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私も~!
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それではハルちゃんに質問です」
それは単に、ハルピュイアに何が出来るかを聞きたかっただけなんです。
でもそれを言ったとたん、ハルピュイアの雰囲気ががらりと変わるのが分かった。
何か、今まで不良と言うか、意地の悪い奴という感じから、不良ポイっと言う感じに。
羽根の色だって白かったはずなのに、今では見方によっては、いろいろな色に変化する。
光の加減のせいだろうか、まるで虹のようだ。
一体急に何が有ったのだろう。
『エレオノーラよ……お主の事じゃ、こ奴に出来る簡単な仕事をさせた後、さっさと放り出すつもりだったのじゃろうが、なにを名付けをしておるんじゃ……』
「えー、そんな事してませんよ!」
『だが、今こ奴のことを”ハルちゃん”と呼んだであろう』
「そっ、それはちょっと親しみを込めるつもりでハルちゃんって……だっていちいちハルピュイアって呼ぶのめんどくさいし…時間の短縮にもなるし…」
『今更理由を考えたところでもう遅いわ。どうやらこ奴もお主の眷属となってしまったようじゃぞ』
「うっそ~、そんなの困ります。ただでさえ、リンデンさんにピーちゃんにポッポちゃんがいるし…」
『それと私、ハルちゃんも仲間入りだヨ~』
「ハルちゃん、無理、私これ以上眷属を増やすの無理、だからあなたの名前は取り……むぐっ!」
取り消すと言おうとしたら、いきなり口を塞がれました。
ハルちゃんの唇で……。
ちょっとはるちゃん、離れて離れて。
「プハッ。ごちそうさま、あれ?ご主人さま、もしかしてキスって初めて?」
「そ、そんな事ありませんよ。小さい頃は我が家ではあいさつ代わりだったし、最近ではジョンさんにされたっけな………」
「「なにっ!」」
物騒な声色の声が複数聞こえましたが、今は無視です。
『ハルよ、何を勝手にエレオノーラの魔力を食らっているのだ』
『だってご主人様の魔力って、とっても美味なんだモーン』
「えっ?今ハルちゃん、私の魔力を食べたの?全然気が付かなかった」
『それはお主の魔力が膨大だからだ。もしあそこにいる奴の貧弱な魔力をハルが食らったなら、半年は臥せっているか命を落としているだろうて』
そうなんだ、良かったハルちゃんのご飯が私で。
「とにかくハルちゃん、私はこれ以上眷属に責任持つの無理だからあなたの名前は………」
『ストップ!ご主人様、あなたは眷属に責任など持たなくてもいいの。眷属は勝手にあなたに従うだけからドンと構えているだけでいいのよ。それに、もしまたご主人様がその言葉を口にしようとしたら……』
「したら…どうするのよ」
『どこであろうと、またキスするからね!』
そうかそうか、ならば……。
私は両手で口を隠し、その言葉を言おうとしたが、いきなりハルちゃんの手が伸び、私の手を口から引き離した。
「ハ、ハルちゃんて力持ちなんだね…」
『そう、私って力持ちなの。ご主人様、チュッ、これは忠告を聞かなかったお仕置きね』
なにおー、眷属の分際で主人に仕置きなど許さん!とは言えないエレオノーラでした………。
「エレオノーラ、いや、エレオノーラ様」
「はい?」
アレクシス様、あらたまって一体何の御用でしょう?
するとアレクシス様は、片膝を地に付け、騎士の礼を取る。
「どうやらたった今、そちらの方を眷属とされたようす。それは誠でしょうか」
「はぁ、どうやらそうなったみたいです」
「ならば私も、その末席に加えたいただけないでしょうか。私などが眷属など図々しい願いとは思います。しかし何卒よろしくお願いします」
いや、先日それは断ったような気がする。
『あ奴は既に名を持っている。今更新しき名を受けようと、矛盾を生むだけであろう』
「それは無理だとリンデンさんが言ってます」
面倒くさい説明より、こういった方が手っ取り早い。
それを聞きがっくりと崩れるアレクシス様。
だからあなたには既に守るべきものがあるでしょうが。
それをどうして分かってくれないかなぁ。
「やはり私にはその資格は無いのですね………。分りました、私はもうあなたを煩わせる事は決していたしません。あなたの事はきっぱりと諦め、もうあなたの前に姿を現す事はやめましょう。そしてこの先、あなたの願い通りこの国を守るため、力を尽くすことを誓います」
「…………」
自分が望んでいたとはいえ、そうきっぱりと言われてしまうと、何故か寂しさを感じるのが乙女心なのでしょうか。
「あの…お友達程度なら構いませんが…」
「いえ、それがあなたの優しさだと承知しております。しかし私はこれ以上それに甘える訳にはまいりません」
「そうですか…では、たまにお話をする程度では…」
何を言っているんだと呆れられちゃうかもしれない。
でもアレクシス様は、性格も顔も実力も、私の理想そのものなんだもの。
そんな人に、二度と会わないと言われるなんて…やっぱり寂しいじゃない。
確かに原因を作ったのは私なんだけど……さ。
「何と言うお方なのでしょう」
アレクシス様はそう言い、ふっと寂しそうな笑顔を見せた。
「せっかくの私の決心が粉々に砕けてしまいそうです。ですがやはり私はもうあなたの前に現れるべきでは………」
「アレクシス様、それ以上口にすれば、きっとこの先後悔する事になりますよ。どうか今はエレオノーラの言葉を了承してやって下さい」
「それはどういう事……まさか!」
驚き兄様を見つめるアレクシス様、何やら目配せをする兄様。
どうして二人で意味深に見つめ合ってるんですか……何やら気になってしまうじゃないですか!!
