異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!

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第三章

五話 【伝説が生まれた日!】

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エルフの女性を追いかける、巨大な黒い虫。

何虫だかは分からないが、黒光りする体に六本の脚。

すぐ前を逃げるエルフの倍はある! 

世界征服出来る大きさだった…



虫に驚き目を丸く固まる惣一郎。

ベンゾウはエルフを飛び越え、昆虫に包丁で斬りかかる!

ガチン!っと金属の様な硬い音を森に響かせ、そのままベンゾウに襲いかかる。

あの切れ味抜群の包丁で切れないだと! 

焦る惣一郎の胸に逃げて来たエルフが飛び込む!

ベンゾウは身軽に昆虫の攻撃を躱し、注意を引く。

虫にスピードは無さそうだ。

だが、斬れなきゃベンゾウに分が悪い!

どうする、虫に効く攻撃…

虫を殺す…

殺虫剤か!

ピンと来た惣一郎は素早くスキルで殺虫剤を適当に購入!

遠くまで届くジェットスプレータイプの殺虫剤を構え、巨大な昆虫の前に出る。

足がすくむが、部屋でGと対決した時と変わらない恐怖!

「ベンゾウ、離れろ!」

シューーーーーーー!




驚いた… ここまでとは…

イチコロだった。

ひっくり返り、足を縮ませ絶命している虫。

あまりの事に驚き固まる3人。



すると突然、木の上の家々から惣一郎に向け、大きな歓声が森に響き渡る。

スプレー缶を構え固まる惣一郎にベンゾウが抱きつく!

「凄い! 凄いです! ご主人様!」

エルフの女性は惣一郎の後ろで、腰を抜かしたままだった…



家から出てきた村人は、惣一郎を囲んで大騒ぎ!

歓声はしばらく続いた。

こんなにいたのね村人…





この世界で昆虫は魔物より脅威だった。

特にここまで大きくなると刃物が効かず、魔法などで倒す他に術はないのだが、倒せる者も少ない…

それを見事一撃であっさり倒す惣一郎を、村人は伝説の英雄を見るような眼差しで、歓声を贈り続けている。

やばい…

俺のスローライフが…



あれよあれよと村では、宴会の準備まで始まりお祭り騒ぎ。

逃げるか…

誤魔化す算段を脳内でフル回転させながら、惣一郎は言われるがまま宴の特等席に座らせられる。



すっかり陽は落ち、宴会は盛り上がりを見せる。

ベンゾウは目の前に並ぶご馳走を手当たり次第に口に運び、楽しんでいる。

惣一郎は死んだ魚のような目をして、村のお偉いさん達から酒を勧められている。

ここから惣一郎は、逆転サヨナラホームランが打てるのだろうか…



宴が最高潮を迎えると村長らしきエルフの老人が、声を張り上げる。

「聞けぃ皆の者! 今日、長年我々を苦しめた黒き厄災が、ここに在わす英雄によって倒された! 家族や愛する者をあの憎き黒き厄災に奪われた者も少なくないだろう… だが、それも今日終わりを迎えた!
もうヤツはいない! 明日から子供達に語り継ぐのだ! この奇跡を! この英雄を!」

「「「「「 おおおおおおぉ~ 」」」」」


何だコレ…

ベンゾウも一緒になって叫んでるし…



「ささっ、英雄様、村の皆にご尊名を!」

えっ、ごそん? ああ、名前?

そこには覚悟を決めた男の顔があった。


「俺の名は…[ゴキコロリ]だ!」

「「「「「 ゴキコロリ様! 」」」」」

ベンゾウだけがキョトンとしていた。

スプレー缶に書いてあった名だ…



深夜まで続いた宴はこの日を[ゴキコロリの日]と認定し、毎年祭りが行われる事を宣言して幕を閉じた。



そして惣一郎は、酔っ払ったベンゾウを連れ深夜に村を出た。







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