皇宮女官小蘭(シャオラン)は溺愛され過ぎて頭を抱えているようです!?

akechi

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二章 小蘭(シャオラン)の掃除

女官の仕事とは?

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「あとから白風も合流する。お前だけじゃ心配だからな」

第二皇子である龍麒と共に皇帝付きの女官の住居へ向かう小蘭。皇帝付きは皇后付きよりも位が高いので住居も優遇されているだろう。

「良かった!今度は白風と働けるわ!」

『天ちゃんも働くーー!!』

「いや、お前は無理だろう」

お昼寝をしたので元気いっぱいの子猫姿の天ちゃんは、小蘭の横をよちよちと歩いている。その光景を見て驚いているのは皇帝付きの女官達だ。

「あの子は何なの?」

「龍麒殿下が案内してるわよ!信じられない!」

「横に並んで歩くなどあり得ない事よ!」

「あの服⋯上級女官なの!?しかも何あれ⋯血塗れよ!」

女官達はコソコソと話しているつもりだが、人一倍耳がいい小蘭や龍麒には筒抜けだ。

「女って奴は⋯ここでも何かありそうだな。その時は父上に言う前に俺に言え、いいな?」

「はいはい」

「はいは一回!」

「⋯⋯うるさうざいね」

「略すな」

「うるさくてうざいね」

「⋯⋯」

龍麒は無言で小蘭の頭を叩いた。叩かれた小蘭は龍麒の腹を狙うが、見事に避けられた。

「覚えてなさい、訓練の時に倍返ししてやる!」

「は!楽しみにしてる!」

睨み合う小蘭と龍麒だが、そこにピリついた空気は一切なく二人にしてみればいつものじゃれ合い程度だったが、それを物陰から見ている影があった。


「凄いねぇ⋯さすが皇帝付きの優秀女官が住む所ね」

「まぁな。優秀でもあるが、プライドも高いから要注意だぞ?」

二人と一匹が歩いていると、住居へ向かう門の前に白風が立っていた。

「白風!」

「麗⋯小蘭!良かった!話は聞いてたから心配したわよ!あの皇太子がクズ野郎だったとはねぇ」

白風も合流して三人と一匹で与えられた部屋まで向かっていたが、皇子である龍麒がいるので女官達はひどく驚きながら急いで平伏した。

「龍麒殿下、このような所に何か御用でしょうか?」

そこへ騒ぎを聞きつけたのか、風格がある年配の女官がこちらへやって来た。

「ああ、揚揚(ヨウヨウ)か。新人の女官を連れて来たから案内してくれ」

新人と聞いて一瞬だけ顔を強張らせた揚揚だが、すぐに小蘭と白風を見た。

「新人で御座いますか。何も聞いていませんので準備もしていませんで⋯ですがなぜ殿下が案内を?」

「ああ、父上に頼まれてな」

「陛下で御座いますか!?」

驚きを隠せずに大声を出してしまう揚揚。女官や人事については大長秋の高青が権限を握っている。ましてや皇帝が直々に女官を選ぶなど前代未聞であり聞いたこともなかった。

「部屋に案内してやってくれ。俺はここまでだ」

龍麒は一礼する小蘭と白風をチラリと見て、声に出さずに口を動かして“頑張れよ”と言い出て行った。

「⋯⋯。空いている部屋に案内するわ。その前に私は新しく女官長になった揚揚よ」

「小蘭と申します。宜しくお願いします」

「白風と申します。宜しくお願いします」

二人は深く一礼したが、揚揚の視線は小蘭の足元に向けられた。

「ここでは動物は飼えません。預けられる所がなければ捨ててきなさい」

非情な事を言う揚揚に、小蘭は何も言わずに一礼だけした。

「部屋に案内するわ。空きが一部屋しかないから当分は二人で我慢してちょうだい」

無表情のまま淡々と告げると、さっさと歩き出してしまった。

「天ちゃん、ごめんね。あとで親父に交渉するからそれまで龍麒のところにいてくれる?」

