結婚ー彼女と再会するまでの男の長い話ー

キュー

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第十章兄弟

9今日もいい天気だな

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「テオ・ドール、君は今日から、息子のイグナートの下で働いてもらう。」
  任務で長く王都から離れていたので、直接上司のハルバートと顔を合わすのは何年ぶりだろうか。
「はい。ハルバート様。」
「今まで、ご苦労だった。これからのお前の働きに期待しているぞ。」
ハルバートは宰相の補佐に息子を置くつもりらしい。
「ありがとうございます。私ごとき、他に替えがいくらでもおりますゆえ、いかようにでもお使いください。」
「配置の希望はあるのか?」
「長く外におりましたから、叶うのでしたら王都近くに。」
「うん。テオ、早速だが、今、お前はいくつだ?。」
「はい。イグナート様。もうじき五十歳に。」
「そうはみえないが、そうか……今、騎士の増員を考えている。能力は問題ないな、いずれ近衛に……手順通りに訓練を一通りこなしてもらう…しかし、新人近衛騎士というには、年齢がな…若くは見えるが、無理があるか。別の部署からの配置変えにするか……」
考えて込んでいるようだったので、解決策を提案する。
「年相応の顔に整形すれば、問題ありませんね。」
「そこまで……するのか……?」
「問題ありません。今までにも、潜入のおり、経験しておりますから。今のこの顔も、生まれたままではありません。気になさらないで下さい。」
「親父殿……容赦ないな……そうだな、頼む。テオ。他に希望があれば、言ってくれ。」
「はい。」

  子どもの頃は自分は頭が悪い、学校なんて行かなくていい。と思っていた。教会を出て貴族の屋敷の庭師の養子になり、ご主人様の好意で学校に通うことになった。すぐに、成績は上位をキープ。卒業まで、トップはとれなかったが、片手には入っていた。ご主人様も喜んで、上の学校をすすめてくれて、大学校もそこそこ優秀な成績で卒業した。優秀な生徒は大学時代から大手企業からの誘いがあるが、俺の場合はご主人様の知り合いの領主が、事務と秘書をほしがっていたので、しばらくしそこで仕事をすることにした。

  身体を鍛えたくて、学校に入る頃から体術を学んでいた。こちらも俺に、合っていたようで、トップと張り合うくらいにはなった。しかし、なかなか大会で優勝することはなかった。
「テオ、長い間ありがとう。ようやく正式な秘書が来てくれることになった。君のおかげて、助かったよ。これ、仕事の紹介状だ。先方には話してある。頑張れよ。」
「はい。御世話になりました。」
領主から仕事の終わりを告げられ、紹介状を手渡される。

  紹介状をもって面接に行ったら、王宮の中で事務手伝いをすることになった。そこで初めてハルバートに会った。何度目かで声を掛けられ、一年がたつ頃には、ハルバートの手伝いを頼まれるようになっていた。いくつも研修を重ねて頼まれ事をこなしていくうちに、あれ?何か普通じゃないよな?この仕事って、気が付いた。ハルバートの表の仕事をこなす傍ら裏の仕事も…するようになっていく。
  俺はそんな仕事でも、まあ、優秀だったんだ。
  
  この俺が近衛騎士になって、もう何年だ?。嘘みたいだよな。俺の見た目は三、四十歳。だが、もう百三十歳。目の前にいるやつなんて、二十歳だぜ?騙すのなんて、ちょろいわ。
「ソニー。」
「あ、テオ。おはよう。」
イグナートは重要人物だと言ったが、とてもそんな風に見えない。何かを隠しているのか。それも……どうでもいい。
「今日もいい天気だな。」
呑気な奴。

  指令が来た。

  俺はこれから、約束を果たさなくてはならない。
 
 ルーカ……ようやく……だ…

「あ、テオ、イグナートが呼んでた。今日交代したら話があるって言ってたよ。」
「わかった。今日は護衛か?今度飲みにいかないか?」
「飲むだけなら、いつでもいいぜ。」
「飲むだけかぁ。こことも付き合いたいなぁ。」
形のいい尻を撫でる。
「やめろよ。俺は可愛い女の子と付き合うの。」
「はいはい。仕事仕事。」
俺は今日は門番だ。退屈な仕事だが、 今は少しでも疑われる行動は出来ない。

  ようやく、今日…終わる。
  
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