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2st脱出
2st脱出ーその1-
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「随分と早いなフォレスト。何か忘れ物でも、どうした何があった?」
部屋の扉の開閉音にヴァンが戻ってきた事を察したクリスが話しながら視線を上げぎょっとする。
つい一時間程前に部屋を出て後宮へと向かったいつも笑顔を絶やさない部下が表情の抜け落ちた顔で戻ってきたのだ、誰だって何があったのかを聞くだろう。
「すみません、一度心を落ち着けて良いですか」
「あ、ああ」
疑問形ではなく決定事項の様に告げられた言葉にクリスは今はヴァンからは何も聞けないと判断し、いつもいる精霊へと声をかける。
「精霊、あいつに何があった?」
傍にいる精霊に何があったのかを聞いたがいつもなら直ぐに来る返答が無い。
いくら本体ではなく眷属が傍にいても応答は変わりなく行われていた事から何か異常事態が発生した事を理解した。
ヴァンがお茶を入れ、一息ついた辺りで再び何があったのかを聞いてみる。
「フォレスト、話せ。一体何があった」
「………が、」
「何だ? はっきり喋れ」
「アリアが、レイン王子に連れ攫われました」
「「はあ?!」」
溜息と共にそう言ったヴァンの言葉にクリスだけではなく聞き耳を立てていたラノンまでもが耳を疑った。
「連れ去らわれたって一体何があったんだい?!」
「数年前のカルロッタ姫の事件を覚えていますか?」
ヴァンの問いかけに二人が頷く。
図らずも精霊と鉱物の関係等と言う国の最重要機密を知る事になったきっかけの事件。
忘れられる訳が無い、職場に半年もの間命を狙われながら缶詰になったのだ。
ずっと職場にいるのだからと次々と仕事が増えていき、自由の利かない息苦しさと殺人的な忙しさで朦朧としながら仕事を捌いていた地獄の日々の事は思い出したくもない。
「精霊の森に二年間埋めた鉱物で作られた精霊封じの呪具を使われました」
「二年とは……また随分と計画的に行われた様だな」
「ええ、そのようです。
俺も何の備えも無く後宮に向かった訳ではなかったのですが、六体の高位精霊の他に周囲を弓兵に取り囲まれた状態では俺を守り切れないと判断したアリアが捕虜になるのと引き換えに俺の助命を願ったんです」
「なるほどねぇ。主人を想う愛ってやつだねぇ」
「愛……? そんな事、俺は願っていなかった!!
アリアの自由を奪うくらいなら、アリアと一緒なら、俺は、死んだって別に良かったんだ!」
俯き、両手を顔で押さえながらそう慟哭するヴァンにクリスとラノンは顔を見合わせる。
「フォレスト、気持ちは察するが精霊の想いをお前だけは否定するな。
お前が精霊の事を想う様にあいつだってお前に生きていて欲しいと願ったからその選択肢をとったんだろう。
なら、今お前がすべき事は何かよく考えろ」
「……はい」
「一先ず、ここは俺らに任せてお茶でも飲んで落ち着きな」
ヴァンの前のテーブルにいつの間にか淹れた紅茶を置きながらラノン乱雑にヴァンの頭を撫でまわした。
「宮廷精霊術師が精霊に危害を加えるとは……早急に王と宰相、アバ様に事の次第を報告するぞ」
早急にこの部署特有の国王陛下直行便を使い、国王と宰相、アバの三人に事の次第を報告をし、今後の指示を仰ぐ。
三人が会議を開いている間、通常業務を進める事となったがこんな状況で集中できる訳がない。
焦れる気持ちを抑えながら時を待っていると、クリスの前にぽとりと封筒が落ちた。
封蝋に押された紋章が王からの物である事を確認し、封筒の中身を読んだクリスは無言でそれをヴァンへと渡す。
三人からの指示は諦めろと言う内容であった。
更にアバの精霊によって運ばれてきた手紙にはこの件については他言無用とし、これからはアリアの代わりをアバの精霊が勤める事になると書かれている。
内容をクリスから聞いたラノンは呆然と呟く。
