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第一章
二話 【説明ないんですか?】
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茂みの中で震え、どの位の時間が経ったのだろうか…
惣一郎の額には汗が光っていた。
マジ無理なんですけど…
伝説級の武器を持っていたとしても、アレを倒せるイメージが湧かない。
ゲームで言う所の[オーク]だろう序盤の雑魚に、いまだ震えが止まらない惣一郎。
だがいつまでもここで隠れてる訳にはいかない。
両足に力込め、茂みをそっと出る。
マズイ… 森は危険だ!
早くここから出なければ!
だが森の出口も方角もわからない…
どうする?
木に登って見渡せれば… いや無理!
運動が苦手な惣一郎に、この森の大きな木は登れない。
患者の保険証の確認もまだだし、日付が変わってからゲームのログインボーナスもまだ貰ってはいない…
そもそもスマホも何も持ってないと、パニックになる惣一郎。
兎に角、あのオークから離れねば!
混乱する惣一郎は緑の巨体が消えていった方角とは逆へ、静かに低い姿勢のまま、澄んだ森の中をあてもなく進み始める。
静かな移動を意識しすぎて、惣一郎の頭の中は真っ白になっていた。
鬱蒼と生茂る深い森。
スーツと靴が泥だらけになっても気にしてる余裕もなく、初めて見るモンスターに、恐怖が惣一郎を突き動かす。
茂みの中を気配を殺し息を切らし、恐怖から逃げるように進む惣一郎。
すると微かな水の音が惣一郎の耳に届き始め、微かな希望が惣一郎の表情を甦らせる。
この音が川なら、この森を出られるかもしれない!
喜ぶ惣一郎は立ち上がり、茂みから顔を出す。
すると惣一郎の目の前に、通常森に居るはずのない白熊と目が合う。
水音へ気を取られ警戒心を忘れた惣一郎痛恨のミス!
突然現れた惣一郎に驚く白熊も、グルルルっと瞬時に喉を鳴らし、大きな体をこちらにのそりと向け直す!
森に白熊?
なんて疑問も瞬時にかき消され、両足の感覚が消えていくのを感じた。
腰が抜け、その場に座り込む惣一郎。
白熊はゆっくりと近付き、二本の足でのそっと立ち上がる。
巨大だったソレが、さらに大きな影を惣一郎に落とす!
終わった…
大きな口から無数の牙を覗かせ、目の前のご馳走に『いただきます!』っと声を天まで轟かせる!
ガオーーー!!
迫る巨大な白熊の影に押され、防衛本能からか後ろへと仰反る惣一郎!
そこに抱え込もうと放たれた白熊の大きな爪が、惣一郎の目の前の空を切る!
異世界に来て早くも絶体絶命のピンチ!
だが運命は惣一郎の味方であった。
茂みの中の蔓が白熊の爪に絡み、生い茂る枝が白熊と惣一郎の間に、巻き込む様に倒れ込む!
一瞬であった。
一瞬視界から消えた白熊。
その一瞬が惣一郎に、諦めかけた生存本能を思い出させる!
意味も分からず喰われてたまるか!
隙が生まれた事で惣一郎は身を翻し、茂みの中を這いつくばって逃げ出す事が出来た。
だが白熊も茂みを掻き分け、見失った餌を探し暴れ始める!
惣一郎に考えてる余裕はない。
必死に手足で地面を引っ掻き、茂みの中をがむしゃらに逃げる。
確実に追ってくる真後ろの白熊。
すると惣一郎の幸運にも拍車がかかり、森の茂みは急な勾配を見せる!
茂みの中を前に転がり急な坂を落ちて行く惣一郎。
だが白熊も簡単に目の前に現れたご馳走を諦めてはくれない。
短い足で不器用に坂を降り追いかけて来る白熊。
惣一郎に熊が下り坂に弱いなんて知識は無く、ただ運が良いだけの結果だった。
距離は少しづつだが開いていく。
それでも白熊は確実に追って来ている。
そんな事まで気が回らない惣一郎だが、追いかけて来るかもという恐怖だけが、この中年男性を突き動かしていた。
坂を必死に転がる惣一郎。
露出した肌は傷だらけだが、不思議とスーツは汚れるだけで無傷であった。
坂を落ち切った惣一郎の目の前に、道が見えた!
