46 / 155
第3章 欲望と謀略の秋 編
第40話 理性と淫欲の狭間でーーリューイ=イルスガンド
しおりを挟む
龍牙騎士団レイドモンド駐留部隊――その任務期間も残すところあと僅か。雪が降る季節になるまでには、王都ユールディアには戻れるだろう。そうすればレイモンド駐留部隊は解散し、リューイはまた新たな部隊に編成されることとなるだろう。
「いやー、今日もきっつかったなぁ」
兵舎内に備え付けられたシャワールームで、リューイは熱いお湯を浴びながら汗と泥を落としていた。
最近になって随分と暑さは和らいできたが、それでも重労働と厳しい訓練に従じる騎士達は相変わらず汗と泥にまみれる日々を送っていた。
シャワールームは1人用のスペースのため狭い。本当にシャワーを浴びるだけの簡易的な施設だ。それが十数個準備されている。
使用時間については、特に制限はなく、24時間いつでも使用可能とされている。シャワー好きの騎士の中には1日何回も浴びる者もいて、それは日々過酷で厳しい任務に臨む彼らへのせめてもの配慮だろうか。
リューイもシャワーで汗を流して、心身ともにさっぱりするのは1日の楽しみとしていた。時間は既に夜半――多くの騎士達は眠りについているだろうが、リューイ以外にもいくつかのシャワールームは使われているようだった。
「う~ん、レイドモンドにいるのも、あと少しかぁ。しんどかったけど、寂しい気もするなぁ」
その過酷な日々を耐え抜いたリューイの身体は、明らかに鍛えられていた。騎士としての訓練は当然として、外壁修繕などの重労働でも彼の肉体はひたすらに鍛えられていた。技や魔法など、特別な何かを身に付けたわけではないが、基礎的な身体能力は、レイドモンドに来る前とは比にならない。リューイ自身も、自分の成長を実感していた。
「でもなんだかんだ言って、飯も上手かったし、ダイグロフ伯もよくしてくれたし。来てよかったよなぁ」
シャワーのお湯を浴びながら、しみじみと思うリューイ。
特に、男所帯である騎士達の生活を全面的に世話してくれた使用人達には強く感謝をしている。料理や洗濯など、地味で大変な部分をしっかりとサポートしてくれたからこそ、リューイ達は任務に従事出来たのだ。
それに、特にリューイのことを気にかけてくれたリーファは――
「あ……」
シャワーを浴びながら、自分の肉棒がそそり立つのを見下ろすリューイ。
あの夜をきっかけに、リューイは嫌でもリーファを意識せざるを得なくなっていた。気のせいか、普段の生活でもやたらとリューイの身体に触ってきたり、距離がやけに近いと思う。
リューイが疲れて休憩中に、あの明るい笑顔で近づいてきて、シャンプーの良い香りを漂わせながら――
「い、いかんいかんっ!」
リューイは慌てて頭を振って妄想を振り払う。
あれからは、まるであの夜のことは夢幻かのように、いつもと変わらない様子で接してくるリーファ。むしろリューイの方がどぎまぎしてしまう程だった。
そんな落ち着かないまま時間だけが過ぎていく。
夏休みはさんざんリアラと交わっていたが、レイドモンドに戻ってからは常に誰かの同室であり、一人きりになれる時間などない。それでも、日々の疲労が疲れ果てて眠っていた時は気にならなかったのだが。
リーファにあんなことをされてしまい、そして日常でも距離が近ければ、リューイに限らず健康的な男子であれば、反応してしまうのが当たり前だろう。
「うう……すまん、リアラ」
恋人がいるのに、それ以外の相手に欲情してしまうなど――真面目な性格のリューイは、その場にいない恋人に謝罪の言葉をこぼす。
同時にリアラのことが恋しくてたまらなくなる。早く会いたい。早く会って、その身体を抱きしめて、夏にリアラの屋敷で過ごしたように彼女を愛したい。
リアラと繋がっていた時のことを思い出すと、肉棒がおさまりがつかなくなっていく。
「うぐ……仕方ない。このままじゃ眠れないからな」
シャワールームは、せっかく唯一のプライベート空間だ。部屋に戻る前に落ち着かせておこう……そう考えて、肉棒を握ったその時。
「リューイさん……ですよね? 失礼しまーす」
「っ? リ……リーむぐぐぐ?」
