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お仕事の時間ですよ 3
+王宮騎士物語 第56話 王弟
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「ソフィーナ様!ご婚約おめでとうございます。」
会う人に祝福の言葉を掛けられ、微笑み頷くが、内心ではとても焦っていた。
「お聞きになられました?」
「ええ。王女様のお相手は、シャノアの第二王子ですってね。」
「なんでも、結婚に先だって、贈り物をされたとかで。」
「まあ、素敵。」
あちこちで、噂話が飛び交っている。その噂のすべてが正しい訳ではないが、結婚に向けて話が進んでいる事は間違いない。
「ソフィーナ。婚約……おめでとう。」
王弟は、おめでとう、と言いつつ、苦虫を噛み潰したような顔でマリーを見ている。
「お兄さま……」
「不本意ながら……祝いの品だ。続々届いているよ。……運んでくれ。」
ドアが開かれ、従者に指示を出す。従者が次々祝いの品を運び込む。
「でも……」
「結婚式は……来年春に決まった。」
「えっ………そんな……」
シャノアから使節団が戻り、結婚に向かっての話が一気に進んだようだ。いずれ王位を継承するソフィーナ王女の配偶者として、シャノアの王子なら、これ以上ない。両国の結び付きは強く確実なものとなり、国交はスムーズに進むことだろう。
「結婚の中止か……先延ばしにできないか、動いてみるよ。」
しかし王弟が、決定を覆す事は容易ではないだろう。
シャノアの王子との結婚式の日は決まった。国を挙げての慶事に城下も盛り上がっているらしい。
マリーは王女として、このまま結婚してしまって、いいのだろうか、と考える。式の日までに王女が目覚めなかったら、身代わり結婚の未来しか思い浮かばない。シャノアの王子に嘘がバレて、殺されちゃうかも、とか、戦争にでもなったらどうしよう……と思うと、胃が痛くなった。
準備は順調に進み王女が目覚めぬまま、結婚を間近にし、王子一行が国を出発した。
「離せ!そこをどけ!」
王弟は、本当の王女が意識不明であると公表して、結婚を取り止めさせようとしていた。彼は、身代わりの結婚を何としても止めたかった。
しかし、王弟が少しでも怪しい動きを見せれば、即座に取り押さえるように近衛騎士達は王から指示を受けていた。
「殿下、申し訳ありませんが、この部屋でお待ち下さい。」
窓には鉄の格子、ドアは鍵が掛けられ、出ることは叶わなかった。
ドア越しに王が話しかける。
「サーバス。結婚は決定だ。お前が真実を公表すると言うなら、もう一つの真実を明らかにする。お前が何かさえずっても、花嫁の名前が変わるだけ……それだけだ……」
「……それは……ダメだ……」
「ならば、沈黙を守れ。」
ドア越しの王の口調に強い意思を感じ、なにも言えず、立ち去る足音を聞いていた。
「エリー……王を説得もできず、事実を公表することもできず……すまない……止められない……」
悔しさに拳を握り、座り込んだ彼は、床を叩いた。
ドアをノックする音が響いた。
会う人に祝福の言葉を掛けられ、微笑み頷くが、内心ではとても焦っていた。
「お聞きになられました?」
「ええ。王女様のお相手は、シャノアの第二王子ですってね。」
「なんでも、結婚に先だって、贈り物をされたとかで。」
「まあ、素敵。」
あちこちで、噂話が飛び交っている。その噂のすべてが正しい訳ではないが、結婚に向けて話が進んでいる事は間違いない。
「ソフィーナ。婚約……おめでとう。」
王弟は、おめでとう、と言いつつ、苦虫を噛み潰したような顔でマリーを見ている。
「お兄さま……」
「不本意ながら……祝いの品だ。続々届いているよ。……運んでくれ。」
ドアが開かれ、従者に指示を出す。従者が次々祝いの品を運び込む。
「でも……」
「結婚式は……来年春に決まった。」
「えっ………そんな……」
シャノアから使節団が戻り、結婚に向かっての話が一気に進んだようだ。いずれ王位を継承するソフィーナ王女の配偶者として、シャノアの王子なら、これ以上ない。両国の結び付きは強く確実なものとなり、国交はスムーズに進むことだろう。
「結婚の中止か……先延ばしにできないか、動いてみるよ。」
しかし王弟が、決定を覆す事は容易ではないだろう。
シャノアの王子との結婚式の日は決まった。国を挙げての慶事に城下も盛り上がっているらしい。
マリーは王女として、このまま結婚してしまって、いいのだろうか、と考える。式の日までに王女が目覚めなかったら、身代わり結婚の未来しか思い浮かばない。シャノアの王子に嘘がバレて、殺されちゃうかも、とか、戦争にでもなったらどうしよう……と思うと、胃が痛くなった。
準備は順調に進み王女が目覚めぬまま、結婚を間近にし、王子一行が国を出発した。
「離せ!そこをどけ!」
王弟は、本当の王女が意識不明であると公表して、結婚を取り止めさせようとしていた。彼は、身代わりの結婚を何としても止めたかった。
しかし、王弟が少しでも怪しい動きを見せれば、即座に取り押さえるように近衛騎士達は王から指示を受けていた。
「殿下、申し訳ありませんが、この部屋でお待ち下さい。」
窓には鉄の格子、ドアは鍵が掛けられ、出ることは叶わなかった。
ドア越しに王が話しかける。
「サーバス。結婚は決定だ。お前が真実を公表すると言うなら、もう一つの真実を明らかにする。お前が何かさえずっても、花嫁の名前が変わるだけ……それだけだ……」
「……それは……ダメだ……」
「ならば、沈黙を守れ。」
ドア越しの王の口調に強い意思を感じ、なにも言えず、立ち去る足音を聞いていた。
「エリー……王を説得もできず、事実を公表することもできず……すまない……止められない……」
悔しさに拳を握り、座り込んだ彼は、床を叩いた。
ドアをノックする音が響いた。
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