天空の魔女 リプルとペブル

やすいやくし

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34.魔法の力の秘密

天空の魔女 リプルとペブル

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34.魔法の力の秘密

 ふとそのとき、リプルは幼い頃からよく見る悪夢を思い出した。

 災害にあったらしい知らない場所で小さな女の子に出会う夢だ。
「魔法なんてウソ。魔法使いなんて、いない」
 そうつぶやきながら歩く女の子に、新たな脅威きょういが迫る。

 地面を切り裂きながら走る黒い地割れ。そこにバラバラと落ちていく人たち。
 リプルは思わず「逃げて!」と、叫ぶ。

 しかし、なすすべもなく地上の人たちは黒い地割れに次々とのまれていく。
「なんで、みんな魔法を使わないの!?」
 使わないんじゃない。使えないんだ。彼らは魔法を持っていない。

 迫る地割れから逃げる女の子を助けようと手を伸ばしたした瞬間、リプル自身も竜巻に飲み込まれて飛ばされ、そこでいつも目が覚める。



 目覚めたあとに感じるのは、女の子やたくさんの人たちを助けられなかったという悔い。
 自分だけ空に逃げていることの罪悪感。
 
 先生の話を聞いたリプルは、あの夢の意味を理解した。
 イザベスが、ほつれ髪をくるくると指でもてあそびながら他人事みたいに言う。
「あら、何もわたくしたちが助けてあげなくても、地球の人たちが自分たちで戦えばいいんじゃないんですの? なにも関係ない人たちのためにわたくしたちが危険にさらされるなんて理不尽ですわ」

 リプルは思わずイザベスに言いかえしていた。
「私たちには、魔法という特別な力がある。でも、地球の人たちは魔法が使えない。だから、私たちが守ってあげなきゃいけない」
 静かだけど、決意にみちたリプルに気をのまれたのか、イザベスは「あら、そう」とつぶやき黙ってしまった。

「あのー、闇の天魔たちが地球でウェ~イってなると、どうなるんですか?」
 まるで映画の結末をたずねるかのように、ペブルがのんきに聞く。

 先生は、澄んだ目でまるで1+1の答えを言うかのように答えた。
「魔法の世界も滅ぶでしょうね。地球上の生物が亡べば、私たちは魔法が使えなくなりますから」
「魔法が使えなくなる!?」
 生徒たちがざわつく。

「じつは、魔法使いと地球上の生物の間には目に見えない絆があるのです。地球上の生物たちは寿命を終えるときに肉体から魂が抜け出ます。その魂が天にあがってくる。それが私たちの魔力のもとになっているのです」

(私たちの魔力のもとは、地球上の生物の魂だったんだ。そんな大切な力を私たちは使わせてもらっていたんだ)
 リプルは心がふるえた。
 ペブルも改めてことの重大さに気づき、ゴクリをつばを飲み込んだ。

 先生は、一息いれると生徒たち一人ひとりの目をしっかりと見つめた。それから、祈るように言った。
「私たちは魔女として生を受けた以上、闇の天魔たちから、ひとつでも多くの命を救うという、使命を果たさなければなりません。私は、一人の教師として、皆さんが誇りをもって魔女としての使命を受け入れてくれることを望みます」
 
 先生の話が終わってからしばらくの間、生徒たちは誰も言葉を発することができなかった。
 リプルは、静かに先生の言葉を胸の中でかみしめていた。子どもの頃から、どうして自分たちが魔法を勉強しているのか、そのことをずっと不思議に思っていた。
 
 そして、自分の中でまるでメッセージのように繰り返し見る悪夢。
 その理由が今、こうして明らかにされたのだ。
 最初はおののいていたリプルの心に、やがて強い気持ちがわいてきた。

 魔法は、自分たちのためだけの物ではなかったのだ。
 地球上に暮らす生き物たちの命を守るために私たちにたくされた力だったのだ。
 私たちが学んでいる魔法が人や動物を救う力になる。リプルの胸に小さな灯りのような物がともった。
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