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第六章
十五話【謎の女】
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手脚が伸び、這いつくばる銀髪のダークエルフ!
口元から生えた牙が左右の顎に変わり、いつのまにか額に触覚を生やしていた。
目は相変わらず、気持ち悪い!
「ベンゾウ!」
ベンゾウの足場にと、盾を数枚その蟲女の周りに浮かすと、盾を蹴る閃光が伸びる!
振り下ろされた小刀を、服を破り現れた腹部の針が反り返り受け止め、左腕を振り払う様にベンゾウに掴み掛かる蟲女!
ふわりと躱すベンゾウが、逆手で斬り掛かるが、ダン!っという音と共に、石の祭壇の一部を砕き盾の隙間をすり抜け、惣一郎に襲い掛かる!
先の尖った槍が正面から迎え撃つと、体を捻り器用に躱す中、伸びる手が今度は惣一郎に掴み掛かる!
だが惣一郎が幻腕で伸びた蟲の腕を逆に掴むと、そのまま後ろの壁に叩きつける!
岩壁に凹みを作るが、すぐ様別の脚が鋭く惣一郎に伸びる!
見える!
以前なら素早い攻撃が見えず、串刺しなる所だったが、円盤が伸びた腕を切り落とし距離をかせぐ!
赤い血を吹き出し、失くした腕を引く蟲女に、ベンゾウがふわりと前をすり抜けると、別の場所からまた血が噴き出る!
2本の脚を失った蟲女。
痛みを感じないのか、距離を取り低く構える!
惣一郎の幻腕に握られた腕が、ギシギシと動く。
「気持ち悪!」
強さは上位種と変わりなさそうだ。
チチチチッチ! ヨグモ……
あの顎では上手く喋れないのか、蟲の様な鳴き声を上げる。
急に目の前に現れたベンゾウの横一閃を、後ろに飛び、間一髪躱す蟲女!
だが、タイミング良く降る槍に貫かれ、地面に縫い付けられる!
スワロがいれば、ここで雷撃なんだが!
体と地面の隙間に生えた槍を掴み、踠く蟲女。
間髪入れず、ベンゾウが踠きながらも攻撃してくる蟲女の腕を躱しながらすり抜けると、その首がコロンっと落ちる。
体は踠き続けるが、落ちた顔の目の中で、緑のリングがゆっくりと動きを止める。
斬られた胴体から割れた魔石が落ちると、胴体もゆっくりと動かなくなる。
惣一郎は、カタツムリに寄生し行動を操る寄生虫を思い出す。
人に近い蟲…… そして寄生蟲。
操られていたのか?
「早くスワロを取り戻さないと……」
遺体を調べる為に収納すると、ボトッと透明なナメクジの様な透明な何かが、2つ落ちる。
先端の赤い部分の周りに緑のリング状の模様。
動いてはいないが、透明な袋の中の小さな卵の様な物が脈を打つ。
「げっ、気持ち悪い~」
すると中の卵の一つが膨らみだし、赤と緑の模様が浮いてくる。
惣一郎はガソリンをかけ、火を着ける。
ベンゾウがそれを、気持ち悪そうに眺める。
失った力……
憑代となる器……
勇者に邪魔をされたと恨みを持つ魔女崇拝者……
本当に魔女が生きてたって事か?
にしては、上位種と変わらん強さ。
魔法を使わなかったし、信者に寄生して蟲を喰らい、蟲と混ざらせたのか?
しかも何人も操っているのかも知れない……
思ったより面倒臭い状況だが、何か引っ掛かる。
本来の力が出せないのに、勇者を殺しに来た?
単独で?
その瞬間、パラパラと肩に砂が落ちると、低い地鳴りが鳴り始める!
しまった!
「ベンゾウ、崩れるぞ!」
ベンゾウを抱え、転移を繰り返し出口に向かう惣一郎!
「きゃー、攫われる~ ケラケラケラ」
「黙ってろ! 舌噛むぞ!」
「あ~れ~ ケラケラケラ」
次第に大きな音が奥から鳴る響き、階段を勢い良く進む惣一郎を砂埃が追い掛ける!
遺跡の入り口から爆煙が噴き上がる!
その先には大きく崩れ落ちた大穴が出来ていた。
間一髪のタイミングで、外に脱出した惣一郎。
投げ出したベンゾウが大人しい……
「大丈夫か、ベンゾウ」
口から血を流すベンゾウが、
「しだかんだ……」っと、青い顔をする。
アホめ……
口元から生えた牙が左右の顎に変わり、いつのまにか額に触覚を生やしていた。
目は相変わらず、気持ち悪い!
