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第八章

十四話 【重なる偶然】

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酔い止めの薬をもらいたっぷり睡眠をとった惣一郎が起きると、部屋には誰もいなかった。

なぜ乗り物酔いにキュアが効かないのかを恨み、ベッドを出る。

豪華な部屋には、チェイサーに入ったレモン水と果物が山積みに置かれ、食い散らかされた跡が。

起きてクリーンをかけると、ノックしてメイドを連れた宰相を名乗る老人が入って来て挨拶をする。

惣一郎は言われるがまま宰相に案内され、部屋を出る。

大きな扉の前で仰々しく声を上げる衛兵が、その大きな扉を開け、コレまた豪華な限りを尽くした大きな部屋に、王様らしいおっさんとモモ、そして王様の膝の上で楽しそうなベンゾウがいた。

オイオイ……

「おおぉ、よく来てくれた惣一郎殿! 具合はどうだね?」

気さくなおっさんだった。

「ええ、お陰様で……」

「そう固くならんでよい、ささこちらに座られよ」

せめてジュグルータさんにもらった服に着替えたかった惣一郎。

「先ずは娘の危機を救ってくれた礼をさせてくれ! わしは十七代アロス国、国王[ロイデン・ヴァン・アロス]! 我が娘エリシアの窮地を救い生き抜く強さを与えてくれた其方に、心から礼を言わせてもらう。ありがとう! 本当に感謝する!」

「エリシア?」

「惣一郎様……名も明かさず…大変申し訳ありませんでした。私この国の第一王女エリシア・ヴァン・アロスと申します……ですが今まで通り…モモでも構いません!」

「ハイ?」

モモは王位争いで揉めた兄に騙され罠にかけられて、遠い国に転移させられたそうだ。

右も左も分からない国で自力で国に戻る為、色々大変な目に遭ったそうで、幸い指にしてた指輪と服が高額で売れたので、そのまま戻っても兄には敵わないと強くなる事を決意!

それが裏目出た所で惣一郎と出逢う。

惣一郎との日々で強くなったモモは、ダンジョンを出る際、今なら倒せると強く思ったらしく、気が付いたら王都に居たそうだ。

そこからは、槍を片手に快進撃を続け、見事兄の悪事を暴き、王位継承権を剥奪の上、国外追放にまで追いやったそうだ。

兄に騙されていた父親も目を覚まし、国の在り方を見直し、まだ王位を譲らずモモと国の為に前を向いて進み出す。

だが……

追い出された兄もまた復讐に取り憑かれ、以前から手を回していた隣国に上手く取り入り、戦争を起こそうとしているらしい。

その手始めに、隣国の魔族が封印していた厄災を解き放つ計画を建てているとの情報を手に入れ、モモ達も対応すべく動き出した矢先!

この王都のギルドマスターから内密にと、以前厄災を倒した冒険者ジビカガイライの話を聞き、モモは天命だと惣一郎を探し始めたそうだ。

そしたら、その惣一郎が既にこの国にいると聞き、大騒ぎで情報を集めていたら隣の街に現れたと情報が入り、現在に至る。

「何それ…… 出来過ぎじゃない?」

「惣一郎様! コレは……神の御意志です!」

「いやいや、ダンジョン出る時は確かに遠くに行きたいと…… まぁモモの事も心配ではあったけど……」

「まぁ…… 惣一郎様♡」

「そのギルドマスターは、何処まで言ってたの?」

「ふむ、今こちらに向かっているはず」

「惣一郎殿、エリシアを強くした事に感謝してるが、だがどうやってここまで短期間で強く出来るのだ? あの槍はダンジョンで手に入れた物なのか?」

「そう…惣一郎様は……神の使徒なのです」

「おっさん、ベンゾウも強いよ~」

オイオイ……

収拾つかなくなってきた所を、宰相さんが止める。

「国王陛下、惣一郎殿も公に出来ない事も御座いましょう、先ずはギルドマスターからの情報を待ってからでも良いかと」

そこからは王様にモモが、惣一郎との出会いから話し始める。

余計な事を言わないか、ハラハラしながら惣一郎は聞いていた……


食事の用意が出来たと部屋を変え、豪華な食事をいただく。

遠慮を知らないベンゾウの食いっぷりに、王達は和やかな雰囲気であり、ホッとする惣一郎であった。



「ギルドマスターの[ヌイバリ]殿が到着致しました」

近衛兵がドア越しに、声を張り上げる。






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