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第2話
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魔神様が休眠するとされる冬の季節。私は時空の狭間の中にある森へ狩りと採集に来ていた。
その日はたまたま追いかけていたウサギの様な小型の魔物が森の奥へ行ってしまい、それを追いかけている内にマリア自身も森の奥へ足を踏み入れてしまっていた。
ようやく魔物を狩り、新鮮な内に血抜き作業をしていると、銀色の耳飾りをした見知らぬ男がすぐ傍に立っていた。私がびっくりして慌てて距離を取ると、その男性は柔和な笑みを浮かべ、私に話しかけてきた。
「こんにちは、お嬢さん。おじさん、ユダって言うんだ。知り合いを尋ねに来たんだけど....君はラミアという女の人を知っているかい?おじさん、彼女のお兄さんなんだ。彼女からここにいるって知らせを貰って来たんだけど。」
そういってその人は私に写真を見せてくる。恐る近寄って写真を見てみると、幼い頃の私の母様と目の前の男性をかなり若くした男の子が笑顔で写っている物だった。それに目の前の彼をよく見ると母様と同じ白い羽根が背中から出ており、天族である事は明らかであった。
それに昔、母様にユダという兄がいると聞いた事がある。母様はあまり自分の家族について話をしたがらなかったし、写真も無かったから、母様のお兄さんを見たことはなかったが。
「……私の母様だと思う。」
そう言うと男は少し怖い顔をして私をまじまじと凝視した。
「そうか、君が神託の子か....。」
彼はブツブツ独り言をいいながら、私の瞳をじっと見つめてきた。私は居心地が悪くなり、思わず彼から視線を逸らす。
「あぁ、ごめんごめん。君の顔が妹そっくりだからついまじまじと見ちゃってね。すまないが、お母さんの所まで案内してくれないかい?」
「……いいよ。」
悩んだ末、私は母の兄だと言う天族の男を家の方へ連れて行くことにした。ここに彼を放置しようとしてもどうせ着いてくるだろうし、どうにか彼を巻いたとしても、彼がこの森で迷子になってこの極寒の中、凍死させてしまう事になったら目覚めが悪いだろう。
道中、彼はキョロキョロと周りを見渡しながら、私の後をついて来ていた。森をしばらく歩くと我が家が見えてきた。母様は洗濯物を干し終わったばかりの様で、私が帰ってきたのを見て笑みを浮かべたが、私が連れてきた人の顔を見て、顔が一瞬で強ばった。
「ユダ……!?マリア!その人から離れなさい!!!」
「え?」
私は突然の母様の大声に一瞬ぽかんとしたが、母様がいつもと違う怖い表情をしていたので、私は慌てて母様の元に駆け寄った。
「ラミア、そんなカリカリしなくても良いじゃないか。少し話をしよう?15年振りだろ?」
ユダは両手を広げ歩み寄って来ようとするが、彼から私を守るように母様は私の前に立ち、彼と対峙していた。
「貴方と話す事は何も無いわ!出て行って!!」
「私はこんなにも君を愛していたのに。あんな薄汚れた悪魔族の男にうつつを抜かしてしまって。」
薄汚れた悪魔族……父様のことを言っているのだろうか?父様より今目の前にいる彼の方が人々に慈愛を持って接すると言われている天族にも関わらずよっぽど醜悪な顔をしている。
「実の妹に懸想して汚そうとしてくる男を誰が愛すことが出来るの?さぁ、早く帰って!」
「無駄だよ。君達家族は我々に捕まるのだから。君達夫婦は禁忌を破った事で天族、悪魔族それぞれの国で指名手配されている。お前の娘も…な。」
「国は娘の事について知らないはずよ!?」
「いや、君達の娘は……天族と悪魔族それぞれの国を滅ぼす存在だと神託がそれぞれの国で下された。君達夫婦と同じく指名手配されている身だ。君達家族を捕まえた事による功績で私は大臣職が内定するだろう……それに加えて報奨金も!!!」
そう言って男は空に向かって高笑いしている。詳しい事はよく分からないが、母様が実兄を心の底から嫌悪していることは明らかだった。そして、私達家族が両親の故郷である天族の国や悪魔族の国から指名手配されていることも私は初めて知らされるのだった。
「何故ここがバレたの…?私達家族以外知らないはずなのに……。」
母様は男から目を離さないようにしつつ、ポツリと呟く。母様の独り言が聞こえたのか、男は高笑いを辞め母様の方へ顔を向けた。