それは単に、ハルピュイアに何が出来るかを聞きたかっただけなんです。
でもそれを言ったとたん、ハルピュイアの雰囲気ががらりと変わるのが分かった。
何か、今まで不良と言うか、意地の悪い奴という感じから、不良ポイっと言う感じに。
羽根の色だって白かったはずなのに、今では見方によっては、いろいろな色に変化する。
光の加減のせいだろうか、まるで虹のようだ。
一体急に何が有ったのだろう。
『エレオノーラよ……お主の事じゃ、こ奴に出来る簡単な仕事をさせた後、さっさと放り出すつもりだったのじゃろうが、なにを名付けをしておるんじゃ……』
「えー、そんな事してませんよ!」
『だが、今こ奴のことを”ハルちゃん”と呼んだであろう』
「そっ、それはちょっと親しみを込めるつもりでハルちゃんって……だっていちいちハルピュイアって呼ぶのめんどくさいし…時間の短縮にもなるし…」
『今更理由を考えたところでもう遅いわ。どうやらこ奴もお主の眷属となってしまったようじゃぞ』
「うっそ~、そんなの困ります。ただでさえ、リンデンさんにピーちゃんにポッポちゃんがいるし…」
『それと私、ハルちゃんも仲間入りだヨ~』
「ハルちゃん、無理、私これ以上眷属を増やすの無理、だからあなたの名前は取り……むぐっ!」
取り消すと言おうとしたら、いきなり口を塞がれました。
ハルちゃんの唇で……。
ちょっとはるちゃん、離れて離れて。
「プハッ。ごちそうさま、あれ?ご主人さま、もしかしてキスって初めて?」
「そ、そんな事ありませんよ。小さい頃は我が家ではあいさつ代わりだったし、最近ではジョンさんにされたっけな………」
「「なにっ!」」
物騒な声色の声が複数聞こえましたが、今は無視です。
『ハルよ、何を勝手にエレオノーラの魔力を食らっているのだ』
『だってご主人様の魔力って、とっても美味なんだモーン』
「えっ?今ハルちゃん、私の魔力を食べたの?全然気が付かなかった」
『それはお主の魔力が膨大だからだ。もしあそこにいる奴の貧弱な魔力をハルが食らったなら、半年は臥せっているか命を落としているだろうて』
そうなんだ、良かったハルちゃんのご飯が私で。
「とにかくハルちゃん、私はこれ以上眷属に責任持つの無理だからあなたの名前は………」
『ストップ!ご主人様、あなたは眷属に責任など持たなくてもいいの。眷属は勝手にあなたに従うだけからドンと構えているだけでいいのよ。それに、もしまたご主人様がその言葉を口にしようとしたら……』
「したら…どうするのよ」
『どこであろうと、またキスするからね!』
そうかそうか、ならば……。
私は両手で口を隠し、その言葉を言おうとしたが、いきなりハルちゃんの手が伸び、私の手を口から引き離した。
「ハ、ハルちゃんて力持ちなんだね…」
『そう、私って力持ちなの。ご主人様、チュッ、これは忠告を聞かなかったお仕置きね』
なにおー、眷属の分際で主人に仕置きなど許さん!とは言えないエレオノーラでした………。
「エレオノーラ、いや、エレオノーラ様」
「はい?」
アレクシス様、あらたまって一体何の御用でしょう?
するとアレクシス様は、片膝を地に付け、騎士の礼を取る。
「どうやらたった今、そちらの方を眷属とされたようす。それは誠でしょうか」
「はぁ、どうやらそうなったみたいです」
「ならば私も、その末席に加えたいただけないでしょうか。私などが眷属など図々しい願いとは思います。しかし何卒よろしくお願いします」
いや、先日それは断ったような気がする。
『あ奴は既に名を持っている。今更新しき名を受けようと、矛盾を生むだけであろう』
「それは無理だとリンデンさんが言ってます」
面倒くさい説明より、こういった方が手っ取り早い。
それを聞きがっくりと崩れるアレクシス様。
だからあなたには既に守るべきものがあるでしょうが。
それをどうして分かってくれないかなぁ。
「やはり私にはその資格は無いのですね………。分りました、私はもうあなたを煩わせる事は決していたしません。あなたの事はきっぱりと諦め、もうあなたの前に姿を現す事はやめましょう。そしてこの先、あなたの願い通りこの国を守るため、力を尽くすことを誓います」
「…………」
自分が望んでいたとはいえ、そうきっぱりと言われてしまうと、何故か寂しさを感じるのが乙女心なのでしょうか。
「あの…お友達程度なら構いませんが…」
「いえ、それがあなたの優しさだと承知しております。しかし私はこれ以上それに甘える訳にはまいりません」
「そうですか…では、たまにお話をする程度では…」
何を言っているんだと呆れられちゃうかもしれない。
でもアレクシス様は、性格も顔も実力も、私の理想そのものなんだもの。
そんな人に、二度と会わないと言われるなんて…やっぱり寂しいじゃない。
確かに原因を作ったのは私なんだけど……さ。
「何と言うお方なのでしょう」
アレクシス様はそう言い、ふっと寂しそうな笑顔を見せた。
「せっかくの私の決心が粉々に砕けてしまいそうです。ですがやはり私はもうあなたの前に現れるべきでは………」
「アレクシス様、それ以上口にすれば、きっとこの先後悔する事になりますよ。どうか今はエレオノーラの言葉を了承してやって下さい」
「それはどういう事……まさか!」
驚き兄様を見つめるアレクシス様、何やら目配せをする兄様。
どうして二人で意味深に見つめ合ってるんですか……何やら気になってしまうじゃないですか!!
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