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ワタシは、万冬の手にある書類を奪い取ると、それをよく観察した。誓約書と名打ったその書類には、小さな文字でびっしりと決まりごとが書かれている。そしてよくよく読むと、ワタシにとって不利で不当なものがいくつか混じっていて──
「『始業時刻は原則9:00とし、休憩時間は12:00から12:30、18:00から18:30とする。なお終業時刻は原則9:00とする。但し、甲の事情により延長する可能性もある』って……。この文だとワタシ、1日23時間働いていることにならない!? ま、まさかこの条文が夜中に叩き起こす正当な根拠だとでも!?」
万冬は、ただ笑顔で頷いた。その余裕のある態度に、ワタシはえらく不愉快になり、下唇を強く噛み締めた。
「ほらここ。キミのサイン」
万冬が指で差した先、誓約書の下部には、ワタシの筆跡でサインが書かれていた。ご丁寧に拇印まで押しているし。
「いや、こんなのいつ……」
「おや? 書いた記憶が無いのかい? もしかすると、ストレスと睡眠不足で記憶が混乱しているのかなぁ」
万冬はワタシの肩に両手を置くと、少し屈んでワタシと目線を合わせた。
「よく思い出してみるといい。あの日だよ。1週間前のあの雪の日」
「──え? ま、まさか。そんなはずないでしょう? まず『我が家で働きたまえよ! メイド兼ボクの助手として!』って万冬に言われて……」
「ふむ。それで?」
「それで……」
ワタシは眉間に皺を寄せながら、ゆっくりと瞼を閉じた。あの古めかしい青いベンチでの出来事を、回想するためである。
ワタシは「働きたまえよ!」の返答として、「万冬さん! 引きこもりに探偵なんてできるわけないでしょ!」と言ったのだ。色々と聞きたいことや言いたいことはあったのに、ワタシから最初に出た言葉はそれであった。
あの頃はまだ、万冬のことを万冬さんなどと呼んでいたのだ。まだあれから1週間しか過ぎていないのに、既に懐かしく感じるのは何故だろうか────
「──ほう? どうして引きこもりには探偵が務まらないと、そう思うんだい?」
万冬さんはワタシの指摘に対して、何故か嬉しそうに口角を上げた。
「だ、だって調査するには聞き込みとか必要でしょう? 足で稼ぐって言うじゃないですか」
「足で稼ぐのは刑事じゃねーの? あとセールスマン」
千冬様に指摘される。
「え、あ、そうだっけ? でも探偵も似たようなものじゃない?」
「でもにーちゃんは特別だから」
「特別?」
万冬さん本人も、自分は特別な探偵だと言っていた。特別とはなんだろう。まさか特殊能力でも使えるのだろうか。まさかね?
「確かにキミの言い分にも一理あると言えるよ。ボクは探偵として揺るぎない地位を確立してきたが、名探偵となるには、特別な助手が必要なのだから」
「え? と、とくべつ?」
「その通り。ボクの代わりに、フットワーク軽く動き回る存在だよ」
「あぁ! なるほど!」
ワタシは納得して、ポンと手を打った。つまりはこういうことだろう。万冬さん本人は頭を使って推理するだけで、そのための情報をワタシに集めさせる気でいるのだ。きっと万冬さんは、特別頭のキレる探偵なのだろう。
「てめぇの考えていること、間違ってもないけど、たぶん合ってもないぞ」
「……え? 千冬様それって──」
「兎にも角にも」
ワタシの疑問は、万冬さんの言葉で打ち消された。そして万冬さんは右手をパーにすると、それをワタシの顔の前に突き出した。
「日給はこれでどうだい?」
「えーっと……」
ワタシは考えた。パーということは、きっと5を表現しているのだ。だから日給として妥当なのは──
「5千円ですか?」
住み込みメイドの相場がどれくらいかは分からない。しかしこの県は最低賃金も低いし、5千円くらいが妥当なのかもしれない。今回は住む場所も提供してくれるわけだし。──って、あれれ? うーん?
