99 / 409
第六章
十二話 【特訓だ!】
しおりを挟む
翌朝、盗賊の討伐報酬をもらいにギルドへと向かう。
ギルドに入るとすでに、人喰いニキ族討伐の話は広まっており、受付で説明と回収した荷を確認し、500ギーの討伐報酬を貰う。
盗賊にしては高額な報酬だった。
これでチョイロまでの輸送も再開されるだろう。
職員の話では、まさかこんな近くに潜んでいたとは、誰も思わなかったそうだ…
ついでに溜まった魔獣の買取をしていると、ざわざわと周りも騒がしくなる。
すると1人の冒険者が騒ぎ出す。
「あっ! おいアレ、ジビカガイライじゃないか! 盗賊千人斬りの、鉄壁の魔導士と閃光の乙女だ!」
噂はここまで届いていたらしい。
「ヒソヒソ…… 俺も聞いた事あるぜ。人喰いニキ族まで無傷で倒すたぁ、噂以上だな……ヒソヒソ…… 解散したんじゃなかったのか」
惣一郎は急に恥ずかしくなり、買取金をもらうとすぐにギルドを後にする。
『おふたりとも…有名な冒険者だったのですね……』
街を歩きながらモモが思う……
買い物をしながら街をぶらつく。
今朝、気合い入れてキュアしたので、モモもしばらくは大丈夫だろう。
すると武器屋でダンジョン産の物を見つけ、テンションが上がる。
長い剣であったが、他の武器とは存在感がまったく違っていた。
「いらっしゃい、どうですか? お安くしますよ!」
安くと言っても、値札には6400ギーと書かれている。
剣なんて使えないし買う気はなかったが、ダンジョン産に興味はあった。
聞けば、魔法剣らしく火を吹くらしい。
魔法が使えない剣士には喉から手が出る品物だろう。
他にダンジョン産のものは無いか尋ねると、今はこれだけのようだ。
運が良ければ、低層の宝箱からでも良い物が手に入るそうで、ワクワクが止まらない惣一郎であった。
その後も露店で買ったお菓子を食べながら、街を見て回る。
賑やかな大きな街であったが、店で売る物は他と大差なく、惣一郎はダンジョンへの興味から落ち着きがなかった。
倉庫に戻る惣一郎は、ダンジョンでモモがどこまで付いてこれるかが気になり、長い棒を渡してベンゾウと模擬戦をする事になる。
強くなりたいと願うモモは、如何程の冒険者なのだろうか?
惣一郎は正直、強さには期待はしていない。
目を離せるかが知りたかった…
長い棒を構え、ベンゾウと対峙するモモ。
ベンゾウも短い木の棒を構えて、モモから目を離さない。
ジリジリと距離を詰めるモモが、間合いに入るベンゾウに右横から風を切って弧を描く!
だが、捉えたはずのベンゾウをすり抜け空を切ると、大きな隙を作る。
見逃さないベンゾウは距離を一気に積めるが、モモもそこを読んでか、右肩でベンゾウに体当たりで迎え撃つ。
上手い入りに思えたが、ベンゾウも瞬時に体を止めタイミングをずらすと、モモは姿勢を前に崩し膝を折るとそこで踏ん張り、左へ抜けた棒をそのまま体を左に回転させ、ぐるりと背中越しに大きな弧を描く!
上からベンゾウめがけ振り下ろすが、回転時に一瞬でも背を向けたのが間違いだった。
ベンゾウがいたであろう地面を叩き、気がつくと左から首元に木の棒が当てられていた。
二手、三手と諦めず攻めたモモだが、完敗であった。
「ま…… 参りました……」
正直ここまでやるとは期待していなかった惣一郎には、何か見えていたのか、モモに盾と各所にプロテクターを付け、今度は惣一郎が相手になる。
惣一郎の魔法で浮いたゴム製の砲丸が、モモに連続で攻撃を繰り出し、モモは全て盾で捌く。
特訓は遅くまで続いた…
「ご指導……ありがとう……ございます……」
息を切らすモモに風呂に入る様にいい、疲労回復効果のある入浴剤を入れる。
この世界に慣れて来たのか、最近の惣一郎には妙な落ち着きがあった。
獲得した魔法による自信からなのか、盗賊との命のやり取りがそうさせたのか…
夕食後に湯船で足を伸ばす惣一郎。
背中を流すと裸で入って来たモモに、パニックでキョドリだす惣一郎が、さっきの惣一郎と同一人物だとは思えなかった…
ケラケラケラ!
