6 / 6
ミーちゃんハーちゃん失踪事件 下
しおりを挟む
ワタシは、大きな正門の前に溜まった落ち葉を箒で払いながら、昨日の出来事を思い出していた。
「は~あぁ……」
万冬は、ワタシと千冬様に部屋を出るように指示したのち、その数十分後に部屋から出てきた。当然ワタシはミーちゃんとハーちゃんのことが気になり尋ねたが、万冬は首を横に振るばかりであった。つまり、ワタシからの問いに関して、万冬は全く言葉を紡ごうとはしなかった。
「なんだかなぁ……」
ワタシは尚も食い下がったが、攻防戦を見るに見かねた千冬様に「この事件は、もう終わったんだよ」と、宥められる始末。ワタシはなんとなく万冬と気まずいまま、いつもの様に夕食を作り、万冬の世話をして、そして朝食を作り。先ほど千冬様を小学校へと送り出したが、心のモヤは全く晴れないのだった。
「おはよう!!」
「ふうぇ!?」
いきなり誰かに話しかけられて、ワタシは飛び上がった。ドギマギしながら、どうにか声の主を探す。するとそこには、女性が立っていた。両手いっぱいに野菜を抱えている、ご年配の女性。腰は少し曲がっているが、とても健康的で血色が良く、顔はふっくらとしている。大量の野菜も相まって、福の神を彷彿とさせた。鬼は外、福は内である。
「も、もしかして山田さんですか?」
「そうよ~! 昨日はありがとうね。はいこれ! 報酬の野菜ね。果物と米が、まだ軽トラにあるから。あ! お米はね、親戚が米農家してて、貰いものなんだけど!」
「え、あ、ありがとうございます」
山田さんは玄関の前に野菜をおろすと、ワタシに手招きをした。どうやら山田さんの車へと向かうようだ。
「あの後、万冬ちゃんの言った通り、ハーちゃん自分から家に帰って来たわ!」
「おー! 良かったです! それじゃあミーちゃんは?」
「え?」
「え? あ、いや、そのー……」
ワタシは、視線を右往左往させた。
「あぁ、そういうことね。万冬ちゃんは、事の顛末を助手ちゃんには教えてないと」
「はい……」
「万冬ちゃんはね、とっても優しい子なの」
「──え?」
山田さんの返答は、ワタシにとって想像外のものだった。万冬が優しい? 何も教えてくれない万冬は、ワタシにとって意地悪な存在であって、どう考えても優しいとは思えない。
「万冬ちゃんが言わないって決めたなら、こちらからは何も伝えないわ。でも、これだけは言わせて」
山田さんは一度言葉を切った。そして、ワタシの顔を覗き込むと、優しく微笑んだ。微笑んだその表情は、やっぱり福の神そのもので────
「万冬ちゃんは、助手ちゃんことを、よっぽど大切に思っているのでしょうよ」
「え?」
ワタシは、雲一つない澄んだ青空を、なんとなく見上げた。万冬がワタシを大切にしている? もしかすると万冬は何か理由があって、ワタシの問いに答えないのだろうか。
「どんな理由が……」
「はい、これ!」
「っんも!! 重過ぎっ!!」
山田さんは、軽トラックの荷台から大きなダンボール箱をおろすと、それをワタシに手渡した。山田さんは軽々と持っていたが、そのダンボール箱はとてつもなく重いのだった。多分20kg以上ある。
「えぇ、米が入っているからね! 運べる? 大丈夫そう?」
「だだだ大丈夫です……!!」
「そう? じゃあワタシは行くからね~」
「は、はい! あああありがとうございました」
車は颯爽と去っていった。対するワタシはというと、あまりのダンボール箱の重さに、深く絶望しているのだった。
「ど、どどどどうしよよよよよ。一度地面に置いて、中身をちょっとずつ持って行けば──」
「ボクが運ぼう」
いつの間にか現れた万冬は、ワタシからあっさりと、ダンボール箱を奪い取った。
「──え? 万冬?」
万冬は、涼しい顔で難なく、荷物を屋敷の中まで運び込んだ。そして何事も無かったかのように、自室へ戻ろうとする。
「あ、待って!」
「なんだい?」
万冬はこちらへと振り返らずに、言葉を発した。なんとなく気まずいというのは、お互いに共通の認識だったようだ。
「えっと……ありがとう。重かったから助かった」
「別に構わないよ」
「そっか……」
それからワタシ達の間にあるのは、気まずい沈黙のみであった。困ったものである。どうしても次の言葉が見つからない。
「部屋に戻っても良いかい?」
「え? うん、あ、いや、その……」
ワタシは……ワタシは……。ワタシはどうしたいんだ……?
