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36.闇の天魔に追われるふたり
天空の魔女 リプルとペブル
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36.闇の天魔に追われるふたり
ほどなくして彼らの背後から、ゴロンゴロンといびつな球体がいくつもくっついたブドウのような形をした黒い物が、二人を追うように転がってくるのが見えた。
「何! あれ?」
二人を追ってくる物体は、リプルたちがこれまで目にしたことない物だった。そして、明らかにまがまがしい気を放っている。
「あれも、闇の天魔?」
リプルは緊張した声で言う。
「だよね、色・形ともに悪者感まんさいだもん」
と、ペブル。
「怖い」
マーサは小さく震えている。
闇の天魔との遭遇に、みんなは緊張につつまれる。
「あの人たちを助けなきゃ」
恐怖を振り払って、リプルはすばやくみんなに指示を出した。
「マーサ、一緒に唱えて。あの人たちが乗っている馬が駆けるスピードを上げる魔法を使うわよ。ペブルとイザベスはあの化け物を足止めして」
「わかった」
マーサが短く応じると、ペブルも
「了解! ようし」
と、力こぶを作った。そして、地面をなでながら呪文をとなえると、地面からムクムクとたくさんの泥団子が現れた。
「え? なんで今、泥団子かなぁ」
ペブルは、両手に泥団子を持って、困惑した表情をしていたが、近くにあったバスケットを見つけてニヤリと笑った。
遅れてゆっくり歩きながらやってきたイザベスは、
「やっかいごとは、ごめんですわ」
と、言いながら、とりあえず自分の髪をスカーフで覆った。そんなイザベスに
「イザベス、これを団子につめて」
と、ペブルが取り出した葉を素手でなにげなくつかんだイザベスは顔色を変えた。
「これ、リギン草じゃないの、くっさーい」
「いいから、早くこの中につめて」
「もう~匂いが手につくではありませんか」
イザベスはぶつぶつ言っていたが、ふと追われている人影に目を止めたとたん、その目が怪しく光り、人が変わったようにせっせとリギン草を土団子につめはじめた。
「ようし、ペブル特製、『臭くて涙でちゃう泥団子』完成! くらえ~闇の天魔!!」
そう叫ぶと、ペブルは、リギン草が入った土団子を魔法で爆弾のように黒ブドウめがけて投げつけた。こういうやんちゃな魔法を使う時のペブルは、妙に生き生きしている。
泥団子のいくつかが、黒ブドウのような形をした闇の天魔にぶつかった。最初は戸惑ったように立ち止まった黒ブドウは、何かにおびえたかのように、硬直した。
ペブルは次から次へとリギン草入り泥団子を闇の天魔めがけて投げつける。
ブドウのような形をした闇の天魔たちは、逃げる馬を見送っていたが、やがて、ゆっくりと地面の中へと吸い込まれていった。
その間に、乗馬のふたりはリプルたちのいる丘へと駆け上がってきた。
「ありがとう。助かったよ」
そう、お礼をいいながら馬から下りたのは、少年だった。
リプルたちと同じ年くらいだろうか。
その人が、黒いマントのフードを外すと、青い目と薄く金色に輝く髪が現れた。
ほどなくして彼らの背後から、ゴロンゴロンといびつな球体がいくつもくっついたブドウのような形をした黒い物が、二人を追うように転がってくるのが見えた。
「何! あれ?」
二人を追ってくる物体は、リプルたちがこれまで目にしたことない物だった。そして、明らかにまがまがしい気を放っている。
「あれも、闇の天魔?」
リプルは緊張した声で言う。
「だよね、色・形ともに悪者感まんさいだもん」
と、ペブル。
「怖い」
マーサは小さく震えている。
闇の天魔との遭遇に、みんなは緊張につつまれる。
「あの人たちを助けなきゃ」
恐怖を振り払って、リプルはすばやくみんなに指示を出した。
「マーサ、一緒に唱えて。あの人たちが乗っている馬が駆けるスピードを上げる魔法を使うわよ。ペブルとイザベスはあの化け物を足止めして」
「わかった」
マーサが短く応じると、ペブルも
「了解! ようし」
と、力こぶを作った。そして、地面をなでながら呪文をとなえると、地面からムクムクとたくさんの泥団子が現れた。
「え? なんで今、泥団子かなぁ」
ペブルは、両手に泥団子を持って、困惑した表情をしていたが、近くにあったバスケットを見つけてニヤリと笑った。
遅れてゆっくり歩きながらやってきたイザベスは、
「やっかいごとは、ごめんですわ」
と、言いながら、とりあえず自分の髪をスカーフで覆った。そんなイザベスに
「イザベス、これを団子につめて」
と、ペブルが取り出した葉を素手でなにげなくつかんだイザベスは顔色を変えた。
「これ、リギン草じゃないの、くっさーい」
「いいから、早くこの中につめて」
「もう~匂いが手につくではありませんか」
イザベスはぶつぶつ言っていたが、ふと追われている人影に目を止めたとたん、その目が怪しく光り、人が変わったようにせっせとリギン草を土団子につめはじめた。
「ようし、ペブル特製、『臭くて涙でちゃう泥団子』完成! くらえ~闇の天魔!!」
そう叫ぶと、ペブルは、リギン草が入った土団子を魔法で爆弾のように黒ブドウめがけて投げつけた。こういうやんちゃな魔法を使う時のペブルは、妙に生き生きしている。
泥団子のいくつかが、黒ブドウのような形をした闇の天魔にぶつかった。最初は戸惑ったように立ち止まった黒ブドウは、何かにおびえたかのように、硬直した。
ペブルは次から次へとリギン草入り泥団子を闇の天魔めがけて投げつける。
ブドウのような形をした闇の天魔たちは、逃げる馬を見送っていたが、やがて、ゆっくりと地面の中へと吸い込まれていった。
その間に、乗馬のふたりはリプルたちのいる丘へと駆け上がってきた。
「ありがとう。助かったよ」
そう、お礼をいいながら馬から下りたのは、少年だった。
リプルたちと同じ年くらいだろうか。
その人が、黒いマントのフードを外すと、青い目と薄く金色に輝く髪が現れた。
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