退け、小蘭の髪の毛を掴むと引き摺り回し、腹を蹴り上げた。小蘭は吐血して蹲るが、龍鳳はさらに蹴り上げようとする。さすがに大理寺職員も側近達も止めに入る。そしてその隙に職員の一人が小蘭を抱き抱え、一番広くて衛生的な牢屋に運び込んだ。
「何をする!今からこの女を尋問するから牢屋から出せ!」
「なりません!いくら殿下であろうとこのような暴挙はあってはなりません!この事は急ぎ陛下に報告させていただきます!」
陛下と聞いた龍鳳は少し落ち着いたのか暴れるのを止めた。小蘭は牢の中で倒れ込み動かない。それを見た側近達は震えが止まらなく、最悪の事を考えていた。
「殿下、私達は手に負えません!このままでは我々も紅州王に殺されます!!」
側近達はここで恐ろしい考えを思いつく。
「‥‥‥。殿下、一つ考えがあります。このまま始末して隠蔽してしまうというのはいかがでしょう?皆には不慮の事故で亡くなったと言えばいいのです」
「そうです!罪人が逃げ出してこの娘を殺したと言えばいいのです!罪人はここから適当に見繕えばいいこと。そして被害者は多い方がいい」
側近達は大理寺職員達を見て嫌な笑みを浮かべた。
「全く我々も舐められたものですね?小蘭様はお守りしますし、そのような事を“ここで“言うとは愚かだな!」
そう、ここは大理寺本部でもある。ここで犯罪行為を行おうとする馬鹿な連中に大理寺職員も呆れ返っていた。そして運の悪い事にここにいる大理寺職員は特殊訓練を受けている最強部隊“黒狼“と呼ばれる者達であった。
「我々黒狼を前にして始末ですと?馬鹿げた事を言いますね?私達があなた方の犯罪の証人になりますから覚悟して下さいね」
大理寺職員達に今までの穏やかな雰囲気はなく、殺気に満ちた血に飢えた狼のように不敵に笑っていた。
皇太子である龍鳳は、自分に向けられている冷たい視線に焦り、頬を抑えて泣いている小蘭に向かい詰め寄るが、それが逆効果だと気づいていない。昔から爪が甘い龍鳳は、側近達の呆れた視線にも全く気づかない鈍感ぶりだ。
「その嘘泣きをやめろ!早く立て!」
龍鳳は小蘭を立ち上がらせようとするが、そこに春惋が割って入る。
「其方は誰だ!?この女を庇うと其方も捕らえるぞ!!」
「あら、私を知らないのですか?結構名は知られていると思っていましたがねぇ?」
春惋は龍鳳を真っ直ぐに見つめて不敵に笑った。
「殿下、この方は麗美(レイビ)商会の副会頭で緑州王の従姉妹でもある緑春惋様でございます。」
「何!?あの麗美商会の副会頭!?女子(おなご)がそんな地位で商売など出来るのか!」
側近の耳打ちでやっと目の前の美女の素性を理解した龍鳳だが、またしても空気の読めない発言をしてしまう。
「はっ!本当にいつの時代の考え方をお持ちなのやら‥‥呆れてしまいます。殿下はどういう教育をお受けになったのですか?」
鼻で笑いながら側近達を睨みつける春惋。皇后である帝華妃の影響を受けて育った龍鳳は、女子は早く結婚して、夫となる者に尽くすのが幸せだという古びた考え方を持ってしまっていた。側近達も帝家の者で固められてしまったので、その偏った考え方を正してくれる者もいなかった。哀れといえば哀れだろうが、第二皇子である龍麒は自分の意思を持ち、幼くして母親と距離を取ったおかげで公正な判断が出来る賢さと寛大な心を持って成長した。
「殿下、公の場ではそのような発言はお控えください」
「あら、公の場じゃなければ何を言ってもいいにかしら?周りがそんな考え方だから殿下も古い考え方なのね」
それを聞いていた小蘭も龍鳳やその側近達の考え方に呆れ果てていた。
「まあどうでもいい!とにかくこの女を拘束して牢へ放り込め!私が直々に尋問してやるから覚悟しろ!その娘の罪を追及して紅司炎も宰相の座から引き摺り下ろしてやる!」
皆が見ている場で紅家の批判をする龍鳳に、さすがの側近達も冷や汗が止まらない。
「あーあ。言っちゃった。本当に救いようがない御方だこと」
春惋は周りにいる女官や宦官達は龍鳳を見て失笑しているのを見て苦笑いしか出てこない。
「春惋、私は牢に連れてかれるけど心配しないでと父上に伝えて。まぁどうであれ皇后を打ったのは事実だしね」
「‥‥。司炎様も怖いけど光海様や龍麒殿下の方が怖いわ。それに黒家が動きそうよ?」
「天ちゃんを説得に行かせたから時間稼ぎはできるでしょう?」
「うーん。天様かぁ‥‥不安しかない」
