結婚ー彼女と再会するまでの男の長い話ー

キュー

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第九章 大学院

8 幽霊達

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「おい、静かに。」
「わかってるって。」
暗闇に紛れて、数人が校内を移動する。例の建物内に入り小さなペンライトをたよりに進む。目的の場所にやって来ると、床に空いた穴に指を引っ掛け引っ張る。ガコッと四角い板が動いて下に続く階段が見える。下におりると足元が少し見えるだけの明かりがあり、次々と人が降りていく。最後の一人が扉を閉めると外からは階段が見えなくなった。

「ゼント様、彼らが来ましたよ。」
「いらっしゃい。今日の商品はなかなか、いいですよ?」
「獣人?子ども?」
「ウレ族」
「うわあ、初めて見る~希少!」
「容姿は高レベル。」
「俺欲しい~男?女?」
「男。あとの商品は子どもと女。」
「好きにしていいんだよね?足つかないよね?うわぁ、わくわくする。」
「君は前にも売ったことあるよね?前の子はもう処分したのか。あたらしいのが欲しいのなら、リクエストがあれば探してくるよ。」
「俺は獣人かなぁ。ほら、たまに、配達に来る子いるじゃん。あれいいよね。」
「彼か、調べてみるよ。可能なら拉致して、調教する。」
「あ~調教もやってみたい。だめかな?」
「ああ、いいですよ、調教に立ち会えるようにしましょう。ですが、身元調べてから。それに、かなりの年齢ですよ?彼。」
「え?そうなの?小さいから若いのかと……獣人は見た目、年齢がわからないね。けど、年は関係ない。」
「君は?初めてだね。見学かい?」
「あ、はい。」
「内緒だよ?外にばれたら、君も君の家族もオシマイだよ。」
「今は、奴隷を持つことも、奴隷売買も禁止されてるからね。」
「でも、今も、こうやって、売買しているけどね。」
「ウレ族見たい!」
「ついておいで。」

「うわぁ、かわいい~」
「何これ。子ども?」
「いや、25才とか。出生書付。側付にしたいなら雇用関係書類は用意できるぞ?」
「従順で、性経験済み。言葉に難有りだそうだ。話してみるか?」
「君、名前は?」
「…リツ」
「俺の所に来る?逆らわないなら優しくしてやる。」
「さ…さからわない。リツ、奉仕するの得意。き…気持ちいいの好き。」
「決まりだな。俺が買う。代金はいつものように家に請求して。」
「リツはどこに置かれます?」
「卒業までここに置けない?家に置くと誰かにとられそうだし、寮にいる間は、楽しめない。」
「少しお高くなりますが、ここの部屋をお貸します。お世話もしましょう。今日からお楽しみですか?」
「うん。」
「俺たちは他の見て、今日は先に帰るよ。またな。」
「ああ。また、明日。」
リツを連れて彼はその場を離れた。
「こちらの少女は、親に売られました、十五歳、生娘です。ただ、反抗的なので、首輪をしています。こちらは子ども八歳です。」
「どちらも、好みじゃないなあ。」
「俺も。」
「ウレ族見た後じゃ、どれも普通すぎて……」
「あ、俺、ウレ族って、よく知らないけど……」
「知りたい?ウレ族ってのはもともとウレ地方の外れに住んでいた一族で、外との交流がなくて、一族のみで婚姻を繰り返していたためか、他と違う外見や、特徴があって。」
「あの外見?」
「そう、身長も低め、子どものような外見で、そのまま大人になる。昔、奴隷商に持ち込まれ、その見た目から欲しがるお客が多くて、高値が付くと、村から大量に連れ出して売る奴が出てきた。その時粗悪品もずいぶん出てたね。おまけに、貴族の間で一時流行ってね。益々親に売られたり、拐われたりして、今じゃあ、ウレ族は少なくなってね。少数保護民族だよ。先王の時代に、娼館で未成年は雇用禁止になったろ?その時から見た目は子どもでも成人しているウレ族は重宝がられて、在庫が一気に買われて、今はほとんど流通していない希少で高値がつく商品だよ。」
「へえ………今でもウレ族の村はあるの?」
「あるよ。警備が厳しくなったみたいだけど、こっそり取引されている。」
「その貴重なウレ族を見られたわけだ。」
「有名なウレ族がいるよ?知らないかな、グレイの側付。」
「グレイも!?」
「大々的に奴隷商が取り締まれたことがあってね、その時助けられたとかで、グレイが側付として雇ったそうだよ。まあ、それで貴族の間で流行ったわけだ。表向き正式雇用という、抜け道がその頃から常用されているね。」
「なるほどねぇ。 」
「レーデン侯爵のところにも売ったことがある。」
「あの、レーデン侯爵が?」
「代々、うちの上得意さ。秘密だがね。最高の子を納品出来たよ。」
「さっきの子みたいなの?」
「いや、全然違う。美しい容姿は当然、一般教養があり仕事覚えも良い、仕草は上品、従順。」
「そんな奴隷がいるのか。」
「どうやら、村の外で普通に生活していた所、拐われてたようだ。貴族向けに高級奴隷の育成機関があってね。そこから出荷された一品だね。」
「じゃあ、そんな高級品には……」
「なかなか、お目にかかれない。今回のウレ族は言葉に難ありで、お買い得さ。」
「さあ、君たちはもう、帰りなさい。来た道をもどって。彼はここで、しばらくお楽しみのようだから、明日送っていくよ。」
「ここって、地下ですよね、そんなに何部屋もあるなんて……想像出来ませんでした。」
「君たちは学院側から来たからね。ここと外の私の所持する屋敷は地下通路で繋がっているんだ。我々は屋敷側にもどるよ。ただし、通路には鍵が掛かるから、普段は通れないからね?気を付けて。」
「はい。」
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