不意に背後から入ってきたのは、つい今しがたリューイが困惑していた相手――リーファだった。驚愕に叫びそうになったリューイの口を、リーファは手で塞ぐ。
彼女は裸にバスタオルを1枚巻いただけの姿だった。狭いシャワールーム内でリューイに身を寄せるように密着してくる。夜になると少し冷え込むようになってきたこの頃、シャワーで熱くなっていたリューイの身体は、彼女の冷たい身体の体温を感じる。
「しー。他の人もいますから、お静かに」
「むぐ……ぐぐ」
まるでここにいるのが当たり前のことかのような顔で、リーファはいたずらっぽい笑顔でそういうと、リューイは何度も頭をうなずかせる。そうして、ようやく口元からリーファの手がどかされた。
「な、何してるんだよ……こんな所で」
小声で、思い切り慌てながらリューイが言うと
「え~? お疲れのリューイさんの御背中を流してあげようかなと思いまして」
「ば、馬鹿ッ! 何言って……うぅ……」
リューイがリーファを押しのけようとするよりも早く、リーファは自分のバスタオルをはぎ取って、身体をリューイに密着させる。リーファの髪から、香しいシャンプーの匂いがリューイの鼻孔を刺激すると、下半身の性器がびくびくと脈打つ。
「ふふふ、あったか~い。夜になると、すっかりこの辺りは肌寒いですから。はぁ~、リューイさん成分を補充しなきゃ。私の身体、冷たくないですか?」
嬉しそうに笑顔を浮かべながら、リーファはリューイの体温を感じる。
「あ、ああ……大丈夫――って、そうじゃなくて」
「私の身体、柔らかいでしょう? ほらほら~」
少し控えめな胸の膨らみを、リーファは強調してくるようにリューイの胸板に押し付けてくる。その柔らかな感触に、リューイは抗うことが出来ない。
リーファの腕がリューイの背中に回ってくる。
「リューイさんは楽にしていてくださいね。私がすみずみまで綺麗にしてあげますから」
そういって、リーファはシャワールーム内にある棚に手を伸ばすと、ボディソープを手に溜める。そしてその手で、いきり立つリューイの肉棒をそっと掴んだ。
「――うっ……!」
「わぁ、もうこんなに大きくなってる。私の身体で興奮してくれたんですか? それとも私が来る前から私のこと考えてこうなった、とか? 嬉しいなぁ」
年頃の少女相応に無垢な笑顔を見せるリーファ。しかしその手つきは不釣り合いに、巧みで卑猥だった。ソープで滑りをよくさせながら、カリの部分を刺激するようにしごき、亀頭の部分を掌で撫でるように刺激する。
「くはぁっ……ああ……」
リアラとは明らかに違う、手慣れた動き。雄の悦ぶポイントをしっかりと抑えて、程よい強さで快感を与えてくる。
以前に言ったように、元奴隷というのは真実であろうことが、そこから分かることが、僅かにリューイの胸を痛ませた。
「あはっ。ヌルヌルが出てきましたよ~。嬉しいな、私で気持ちよくなってくれて」
「や、止めるんだリーファ。君はもう、奴隷じゃないんだから、こんなことをする必要は……」
「はい。伯爵様に拾っていただいて、今はとても幸せです。だから私、ひとめぼれしたリューイさんも、幸せにしてあげたいんです」
リューイを見上げて微笑むリーファ。男性器に触り、彼女自身も発情し始めたのか、どこか淫蕩に見えるその顔。
リーファは自らの身体にソープを塗りたくると、そのままリューイと体を密着させて、身体を擦り合わせるように動かす。
「ううっ……り、リーファ……ど、どうして俺なんかを……っ」
柔らかな泡だらけのリーファの身体がスポンジのようになって、リューイの身体を擦ってくる。ソープでお互いの肉体の滑りがよくなり、性感が高まっていく。
「んっ……はぁぁ……だ、だってリューイさんって……どんなことにも一生懸命で、格好良くて……あぁんっ! 彼女さんにも一途で、凄く魅力的です。ぁあんっ!」
リューイと身体を擦り合わせていることに、リーファも喘ぎ声を漏らし始める。擦りつけられる乳房の先端部が硬く尖っているのが、リューイにも分かる。
「だから、私……リューイさんの彼女さんに負けたくない。私は貴族じゃないし、元奴隷だし、今だってただの使用人で、騎士のリューイさんとは釣り合わないけど。だけどリューイさんが好きっ! 大好きっ! 誰にも渡したくない」