「あぁ、君が逃げる時にメイドへ送ったペンダントがあっただろう?あれにかけられていた守護魔法の魔力残渣から君の魔力を割り出し逆探知したんだ。しかし、時空の狭間へ逃げられていたとは思わなかったよ。逆探知しても必ず森で途切れてしまってね。そこで思い出したんだ…魔神の存在を。悪魔族に伝わると噂される魔導書の存在を。もしかすると、別の空間、つまり異空間に君達が逃げ込んだんじゃないか…ってね。それなら魔神の力が落ちる冬の時期なら、君達の元へ向かうための何らかのヒントが掴めるんじゃないか…ってね。」
そう言って、ユダと呼ばれた男はニヤリと笑う。
「えっ…それじゃあ、あの子は…?エリーは……」
母様は青ざめた様子で男に尋ねる。
「あぁ、あのメイドかい?あのペンダントを使って自分の子供を逃がすのには成功したが、自分はあっさり私の部下に殺されたよ。反逆罪でね。あの子供も今捜索中だ。まぁ、その時発動された守護魔術に見覚えがあったから、最終的に君を見つけることが出来たのだが……君は守護魔術が一族の中でも一番得意だったからね。」
「あぁ……エリー……なんてこと!私のせいで……。」
話を聞く限り、母様が昔お世話になったメイドがこの男の部下に殺されてしまったらしい。ユダが嘲笑う中、後ろにいた私でも分かるくらい、母様はかなりショックを受けた様子だった。
すると、ユダがしていた耳飾りが突然光り、何やらそこから声が聞こえてくる。どうやら通信機のようだが、ここからでは何を言っているのか聞き取れない。
「…了解。こっちも終わらせる。」
男がそう言うと耳飾りの光が消えた。
「………あぁ、たった今私の部下がお前の夫を捕らえたようだよ?話は終わりだ。お前ら!こいつらを捕まえろ!」
男がそう叫んだ瞬間、森から数十名の天族が現われた。母様はかなり抵抗し、数名倒すことが出来たが、相手側の数の有利は覆される事無く私達親子は呆気なく捕まってしまった。
そして天族の国へ連れて行かれ、そこの地下牢で、拷問され口を聞くのもやっとの状態の父様と再会を果たすのだった。
後で知ったことだが、この森の奥には外の世界とも繋がっている場所があり、通常であれば魔神様の加護によりその場所は閉鎖されているが、魔神様が休眠に入り、加護が消えるこの時期は外の世界から時空の狭間に来ることも可能になっていた。
私は時空の狭間の外の世界を知らなかった。同時に時空の狭間のことも良く知らなかった。それらを知ろうとしなかった事を今でも後悔している。
その日はたまたま追いかけていたウサギの様な小型の魔物が森の奥へ行ってしまい、それを追いかけている内にマリア自身も森の奥へ足を踏み入れてしまっていた。
ようやく魔物を狩り、新鮮な内に血抜き作業をしていると、銀色の耳飾りをした見知らぬ男がすぐ傍に立っていた。私がびっくりして慌てて距離を取ると、その男性は柔和な笑みを浮かべ、私に話しかけてきた。
「こんにちは、お嬢さん。おじさん、ユダって言うんだ。知り合いを尋ねに来たんだけど....君はラミアという女の人を知っているかい?おじさん、彼女のお兄さんなんだ。彼女からここにいるって知らせを貰って来たんだけど。」
そういってその人は私に写真を見せてくる。恐る近寄って写真を見てみると、幼い頃の私の母様と目の前の男性をかなり若くした男の子が笑顔で写っている物だった。それに目の前の彼をよく見ると母様と同じ白い羽根が背中から出ており、天族である事は明らかであった。
それに昔、母様にユダという兄がいると聞いた事がある。母様はあまり自分の家族について話をしたがらなかったし、写真も無かったから、母様のお兄さんを見たことはなかったが。
「……私の母様だと思う。」
そう言うと男は少し怖い顔をして私をまじまじと凝視した。
「そうか、君が神託の子か....。」
彼はブツブツ独り言をいいながら、私の瞳をじっと見つめてきた。私は居心地が悪くなり、思わず彼から視線を逸らす。
「あぁ、ごめんごめん。君の顔が妹そっくりだからついまじまじと見ちゃってね。すまないが、お母さんの所まで案内してくれないかい?」
「……いいよ。」
悩んだ末、私は母の兄だと言う天族の男を家の方へ連れて行くことにした。ここに彼を放置しようとしてもどうせ着いてくるだろうし、どうにか彼を巻いたとしても、彼がこの森で迷子になってこの極寒の中、凍死させてしまう事になったら目覚めが悪いだろう。
道中、彼はキョロキョロと周りを見渡しながら、私の後をついて来ていた。森をしばらく歩くと我が家が見えてきた。母様は洗濯物を干し終わったばかりの様で、私が帰ってきたのを見て笑みを浮かべたが、私が連れてきた人の顔を見て、顔が一瞬で強ばった。
「ユダ……!?マリア!その人から離れなさい!!!」
「え?」
私は突然の母様の大声に一瞬ぽかんとしたが、母様がいつもと違う怖い表情をしていたので、私は慌てて母様の元に駆け寄った。
