再会ー男と親友の写真の話ー

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第二章

二人の新生活

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「ここで、俺たち二人の新生活が始まるんだな!早速新居を見に行こう。」
ユーリが大きな声で言う。
「待て、ユーリ、その言い方は、誤解されそうで、嫌だ。」 
   なんだか、間違ってはいないのだが、聞きようによっては新婚さんのセリフのようだ。マックは額に手を当てため息をついた。                                           
   十二歳の秋、彼らは留学の許可をもらって、一年生の入学式にあわせて、トールト星にやってきた。一年間は、朝晩の食事付きの寮に入る。その後、そのまま寮に残る者もいれば、街に住居を移す者もいる。荷物は先に送ってあったので、彼らは鞄一つで寮に向かった。
「よお!新入生!」
馴れ馴れしく近づいてきた奴がいた。
「俺は、3年のサーブス。新入生の案内役だ。ほら、名前教えろ。」
   赤いぼさぼさの髪の毛に茶色の目のがっしりした体型の先輩は、年齢の割には長身のマックよりも、頭一つ分背も高く、格闘系って感じだ。
「シーラから来ました。ユーリ・ダブ・ヤーン・ソライエヌです。」
「おなじく、マック・L・タージニアです。」
「ほいほい、ユーリに、マックね。」
手に持ったタブレットで確認したサーブスは、よろしく、と手を出し、握手する。
「まずは寮の部屋に荷物を入れよう。」
「よろしくお願いします!」
二人はそろって挨拶した。
   事務局に届いていた荷物を受け取り、サーブスについていく。
   部屋に荷物を入れようとノックをすると、ユーリの部屋ははーい、と返事があり、ドアが開いた。
「君が同室のユーリ?」
「よろしく。」
「あ、よろしく、セントスだ。運ぶの手伝うよ。」
   感じ良さそうな長身痩せ型の男だ。茶色の緩やかなウェーブの短髪に翠の目で笑いかけた。
「俺、君より歳上だけど、同じ新入生だから、遠慮いらないからな。」
「オッケー!」
   ユーリは、気を使わなくて良さそうなルームメイトで良かったと思う。一年間楽しく過ごせそうだ。
    一方マックの部屋は返事がない。鍵を開けると、まだ、ルームメイトは到着していなかった。ネームプレートを見るとマックの名前の隣にピットと書いてあった。入学式までまだ日があるから、近いうちに来るだろう。

    パイロット養成学校と呼ばれるこの学校は、飛行機、船、宇宙船の操縦技術は勿論、宇宙船に関するあらゆる技術を学ぶことができる。希望のコースに別れて、一般・総合科目を学び、ユーリとマックは操縦(操舵)技術を加えて学ぶ予定だ。卒業までの七年間で、知識、体力を付け、実地訓練を繰り返す。授業を沢山とって、成績も優秀だと、早期に卒業することもできるが、そんな強者は滅多にいないようだ。ちなみに、免許自体は早い段階で…一年もかからず取ることができるが、追加で受ける特殊資格によって就ける職業が選べ、操縦できる船の大きさやタイプが変わる。卒業までに希望者は就職先も決まるが、造船に関しては、卒業後就職か研究かに別れるようだ。
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