「よく考えたら、ワタシ今回の仕事を受けるとは一言も──」
「5万円だよ、日給」
「5万!?」
ワタシは、ベンチから飛び跳ねるように立ち上がった。日給5万円ということは、月給はだいたい150万円。税金でいくら取られるのかは分からないが、家をリフォームするという話が現実味を帯びてくる。
「てめぇ、この件はよく考えた方が──」
この時のワタシには、千冬様の言葉など全く聞こえてはいなかった。
「万冬さん! 探偵に二言はないですよね!?」
「もちろんさ! 探偵は嘘をつかない」
万冬さんは、ワタシの霜焼けで真っ赤になった冷たい左手を手に取った。彼の手はワタシと同様に温もりが無かった。しかし、どういった理屈かは知らないが、ワタシと違って赤くはなっていなかった。
「これからよろしく頼むよ。キミにも二言はないね? メイド助手さん」
「──ふぇ?」
ワタシは目を見開いた。なぜなら万冬さんが、ワタシの指先に口付けをしたから。
「キミ、返事は?」
「へ? あ、あの……はい」
「良い子だ。さあ、ではこの誓約書にサインをしてくれ」
万冬さんは着物の袖から、書類とペンを取り出した。なにやら細かい字でびっしりと書かれているが、こちらは気分がふわふわとしており、それを読むどころではない。まあ、きっと大丈夫だろう。
「自己都合による破棄は許さないよ」
「あーあ、オレサマはどーなっても知らねーぞ」
冷えに冷えた指先は、唐突なキスによって、ほんのりと熱が灯っていた。万冬さんは、そんなワタシの左手に、優しくペンを握らせた。きっとこれから素晴らしい新たな人生がスタートする。そう予感せずにはいられないのであった。
「あーーーーー!!」
ワタシは膝から崩れ落ちた。回想と人生、その2つが終了したお知らせである。
「ほら、やっぱり自分で書いただろう?」
「ワタシのバカバカバカーー!!」
ワタシは、絨毯の敷かれた床の上を転げ回った。日給5万に釣られたバカ、指先へのキスに浮かれたバカ、ちゃんと誓約書を読まないバカ。そう、それは正しくワタシだ! なにが「まあ、きっと大丈夫」だよ! なにが「ほんのりと熱が」だよ! なにが「新しい人生がスタートする予感」だよ! もしもタイムマシーンが存在するならば、過去に戻って、自分の頬を思いっきり叩いて殴ってしばいてやりたい。
「これさえなければ……」
ワタシは、手の中でくしゃくしゃになった、忌々しい誓約書をジッと見つけた。これをビリビリに破ってしまえば、万冬から逃げられるだろうか。
「諦めたまえよ。それはコピーだ」
「あーーーーー!!」
ワタシは再び絶望に打ちのめされ、床を転がり回る。
「ただいまー……って、なんでてめぇは床に寝てんだよ」
「あっ! 千冬様! 千冬様ー!」
ワタシはパッと立ち上がると、千冬様に駆け寄ってその足に縋りついた。小学2年生の男児に縋り付く成人女性の図。完璧に事案であるが、どうか今は、今だけは許してほしい。
「てめぇ髪に埃が付いてんぞ。取ってやんから動くんじゃねーぞ」
「千冬様ー!!」
千冬様はとても優しいのだ。つまりはワタシにとっての天使であって、癒しであって、生き甲斐である。今も埃を取るついでに、ワタシの乱れた髪を直してくれた。
「千冬様、ワタシ地獄の0交代制勤務に耐えられる気がしない!」
「あーあ、だから考えろって言ったのに……」
千冬様は可哀想なものを見るような瞳で、ワタシのことを見つめた。
「千冬、おかえり」
「あ、にーちゃん! あれ、着物が乱れてんぞ。オレサマが直してやろうか?」
余談であるが、ワタシがこの屋敷に勤める前は、まさかの千冬様が着付けをしていたらしい。千冬様は、とても手先が器用なのだった。
「そうだろう? でも良いんだ。これはこれで似合うらしいからね」
「うん? まあにーちゃんが良いなら、そのままでも構わねーけど──」
ここで、大きな電子音が家中に鳴り響いた。どうやら電話がかかってきたようだ。千冬様がそれに出ようとするが、万冬がサッとそれを止めた。
