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第八章

十一話【古の魔女】

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スワロの話は村人達に衝撃を与えた。

魔女の亡骸を食べ、力を獲る魔女崇拝者達。

その力で蟲を操り、自分達に有利に事を進める為、町や村を襲わせていた事実。

スワロを捕え操り、魔女の復活で信者を増やすと企てる派閥と、純粋に魔女の目的を遂げようとする派閥に分かれ、奴らも一枚岩ではない様だ。

そしてスワロの話に出て来た、ネネルとキシルと言う少女。

毎晩聞かされた魔女の話は、まるで自分達が当事者の様な話ぶりであったそうだ。

その魔女誕生秘話に、魔女の目的が話されていた。

魔女は転生者であった。

エルフの王国の王女として異世界から転生した魔女。

だが、その見た目から忌み嫌われ、赤子のうちに森深くに追放されたと言う。

彼女は前の世界でも凄惨な人生を終え、異世界で新たな生を前の記憶そのまま与えられたそうなのだが、生まれて直ぐに変わらない世界を呪ったそうだ。

彼女は蟲を使役出来た。

前の世界から召喚し食べる事で、蟲の特殊能力を手に入れる事も出来た。

この世界でその力が強まった事を知り、自分を捨てた親への復讐を誓う。

追放した王達は、森で赤子がひとり生き抜くなど思ってもいなかったのだが、後に生まれた王女が12歳の誕生日を迎える戴冠式で、我が子と再会する事になり、国は深い森に覆われ、地図から消える。

その後、復讐を果たし静かに蟲と森で暮らす彼女を、世界は放って置いてはくれなかった。

森の魔女と呼ばれ、次々と刺客が送られて来た。

その内その見た目から、似てるダークエルフも迫害を受ける様になり、行き場を失った者が森に集まり、やがて大きな戦争へと発展する。

白と黒のエルフ戦争は、多種族も巻き込み世界を二分する。

終止符を打ったのは、召喚に成功した異世界から来た勇者であった。

ここまでは、以前に聞いた昔話と大きな違いは無かった。

だがこの話には、続きがあった。

制御を失った蟲の暴走を止めるべく、勇者が魔女の力を手に入れる為に倒した魔女を口にしたのだ。

力を手に入れ一時は蟲の制御を取り戻すも、徐々に勇者は魔女に侵食される様に病んでいき、奇行を繰り返す様になる。

やがて体までも魔女に奪われ、勇者は残り全ての力を使い、魔女をその身に封印し倒れる。

身動きも出来ぬまま、洞窟深くに封印された魔女は死ぬ事も出来ずに暗い穴倉で生き続ける。

長い時間は魔女の心を病んでいく。

取り込んだ蟲の能力で、高熱にも氷点下でも死ねない頑丈な体は、身動き一つ出来ずに干からびていくも、意識だけは残されていた。

死にたくても死ねない体。

魔女は次第に死を望む様になっていく。

月日は経ち、動けない体を齧るネズミを媒介に、多少の自由を得る。

そこで見た世界は、蟲に怯える森が支配するものだった。

何年もかけ、体を分け、情報を集めるも魔女を殺せる者は存在しなかった。

勇者を召喚できる様な国も……





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