春惋は小蘭と話していたが、無視されている事が気に入らない龍鳳が彼女を押し退けて小蘭の腕を掴み無理矢理立たせた。そして焦る側近達を無視して、小蘭を強引に引っ張り尋問所に連行して行ったのだった。
春惋は、深く溜息を吐いた。そして急ぎ各所に連絡する為に動き出したのだった。
一方で、大理寺(警察機関)は大騒ぎになっていた。
いきなり少女を引っ張りながら皇太子である龍鳳が顔面蒼白の側近達と共に現れたのだ。そしてその少女を地下牢に入れろと言い始めて大理寺職員は頭を抱えていたのだ。
少女は以前に皇帝陛下と行動していたその人物で、しかも今は不在の大理寺卿(警察長官)の恩人とも聞いていたからだ。
「皇太子殿下。この少女の罪状は何なのでしょう?」
「国母である我が母上を打ったのだ!目撃者も多数いる!死罪にもなる大罪だ、私が自ら尋問するから地下にいある尋問室に連れて行く!」
皇后を打ったと聞いて驚く大理寺職員だが、少女の意見も聞かないと尋問室には連れて行けない。地下の尋問室は拷問部屋とも呼ばれる大罪を犯した者や、間者を尋問する場所なのだ。
「殿下!いい加減にして下さいませ!この方は紅家のご令嬢ですよ!?尋問室など‥‥もし紅州王にでも知られたら終わりです!」
「紅州王が何だというのだ!我は皇太子だぞ!?なぜ高官ごときを恐れねばならぬのだ!」
皇太子の発言を聞いた大理寺職員は、小蘭が紅家の令嬢と聞いて顔面蒼白になった。
「な!?紅家の‥‥まさか戦姫様!?」
「ええ、でも皇后様を打ったのは本当よ。きちんと罰は受けるわ。案内してちょうだい」
小蘭の言葉に大理寺職員は何とも言えなくなり、ニヤリと嫌な笑みを浮かべる龍鳳はそんな小蘭を引き摺るように大理寺内へ連れて行く。
「ああ、その前にやっとく事がある」
龍鳳は小蘭に方を向くと、思いっきり殴りつけた。小蘭は口から血を流して吹き飛んだ。頬は一気に腫れ上がり、口からは止めどなく血が流れている小蘭の顔は見るも無惨になっていた。
「アハハハ!あんなに綺麗な顔だったのに見てみろ!アハハハ!」
倒れ込む小蘭を指差しながら大笑いする龍鳳に、側近達も大理寺職員も完全に引いていた。職員達は倒れた小蘭を起こしてあげ、狂気じみた龍鳳の行為に苦言を刺す。
「殿下!この方の尋問は我々で行いますので、このような事はお止め下さい!」
「ふん!どうせ死罪になるのだ!何をしようと勝手であろう!」
龍鳳の暴挙に側近達は頭を抱えていた。このままでは自分達の命がないと血の気が引いていくが、龍鳳の暴走は止まらない。
大理寺職員を押し退け、小蘭の髪の毛を掴むと引き摺り回し、腹を蹴り上げた。小蘭は吐血して蹲るが、龍鳳はさらに蹴り上げようとする。さすがに大理寺職員も側近達も止めに入る。そしてその隙に職員の一人が小蘭を抱き抱え、一番広くて衛生的な牢屋に運び込んだ。
「何をする!今からこの女を尋問するから牢屋から出せ!」
「なりません!いくら殿下であろうとこのような暴挙はあってはなりません!この事は急ぎ陛下に報告させていただきます!」
陛下と聞いた龍鳳は少し落ち着いたのか暴れるのを止めた。小蘭は牢の中で倒れ込み動かない。それを見た側近達は震えが止まらなく、最悪の事を考えていた。
「殿下、私達は手に負えません!このままでは我々も紅州王に殺されます!!」
側近達はここで恐ろしい考えを思いつく。
「‥‥‥。殿下、一つ考えがあります。このまま始末して隠蔽してしまうというのはいかがでしょう?皆には不慮の事故で亡くなったと言えばいいのです」
「そうです!罪人が逃げ出してこの娘を殺したと言えばいいのです!罪人はここから適当に見繕えばいいこと。そして被害者は多い方がいい」
側近達は大理寺職員達を見て嫌な笑みを浮かべた。
「全く我々も舐められたものですね?小蘭様はお守りしますし、そのような事を“ここで“言うとは愚かだな!」
そう、ここは大理寺本部でもある。ここで犯罪行為を行おうとする馬鹿な連中に大理寺職員も呆れ返っていた。そして運の悪い事にここにいる大理寺職員は特殊訓練を受けている最強部隊“黒狼“と呼ばれる者達であった。
「我々黒狼を前にして始末ですと?馬鹿げた事を言いますね?私達があなた方の犯罪の証人になりますから覚悟して下さいね」
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