「まさか、王達が精霊に危害を加えるのを黙認するなんて……」
「ああ、察するにきっちり根回しまでしてあった様だな。
だが、まさか呪具をレイン王子に使わせるとは、歴代最強と呼ばれているお方故に使用を許可されていてもなんら可笑しくはないが……王達は一体何を考えておられるのだ?」
一介の精霊使いと歴代最強と呼ばれる精霊術師ではどちらを取るかは理解できるが、それと感情は別物だ。
手紙を握り潰し、戦慄くヴァンに内容を察したラノンが気づかわし気に声をかける。
「えっと、これからどうするんだい?」
「……アリアを取り戻します」
「止めておけ、無駄だ」
「無駄だとしてもやらなければならないんです。あいつは俺の恩人で、家族で、大切な人なんだ」
「だが、どうすると言うんだ? お前は霊眼持ちではない上に相手は六体もの高位精霊を従えているのだぞ」
「策はあります。けれども、今の俺一人の力では到底アリアを取り戻す事なんてできない。
無理を承知でお願いします。俺に、力を貸して下さい」
椅子から立ち上がり、二人へと頭を下げるヴァンはそのまま言葉を続ける。
「勿論、難しいとは思います。相手は歴代で最強の精霊術師、危険な目に合う可能性は高い。だから」
「馬鹿か貴様は」
「いたっ!」
ヴァンの頭を叩いたクリスはそのまま頭を鷲掴みにして顔を上げさせる。
「命の危険程度で俺達が断ると思っているのか、だとしたら随分と舐められたものだ」
「そうそう、命の危険だけで引き下がるならカルロッタ姫の時にさっさと尻尾撒いて逃げ出してるっての。水臭いなー」
ヴァンの肩にラノンが腕を回す。
「この部署に配属された時から俺達は一連托生だろ?」
王国情報管理部。
表向きは扱いに困る人材を放り込むごみ溜めと呼ばれているがその内情は王国内のありとあらゆる情報を集め精査し、必要な情報を必要な場所へ届け、癒着や横領の検挙等を務める部署。
通称、暗部と呼ばれる組織である。
この部署の真価を知るのは国王と宰相、精霊術師長のアバのみとされ、王位継承権第一位であるスティーブンですら知らされていない。
管理部の他の人員は国内の各地に飛び、情報を集める任務に就いているため、中央に集まった情報はこの三人だけで管理されているのだ。
アリアは風の精霊と言うだけあって各地の仲間からの伝達を受け取り、又、伝えたり聞かれてはまずい内容の話をする時の防音などに重宝されていた。
いくらアバが代わりを務めるとは言っても宮廷精霊術師長としての仕事もあり多忙な彼女では手が回り切れない事もあるだろう。
「勘違いするなよ別にお前の為ではない、王の真意を確かめるためだ。
それと精霊が居なくなっただけでも業務上の大きな損失と言うのもあるが、精霊を尊ぶこの国で精霊を傷付ける行為を見過ごす事は許されるべきではない。
それに、今はあの精霊だけかもしれんがいずれ他の精霊術師達の精霊にも手を出さないとは言いきれん。そうなっては国防に大きな影響を及ぼし、ひいては国の衰退に繋がる。
俺は王に仕えている訳ではない、国に仕えているんだ。
故に、例え王の意思にそぐわなかったとしても王国の未来の為にも救出する必要があるだけだ」
ふんっと鼻を鳴らしながらそう言いきったクリスにヴァンは再び頭を下げた。
・・・・・・
ヴァンの策を聞く前に一息つこうと茶を飲みながら雑談をする。
「それにしても随分と落ち着いているね、てっきりもっと取り乱すかと思ったんだけど」
「そうだな。意外と冷静だ」
二人の言葉にヴァンは薄い笑みを浮かべた。
「冷静? 落ち着いている? はっ、とんでもない。たった一人の愛する家族を奪われたんだ、腸が煮えくり返っていますよ」
ヴァンの手にしていたカップがミシリッと音を立てる。
「あのガキ、こっちが甘い顔をしていたらいい気になりやがって。歴代最強だかなんだか知らんがアリアは取り戻してみせる。必ずな」
ふふふふふと笑いを零すヴァンを見てラノンがクリスへと耳打ちをした。
「怒りが臨界突破してるっすよ、アレ」