舗装されてはいないが、踏み締められた土に2本に見える轍。
間違いなく道であった。
しかも道には黒い馬車が停まっている。
馬車=人がいる!
必死の惣一郎には終点に思えた。
「たっ、助けてください!」
息が上がり掠れた声を張り上げ、惣一郎が木々の隙間を抜け馬車の前に転がり出る!
!!!!!
そこには、血を流した馬二頭と傷だらけの騎士風の男達。
それと無骨な大きな剣を持った緑の巨体が、互いに剣を向け合っていた!
ま…マジか......
剣を向け合う傷だらけの騎士達と、緑の巨人が突然の来訪者に驚き固まっている。
その固まった時間を動かしたのは、遅れてやって来た巨大な白熊であった…
白熊は苦労して追いかけて来たご馳走を取られるとでも思ったのか、現れるや否や真っ直ぐに巨体のオークに襲いかかる!
突然の事で出遅れたオーク!
だが瞬時に右手で握る大きな剣で白熊を迎え撃つ!
騎士達はまだ、状況が分からず混乱した表情のまま立っていた。
対戦相手を騎士から魔獣に変えた魔獣。
白熊がオークの左肩に深く牙を食い込ませながら太い両腕でオークの巨体を力強く抱きかかえ、オークも大きな声を張り上げる!
抵抗するオークの振り下ろされた剣は、何度も白熊の背に剣の柄を叩きつけ暴れると、白熊もオークの自由を奪おうと必死に喰らいつく!
グギャーっとオークが吠えた瞬間!
「今だ!」っと沈黙を破った傷だらけの騎士達が、抱き合う二匹へと剣を突き刺す!
オークの背から入った剣は白熊の胸を貫き。
白熊の背から入った剣はオーク胸に届く!
二匹の巨体は抱き合ったまま静かに崩れ落ちた。
心臓が破裂するほど息が上がっていたはずの惣一郎は、忘れていた呼吸を思い出し大きく肩を揺らし始める。
「ハァハァハァ誰か… 説明してくれ…」
惣一郎の額には汗が光っていた。
マジ無理なんですけど…
伝説級の武器を持っていたとしても、アレを倒せるイメージが湧かない。
ゲームで言う所の[オーク]だろう序盤の雑魚に、いまだ震えが止まらない惣一郎。
だがいつまでもここで隠れてる訳にはいかない。
両足に力込め、茂みをそっと出る。
マズイ… 森は危険だ!
早くここから出なければ!
だが森の出口も方角もわからない…
どうする?
木に登って見渡せれば… いや無理!
運動が苦手な惣一郎に、この森の大きな木は登れない。
患者の保険証の確認もまだだし、日付が変わってからゲームのログインボーナスもまだ貰ってはいない…
そもそもスマホも何も持ってないと、パニックになる惣一郎。
兎に角、あのオークから離れねば!
混乱する惣一郎は緑の巨体が消えていった方角とは逆へ、静かに低い姿勢のまま、澄んだ森の中をあてもなく進み始める。
静かな移動を意識しすぎて、惣一郎の頭の中は真っ白になっていた。
鬱蒼と生茂る深い森。
スーツと靴が泥だらけになっても気にしてる余裕もなく、初めて見るモンスターに、恐怖が惣一郎を突き動かす。
茂みの中を気配を殺し息を切らし、恐怖から逃げるように進む惣一郎。
すると微かな水の音が惣一郎の耳に届き始め、微かな希望が惣一郎の表情を甦らせる。
この音が川なら、この森を出られるかもしれない!
喜ぶ惣一郎は立ち上がり、茂みから顔を出す。
すると惣一郎の目の前に、通常森に居るはずのない白熊と目が合う。
水音へ気を取られ警戒心を忘れた惣一郎痛恨のミス!
突然現れた惣一郎に驚く白熊も、グルルルっと瞬時に喉を鳴らし、大きな体をこちらにのそりと向け直す!
森に白熊?
