天空の魔女 リプルとペブル

やすいやくし

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111.リプルの魔石

天空の魔女 リプルとペブル

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111.天空の魔石

 うっすらと明るくなりはじめた朝焼けの空を背景に、二つの影が追いついたり離れたりしている。
「あの二人は相性、最悪かも」
 リプルがため息をつきながら言った。

「そうかな? やっぱり、気が合うんだと思うよ」
 笑いながらジールが答える。
 そして、ふと、隣にいるリプルを見下ろしながら、ジールは小声でつぶやいた。

「ねえ、リプル。僕の使い魔が君にすぐなついたのって、君が狼の魂を持っているからなんだね」
 その時、朝鳥たちが一斉に羽ばたき、二人の頭上を西の方へ飛び去っていった。
 鳥たちは、『パピプッペペペペ、ポポポポーン』と、変わった鳴き声の大合唱をしながら空を行く。
 ジールの言葉は、鳥の変な鳴き声と羽音にかき消されてしまった。

「何か言った?」
 リプルの問いにジールは笑顔で左右に首を振った。
「僕ら、いい冒険チームだったよね。楽しかった」

「私の冒険は、これで終わったわけじゃないわ。まだまだ学びたいことがたくさんあるし、それに闇の天魔たちの塔をたった一つ壊しただけだもん。闇の天魔たちから地球の上の人たちの命をまもらなきゃ」
 その頬に、さっとハケで刷いたように朝日が金色の光を一筋投げかけた。

「まぶしい」
 リプルが目を閉じ、再び目を開いた時、目の前に突然、七色に輝く石が姿を現した。
 リプルは、おそるおそる手を伸ばし輝く石を受け止めた。
 リプルの胸が高鳴る。

「これは、もしかして私の天の魔石……」
 リプルの手のひらの上で、それは虹色に輝いていた。
 透明な石の中に輝く光が灯っていて、それが赤、青、緑、黄色……と次から次へと色を変えながらに美しい光を放っていく。

「これは、天空の天の魔石か!?」
 ジールが信じられないというように頭をふった。

「天空の?」
「そうだ。何十年、いや何百年かに一度、この石を手にする魔法使いがいるという伝説の石だよ。まさかそれを目にする機会があるなんて」
 ジールは感動を押さえきれないといった様子だ。

「私が、そんなすごい物を持っていていいのかな」
 リプルは、少し怖くなってうつむいた。
 自分がこの先、何か大きな運命に導かれていくように感じられたからだった。

「もちろんだよ。君にはその資格がある」
 ジールの言葉にリプルは、顔を上げた。
 信頼している人の心のこもった言葉以上に心強い励ましはない。

 リプルはジールの目をしっかりと見返した。
「ありがとう。ジールにそう言われると、勇気がわいてくる」

 ジールは、リプルにむかってほほ笑んだ。
「それに君ひとりで背負わなくてもいい。僕ら、みんながついている」

 リプルは胸が晴れ晴れとしてくるのを感じた。
 迷いは消え去ったようだ。 
「私……この石に恥じないような魔女になる。そして、一人でも多くの人を助けたい」
 リプルは、目を上げると天に向かって誓うようにそう言った。
 その目に映った空は、朝の薄紫色から、晴れやかな青空へと生まれかわろうとしていた。

(おわり)
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