「り、リーファ……うううっ」
身体を揺らしながら、リーファは再び肉棒を手で握り扱いていく。
「最悪の奴隷時代でしたけど……ふふ、こんなところで役に立つなんて。どうですか、リューイさん。これだけは私、絶対に貴族のお嬢様には負けません。リューイさんが望むなら、毎日どこでだって気持ちよくしてあげます」
「うあっ……や、止め……あああっ!」
年下の少女とは思えない程に雄の官能を刺激するリーファ。
それは技巧だけではないだろう――その一途な思いもリューイの理性を剥がしていく。
「はぁ、はぁ……ふふ、ごめんなさい。やっぱり、今日はリューイさんも……」
リューイの漏らす喘ぎ声にリーファも興奮してきたのか、手で扱いていた肉棒を自らの股の間に挟むようにする。そしてリューイの手を取ると、自らの臀部を触らせる。
「ううっ……!」
お互いの性器同士が触れ合い、リューイは柔らかなリーファの尻の感触を感じる。するとリーファの股に挟まれている肉棒がびくびくと震え、リーファは悦びの喘ぎ声を漏らす。
「一緒に気持ちよくなりましょう。彼女さんには出来ないこと、私ならしてあげられますよ」
言いながら、リーファは腰を動かして、自らの性器をリューイの肉棒に擦りつける。
「うあっ……ああっ……」
「リューイさんっ……乱暴にしても、大丈夫ですからっ……あんっ……んんっ!」
お互いの性器が擦り合う快感に、二人とも甘い吐息を漏らす。
リーファの臀部へ導かれたリューイの手は、もう耐え切れずに、そのたわやなか尻肉の感触を楽しむように揉みしだき。
「あんっ……あぁんっ! リューイさん……お願い、動いて」
「う、く……り、リーファっ……」
そのリーファの淫らな懇願に、もうリューイの雄の本能は逆らえなかった。リューイは腰をグラインドさせて、リーファに挟まれている肉棒を前後に動かす。
「あんっ! リュ、リューイさん上手……ああぁぁっ!」
「はぁ、はぁっ! り、リーファ……すご、ヌルヌルして……」
情欲に蕩ける2人は顔を上げると、視線が絡み合う。そしてどちらからともなく自然と顔を近づけていくと、唇を重ね合わせる。
「あむっ……んんっ……ちゅ……ああ、リューイさんとキス出来るなんて……私、幸せ」
「ん……ちゅ……ああ、リーファ。もうダメだ……腰が止まらないっ……」
「ちゅ……ふふ、いいですよ。リューイさん」
舌を絡ませながら、リューイが限界を迎えると、リーファは優しく微笑みながら、更に腰の動きを加速させていく。
「あぐ……う、あ……り、リーファ……すごいっ……」
「あっあっあっ! 気持ちいいです、リューイさん。お願いです……最後は一緒に……嘘でもいいですから、私を見つめて「愛してる」って言いながらっ……!」
あくまでも自分ではなく相手を悦ばせようと、健気な思いのリーファ。そんな彼女が些細な我儘を言ってくる。
もうリューイの頭の中にリアラの存在は消え去っていた。的確に巧みな手管で快感を与えてくるリーファに、すっかり溺れてしまっていた。
「り、リーファ……」
リーファの肩を抱き、じっと彼女の瞳を見つめる。
「あ、愛してる……っ! うあ、ああああっ!」
「りゅ、リューイさん……ひああああああっ!」
腰を深くストロークさせるリューイのその言葉を聞いて、リーファは幸福感に包まれながら絶頂に達する。そして同じタイミングで、リーファの股間でリューイの肉棒が精を吐き出す。
2人は他のシャワールームに他の騎士がいる可能性も忘れて、嬌声を上げながら、絶頂に達したのだった。
「はぁ、はぁ……リュ、リューイさん。私、幸せです」
「はぁ、はぁ……」
そのまま甘えるようにリューイの胸に顔をうずめてくるリーファ。それを優しく抱き留めて、彼女の後頭部を優しく撫でるリューイ。
しかし溜まりきった欲望を吐き出し、強烈な性の快感の余韻が残る中、リューイの思考に徐々に理性が戻ってくる。
そして今しがた行っていた行為を冷静に思い返すと、顔がみるみる暗くなっていく。その表情を一言で形容するのであれば――「絶望」。
「お、俺はなんてことを……リアラ……すまない……」