「さて、屋敷もだいぶ片付いてきたし、そろそろ助手の仕事もしてもらおうか」
万冬は、床にへたり込み完全に力の抜けたワタシの手を掴んだ。そして、なんの苦もなくワタシを立ち上がらせると、リンリンと主張を繰り返す電話を指差した。
「──え? はい?」
「良いかい。電話に出たら『はい、白鬮探偵事務所です』って、そう言うんだよ?」
「『始業時刻は原則9:00とし、休憩時間は12:00から12:30、18:00から18:30とする。なお終業時刻は原則9:00とする。但し、甲の事情により延長する可能性もある』って……。この文だとワタシ、1日23時間働いていることにならない!? ま、まさかこの条文が夜中に叩き起こす正当な根拠だとでも!?」
万冬は、ただ笑顔で頷いた。その余裕のある態度に、ワタシはえらく不愉快になり、下唇を強く噛み締めた。
「ほらここ。キミのサイン」
万冬が指で差した先、誓約書の下部には、ワタシの筆跡でサインが書かれていた。ご丁寧に拇印まで押しているし。
「いや、こんなのいつ……」
「おや? 書いた記憶が無いのかい? もしかすると、ストレスと睡眠不足で記憶が混乱しているのかなぁ」
万冬はワタシの肩に両手を置くと、少し屈んでワタシと目線を合わせた。
「よく思い出してみるといい。あの日だよ。1週間前のあの雪の日」
「──え? ま、まさか。そんなはずないでしょう? まず『我が家で働きたまえよ! メイド兼ボクの助手として!』って万冬に言われて……」
「ふむ。それで?」
「それで……」
ワタシは眉間に皺を寄せながら、ゆっくりと瞼を閉じた。あの古めかしい青いベンチでの出来事を、回想するためである。
ワタシは「働きたまえよ!」の返答として、「万冬さん! 引きこもりに探偵なんてできるわけないでしょ!」と言ったのだ。色々と聞きたいことや言いたいことはあったのに、ワタシから最初に出た言葉はそれであった。
あの頃はまだ、万冬のことを万冬さんなどと呼んでいたのだ。まだあれから1週間しか過ぎていないのに、既に懐かしく感じるのは何故だろうか────
「──ほう? どうして引きこもりには探偵が務まらないと、そう思うんだい?」
万冬さんはワタシの指摘に対して、何故か嬉しそうに口角を上げた。
「だ、だって調査するには聞き込みとか必要でしょう? 足で稼ぐって言うじゃないですか」
「足で稼ぐのは刑事じゃねーの? あとセールスマン」
千冬様に指摘される。
「え、あ、そうだっけ? でも探偵も似たようなものじゃない?」
「でもにーちゃんは特別だから」
「特別?」
万冬さん本人も、自分は特別な探偵だと言っていた。特別とはなんだろう。まさか特殊能力でも使えるのだろうか。まさかね?
「確かにキミの言い分にも一理あると言えるよ。ボクは探偵として揺るぎない地位を確立してきたが、名探偵となるには、特別な助手が必要なのだから」
「え? と、とくべつ?」
「その通り。ボクの代わりに、フットワーク軽く動き回る存在だよ」
「あぁ! なるほど!」
ワタシは納得して、ポンと手を打った。つまりはこういうことだろう。万冬さん本人は頭を使って推理するだけで、そのための情報をワタシに集めさせる気でいるのだ。きっと万冬さんは、特別頭のキレる探偵なのだろう。
「てめぇの考えていること、間違ってもないけど、たぶん合ってもないぞ」
「……え? 千冬様それって──」
「兎にも角にも」
ワタシの疑問は、万冬さんの言葉で打ち消された。そして万冬さんは右手をパーにすると、それをワタシの顔の前に突き出した。
「日給はこれでどうだい?」
「えーっと……」
ワタシは考えた。パーということは、きっと5を表現しているのだ。だから日給として妥当なのは──
「5千円ですか?」
住み込みメイドの相場がどれくらいかは分からない。しかしこの県は最低賃金も低いし、5千円くらいが妥当なのかもしれない。今回は住む場所も提供してくれるわけだし。──って、あれれ? うーん?