「ああ。ラノン、お前よく見張っておけよ。相談も無く何かやらかしそうになったら全力で止めろ」
「了解っす」
部屋の扉の開閉音にヴァンが戻ってきた事を察したクリスが話しながら視線を上げぎょっとする。
つい一時間程前に部屋を出て後宮へと向かったいつも笑顔を絶やさない部下が表情の抜け落ちた顔で戻ってきたのだ、誰だって何があったのかを聞くだろう。
「すみません、一度心を落ち着けて良いですか」
「あ、ああ」
疑問形ではなく決定事項の様に告げられた言葉にクリスは今はヴァンからは何も聞けないと判断し、いつもいる精霊へと声をかける。
「精霊、あいつに何があった?」
傍にいる精霊に何があったのかを聞いたがいつもなら直ぐに来る返答が無い。
いくら本体ではなく眷属が傍にいても応答は変わりなく行われていた事から何か異常事態が発生した事を理解した。
ヴァンがお茶を入れ、一息ついた辺りで再び何があったのかを聞いてみる。
「フォレスト、話せ。一体何があった」
「………が、」
「何だ? はっきり喋れ」
「アリアが、レイン王子に連れ攫われました」
「「はあ?!」」
溜息と共にそう言ったヴァンの言葉にクリスだけではなく聞き耳を立てていたラノンまでもが耳を疑った。
「連れ去らわれたって一体何があったんだい?!」
「数年前のカルロッタ姫の事件を覚えていますか?」
ヴァンの問いかけに二人が頷く。
図らずも精霊と鉱物の関係等と言う国の最重要機密を知る事になったきっかけの事件。
忘れられる訳が無い、職場に半年もの間命を狙われながら缶詰になったのだ。
ずっと職場にいるのだからと次々と仕事が増えていき、自由の利かない息苦しさと殺人的な忙しさで朦朧としながら仕事を捌いていた地獄の日々の事は思い出したくもない。
「精霊の森に二年間埋めた鉱物で作られた精霊封じの呪具を使われました」
「二年とは……また随分と計画的に行われた様だな」
「ええ、そのようです。
俺も何の備えも無く後宮に向かった訳ではなかったのですが、六体の高位精霊の他に周囲を弓兵に取り囲まれた状態では俺を守り切れないと判断したアリアが捕虜になるのと引き換えに俺の助命を願ったんです」
「なるほどねぇ。主人を想う愛ってやつだねぇ」
「愛……? そんな事、俺は願っていなかった!!
アリアの自由を奪うくらいなら、アリアと一緒なら、俺は、死んだって別に良かったんだ!」
俯き、両手を顔で押さえながらそう慟哭するヴァンにクリスとラノンは顔を見合わせる。
「フォレスト、気持ちは察するが精霊の想いをお前だけは否定するな。
お前が精霊の事を想う様にあいつだってお前に生きていて欲しいと願ったからその選択肢をとったんだろう。
なら、今お前がすべき事は何かよく考えろ」
「……はい」
「一先ず、ここは俺らに任せてお茶でも飲んで落ち着きな」
ヴァンの前のテーブルにいつの間にか淹れた紅茶を置きながらラノン乱雑にヴァンの頭を撫でまわした。
「宮廷精霊術師が精霊に危害を加えるとは……早急に王と宰相、アバ様に事の次第を報告するぞ」
早急にこの部署特有の国王陛下直行便を使い、国王と宰相、アバの三人に事の次第を報告をし、今後の指示を仰ぐ。
三人が会議を開いている間、通常業務を進める事となったがこんな状況で集中できる訳がない。
焦れる気持ちを抑えながら時を待っていると、クリスの前にぽとりと封筒が落ちた。
封蝋に押された紋章が王からの物である事を確認し、封筒の中身を読んだクリスは無言でそれをヴァンへと渡す。
三人からの指示は諦めろと言う内容であった。
更にアバの精霊によって運ばれてきた手紙にはこの件については他言無用とし、これからはアリアの代わりをアバの精霊が勤める事になると書かれている。
内容をクリスから聞いたラノンは呆然と呟く。
「まさか、王達が精霊に危害を加えるのを黙認するなんて……」
「ああ、察するにきっちり根回しまでしてあった様だな。