真面目な性格の新人騎士は、思い出の中で朗らかに笑う恋人の顔を思い浮かべながら、罪悪感に身を震わせていた。
「いやー、今日もきっつかったなぁ」
兵舎内に備え付けられたシャワールームで、リューイは熱いお湯を浴びながら汗と泥を落としていた。
最近になって随分と暑さは和らいできたが、それでも重労働と厳しい訓練に従じる騎士達は相変わらず汗と泥にまみれる日々を送っていた。
シャワールームは1人用のスペースのため狭い。本当にシャワーを浴びるだけの簡易的な施設だ。それが十数個準備されている。
使用時間については、特に制限はなく、24時間いつでも使用可能とされている。シャワー好きの騎士の中には1日何回も浴びる者もいて、それは日々過酷で厳しい任務に臨む彼らへのせめてもの配慮だろうか。
リューイもシャワーで汗を流して、心身ともにさっぱりするのは1日の楽しみとしていた。時間は既に夜半――多くの騎士達は眠りについているだろうが、リューイ以外にもいくつかのシャワールームは使われているようだった。
「う~ん、レイドモンドにいるのも、あと少しかぁ。しんどかったけど、寂しい気もするなぁ」
その過酷な日々を耐え抜いたリューイの身体は、明らかに鍛えられていた。騎士としての訓練は当然として、外壁修繕などの重労働でも彼の肉体はひたすらに鍛えられていた。技や魔法など、特別な何かを身に付けたわけではないが、基礎的な身体能力は、レイドモンドに来る前とは比にならない。リューイ自身も、自分の成長を実感していた。
「でもなんだかんだ言って、飯も上手かったし、ダイグロフ伯もよくしてくれたし。来てよかったよなぁ」
シャワーのお湯を浴びながら、しみじみと思うリューイ。
特に、男所帯である騎士達の生活を全面的に世話してくれた使用人達には強く感謝をしている。料理や洗濯など、地味で大変な部分をしっかりとサポートしてくれたからこそ、リューイ達は任務に従事出来たのだ。
それに、特にリューイのことを気にかけてくれたリーファは――
「あ……」
シャワーを浴びながら、自分の肉棒がそそり立つのを見下ろすリューイ。
あの夜をきっかけに、リューイは嫌でもリーファを意識せざるを得なくなっていた。気のせいか、普段の生活でもやたらとリューイの身体に触ってきたり、距離がやけに近いと思う。
リューイが疲れて休憩中に、あの明るい笑顔で近づいてきて、シャンプーの良い香りを漂わせながら――
「い、いかんいかんっ!」
リューイは慌てて頭を振って妄想を振り払う。
あれからは、まるであの夜のことは夢幻かのように、いつもと変わらない様子で接してくるリーファ。むしろリューイの方がどぎまぎしてしまう程だった。
そんな落ち着かないまま時間だけが過ぎていく。
夏休みはさんざんリアラと交わっていたが、レイドモンドに戻ってからは常に誰かの同室であり、一人きりになれる時間などない。それでも、日々の疲労が疲れ果てて眠っていた時は気にならなかったのだが。
リーファにあんなことをされてしまい、そして日常でも距離が近ければ、リューイに限らず健康的な男子であれば、反応してしまうのが当たり前だろう。
「うう……すまん、リアラ」
恋人がいるのに、それ以外の相手に欲情してしまうなど――真面目な性格のリューイは、その場にいない恋人に謝罪の言葉をこぼす。
同時にリアラのことが恋しくてたまらなくなる。早く会いたい。早く会って、その身体を抱きしめて、夏にリアラの屋敷で過ごしたように彼女を愛したい。
リアラと繋がっていた時のことを思い出すと、肉棒がおさまりがつかなくなっていく。
「うぐ……仕方ない。このままじゃ眠れないからな」
シャワールームは、せっかく唯一のプライベート空間だ。部屋に戻る前に落ち着かせておこう……そう考えて、肉棒を握ったその時。
「リューイさん……ですよね? 失礼しまーす」
「っ? リ……リーむぐぐぐ?」
不意に背後から入ってきたのは、つい今しがたリューイが困惑していた相手――リーファだった。驚愕に叫びそうになったリューイの口を、リーファは手で塞ぐ。
彼女は裸にバスタオルを1枚巻いただけの姿だった。狭いシャワールーム内でリューイに身を寄せるように密着してくる。夜になると少し冷え込むようになってきたこの頃、シャワーで熱くなっていたリューイの身体は、彼女の冷たい身体の体温を感じる。