なんて疑問も瞬時にかき消され、両足の感覚が消えていくのを感じた。
腰が抜け、その場に座り込む惣一郎。
白熊はゆっくりと近付き、二本の足でのそっと立ち上がる。
巨大だったソレが、さらに大きな影を惣一郎に落とす!
終わった…
大きな口から無数の牙を覗かせ、目の前のご馳走に『いただきます!』っと声を天まで轟かせる!
ガオーーー!!
迫る巨大な白熊の影に押され、防衛本能からか後ろへと仰反る惣一郎!
そこに抱え込もうと放たれた白熊の大きな爪が、惣一郎の目の前の空を切る!
異世界に来て早くも絶体絶命のピンチ!
だが運命は惣一郎の味方であった。
茂みの中の蔓が白熊の爪に絡み、生い茂る枝が白熊と惣一郎の間に、巻き込む様に倒れ込む!
一瞬であった。
一瞬視界から消えた白熊。
その一瞬が惣一郎に、諦めかけた生存本能を思い出させる!
意味も分からず喰われてたまるか!
隙が生まれた事で惣一郎は身を翻し、茂みの中を這いつくばって逃げ出す事が出来た。
だが白熊も茂みを掻き分け、見失った餌を探し暴れ始める!
惣一郎に考えてる余裕はない。
必死に手足で地面を引っ掻き、茂みの中をがむしゃらに逃げる。
確実に追ってくる真後ろの白熊。
すると惣一郎の幸運にも拍車がかかり、森の茂みは急な勾配を見せる!
茂みの中を前に転がり急な坂を落ちて行く惣一郎。
だが白熊も簡単に目の前に現れたご馳走を諦めてはくれない。
短い足で不器用に坂を降り追いかけて来る白熊。
惣一郎に熊が下り坂に弱いなんて知識は無く、ただ運が良いだけの結果だった。
距離は少しづつだが開いていく。
それでも白熊は確実に追って来ている。
そんな事まで気が回らない惣一郎だが、追いかけて来るかもという恐怖だけが、この中年男性を突き動かしていた。
坂を必死に転がる惣一郎。
露出した肌は傷だらけだが、不思議とスーツは汚れるだけで無傷であった。
坂を落ち切った惣一郎の目の前に、道が見えた!
舗装されてはいないが、踏み締められた土に2本に見える轍。
間違いなく道であった。
しかも道には黒い馬車が停まっている。
馬車=人がいる!
必死の惣一郎には終点に思えた。
「たっ、助けてください!」
息が上がり掠れた声を張り上げ、惣一郎が木々の隙間を抜け馬車の前に転がり出る!
!!!!!
そこには、血を流した馬二頭と傷だらけの騎士風の男達。
それと無骨な大きな剣を持った緑の巨体が、互いに剣を向け合っていた!
ま…マジか......
剣を向け合う傷だらけの騎士達と、緑の巨人が突然の来訪者に驚き固まっている。
その固まった時間を動かしたのは、遅れてやって来た巨大な白熊であった…
白熊は苦労して追いかけて来たご馳走を取られるとでも思ったのか、現れるや否や真っ直ぐに巨体のオークに襲いかかる!
突然の事で出遅れたオーク!
だが瞬時に右手で握る大きな剣で白熊を迎え撃つ!
騎士達はまだ、状況が分からず混乱した表情のまま立っていた。
対戦相手を騎士から魔獣に変えた魔獣。
白熊がオークの左肩に深く牙を食い込ませながら太い両腕でオークの巨体を力強く抱きかかえ、オークも大きな声を張り上げる!
抵抗するオークの振り下ろされた剣は、何度も白熊の背に剣の柄を叩きつけ暴れると、白熊もオークの自由を奪おうと必死に喰らいつく!
グギャーっとオークが吠えた瞬間!
「今だ!」っと沈黙を破った傷だらけの騎士達が、抱き合う二匹へと剣を突き刺す!
オークの背から入った剣は白熊の胸を貫き。
白熊の背から入った剣はオーク胸に届く!
二匹の巨体は抱き合ったまま静かに崩れ落ちた。
心臓が破裂するほど息が上がっていたはずの惣一郎は、忘れていた呼吸を思い出し大きく肩を揺らし始める。
「ハァハァハァ誰か… 説明してくれ…」
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