コイツの差し金である…
ギルドに入るとすでに、人喰いニキ族討伐の話は広まっており、受付で説明と回収した荷を確認し、500ギーの討伐報酬を貰う。
盗賊にしては高額な報酬だった。
これでチョイロまでの輸送も再開されるだろう。
職員の話では、まさかこんな近くに潜んでいたとは、誰も思わなかったそうだ…
ついでに溜まった魔獣の買取をしていると、ざわざわと周りも騒がしくなる。
すると1人の冒険者が騒ぎ出す。
「あっ! おいアレ、ジビカガイライじゃないか! 盗賊千人斬りの、鉄壁の魔導士と閃光の乙女だ!」
噂はここまで届いていたらしい。
「ヒソヒソ…… 俺も聞いた事あるぜ。人喰いニキ族まで無傷で倒すたぁ、噂以上だな……ヒソヒソ…… 解散したんじゃなかったのか」
惣一郎は急に恥ずかしくなり、買取金をもらうとすぐにギルドを後にする。
『おふたりとも…有名な冒険者だったのですね……』
街を歩きながらモモが思う……
買い物をしながら街をぶらつく。
今朝、気合い入れてキュアしたので、モモもしばらくは大丈夫だろう。
すると武器屋でダンジョン産の物を見つけ、テンションが上がる。
長い剣であったが、他の武器とは存在感がまったく違っていた。
「いらっしゃい、どうですか? お安くしますよ!」
安くと言っても、値札には6400ギーと書かれている。
剣なんて使えないし買う気はなかったが、ダンジョン産に興味はあった。
聞けば、魔法剣らしく火を吹くらしい。
魔法が使えない剣士には喉から手が出る品物だろう。
他にダンジョン産のものは無いか尋ねると、今はこれだけのようだ。
運が良ければ、低層の宝箱からでも良い物が手に入るそうで、ワクワクが止まらない惣一郎であった。
その後も露店で買ったお菓子を食べながら、街を見て回る。
賑やかな大きな街であったが、店で売る物は他と大差なく、惣一郎はダンジョンへの興味から落ち着きがなかった。
倉庫に戻る惣一郎は、ダンジョンでモモがどこまで付いてこれるかが気になり、長い棒を渡してベンゾウと模擬戦をする事になる。
強くなりたいと願うモモは、如何程の冒険者なのだろうか?
惣一郎は正直、強さには期待はしていない。
目を離せるかが知りたかった…
長い棒を構え、ベンゾウと対峙するモモ。
ベンゾウも短い木の棒を構えて、モモから目を離さない。
ジリジリと距離を詰めるモモが、間合いに入るベンゾウに右横から風を切って弧を描く!
だが、捉えたはずのベンゾウをすり抜け空を切ると、大きな隙を作る。
見逃さないベンゾウは距離を一気に積めるが、モモもそこを読んでか、右肩でベンゾウに体当たりで迎え撃つ。
上手い入りに思えたが、ベンゾウも瞬時に体を止めタイミングをずらすと、モモは姿勢を前に崩し膝を折るとそこで踏ん張り、左へ抜けた棒をそのまま体を左に回転させ、ぐるりと背中越しに大きな弧を描く!
上からベンゾウめがけ振り下ろすが、回転時に一瞬でも背を向けたのが間違いだった。
ベンゾウがいたであろう地面を叩き、気がつくと左から首元に木の棒が当てられていた。
二手、三手と諦めず攻めたモモだが、完敗であった。
「ま…… 参りました……」
正直ここまでやるとは期待していなかった惣一郎には、何か見えていたのか、モモに盾と各所にプロテクターを付け、今度は惣一郎が相手になる。
惣一郎の魔法で浮いたゴム製の砲丸が、モモに連続で攻撃を繰り出し、モモは全て盾で捌く。
特訓は遅くまで続いた…
「ご指導……ありがとう……ございます……」
息を切らすモモに風呂に入る様にいい、疲労回復効果のある入浴剤を入れる。
この世界に慣れて来たのか、最近の惣一郎には妙な落ち着きがあった。
獲得した魔法による自信からなのか、盗賊との命のやり取りがそうさせたのか…
夕食後に湯船で足を伸ばす惣一郎。
背中を流すと裸で入って来たモモに、パニックでキョドリだす惣一郎が、さっきの惣一郎と同一人物だとは思えなかった…
ケラケラケラ!
コイツの差し金である…
31
あなたにおすすめの小説
スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる