異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!

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第十章

十六話 【燃える幻肢】

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あれから惣一郎は、食事をする時も箸を持たずじっと見ていたり、トイレのドアの前でずっと立ってたりと奇行が目立つ様になる。

ふたりの温かい目がムカつく惣一郎だった。

そしてふと思う。

俺、右利きじゃん!

箸を持つのもドアを開けるのも、いつも右手だった。

だからイメージが足りないのか?

いや、湯呑みが倒れたのがそもそも偶然?

でも惣一郎には何故か出来そうって思えて仕方がないのであった。

左でしてた事…… 防御?

弁慶に木刀を持たせて訓練に付き合って貰う。

ただ立つ惣一郎に木刀で殴りかかる様に頼めば、弁慶は嫌がるだろう。

なので右手で盾を持って構える。

弁慶が持つと短く感じる木刀で、惣一郎に襲い掛かる。

だが惣一郎は動かない!

弁慶も気付き、止めようとするが間に合わない!

そして木刀は惣一郎の頭に直撃し、砕ける。

「痛った!!!!」

それで済むのはプロテクターのおかげだろう。

「旦那様! すまん!」

「いやいいんだこれで、もう一度頼む!」

「だが……」

流石に嫌がるか……

「弁慶、頼むお前しかいないんだ!」

キュンとする弁慶は嫌々だが、新しい木刀を構える。

惣一郎は盾を持つのもやめ、ただ立つ。

結果は同じだった。

「痛っ………」

「旦那様、何がしたい?」

そりゃそうだろう、説明も無い。

だが説明しようも無いのだ!

「大事な事なんだ、頼む! もう一度」

ベンゾウはこの子の面倒は私が見なくては!っと優しい目で見ている。

惣一郎は、プロテクターを全て脱ぐ。

甘えだ、甘えがあるからだ!

流石に木刀でも防御力の無い惣一郎では死ぬだろう。

弁慶もそれには同意しない。

だが惣一郎の目は真剣その物だった!

覚悟を決める弁慶!

覚悟する惣一郎!

木刀が弧を描き風を切る!

「「「 !!!!! 」」」

惣一郎の左腕に、青く燃える透明な腕が木刀を受け止めている!

燃える腕はそのまま燃え尽きて消える……

    なんじゃこりゃ!
「「「 なにそれ!    」」」
    なんだいそりゃ!


左腕には…… 何もない。

が、コツは掴めた…… 気もする。

惣一郎は弁慶が持ってる木刀を取ろうと左腕を出すと、青く燃える腕が現れ、木刀を掴む!

驚き力を込める弁慶は木刀ごと惣一郎に引っ張られ、前のめりに膝を突く。

木刀を握っている弁慶は、燃え尽きて消える左腕を見ていた。

だが惣一郎も腰を下ろす。

「やばい…… 魔力消費半端ない」

魔力が作り出した[幻肢]であった。

3人とも、そのまましばらく固まっていた。



久々に風呂のテントを出し、湯を足して3人で浸かる。

惣一郎も弁慶のおっぱいに動揺せず入れる様になっていた…… チラ。

「癒されるな~」

「ご主人様の腕、カッコいい!」

「力も相当強かったぞ、旦那様」

「杖使えばもう少し使えるかな~」

のんびりとした時間が流れていた。


風呂上がりにアイスとビールを飲みながら、

「なぁ、学者の話にあった魔法研究が盛んな街に行ってみないか?」

「ベンゾウは何処でも一緒」

「アタイも何処でもついて行く」

惣一郎は明日、王都を出る事を決める。





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