だが、まさか呪具をレイン王子に使わせるとは、歴代最強と呼ばれているお方故に使用を許可されていてもなんら可笑しくはないが……王達は一体何を考えておられるのだ?」
一介の精霊使いと歴代最強と呼ばれる精霊術師ではどちらを取るかは理解できるが、それと感情は別物だ。
手紙を握り潰し、戦慄くヴァンに内容を察したラノンが気づかわし気に声をかける。
「えっと、これからどうするんだい?」
「……アリアを取り戻します」
「止めておけ、無駄だ」
「無駄だとしてもやらなければならないんです。あいつは俺の恩人で、家族で、大切な人なんだ」
「だが、どうすると言うんだ? お前は霊眼持ちではない上に相手は六体もの高位精霊を従えているのだぞ」
「策はあります。けれども、今の俺一人の力では到底アリアを取り戻す事なんてできない。
無理を承知でお願いします。俺に、力を貸して下さい」
椅子から立ち上がり、二人へと頭を下げるヴァンはそのまま言葉を続ける。
「勿論、難しいとは思います。相手は歴代で最強の精霊術師、危険な目に合う可能性は高い。だから」
「馬鹿か貴様は」
「いたっ!」
ヴァンの頭を叩いたクリスはそのまま頭を鷲掴みにして顔を上げさせる。
「命の危険程度で俺達が断ると思っているのか、だとしたら随分と舐められたものだ」
「そうそう、命の危険だけで引き下がるならカルロッタ姫の時にさっさと尻尾撒いて逃げ出してるっての。水臭いなー」
ヴァンの肩にラノンが腕を回す。
「この部署に配属された時から俺達は一連托生だろ?」
王国情報管理部。
表向きは扱いに困る人材を放り込むごみ溜めと呼ばれているがその内情は王国内のありとあらゆる情報を集め精査し、必要な情報を必要な場所へ届け、癒着や横領の検挙等を務める部署。
通称、暗部と呼ばれる組織である。
この部署の真価を知るのは国王と宰相、精霊術師長のアバのみとされ、王位継承権第一位であるスティーブンですら知らされていない。
管理部の他の人員は国内の各地に飛び、情報を集める任務に就いているため、中央に集まった情報はこの三人だけで管理されているのだ。
アリアは風の精霊と言うだけあって各地の仲間からの伝達を受け取り、又、伝えたり聞かれてはまずい内容の話をする時の防音などに重宝されていた。
いくらアバが代わりを務めるとは言っても宮廷精霊術師長としての仕事もあり多忙な彼女では手が回り切れない事もあるだろう。
「勘違いするなよ別にお前の為ではない、王の真意を確かめるためだ。
それと精霊が居なくなっただけでも業務上の大きな損失と言うのもあるが、精霊を尊ぶこの国で精霊を傷付ける行為を見過ごす事は許されるべきではない。
それに、今はあの精霊だけかもしれんがいずれ他の精霊術師達の精霊にも手を出さないとは言いきれん。そうなっては国防に大きな影響を及ぼし、ひいては国の衰退に繋がる。
俺は王に仕えている訳ではない、国に仕えているんだ。
故に、例え王の意思にそぐわなかったとしても王国の未来の為にも救出する必要があるだけだ」
ふんっと鼻を鳴らしながらそう言いきったクリスにヴァンは再び頭を下げた。
・・・・・・
ヴァンの策を聞く前に一息つこうと茶を飲みながら雑談をする。
「それにしても随分と落ち着いているね、てっきりもっと取り乱すかと思ったんだけど」
「そうだな。意外と冷静だ」
二人の言葉にヴァンは薄い笑みを浮かべた。
「冷静? 落ち着いている? はっ、とんでもない。たった一人の愛する家族を奪われたんだ、腸が煮えくり返っていますよ」
ヴァンの手にしていたカップがミシリッと音を立てる。
「あのガキ、こっちが甘い顔をしていたらいい気になりやがって。歴代最強だかなんだか知らんがアリアは取り戻してみせる。必ずな」
ふふふふふと笑いを零すヴァンを見てラノンがクリスへと耳打ちをした。
「怒りが臨界突破してるっすよ、アレ」
「ああ。ラノン、お前よく見張っておけよ。相談も無く何かやらかしそうになったら全力で止めろ」
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