「しー。他の人もいますから、お静かに」
「むぐ……ぐぐ」
まるでここにいるのが当たり前のことかのような顔で、リーファはいたずらっぽい笑顔でそういうと、リューイは何度も頭をうなずかせる。そうして、ようやく口元からリーファの手がどかされた。
「な、何してるんだよ……こんな所で」
小声で、思い切り慌てながらリューイが言うと
「え~? お疲れのリューイさんの御背中を流してあげようかなと思いまして」
「ば、馬鹿ッ! 何言って……うぅ……」
リューイがリーファを押しのけようとするよりも早く、リーファは自分のバスタオルをはぎ取って、身体をリューイに密着させる。リーファの髪から、香しいシャンプーの匂いがリューイの鼻孔を刺激すると、下半身の性器がびくびくと脈打つ。
「ふふふ、あったか~い。夜になると、すっかりこの辺りは肌寒いですから。はぁ~、リューイさん成分を補充しなきゃ。私の身体、冷たくないですか?」
嬉しそうに笑顔を浮かべながら、リーファはリューイの体温を感じる。
「あ、ああ……大丈夫――って、そうじゃなくて」
「私の身体、柔らかいでしょう? ほらほら~」
少し控えめな胸の膨らみを、リーファは強調してくるようにリューイの胸板に押し付けてくる。その柔らかな感触に、リューイは抗うことが出来ない。
リーファの腕がリューイの背中に回ってくる。
「リューイさんは楽にしていてくださいね。私がすみずみまで綺麗にしてあげますから」
そういって、リーファはシャワールーム内にある棚に手を伸ばすと、ボディソープを手に溜める。そしてその手で、いきり立つリューイの肉棒をそっと掴んだ。
「――うっ……!」
「わぁ、もうこんなに大きくなってる。私の身体で興奮してくれたんですか? それとも私が来る前から私のこと考えてこうなった、とか? 嬉しいなぁ」
年頃の少女相応に無垢な笑顔を見せるリーファ。しかしその手つきは不釣り合いに、巧みで卑猥だった。ソープで滑りをよくさせながら、カリの部分を刺激するようにしごき、亀頭の部分を掌で撫でるように刺激する。
「くはぁっ……ああ……」
リアラとは明らかに違う、手慣れた動き。雄の悦ぶポイントをしっかりと抑えて、程よい強さで快感を与えてくる。
以前に言ったように、元奴隷というのは真実であろうことが、そこから分かることが、僅かにリューイの胸を痛ませた。
「あはっ。ヌルヌルが出てきましたよ~。嬉しいな、私で気持ちよくなってくれて」
「や、止めるんだリーファ。君はもう、奴隷じゃないんだから、こんなことをする必要は……」
「はい。伯爵様に拾っていただいて、今はとても幸せです。だから私、ひとめぼれしたリューイさんも、幸せにしてあげたいんです」
リューイを見上げて微笑むリーファ。男性器に触り、彼女自身も発情し始めたのか、どこか淫蕩に見えるその顔。
リーファは自らの身体にソープを塗りたくると、そのままリューイと体を密着させて、身体を擦り合わせるように動かす。
「ううっ……り、リーファ……ど、どうして俺なんかを……っ」
柔らかな泡だらけのリーファの身体がスポンジのようになって、リューイの身体を擦ってくる。ソープでお互いの肉体の滑りがよくなり、性感が高まっていく。
「んっ……はぁぁ……だ、だってリューイさんって……どんなことにも一生懸命で、格好良くて……あぁんっ! 彼女さんにも一途で、凄く魅力的です。ぁあんっ!」
リューイと身体を擦り合わせていることに、リーファも喘ぎ声を漏らし始める。擦りつけられる乳房の先端部が硬く尖っているのが、リューイにも分かる。
「だから、私……リューイさんの彼女さんに負けたくない。私は貴族じゃないし、元奴隷だし、今だってただの使用人で、騎士のリューイさんとは釣り合わないけど。だけどリューイさんが好きっ! 大好きっ! 誰にも渡したくない」
「り、リーファ……うううっ」
身体を揺らしながら、リーファは再び肉棒を手で握り扱いていく。
「最悪の奴隷時代でしたけど……ふふ、こんなところで役に立つなんて。どうですか、リューイさん。これだけは私、絶対に貴族のお嬢様には負けません。リューイさんが望むなら、毎日どこでだって気持ちよくしてあげます」
