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第四章

十一話 【倉庫でキャンプ!】

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異世界の料理で朝食を済ませ、テントを収納。

ケネブは驚いていたが、無視して林を出る。

レイトールへ向け、ガミの森を目指し歩き出す。

途中、辛そうなケネブをリアカーに乗せ、惣一郎が引き先を進む。

スワロはまだ、新しい杖に興奮状態なのか、いつ獲物(的)が出てもいい様に、杖を離さない。 

この杖、ベンゾウの美善國家や美善國千代の様に名前は無いのかと、聞かれたので[亜流美]と名付けた。

忘れていたが惣一郎に、名付けのセンスは無いのである。




徐々に木々が大きく密集し、木も林の頃は杉の様なスラット真上に伸びる木だったが、段々と不気味な枝振りの木が多くなって行く。

ガミの森に入った様だ。

早速、狼の様な魔獣を数匹従える、人狼のベルフが現れる。

っが、出るや否や青い火柱が数本立ち、魔獣は倒された。

ドヤ顔でベンゾウを見るスワロさんに、イラつくベンゾウさん。

木の上からスワロ目掛けて、勢いよく落ちてくる大きなヘビを、銀の閃光が瞬時に斬り倒す。

危ないですよ!っと小馬鹿にした笑みを浮かべるベンゾウさん。

強すぎるふたりの戦いを、目を丸くし驚いていたケネブさん。

「いい加減にしなさい!」

っと怒る、惣一郎さんは必要もないのに、事あるごとにふたりをクリーンで綺麗にしていた。

楽しそうに……



陽の光も遮れられ薄暗い森は奥に進むにつれ、さらに不気味な雰囲気に変わっていく。

先程からケネブが、スワロに名のある冒険者なのか、その魔法は何処でとか、あの銀髪の少女は? など質問攻めにし困らせていた。

やはり異常なのだろうか、このチーム。
 
そう言えばチーム名を考えないと……

不気味な雰囲気とは裏腹に平和な旅が続き、ベルフが出た以外何もなく、陽が落ち森は、さらに暗くなって行く。

テントを出す場所を探し、休む事にする。

明日には森も抜けるだろう。






翌日も何事もなく進み、ガミの森をすんなり出ることができた。

不気味なだけだった……

森を抜けると道は大きな街道にぶつかり、レイトール商業都市が近い事を教えてくれた。

街道は大きな街といくつか繋がっているらしく、チラホラと馬車や荷車を押す人影が見える。

ガミの森を通らなくてもセルネルまで行けるそうだが、遠回りになるとの事。

街道に入れば、ほぼ危険はないだろうと思っていたが、魔物があまり出ないってだけで盗賊の類はやはり出るらしい。




陽気もいい中、街道を二日かけて目的地、レイトール商業都市へ無事辿り着く。

あちこちの建物から煙をあげ、活気のある大きな街であった。

街道に入ってからケネブも歩きだったので、4人は無事歩いて街に入る。

まず向かったのはギルドだった。

ケネブには事前に話を合わせてもらっていたので、オークの王には触れずに襲われたとだけ報告し、惣一郎達は道中で倒した魔獣の買取と、途中盗賊に襲われていた冒険者のカード3枚と所持品を渡し、事情を話す。

盗賊の首を持って来るのは嫌だったので、盗賊は見なかったと説明する。

そのあとセルネル城下町からの運搬依頼の報告をすると、納品場所を案内してくれる担当を呼びに行くと席を外したので、ケネブと別れの挨拶をする。

ケネブは涙ながらに感謝をし、再会を約束して別れる。

冒険者は引退するそうだ。



担当が現れ、ミチル鋼を納品する場所まで案内してくれる。

街は店や工場の様な建物が多く、何処も人で賑わっていた。

案内された倉庫で荷を出すと、後から荷馬車が来ると思ってた担当者が驚き、笑って誤魔化し納品書にサインをし料金をもらった。

無事今回も運搬依頼を達成出来た。

ケネブとも別れたし、今晩はお祝いに惣一郎の手料理で、ふたりを労おう。



宿屋を探し歩いていたら、貸し倉庫の看板を見つける。

[短期契約あり]さすが商業都市!

早速、看板に書かれた場所へ向かい、話を聞く。

いくつかある貸し倉庫で丁度いい大きさの倉庫を見せてもらう。

料金は一月6ギーと、日割りで考えれば安いが、月単位の契約だった。

数日で考えると3人で宿屋に泊まるよりは少し高いが……

とりあえず契約して料金を払い、鍵をもらう。

小さな一軒家ぐらいの倉庫で、入り口は大きな運搬用の扉と別に出入り用のドアがあり、中へ入ると倉庫なので何も無いが、明り取りの窓もあり、暗くは無い。

そこに惣一郎はテントを出すとスワロがなるほど!っと感心していた。

今頃気付いたのか…… 察しが悪い。

大きなテントを置いても、十分風呂用のテントを出すスペースも残る。

宿屋に泊まるのは旅の醍醐味ではあるが、惣一郎達にはこの方が、色々と都合が良いのである。

倉庫の中とはいえ街中なので、テントの外に簡易トイレも出しておく。

流石に外でって訳にも行かないしね。

テーブルを出し料理を始める。

玉ねぎを細かく切りボールに入れ、合い挽き肉と卵とパン粉、塩胡椒でハンバーグのタネを作り、ご飯も減ってきていたので、コンロを3つ出し、大きなご飯用の土鍋で炊き始める。

他にも色々と作り置きをしておく事にする。

ベンゾウはヨダレを飲み込みながら見ていた。

スワロはニコニコしながら亜流美を磨いていた。

久々に豪華な夕食を食べ、ベンゾウもスワロも大喜びであった。

惣一郎も作った甲斐がある。

食後にのんびりと風呂用のお湯を沸かしていると、スワロが亜流美を抱きしめながら話しかけて来た。

「惣一郎殿、私、他の魔法も覚えてみたいのだが」

なるほど、そりゃそうか。

魔力も無駄なく数撃てるなら、一種類じゃなく臨機応変に対応できた方がいいしな。

問題はあの博打要素か……

スワロには今回の報酬の取り分を渡してあるし、自腹で行くつもりなのだろうが、コレは必要経費だな。

明日、魔導書店に行く事にして風呂の準備をする。

惣一郎は風呂用のテントを出し、熱湯を足しながら入浴剤入れるか考えていた。

きっとラベンダーなどの癒し効果も、ふたりには効くだろう……






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