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第四章
二十三話【惣一郎の悩み】
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引っ切り無しに集まる村人で、狭い寝室からベッドごとリビングへ移される惣一郎。
ドワーフ達はとうとう足元で宴会を始めやがった。
「しかし主人よ、あの人型の蟲は一体何だったのだ?」
惣一郎の顔のすぐ横で、ベッドに腰を下ろすスワロが、蟲の王に付いて聞いてくる。
「そうか、スワロは知らなかったか」
「なんやスワロ、上位種見た事ないんか?」
あれ、こっちじゃ王じゃ無く上位種なのか?
「私も初めて見ました!」
「俺もです!」
体のデカいゴゴとジジのおかげで、寝室から移動するハメになった惣一郎……
ベッドの脇に胡座をかいて座っているのに、惣一郎を見下ろしながら話すゴゴとジジ。
「そんな物がいるのですか?」
ミネアも知らなかったらしい……
「災難だったな惣一郎殿。しかし上位種まで倒すとは、さすが勇者なのだな! おっと、勇者は禁止だったか」
リザードマンのギネアが大きな荷物を持って、奴隷商のキューテッド達と出発の挨拶に来ていた。
胸には魔石の欠片が埋め込まれた首飾りが光っていた。
ミネアがコールの陣を覚えたので、早速ドワーフ達が魔導具を作ってくれたのだが、距離が離れるとコールに魔力が相当必要になる為、惣一郎以外は結局、緊急時しか使えない物になった。
その試作品を携え、ギネア達が計画にあった仲間集めの旅に出発する事になったのだが……
ベッドの上で締まらない見送りになってしまった。
惣一郎はギネアに作っておいた、杖にも槍にもなる武器と路銀を渡す。
魔石が埋め込まれたジュラルミンの長い棒の先端に、ネットで買った薙刀[河内守国助]の刀身をドワーフ達に付け替えてもらった物だ。
「すまんなギネア、ちゃんと見送り出来ず」
「あっははは、問題ない! 役目は果たす。ココを頼んだぞ!」
「ああ、何かあればいつでもコールしてくれ」
「ああ、蟲の情報もあれば報告しよう! では行くぞお前ら!」
「「「 ヒィー! 」」」
ショッ○ーかよ!
「キューテッド達も、気を付けてな!」
「はっ、はい! が、頑張ります」
こうして4人が、この街から旅立った。
「話を戻すが主人よ、その上位種とは結構いるものなのか?」
「数は分からんが、さっきのはきっと弱い部類だろう…… 運も良かったが、やはり前衛が居ないと戦闘が厳しくなってくるな」
世界を渡ったミルドラの様な強敵は、さすがに居ないだろうが、蟻の女王でもサーチを併用しなければ見えない速さだ。
もっと上がいたら、魔導士の惣一郎達では厳しい戦いになる。
「素早い前衛か…… 我々騎士の中では、ジャニーぐらいだな」
ジャニーが素早いと言っても身軽な程度。
反射速度では到底及ばない。
「そう言えばさっきのカウボーイ、蟻に素早く反応してたな」
「主人よ、却下だ!」
「なんや好かれとったやないか? スワロが言えば来るんちゃうか?」
「無理だ、生理的に受けつけん!」
あはは、分からなくもない……
「武器も使わず、ようやっとったやないか」
確かに。
「そう言えば、背中に魔法陣が光ってたな」
「身体に…… って事はプロットの魔法かと」
っと、ミネアがすぐに気付く。
身体強化魔法か……
魔力量に応じて力が増す、弁慶も使っていた魔法だった。
色々工夫しているのだな~
感心する惣一郎が前衛に悩みながら、数日安静にしている間に、街では上位種を倒した勇者の話が瞬く間に広まっていた。
ドワーフ達はとうとう足元で宴会を始めやがった。
「しかし主人よ、あの人型の蟲は一体何だったのだ?」
惣一郎の顔のすぐ横で、ベッドに腰を下ろすスワロが、蟲の王に付いて聞いてくる。
「そうか、スワロは知らなかったか」
「なんやスワロ、上位種見た事ないんか?」
あれ、こっちじゃ王じゃ無く上位種なのか?
「私も初めて見ました!」
「俺もです!」
体のデカいゴゴとジジのおかげで、寝室から移動するハメになった惣一郎……
ベッドの脇に胡座をかいて座っているのに、惣一郎を見下ろしながら話すゴゴとジジ。
「そんな物がいるのですか?」
ミネアも知らなかったらしい……
「災難だったな惣一郎殿。しかし上位種まで倒すとは、さすが勇者なのだな! おっと、勇者は禁止だったか」
リザードマンのギネアが大きな荷物を持って、奴隷商のキューテッド達と出発の挨拶に来ていた。
胸には魔石の欠片が埋め込まれた首飾りが光っていた。
ミネアがコールの陣を覚えたので、早速ドワーフ達が魔導具を作ってくれたのだが、距離が離れるとコールに魔力が相当必要になる為、惣一郎以外は結局、緊急時しか使えない物になった。
その試作品を携え、ギネア達が計画にあった仲間集めの旅に出発する事になったのだが……
ベッドの上で締まらない見送りになってしまった。
惣一郎はギネアに作っておいた、杖にも槍にもなる武器と路銀を渡す。
魔石が埋め込まれたジュラルミンの長い棒の先端に、ネットで買った薙刀[河内守国助]の刀身をドワーフ達に付け替えてもらった物だ。
「すまんなギネア、ちゃんと見送り出来ず」
「あっははは、問題ない! 役目は果たす。ココを頼んだぞ!」
「ああ、何かあればいつでもコールしてくれ」
「ああ、蟲の情報もあれば報告しよう! では行くぞお前ら!」
「「「 ヒィー! 」」」
ショッ○ーかよ!
「キューテッド達も、気を付けてな!」
「はっ、はい! が、頑張ります」
こうして4人が、この街から旅立った。
「話を戻すが主人よ、その上位種とは結構いるものなのか?」
「数は分からんが、さっきのはきっと弱い部類だろう…… 運も良かったが、やはり前衛が居ないと戦闘が厳しくなってくるな」
世界を渡ったミルドラの様な強敵は、さすがに居ないだろうが、蟻の女王でもサーチを併用しなければ見えない速さだ。
もっと上がいたら、魔導士の惣一郎達では厳しい戦いになる。
「素早い前衛か…… 我々騎士の中では、ジャニーぐらいだな」
ジャニーが素早いと言っても身軽な程度。
反射速度では到底及ばない。
「そう言えばさっきのカウボーイ、蟻に素早く反応してたな」
「主人よ、却下だ!」
「なんや好かれとったやないか? スワロが言えば来るんちゃうか?」
「無理だ、生理的に受けつけん!」
あはは、分からなくもない……
「武器も使わず、ようやっとったやないか」
確かに。
「そう言えば、背中に魔法陣が光ってたな」
「身体に…… って事はプロットの魔法かと」
っと、ミネアがすぐに気付く。
身体強化魔法か……
魔力量に応じて力が増す、弁慶も使っていた魔法だった。
色々工夫しているのだな~
感心する惣一郎が前衛に悩みながら、数日安静にしている間に、街では上位種を倒した勇者の話が瞬く間に広まっていた。
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