「うあっ……や、止め……あああっ!」
年下の少女とは思えない程に雄の官能を刺激するリーファ。
それは技巧だけではないだろう――その一途な思いもリューイの理性を剥がしていく。
「はぁ、はぁ……ふふ、ごめんなさい。やっぱり、今日はリューイさんも……」
リューイの漏らす喘ぎ声にリーファも興奮してきたのか、手で扱いていた肉棒を自らの股の間に挟むようにする。そしてリューイの手を取ると、自らの臀部を触らせる。
「ううっ……!」
お互いの性器同士が触れ合い、リューイは柔らかなリーファの尻の感触を感じる。するとリーファの股に挟まれている肉棒がびくびくと震え、リーファは悦びの喘ぎ声を漏らす。
「一緒に気持ちよくなりましょう。彼女さんには出来ないこと、私ならしてあげられますよ」
言いながら、リーファは腰を動かして、自らの性器をリューイの肉棒に擦りつける。
「うあっ……ああっ……」
「リューイさんっ……乱暴にしても、大丈夫ですからっ……あんっ……んんっ!」
お互いの性器が擦り合う快感に、二人とも甘い吐息を漏らす。
リーファの臀部へ導かれたリューイの手は、もう耐え切れずに、そのたわやなか尻肉の感触を楽しむように揉みしだき。
「あんっ……あぁんっ! リューイさん……お願い、動いて」
「う、く……り、リーファっ……」
そのリーファの淫らな懇願に、もうリューイの雄の本能は逆らえなかった。リューイは腰をグラインドさせて、リーファに挟まれている肉棒を前後に動かす。
「あんっ! リュ、リューイさん上手……ああぁぁっ!」
「はぁ、はぁっ! り、リーファ……すご、ヌルヌルして……」
情欲に蕩ける2人は顔を上げると、視線が絡み合う。そしてどちらからともなく自然と顔を近づけていくと、唇を重ね合わせる。
「あむっ……んんっ……ちゅ……ああ、リューイさんとキス出来るなんて……私、幸せ」
「ん……ちゅ……ああ、リーファ。もうダメだ……腰が止まらないっ……」
「ちゅ……ふふ、いいですよ。リューイさん」
舌を絡ませながら、リューイが限界を迎えると、リーファは優しく微笑みながら、更に腰の動きを加速させていく。
「あぐ……う、あ……り、リーファ……すごいっ……」
「あっあっあっ! 気持ちいいです、リューイさん。お願いです……最後は一緒に……嘘でもいいですから、私を見つめて「愛してる」って言いながらっ……!」
あくまでも自分ではなく相手を悦ばせようと、健気な思いのリーファ。そんな彼女が些細な我儘を言ってくる。
もうリューイの頭の中にリアラの存在は消え去っていた。的確に巧みな手管で快感を与えてくるリーファに、すっかり溺れてしまっていた。
「り、リーファ……」
リーファの肩を抱き、じっと彼女の瞳を見つめる。
「あ、愛してる……っ! うあ、ああああっ!」
「りゅ、リューイさん……ひああああああっ!」
腰を深くストロークさせるリューイのその言葉を聞いて、リーファは幸福感に包まれながら絶頂に達する。そして同じタイミングで、リーファの股間でリューイの肉棒が精を吐き出す。
2人は他のシャワールームに他の騎士がいる可能性も忘れて、嬌声を上げながら、絶頂に達したのだった。
「はぁ、はぁ……リュ、リューイさん。私、幸せです」
「はぁ、はぁ……」
そのまま甘えるようにリューイの胸に顔をうずめてくるリーファ。それを優しく抱き留めて、彼女の後頭部を優しく撫でるリューイ。
しかし溜まりきった欲望を吐き出し、強烈な性の快感の余韻が残る中、リューイの思考に徐々に理性が戻ってくる。
そして今しがた行っていた行為を冷静に思い返すと、顔がみるみる暗くなっていく。その表情を一言で形容するのであれば――「絶望」。
「お、俺はなんてことを……リアラ……すまない……」
真面目な性格の新人騎士は、思い出の中で朗らかに笑う恋人の顔を思い浮かべながら、罪悪感に身を震わせていた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
328
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる