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第3章 欲望と謀略の秋 編
第62話 コウメイの帰還
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ルエールに推薦され、ミュリヌス地方へカリオスからの使者として赴いたコウメイ。彼が王都ユールディアに、アンナ=ヴァルガンダルを連れて帰還した際には、関係各位は大きく動揺したのだった。
夜通しの強行軍で戻ってきたコウメイは疲労の極みにあった。一緒に戻ってきたアンナも明らかに普通の状態ではなかったため、ルエールはすぐにでも事情を確認したい気持ちを抑えて、彼らを休息させた。
コウメイとルエールの面談が実現したのは、コウメイが王都に帰還した翌昼過ぎ以降だった。
「ご苦労だったな、コウメイ」
ルエールがコウメイを呼んだのは、王都ユールディア内にある龍牙騎士団の兵舎。その会議室である。10人少々の人数が入れるその部屋には、今はルエールとコウメイの2人。
ルエールは椅子に座りながら、同じく長机に合わせておかれている椅子をコウメイに勧めると、コウメイはそこに腰を下ろす。
「勝手に戻ってきたら、怒られると思っていましたけど?」
疲労はすっかり回復したのか、コウメイは悪戯小僧のような笑いを浮かべながら言うと、ルエールは苦笑する。
「お前のことだ。ふざけた態度は取っていても、命じられた職務は真面目にこなしてくれると信じている。それにあんな状態のアンナも連れてくるとは、何があった?」
本来であれば、コウメイは後日カリオスが来訪するまでミュリヌス地方に滞在する予定だった。にも関わらず、短期間で連絡もなしに王都へ帰還。さらにはアンナも伴って戻ってきたことは、ルエールに嫌な予感を抱かせるには容易なことだった。
ルエールは真剣な視線で、真っ直ぐコウメイを見据えると。コウメイはうなずきながら答える。
「結論から言うと、限りなく黒に近い灰色でしたよ。グスタフ卿は」
どこか不満そうにそうしながらコウメイは続ける。
「奴が良くないことに手を出しているのは明らかでしたけど、肝心なところは徹底して明るみに出ないようにしている。何にどうやって手を出しているのは、何も分からず終いでしたよ。結局、お嬢さんからの口からも奴の名前は最後まで出ていませんしね」
「アンナは、一体何があった?」
コウメイの口から愛娘の名前が出てきたので、ルエールは思わずそこを問い詰める。無理もないか、とコウメイは胸中で理解しながら、答える。
「夜中に突然俺を襲ってきましてね……暗殺ってやつです。たまたまシンパ卿が側にいたので、何とか助かりましたが」
「――信じられん」
ルエールにしては珍しく、驚愕に目を見開いていた。だからといってコウメイが嘘を吐いているとも思えないだろう。その瞳は、向けるべき場所を失うようにして、揺れていた。
「シンパ卿が側にいたから――っていっても、お嬢さんの力は圧倒的でしたよ。シンパ卿を遥かに凌駕していました。多分、あのままだったら、俺もシンパ卿もやられていたと思います」
「どういう意味だ?」
「突然、悲鳴を上げて倒れたと思ったら、そのまま意識を失ったんです。とりあえずその場はそれで落ち着いたんですけど、このままグスタフ卿の近くに置いておくのは危険だと思って、連れて帰ってきたんです。それで……えぇと……その……」
そこまではスムーズに口を動かしていたコウメイは、続き言いにくそうにして言い淀む。
迷っているのは、王都への帰途、馬車の中でアンナが目を覚ました時の件についてだった。
父親であるからこそ知らせておくべきだし、だからこそ言いにくいことこの上ない。
コウメイは唇を舐めながら、胸の中に重苦しい感覚を抱きながら続きを言う。
「馬車の中で、お嬢さんが目を覚ましたんですがね――」
その時の状況、アンナが口にしていた言葉を、寸分違わぬルエールに伝えるコウメイ。それは残酷なようでもあったが、変にごまかすよりはよっぽど誠実ある態度だったろう。
コウメイから話を聞いたルエールは、思わず耐えきれずに両手で顔を覆い、うなだれるのだった。
「騎士団長……」
さすがに普段は飄々としているコウメイも、肩を落とすルエールに神妙な顔つきになる。
「いや、すまない。女ながら騎士としての道を選んだのはアンナ自身だ。身に危険が及ぶことは、親としても覚悟はしていたつもりだが……いや、それにしても……これはきついな」
顔を沈ませたまま、ルエールはその言葉を零す。
出来ることならここで話を一度打ち切って、ルエールにはしばらく気持ちの整理をつける時間を設けたかった。しかし、あいにく龍牙騎士団長である彼にそんな甘えは許されない。今、この瞬間にもミュリヌス地方で危険にさらされている人間がいるのだ。
あえて無慈悲に、コウメイは話を進める。
「それで、お嬢さんの容態はどうだったんですか?」
連れ戻されたアンナは、王宮内にある専門チームが治療にあたっている。あれからアンナが意識を取り戻すことは数回あったが、いずれも睡眠香を嗅がせることで落ち着かせることが出来ていたが、王都についてからの様子は、コウメイも預かり知れない。
「陰魔術……呪いの類ではないか、というのがチームの見解だ」
ルエールはようやく顔を上げてコウメイを見ながら答える。その目は、このわずかなやり取りですっかり憔悴してしまっている。
陰魔術――聖魔術とは対をなす魔術とされている。聖魔術が治療や能力強化に特化した魔術であるのと比べて、陰魔術は対象の能力低下に特化した魔術である。中でも『呪い』あるいは『呪術』と呼ばれる術は極めて特異で、とある制約や条件と引き換えに聖魔術を超える程の能力強化を得ることが出来るものである。
ただしその制約や条件といったものが、大体がえげつないものが多く、一般的には外法の術として、聖アルマイト王国では禁忌とされている。
そのルエールの話を聞いて、コウメイは納得したような表情になる。
「なるほど、呪いか。それならお嬢さんの件については、説明が通りますね」
「そう……だな」
元気なく弱弱しくうなずくルエール。
シンパをも凌駕する戦闘能力と馬車内での奇行――そこから容易に想像出来るのは、性行為を条件とする能力強化、という呪術をかけられたというところであろう。父親であるルエールにとっては、この上なく辛い真実だろうが。
「聖アルマイトでも腕利きの解呪師が治療にあたってくれているが……症状を和らげることは可能だが、根治は難しいらしい。完全な解呪には術者に解呪させるか、殺すしかないと。症状を和らげるのも、どこまで出来るかは様子を見ながら…ということだ」
それは朗報と受け取っても良いのか、コウメイは迷うような視線を送る。
「グスタフが関わっていることは間違いないのか?」
疲れ切った声で問うルエールに、コウメイは力強くうなずく。既にルエールの言葉に、大臣であるグスタフへの敬称は無くなっていた。
「状況的には間違いないか、と。あの豚野郎を挑発したその日の夜に襲撃があったことや、お嬢さんの豹変ぶりにシンパ卿や学園関係者もみんな驚いていましたし……豚野郎がお嬢さんに呪術を掛けて、俺に仕向けてきたって考えるのが自然だと思いますよ」
ルエールがそうしたからというわけではないだろうが、コウメイも取り繕うことなくグスタフを蔑むような言葉使いになる。
ルエールは大きく息を吐きながら、問い返す。
「コウメイ。この件、お前はどう思う?」
本来ならば、愛娘を手にかけられた――それも性的に凌辱をされたと聞かされれば、いても立ってもいられないだろう。それでもルエールは龍牙騎士団長として、己の感情を抑え込めて、騎士団長付参謀であるコウメイに、冷静に意見を求めてくる。
コウメイは、そんな静かに強い意志を見せるルエールにうなずきながら答える。
「奴隷取引とか、もうそういうレベルの話じゃないような気がしますね。あの豚野郎が何を考えているのかはよく分からないですが……お嬢さんをああまで変えるような強力な術者なら、最悪リリライト姫殿下も既に手にかかっている可能性も……」
そこまでコウメイが言うと、さすがに堪え切れなかったのか、ルエールが怒りの拳を机にたたきつける。壊れこそしなかったが、木造の長机はメキメキと軋む音を立てる。
「あの豚のような男が、私の娘だけではなく、リリライト姫殿下をも凌辱しているというのかっ! そんなことが許されるのか! どうしてっ!」
激昂するルエール。龍牙騎士団に属するルーエルにとって、直接の守護対象はカリオスではあるが、1人の騎士として王族を穢される怒りは相当なものだろう。もちろん、娘のアンナを凌辱されたこともあるだろうが。
「――すみません。こんなこと言ってなんですが、リリライト姫殿下はまだ大丈夫だと思います。少なくともグスタフの意のままになっている状況は嫌がっているような感じでしたから」
アンナのように嬉々として従うのではなく、困惑や戸惑いを見せながら、それでもグスタフには逆らえないかったリリライトの態度。それにコウメイと話しているときの彼女は理知的で『純白の姫』たるに十分な振る舞いだったように思える。
「シンパ卿も、こんな状況だから危険なんで自分と一緒に王都に戻るように言ったんですが、あの人はリリライト姫殿下を守るためにミュリヌスに残ることを選びました。だから、しばらくは大丈夫だとは思いますが――」
そう悠長なことも言っていられないだろう、とコウメイは予想する。
呪いだかなんだか知らないが、グスタフがどんな能力を持っていて、何を考えているのかが不明確なのがネックである。白薔薇騎士団長といえど、そんな得体のしれない相手から、そう長くリリライトを守ることは難しいだろう、というのがコウメイの見解だった。
「すみません。俺は結局何も使命を果たせませんでした」
そしてコウメイは、心の底から申し訳なさそうな顔をして頭を下げる。それはいつも軽薄な彼とは打って変わって、殊勝な態度。本気で自分の不甲斐なさを、力の及ばなさを悔いているようだった。
自分に課せられた使命は、奴隷取引が秘密裏に行われてるかどうかの真偽。そしてそれが事実だった場合の証拠集めだった。イコールそれはグスタフの陰謀を暴くこと。
しかし結局コウメイがつかんできたのは、不穏な空気とグスタフが何かしら暗躍しているであろうこと。確かな事実は何一つ掴めずに、カリオス来訪まで滞在することすら叶わず、ここ王都に戻ってくる格好となったのだ。
そんなコウメイの態度に、ここで初めてルエールは僅かに頬を緩める。
「そんなことはない。お前はよくやってくれたよ。少なくとも、私の娘を助け出してくれた」
労いの言葉をかけてくるルエールに、それでもコウメイはそれを素直に受け取ることは出来なかった。グスタフの手から連れ出すことは出来たが、もうすでに手遅れではないといえるのか。そうだとしたら、シンパすらミュリヌスに置いてきた自分は、今回の件では何一つ使命を果たせなかったのではないか。
「相手が大臣だというのが厄介だな。少なからず、グスタフを支持する勢力だって存在する。状況証拠や憶測だけで更迭などすれば、国内外に良からぬ混乱を生じるな」
見た目や態度が不快というだけで、グスタフは能力も実績も残している。とてもイメージがつかないが、大臣という地位もそれがあってのものなのだ。
ルエールの言う通り、そんな彼を支持する声は国内に少なくない。また国外においても、特にグスタフが担当しているヘルベルト連合などはグスタフ支持の考えだろう。正当な理由なくグスタフを処断すれば、動揺が生まれるのは必至だ。
ついでに言うのであれば、昨年のネルグリア帝国との戦争も各国に影響を与えている。万が一ヘルベルト連合との関係が悪化すると、他の諸外国との関係にも影響する。
グスタフが黒であることは確定的なのに、迂闊に手が出せない状況。これすらもグスタフの企みの内だとすると。
(相当に厄介な野郎だな)
その見た目から、ついつい忌避・軽蔑と共に見下してしまうが、その正体は遥かに用意周到で狡猾な謀略家ということになる。コウメイは、グスタフを2度と侮らないように心に誓う。
さてどうするか……と、考えるルエールは龍牙騎士団の騎士団長の顔になっていた。無論、娘を凌辱されたという怒りは今も胸に秘めているに違いないが。
「1つ突破口があるとするならば」
そんな思案にくれるルエールにコウメイが言葉をかける。
「奴はカリオス殿下とリリライト姫殿下の接触を嫌っていました。まあ自分がヤバいことに手をだしているなら、そういのを嫌うカリオス殿下を遠ざけたいのはそうでしょうけど、それが何かしらのきっかけにはなると思います」
カリオスのあの性格だ。事情を全て伝えたうえでミュリヌス地方へ赴けば、きっとグスタフの不正を徹底して暴くに違ない。カリオスは、現時点でグスタフが最も嫌う人物だろう。それに何よりも、シンパの安全のためにも、すぐにでも動き出すべきだとコウメイは強く思う。
しかしルエールの反応はコウメイの期待を裏切る。
「カリオス殿下はネルグリア帝国の視察へ行っておられる。すぐにミュリヌス地方へ行くのは無理だ」
「ああ……」
そういえばネルグリア帝国占領後の統治は上手くいっていないと聞いていた。グスタフのことがあるまで、カリオスの急務といえばそれだろう。
「タイミング悪いですね」
「ああ、そうだな。ただ聞いた限り、ミュリヌス地方のことも悠長に時間をかけていられない。リリライト姫殿下はもとより、シンパ卿も心配だ」
そう言ってルエールは腰を上げる。その瞳にはある決意の色がうかがえた。
「私が行こう」
「騎士団長が? だったら俺も……」
ルエールに連れて立ち上がりそうになったコウメイを、ルエールは手を伸ばして押しとどめる。
「いや、コウメイは残っていて欲しい。カリオス殿下が戻られた時に、事情を説明する人間が必要だ。それは直接現場を見てきたお前以外に適任はいないだろう」
「それは、そうかもしれないですが……」
いまいち承知しかねる表情でコウメイは視線をそらす。
第1王子、実質的な現在の最高権力者のカリオスであればグスタフ相手に引けは取らないだろう。しかしルエールは、立場的にはグスタフより下の地位となる。しかもルエールはそういった地位や役職を重んじる性格だ。
丸め込まれるだけならまだしも、下手したらルエールまでもがグスタフに害されるのではないかとコウメイは嫌な予感がしてたまらない。
「なに、心配するな。アンナを汚されているのだ……相手が大臣とて、俺は一歩も引く気はない」
そんなコウメイの心境を見透かしたように、ルエールは笑いながら言う。しかしその眼には確かに怒りと憎悪の色がこもっているのを、コウメイが見逃さなかった。
「気を付けて下さいよ。騎士団長がいないと、俺の面倒を見る人がいなくなりますから」
数秒熟考した上に、コウメイはそのルエールの決断を受け入れることにした。あくまで軽薄な口調は、それでも拭いきれない不安を誤魔化すため。
そんなコウメイの様子に、ルエールはわははと大口を開けて笑った。あまり素の感情を出すことがない彼にとっては珍しいことだった。
「お前もいつの間にか人の心配をするようになったか。なに心配するな。さすがに軍隊を率いてはいけないが、信頼のおける精鋭部隊を選んで連れていくつもりだ。俺が留守の間はアンナのことを頼むぞ」
「――本当に、気を付けて」
ルエール=ヴァルガンダル。第1王子カリオス=ド=アルマイト麾下、大陸最強と評される龍牙騎士団の騎士団長。かつては王国最強の騎士ともうたわれた人物だ。これ程の人物がグスタフ程度に遅れをとるはずがない。
一体自分は何を心配しているのか……コウメイは自分に言い聞かせるように、自身の奥底から湧き出てくる得体のしれない不安を無理やり押し込めるようにした。
コウメイの言葉にルエールは力強くうなずく。
「今から準備を始めて、ミュリヌス地方に付くのは1か月後――年が明けた頃か。それまで、姫殿下とシンパ卿が無事であると良いのだが」
もしくは既に手遅れになっているのではないか――思い付きはしていたものの、コウメイはグッとその考えを胸の中にとどめておいた。
限りなく嫌な予感――それを打ち払う一縷の希望をルエールに託すことに決めたのだった。
夜通しの強行軍で戻ってきたコウメイは疲労の極みにあった。一緒に戻ってきたアンナも明らかに普通の状態ではなかったため、ルエールはすぐにでも事情を確認したい気持ちを抑えて、彼らを休息させた。
コウメイとルエールの面談が実現したのは、コウメイが王都に帰還した翌昼過ぎ以降だった。
「ご苦労だったな、コウメイ」
ルエールがコウメイを呼んだのは、王都ユールディア内にある龍牙騎士団の兵舎。その会議室である。10人少々の人数が入れるその部屋には、今はルエールとコウメイの2人。
ルエールは椅子に座りながら、同じく長机に合わせておかれている椅子をコウメイに勧めると、コウメイはそこに腰を下ろす。
「勝手に戻ってきたら、怒られると思っていましたけど?」
疲労はすっかり回復したのか、コウメイは悪戯小僧のような笑いを浮かべながら言うと、ルエールは苦笑する。
「お前のことだ。ふざけた態度は取っていても、命じられた職務は真面目にこなしてくれると信じている。それにあんな状態のアンナも連れてくるとは、何があった?」
本来であれば、コウメイは後日カリオスが来訪するまでミュリヌス地方に滞在する予定だった。にも関わらず、短期間で連絡もなしに王都へ帰還。さらにはアンナも伴って戻ってきたことは、ルエールに嫌な予感を抱かせるには容易なことだった。
ルエールは真剣な視線で、真っ直ぐコウメイを見据えると。コウメイはうなずきながら答える。
「結論から言うと、限りなく黒に近い灰色でしたよ。グスタフ卿は」
どこか不満そうにそうしながらコウメイは続ける。
「奴が良くないことに手を出しているのは明らかでしたけど、肝心なところは徹底して明るみに出ないようにしている。何にどうやって手を出しているのは、何も分からず終いでしたよ。結局、お嬢さんからの口からも奴の名前は最後まで出ていませんしね」
「アンナは、一体何があった?」
コウメイの口から愛娘の名前が出てきたので、ルエールは思わずそこを問い詰める。無理もないか、とコウメイは胸中で理解しながら、答える。
「夜中に突然俺を襲ってきましてね……暗殺ってやつです。たまたまシンパ卿が側にいたので、何とか助かりましたが」
「――信じられん」
ルエールにしては珍しく、驚愕に目を見開いていた。だからといってコウメイが嘘を吐いているとも思えないだろう。その瞳は、向けるべき場所を失うようにして、揺れていた。
「シンパ卿が側にいたから――っていっても、お嬢さんの力は圧倒的でしたよ。シンパ卿を遥かに凌駕していました。多分、あのままだったら、俺もシンパ卿もやられていたと思います」
「どういう意味だ?」
「突然、悲鳴を上げて倒れたと思ったら、そのまま意識を失ったんです。とりあえずその場はそれで落ち着いたんですけど、このままグスタフ卿の近くに置いておくのは危険だと思って、連れて帰ってきたんです。それで……えぇと……その……」
そこまではスムーズに口を動かしていたコウメイは、続き言いにくそうにして言い淀む。
迷っているのは、王都への帰途、馬車の中でアンナが目を覚ました時の件についてだった。
父親であるからこそ知らせておくべきだし、だからこそ言いにくいことこの上ない。
コウメイは唇を舐めながら、胸の中に重苦しい感覚を抱きながら続きを言う。
「馬車の中で、お嬢さんが目を覚ましたんですがね――」
その時の状況、アンナが口にしていた言葉を、寸分違わぬルエールに伝えるコウメイ。それは残酷なようでもあったが、変にごまかすよりはよっぽど誠実ある態度だったろう。
コウメイから話を聞いたルエールは、思わず耐えきれずに両手で顔を覆い、うなだれるのだった。
「騎士団長……」
さすがに普段は飄々としているコウメイも、肩を落とすルエールに神妙な顔つきになる。
「いや、すまない。女ながら騎士としての道を選んだのはアンナ自身だ。身に危険が及ぶことは、親としても覚悟はしていたつもりだが……いや、それにしても……これはきついな」
顔を沈ませたまま、ルエールはその言葉を零す。
出来ることならここで話を一度打ち切って、ルエールにはしばらく気持ちの整理をつける時間を設けたかった。しかし、あいにく龍牙騎士団長である彼にそんな甘えは許されない。今、この瞬間にもミュリヌス地方で危険にさらされている人間がいるのだ。
あえて無慈悲に、コウメイは話を進める。
「それで、お嬢さんの容態はどうだったんですか?」
連れ戻されたアンナは、王宮内にある専門チームが治療にあたっている。あれからアンナが意識を取り戻すことは数回あったが、いずれも睡眠香を嗅がせることで落ち着かせることが出来ていたが、王都についてからの様子は、コウメイも預かり知れない。
「陰魔術……呪いの類ではないか、というのがチームの見解だ」
ルエールはようやく顔を上げてコウメイを見ながら答える。その目は、このわずかなやり取りですっかり憔悴してしまっている。
陰魔術――聖魔術とは対をなす魔術とされている。聖魔術が治療や能力強化に特化した魔術であるのと比べて、陰魔術は対象の能力低下に特化した魔術である。中でも『呪い』あるいは『呪術』と呼ばれる術は極めて特異で、とある制約や条件と引き換えに聖魔術を超える程の能力強化を得ることが出来るものである。
ただしその制約や条件といったものが、大体がえげつないものが多く、一般的には外法の術として、聖アルマイト王国では禁忌とされている。
そのルエールの話を聞いて、コウメイは納得したような表情になる。
「なるほど、呪いか。それならお嬢さんの件については、説明が通りますね」
「そう……だな」
元気なく弱弱しくうなずくルエール。
シンパをも凌駕する戦闘能力と馬車内での奇行――そこから容易に想像出来るのは、性行為を条件とする能力強化、という呪術をかけられたというところであろう。父親であるルエールにとっては、この上なく辛い真実だろうが。
「聖アルマイトでも腕利きの解呪師が治療にあたってくれているが……症状を和らげることは可能だが、根治は難しいらしい。完全な解呪には術者に解呪させるか、殺すしかないと。症状を和らげるのも、どこまで出来るかは様子を見ながら…ということだ」
それは朗報と受け取っても良いのか、コウメイは迷うような視線を送る。
「グスタフが関わっていることは間違いないのか?」
疲れ切った声で問うルエールに、コウメイは力強くうなずく。既にルエールの言葉に、大臣であるグスタフへの敬称は無くなっていた。
「状況的には間違いないか、と。あの豚野郎を挑発したその日の夜に襲撃があったことや、お嬢さんの豹変ぶりにシンパ卿や学園関係者もみんな驚いていましたし……豚野郎がお嬢さんに呪術を掛けて、俺に仕向けてきたって考えるのが自然だと思いますよ」
ルエールがそうしたからというわけではないだろうが、コウメイも取り繕うことなくグスタフを蔑むような言葉使いになる。
ルエールは大きく息を吐きながら、問い返す。
「コウメイ。この件、お前はどう思う?」
本来ならば、愛娘を手にかけられた――それも性的に凌辱をされたと聞かされれば、いても立ってもいられないだろう。それでもルエールは龍牙騎士団長として、己の感情を抑え込めて、騎士団長付参謀であるコウメイに、冷静に意見を求めてくる。
コウメイは、そんな静かに強い意志を見せるルエールにうなずきながら答える。
「奴隷取引とか、もうそういうレベルの話じゃないような気がしますね。あの豚野郎が何を考えているのかはよく分からないですが……お嬢さんをああまで変えるような強力な術者なら、最悪リリライト姫殿下も既に手にかかっている可能性も……」
そこまでコウメイが言うと、さすがに堪え切れなかったのか、ルエールが怒りの拳を机にたたきつける。壊れこそしなかったが、木造の長机はメキメキと軋む音を立てる。
「あの豚のような男が、私の娘だけではなく、リリライト姫殿下をも凌辱しているというのかっ! そんなことが許されるのか! どうしてっ!」
激昂するルエール。龍牙騎士団に属するルーエルにとって、直接の守護対象はカリオスではあるが、1人の騎士として王族を穢される怒りは相当なものだろう。もちろん、娘のアンナを凌辱されたこともあるだろうが。
「――すみません。こんなこと言ってなんですが、リリライト姫殿下はまだ大丈夫だと思います。少なくともグスタフの意のままになっている状況は嫌がっているような感じでしたから」
アンナのように嬉々として従うのではなく、困惑や戸惑いを見せながら、それでもグスタフには逆らえないかったリリライトの態度。それにコウメイと話しているときの彼女は理知的で『純白の姫』たるに十分な振る舞いだったように思える。
「シンパ卿も、こんな状況だから危険なんで自分と一緒に王都に戻るように言ったんですが、あの人はリリライト姫殿下を守るためにミュリヌスに残ることを選びました。だから、しばらくは大丈夫だとは思いますが――」
そう悠長なことも言っていられないだろう、とコウメイは予想する。
呪いだかなんだか知らないが、グスタフがどんな能力を持っていて、何を考えているのかが不明確なのがネックである。白薔薇騎士団長といえど、そんな得体のしれない相手から、そう長くリリライトを守ることは難しいだろう、というのがコウメイの見解だった。
「すみません。俺は結局何も使命を果たせませんでした」
そしてコウメイは、心の底から申し訳なさそうな顔をして頭を下げる。それはいつも軽薄な彼とは打って変わって、殊勝な態度。本気で自分の不甲斐なさを、力の及ばなさを悔いているようだった。
自分に課せられた使命は、奴隷取引が秘密裏に行われてるかどうかの真偽。そしてそれが事実だった場合の証拠集めだった。イコールそれはグスタフの陰謀を暴くこと。
しかし結局コウメイがつかんできたのは、不穏な空気とグスタフが何かしら暗躍しているであろうこと。確かな事実は何一つ掴めずに、カリオス来訪まで滞在することすら叶わず、ここ王都に戻ってくる格好となったのだ。
そんなコウメイの態度に、ここで初めてルエールは僅かに頬を緩める。
「そんなことはない。お前はよくやってくれたよ。少なくとも、私の娘を助け出してくれた」
労いの言葉をかけてくるルエールに、それでもコウメイはそれを素直に受け取ることは出来なかった。グスタフの手から連れ出すことは出来たが、もうすでに手遅れではないといえるのか。そうだとしたら、シンパすらミュリヌスに置いてきた自分は、今回の件では何一つ使命を果たせなかったのではないか。
「相手が大臣だというのが厄介だな。少なからず、グスタフを支持する勢力だって存在する。状況証拠や憶測だけで更迭などすれば、国内外に良からぬ混乱を生じるな」
見た目や態度が不快というだけで、グスタフは能力も実績も残している。とてもイメージがつかないが、大臣という地位もそれがあってのものなのだ。
ルエールの言う通り、そんな彼を支持する声は国内に少なくない。また国外においても、特にグスタフが担当しているヘルベルト連合などはグスタフ支持の考えだろう。正当な理由なくグスタフを処断すれば、動揺が生まれるのは必至だ。
ついでに言うのであれば、昨年のネルグリア帝国との戦争も各国に影響を与えている。万が一ヘルベルト連合との関係が悪化すると、他の諸外国との関係にも影響する。
グスタフが黒であることは確定的なのに、迂闊に手が出せない状況。これすらもグスタフの企みの内だとすると。
(相当に厄介な野郎だな)
その見た目から、ついつい忌避・軽蔑と共に見下してしまうが、その正体は遥かに用意周到で狡猾な謀略家ということになる。コウメイは、グスタフを2度と侮らないように心に誓う。
さてどうするか……と、考えるルエールは龍牙騎士団の騎士団長の顔になっていた。無論、娘を凌辱されたという怒りは今も胸に秘めているに違いないが。
「1つ突破口があるとするならば」
そんな思案にくれるルエールにコウメイが言葉をかける。
「奴はカリオス殿下とリリライト姫殿下の接触を嫌っていました。まあ自分がヤバいことに手をだしているなら、そういのを嫌うカリオス殿下を遠ざけたいのはそうでしょうけど、それが何かしらのきっかけにはなると思います」
カリオスのあの性格だ。事情を全て伝えたうえでミュリヌス地方へ赴けば、きっとグスタフの不正を徹底して暴くに違ない。カリオスは、現時点でグスタフが最も嫌う人物だろう。それに何よりも、シンパの安全のためにも、すぐにでも動き出すべきだとコウメイは強く思う。
しかしルエールの反応はコウメイの期待を裏切る。
「カリオス殿下はネルグリア帝国の視察へ行っておられる。すぐにミュリヌス地方へ行くのは無理だ」
「ああ……」
そういえばネルグリア帝国占領後の統治は上手くいっていないと聞いていた。グスタフのことがあるまで、カリオスの急務といえばそれだろう。
「タイミング悪いですね」
「ああ、そうだな。ただ聞いた限り、ミュリヌス地方のことも悠長に時間をかけていられない。リリライト姫殿下はもとより、シンパ卿も心配だ」
そう言ってルエールは腰を上げる。その瞳にはある決意の色がうかがえた。
「私が行こう」
「騎士団長が? だったら俺も……」
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「いや、コウメイは残っていて欲しい。カリオス殿下が戻られた時に、事情を説明する人間が必要だ。それは直接現場を見てきたお前以外に適任はいないだろう」
「それは、そうかもしれないですが……」
いまいち承知しかねる表情でコウメイは視線をそらす。
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丸め込まれるだけならまだしも、下手したらルエールまでもがグスタフに害されるのではないかとコウメイは嫌な予感がしてたまらない。
「なに、心配するな。アンナを汚されているのだ……相手が大臣とて、俺は一歩も引く気はない」
そんなコウメイの心境を見透かしたように、ルエールは笑いながら言う。しかしその眼には確かに怒りと憎悪の色がこもっているのを、コウメイが見逃さなかった。
「気を付けて下さいよ。騎士団長がいないと、俺の面倒を見る人がいなくなりますから」
数秒熟考した上に、コウメイはそのルエールの決断を受け入れることにした。あくまで軽薄な口調は、それでも拭いきれない不安を誤魔化すため。
そんなコウメイの様子に、ルエールはわははと大口を開けて笑った。あまり素の感情を出すことがない彼にとっては珍しいことだった。
「お前もいつの間にか人の心配をするようになったか。なに心配するな。さすがに軍隊を率いてはいけないが、信頼のおける精鋭部隊を選んで連れていくつもりだ。俺が留守の間はアンナのことを頼むぞ」
「――本当に、気を付けて」
ルエール=ヴァルガンダル。第1王子カリオス=ド=アルマイト麾下、大陸最強と評される龍牙騎士団の騎士団長。かつては王国最強の騎士ともうたわれた人物だ。これ程の人物がグスタフ程度に遅れをとるはずがない。
一体自分は何を心配しているのか……コウメイは自分に言い聞かせるように、自身の奥底から湧き出てくる得体のしれない不安を無理やり押し込めるようにした。
コウメイの言葉にルエールは力強くうなずく。
「今から準備を始めて、ミュリヌス地方に付くのは1か月後――年が明けた頃か。それまで、姫殿下とシンパ卿が無事であると良いのだが」
もしくは既に手遅れになっているのではないか――思い付きはしていたものの、コウメイはグッとその考えを胸の中にとどめておいた。
限りなく嫌な予感――それを打ち払う一縷の希望をルエールに託すことに決めたのだった。
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