「ベンゾウ!」
ベンゾウの足場にと、盾を数枚その蟲女の周りに浮かすと、盾を蹴る閃光が伸びる!
振り下ろされた小刀を、服を破り現れた腹部の針が反り返り受け止め、左腕を振り払う様にベンゾウに掴み掛かる蟲女!
ふわりと躱すベンゾウが、逆手で斬り掛かるが、ダン!っという音と共に、石の祭壇の一部を砕き盾の隙間をすり抜け、惣一郎に襲い掛かる!
先の尖った槍が正面から迎え撃つと、体を捻り器用に躱す中、伸びる手が今度は惣一郎に掴み掛かる!
だが惣一郎が幻腕で伸びた蟲の腕を逆に掴むと、そのまま後ろの壁に叩きつける!
岩壁に凹みを作るが、すぐ様別の脚が鋭く惣一郎に伸びる!
見える!
以前なら素早い攻撃が見えず、串刺しなる所だったが、円盤が伸びた腕を切り落とし距離をかせぐ!
赤い血を吹き出し、失くした腕を引く蟲女に、ベンゾウがふわりと前をすり抜けると、別の場所からまた血が噴き出る!
2本の脚を失った蟲女。
痛みを感じないのか、距離を取り低く構える!
惣一郎の幻腕に握られた腕が、ギシギシと動く。
「気持ち悪!」
強さは上位種と変わりなさそうだ。
チチチチッチ! ヨグモ……
あの顎では上手く喋れないのか、蟲の様な鳴き声を上げる。
急に目の前に現れたベンゾウの横一閃を、後ろに飛び、間一髪躱す蟲女!
だが、タイミング良く降る槍に貫かれ、地面に縫い付けられる!
スワロがいれば、ここで雷撃なんだが!
体と地面の隙間に生えた槍を掴み、踠く蟲女。
間髪入れず、ベンゾウが踠きながらも攻撃してくる蟲女の腕を躱しながらすり抜けると、その首がコロンっと落ちる。
体は踠き続けるが、落ちた顔の目の中で、緑のリングがゆっくりと動きを止める。
斬られた胴体から割れた魔石が落ちると、胴体もゆっくりと動かなくなる。
惣一郎は、カタツムリに寄生し行動を操る寄生虫を思い出す。
人に近い蟲…… そして寄生蟲。
操られていたのか?
「早くスワロを取り戻さないと……」
遺体を調べる為に収納すると、ボトッと透明なナメクジの様な透明な何かが、2つ落ちる。
先端の赤い部分の周りに緑のリング状の模様。
動いてはいないが、透明な袋の中の小さな卵の様な物が脈を打つ。
「げっ、気持ち悪い~」
すると中の卵の一つが膨らみだし、赤と緑の模様が浮いてくる。
惣一郎はガソリンをかけ、火を着ける。
ベンゾウがそれを、気持ち悪そうに眺める。
失った力……
憑代となる器……
勇者に邪魔をされたと恨みを持つ魔女崇拝者……
本当に魔女が生きてたって事か?
にしては、上位種と変わらん強さ。
魔法を使わなかったし、信者に寄生して蟲を喰らい、蟲と混ざらせたのか?
しかも何人も操っているのかも知れない……
思ったより面倒臭い状況だが、何か引っ掛かる。
本来の力が出せないのに、勇者を殺しに来た?
単独で?
その瞬間、パラパラと肩に砂が落ちると、低い地鳴りが鳴り始める!
しまった!
「ベンゾウ、崩れるぞ!」
ベンゾウを抱え、転移を繰り返し出口に向かう惣一郎!
「きゃー、攫われる~ ケラケラケラ」
「黙ってろ! 舌噛むぞ!」
「あ~れ~ ケラケラケラ」
次第に大きな音が奥から鳴る響き、階段を勢い良く進む惣一郎を砂埃が追い掛ける!
遺跡の入り口から爆煙が噴き上がる!
その先には大きく崩れ落ちた大穴が出来ていた。
間一髪のタイミングで、外に脱出した惣一郎。
投げ出したベンゾウが大人しい……
「大丈夫か、ベンゾウ」
口から血を流すベンゾウが、
「しだかんだ……」っと、青い顔をする。
アホめ……
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