「よく考えたら、ワタシ今回の仕事を受けるとは一言も──」
「5万円だよ、日給」
「5万!?」
ワタシは、ベンチから飛び跳ねるように立ち上がった。日給5万円ということは、月給はだいたい150万円。税金でいくら取られるのかは分からないが、家をリフォームするという話が現実味を帯びてくる。
「てめぇ、この件はよく考えた方が──」
この時のワタシには、千冬様の言葉など全く聞こえてはいなかった。
「万冬さん! 探偵に二言はないですよね!?」
「もちろんさ! 探偵は嘘をつかない」
万冬さんは、ワタシの霜焼けで真っ赤になった冷たい左手を手に取った。彼の手はワタシと同様に温もりが無かった。しかし、どういった理屈かは知らないが、ワタシと違って赤くはなっていなかった。
「これからよろしく頼むよ。キミにも二言はないね? メイド助手さん」
「──ふぇ?」
ワタシは目を見開いた。なぜなら万冬さんが、ワタシの指先に口付けをしたから。
「キミ、返事は?」
「へ? あ、あの……はい」
「良い子だ。さあ、ではこの誓約書にサインをしてくれ」
万冬さんは着物の袖から、書類とペンを取り出した。なにやら細かい字でびっしりと書かれているが、こちらは気分がふわふわとしており、それを読むどころではない。まあ、きっと大丈夫だろう。
「自己都合による破棄は許さないよ」
「あーあ、オレサマはどーなっても知らねーぞ」
冷えに冷えた指先は、唐突なキスによって、ほんのりと熱が灯っていた。万冬さんは、そんなワタシの左手に、優しくペンを握らせた。きっとこれから素晴らしい新たな人生がスタートする。そう予感せずにはいられないのであった。
「あーーーーー!!」
ワタシは膝から崩れ落ちた。回想と人生、その2つが終了したお知らせである。
「ほら、やっぱり自分で書いただろう?」
「ワタシのバカバカバカーー!!」
ワタシは、絨毯の敷かれた床の上を転げ回った。日給5万に釣られたバカ、指先へのキスに浮かれたバカ、ちゃんと誓約書を読まないバカ。そう、それは正しくワタシだ! なにが「まあ、きっと大丈夫」だよ! なにが「ほんのりと熱が」だよ! なにが「新しい人生がスタートする予感」だよ! もしもタイムマシーンが存在するならば、過去に戻って、自分の頬を思いっきり叩いて殴ってしばいてやりたい。
「これさえなければ……」
ワタシは、手の中でくしゃくしゃになった、忌々しい誓約書をジッと見つけた。これをビリビリに破ってしまえば、万冬から逃げられるだろうか。
「諦めたまえよ。それはコピーだ」
「あーーーーー!!」
ワタシは再び絶望に打ちのめされ、床を転がり回る。
「ただいまー……って、なんでてめぇは床に寝てんだよ」
「あっ! 千冬様! 千冬様ー!」
ワタシはパッと立ち上がると、千冬様に駆け寄ってその足に縋りついた。小学2年生の男児に縋り付く成人女性の図。完璧に事案であるが、どうか今は、今だけは許してほしい。
「てめぇ髪に埃が付いてんぞ。取ってやんから動くんじゃねーぞ」
「千冬様ー!!」
千冬様はとても優しいのだ。つまりはワタシにとっての天使であって、癒しであって、生き甲斐である。今も埃を取るついでに、ワタシの乱れた髪を直してくれた。
「千冬様、ワタシ地獄の0交代制勤務に耐えられる気がしない!」
「あーあ、だから考えろって言ったのに……」
千冬様は可哀想なものを見るような瞳で、ワタシのことを見つめた。
「千冬、おかえり」
「あ、にーちゃん! あれ、着物が乱れてんぞ。オレサマが直してやろうか?」
余談であるが、ワタシがこの屋敷に勤める前は、まさかの千冬様が着付けをしていたらしい。千冬様は、とても手先が器用なのだった。
「そうだろう? でも良いんだ。これはこれで似合うらしいからね」
「うん? まあにーちゃんが良いなら、そのままでも構わねーけど──」
ここで、大きな電子音が家中に鳴り響いた。どうやら電話がかかってきたようだ。千冬様がそれに出ようとするが、万冬がサッとそれを止めた。
「さて、屋敷もだいぶ片付いてきたし、そろそろ助手の仕事もしてもらおうか」
万冬は、床にへたり込み完全に力の抜けたワタシの手を掴んだ。そして、なんの苦もなくワタシを立ち上がらせると、リンリンと主張を繰り返す電話を指差した。
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