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第四章

七話【ジルの郷】

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張り切っているスワロが上空に大きな光剣を出すと、団子状に固まるムカデに振り下ろす!

巨大な団子を両断すると、バラけるムカデが襲いかかって来る!

ムカデは5匹いたが、スワロの初撃で2匹を残し短くなっていた。

だが、切れた体の一部も動き暴れている!

スワロが次の光剣を出す間に、襲い向かって来るムカデを、地面から生えた蔓が絡まり、動きを止める!

「おっ! やるな~ ドラミ」

だが、しぶとく暴れるムカデ!

上空には、無数の細い光剣がビリビリと放電していた。

振り下ろした杖を追って、上空の針が木の根に動きを封じられたムカデに降り注ぐ!

刺さると針同士が放電しあい、明るく辺りを照らし消えて行く。

動きを止めたムカデは全て、体から煙をあげていた。



「惣一郎、来るで!」

岩山の向こうから、長い棘の付いた脚を伸ばし、緑の巨体が姿を現す!

近くまで来ていた蟲を、ドラミが呼んでいたのだろう。

前にも見た、サカダチコノハナナフシ!

硬そうだな…… っと、サーチでその存在を知っていた惣一郎も、驚かずに迎え撃つ。

ノソノソと近付くナナフシが、ムカデの死骸に齧りつく!

惣一郎は小瓶を飛ばし、巨大なナナフシの顔に叩きつけると、中の粉が舞う。

ギシギシと脚を交互に下げ、後ずさり泡を吹く!

スワロの巨大な光る青龍刀がグルンと、蟲の背に叩きつけられるが、地面に押し付けるだけで、切る事が出来なかった。

だが蟲の背中は押し潰され凹んでいる。

長い脚を広げ、地面に押し付けられたナナフシを、地面を割り現れた蔓が巻き付き、動きを封じる!

歩いて近付く惣一郎が、さらに顔に瓶を飛ばし、もがき泡がはみ出す口の中で割れる。

雲に覆われた上空で、オレンジ色にまで熱を帯び回転する、惣一郎の銀の槍が、ナナフシを串刺しにしていく。

「スワロ!」

すると準備していたスワロが、杖を振り下ろす!

いつの間にか上空を黒い雲が広がり、所々で光ると、大きな雷が蟲と空を眩しく繋ぐ!

ドッゴーーーーン! ゴゴゴゴゴゴ~

「やっぱ雷と相性良いな」

「主人♡」

煙をあげ、完全に動かなくなったナナフシを収納し、ツリーハウスに向かって、

「もういいぞ!」

っと、声を上げる。

木から飛び出すジルが、真っ直ぐ洞窟に向かって走っていく。

追いかけてゾロゾロと出て来るゴゴ達、村人。

木の中から見ていた様で、みんな驚きの表情で倒したムカデを見ていた。

惣一郎はスワロと、ジルを追いかけていく。




ムカデじゃ入れない大きさの入り口で惣一郎が、奥へ進んでいくと、光が射し込む薄暗い空洞に数軒の家の様な古屋が並んでいた。

その村の至る所から現れる人影に、ジルが地面に座り込んで、

「良かった…… 間に合った……」

っと、涙を流す。

「ミネルバか?」

フラフラと、弱った年配の男が近付き、ジルに話しかける。

メイド服に見違えた、ジルの本名なのだろう。

「生きていたのかミネルバ!」

「父上! 勇者様が、勇者様が助けに来てくれました! もう蟲はいません!」

現れた村人は14人だけであった。

「他の者は?」

「残されたのは、これだけだ……」







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