小蘭の言葉に小さくニャーと鳴くと、天ちゃんはよちよちと歩き出した。

二人が揚揚の後をついて行くと、一番奥の部屋の前で止まった。部屋の中に入ると、皇后の所よりもかなり広くて二人でも十分なくらいだった。

「片付けは後にして。着替えたらすぐに先ほどの場所に来てちょうだい」

それだけ言うと揚揚はさっさといなくなってしまった。

「小蘭、取り敢えずその血塗れの服をどうにかしないとね」

「ええ、洗濯場の人達⋯ごめんね」

血を落とすのは大変だろうと申し訳なく思いながらも、小蘭は急いで新しい服に着替えた。白風も下級女官服を脱ぎ、赤い女官服を身につけた。

「よし!頑張るぞ!」

意気揚々と歩き出す小蘭を見て、不安しかない白風。

二人は急いで先ほどの場所に向かうと、揚揚と共に四人の女官が立っていた。二十代くらいの女官が三人と、年配の女官が一人、小蘭達を厳しい目で見ている。小蘭達は深く一礼して揚揚の反応を待つ。

「では、今から皇帝陛下に昼餉を運びます。小蘭と白風も厨房へ向かいなさい」

「「はい」」

四人の後ろにつき、厨房まで向かう小蘭と白風。

「今日は急遽黒州王と紅州王もご一緒なさるから急いで準備をするわよ!」

年配の女官がそう言うと三人が頷く。長い廊下を急いで進み厨房に着くと、他の女官が次々と料理を運んでいた。小蘭も白風と共に料理を龍護宮へ運んでいくが、あまりに豪華な食事を見てしまい小蘭の腹の虫が鳴り止まない。

「ちょっと!皇帝陛下の前では絶対にやめなさい!水でも飲んできなさいな!」

年配の女官に怒られるくらいうるさい小蘭の腹の虫に、他の女官も失笑している。

「いろいろあって食いっぱぐれたの」

「⋯⋯取り敢えず水を飲んできな」

白風に促されて、小蘭は厨房の脇にある井戸で浴びるように水を飲み、周りにいた女官にドン引きされていた。




「お前ら、小蘭目当てだろう?」

食事のために移動中の皇帝龍飛のジト目を気にせずに、鼻歌まじりに上機嫌で向かう黒州王“黒麗南”と紅州王“紅司炎”の足取りは早く、龍飛を追い越していた。

「おい!」

そこへ揚揚がやってきて緊張気味に一礼する。

「陛下、紅州王、黒州王、昼餉の準備が整いました」

そう言いながら扉を開けると、部屋の中には小蘭と白風、そして年配の女官が深く一礼しながら立っていた。三人はチラリと小蘭を見ると、何事も無かったように席に座った。

「では遠慮なく食べてくれ」

皇帝がそう言うと、三人の食事が始まった。が、案の定というか小蘭の方からグゥーという音が聞こえてきた。

揚揚を始め、年配の女官や顔太監の顔が強張っていく。小蘭の横にいる白風は笑いを必死に堪えていた。

グゥー⋯⋯グゥー⋯と間隔をあけて鳴り止まない小蘭のお腹に、必死に咳払いなどをして誤魔化す揚揚たちだったが、遂に皇帝である龍飛が箸を置いた。

「そこの女官以外は外に出ていけ」

小蘭に厳し視線を向け、龍飛が口を開いた。

「⋯⋯はい」

揚揚は自分に火の粉が飛ばないうちに深く一礼すると他の女官と共にそそくさと出ていったのだった。

「⋯⋯すみません。お腹空き過ぎて⋯目の前にこんなご馳走があるのに食べられない恨みがお腹に集中してしまいました」

「どんな言い訳だ」

呆れるのは父親である紅司炎だ。伯父である麗南は横で笑い転げている。

「ここに座れ。好きなだけ食べて良いからその腹をどうにかしろ」

龍飛に促されて、空いている椅子に座った小蘭に遠慮というものは一切無く、父親である司炎の箸を奪い、次々に食べ進めていく。

「よく食べますね」

溺愛する姪の食べっぷりまで誉める麗南に、龍飛は呆れていた。













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