「ラミア、そんなカリカリしなくても良いじゃないか。少し話をしよう?15年振りだろ?」
ユダは両手を広げ歩み寄って来ようとするが、彼から私を守るように母様は私の前に立ち、彼と対峙していた。
「貴方と話す事は何も無いわ!出て行って!!」
「私はこんなにも君を愛していたのに。あんな薄汚れた悪魔族の男にうつつを抜かしてしまって。」
薄汚れた悪魔族……父様のことを言っているのだろうか?父様より今目の前にいる彼の方が人々に慈愛を持って接すると言われている天族にも関わらずよっぽど醜悪な顔をしている。
「実の妹に懸想して汚そうとしてくる男を誰が愛すことが出来るの?さぁ、早く帰って!」
「無駄だよ。君達家族は我々に捕まるのだから。君達夫婦は禁忌を破った事で天族、悪魔族それぞれの国で指名手配されている。お前の娘も…な。」
「国は娘の事について知らないはずよ!?」
「いや、君達の娘は……天族と悪魔族それぞれの国を滅ぼす存在だと神託がそれぞれの国で下された。君達夫婦と同じく指名手配されている身だ。君達家族を捕まえた事による功績で私は大臣職が内定するだろう……それに加えて報奨金も!!!」
そう言って男は空に向かって高笑いしている。詳しい事はよく分からないが、母様が実兄を心の底から嫌悪していることは明らかだった。そして、私達家族が両親の故郷である天族の国や悪魔族の国から指名手配されていることも私は初めて知らされるのだった。
「何故ここがバレたの…?私達家族以外知らないはずなのに……。」
母様は男から目を離さないようにしつつ、ポツリと呟く。母様の独り言が聞こえたのか、男は高笑いを辞め母様の方へ顔を向けた。
「あぁ、君が逃げる時にメイドへ送ったペンダントがあっただろう?あれにかけられていた守護魔法の魔力残渣から君の魔力を割り出し逆探知したんだ。しかし、時空の狭間へ逃げられていたとは思わなかったよ。逆探知しても必ず森で途切れてしまってね。そこで思い出したんだ…魔神の存在を。悪魔族に伝わると噂される魔導書の存在を。もしかすると、別の空間、つまり異空間に君達が逃げ込んだんじゃないか…ってね。それなら魔神の力が落ちる冬の時期なら、君達の元へ向かうための何らかのヒントが掴めるんじゃないか…ってね。」
そう言って、ユダと呼ばれた男はニヤリと笑う。
「えっ…それじゃあ、あの子は…?エリーは……」
母様は青ざめた様子で男に尋ねる。
「あぁ、あのメイドかい?あのペンダントを使って自分の子供を逃がすのには成功したが、自分はあっさり私の部下に殺されたよ。反逆罪でね。あの子供も今捜索中だ。まぁ、その時発動された守護魔術に見覚えがあったから、最終的に君を見つけることが出来たのだが……君は守護魔術が一族の中でも一番得意だったからね。」
「あぁ……エリー……なんてこと!私のせいで……。」
話を聞く限り、母様が昔お世話になったメイドがこの男の部下に殺されてしまったらしい。ユダが嘲笑う中、後ろにいた私でも分かるくらい、母様はかなりショックを受けた様子だった。
すると、ユダがしていた耳飾りが突然光り、何やらそこから声が聞こえてくる。どうやら通信機のようだが、ここからでは何を言っているのか聞き取れない。
「…了解。こっちも終わらせる。」
男がそう言うと耳飾りの光が消えた。
「………あぁ、たった今私の部下がお前の夫を捕らえたようだよ?話は終わりだ。お前ら!こいつらを捕まえろ!」
男がそう叫んだ瞬間、森から数十名の天族が現われた。母様はかなり抵抗し、数名倒すことが出来たが、相手側の数の有利は覆される事無く私達親子は呆気なく捕まってしまった。
そして天族の国へ連れて行かれ、そこの地下牢で、拷問され口を聞くのもやっとの状態の父様と再会を果たすのだった。
後で知ったことだが、この森の奥には外の世界とも繋がっている場所があり、通常であれば魔神様の加護によりその場所は閉鎖されているが、魔神様が休眠に入り、加護が消えるこの時期は外の世界から時空の狭間に来ることも可能になっていた。
私は時空の狭間の外の世界を知らなかった。同時に時空の狭間のことも良く知らなかった。それらを知ろうとしなかった事を今でも後悔している。
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・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
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