「ま、万冬!!」
拳をグッと握って、顔をパッと上げ、ワタシは決意を固めた。そして、尚もワタシに背を向ける万冬の正面へと、大股で一歩一歩確実に歩みを進めた。
「万冬、お願い。ワタシとちゃんと話そう?」
ワタシは、万冬の瞳をじっと見つめた。対する万冬は表情を変えず、そして何も言わなかった。
「万冬が意地悪だから、今回の事件について何も言わないのだと、そう思ってた。でも、それ以外の理由があるのかなって。他の理由があるんじゃないかって、今はそう思ってる。でもだから、理由だけでも、話せない理由だけでも良いから教えてほしい。ワタシ、このまま万冬と気まずいなんて嫌だよ。そんなの絶対に嫌だから……お願い」
万冬は小さくため息を吐くと、困ったような表情になった。
「これは弱った。そんな風に頼まれてしまうと、ボクも断れないじゃないか」
「えっ! じゃあ!」
「答えるとも。しかしその問いに答えるということは、失踪事件の核心を白状したようなものだよ。それでも良いのかい?」
ワタシは一度、深く頷いた。万冬はそんなワタシを見て優しく微笑むと、指先で垂れた髪を掬って、それをワタシの耳へとかけた。
「キミに、傷付いてほしくなかった」
「え?」
予想外の回答に、ワタシは目を丸くした。
「優しいキミにとって、悲しい結末は苦でしかないだろう? だから、事の顛末を知らせたくは無かったんだ」
「え、じゃあ、それってつまり、ミーちゃんは……」
ワタシは鼻の奥がツーンとなるのを感じて、咄嗟に下唇を噛んだ。
「ほらやっぱり。キミは既に泣きそうになっている」
「ご、ごめん……」
「いいや、キミが謝る必要はないんだ。しかし、ここまできたら、全てを話す他あるまい。覚悟は良いかい?」
ワタシは、一度深呼吸をした。
「うん、大丈夫。だからお願い。話を聞かせて」
ミーちゃんは、山田家の裏山にいたんだ。しかしボクが見つけた時、カノジョは既に息を引き取っていた。特に外傷は無かったのと、高齢だったという観点から、ミーちゃんは老衰によって亡くなったのだと、そう推測できたよ。
ボクは考えたんだ。どうして、ミーちゃんは家を抜け出したのか。そしてボクは思い出した。ネコという生物は、自分がもう少しで亡くなると察すると、その姿を消すと言われているって。姿を消す理由については、ハッキリとはしていないけれども。家族に迷惑をかけないためだとか、静かなところで最期を迎えたいだとか、本能だとか……。しかし本当の理由なんて、ネコ自身にしか分からないことだ。そうは思わないかい?
だから実際のところ、ミーちゃんが家を抜け出した理由は誰にも分からない。誰にも分からないが、家を抜け出すことは、ミーちゃん本人の意思であった。それだけは間違いないはずだ。そうだろう?
ハーちゃんはというと、ミーちゃんにぴったりと寄り添っていたよ。それはもうぴったりと。
ここからは、ボクの想像なんだがね。ハーちゃんが家から抜け出した理由は、ミーちゃんを看取るためではないかと、ボクはそう思うんだ。ミーちゃんとハーちゃんは、本当の親子のように仲が良かったみたいだからね。ボクはそう考えずにはいられなかったよ。
つまりこの失踪事件は「看取ったネコと看取られたネコの話」だと、ボクはそう結論付けたんだ。
「そう……だったんだ……」
ワタシの瞳から涙が溢れ、それは頬を伝った。万冬はその涙を、着物の袖で優しく拭った。
「やっぱりキミは泣くんだね」
「うん、そうみたい。とっても悲しいもん。いや、でも、それだけじゃないよ。悲しいだけじゃなくて……。ちゃんと話してもらって、本当に良かった」
ワタシは万冬を見つめて、微笑みを浮かべた。すると、万冬も同様に優しく微笑んだ。
「でも凄いね。万冬って本当に探偵だったんだ。名推理だよ」
「そうかい?」
「うん! ん? あれ?」
ワタシの中で、1つの疑問が湧いてきた。
「でも推理というより、まるで実際に見たみたいじゃない? うーん?」
先ほどの口ぶりからしても、まるで全てが見えているかのようだった。「ボクが見つけた時」って、そう言ってたし。
「よくよく考えてみたら、にゃんこ達をどうやって見つけたの?」
ワタシの言葉を聞いて、万冬はしめしめといったような表情を浮かべた。そして、ゆっくりと次の言葉を続けた。
「ボクの行動を思い返してみてはどうだい?」
「え? 行動? あ……」
行動といえば、万冬は昨日、不可思議な動きをしていた。万冬は、片目を瞑ってキョロキョロとしていたのだ。あ、そうだ。その後、何もない壁を凝視していた。あれはホラーだったな。
「ん? うーん?」
もしかして、万冬はキョロキョロとしただけで、にゃんこ達を見つけられたと言うの? そんなことが可能なのは────
「万冬って千里眼とか、そういった特殊能力を持ってたりする? いや、ま、まさか──」
「キミの推理は正しい」
「ぬっ!?」
ワタシは、驚き固まった。特殊能力!? そんなモノが本当に存在するのだろうか?
「キミはボクの想像以上に、愉快なリアクションを見せてくれるね」
万冬はとても楽しそうに笑い、そして両手を大きく広げた。
「あぁ、そうだとも!! 特別な探偵であるボクには、全てが見えているのさ!!」
「……ふぇ?」
「は~あぁ……」
万冬は、ワタシと千冬様に部屋を出るように指示したのち、その数十分後に部屋から出てきた。当然ワタシはミーちゃんとハーちゃんのことが気になり尋ねたが、万冬は首を横に振るばかりであった。つまり、ワタシからの問いに関して、万冬は全く言葉を紡ごうとはしなかった。
「なんだかなぁ……」
ワタシは尚も食い下がったが、攻防戦を見るに見かねた千冬様に「この事件は、もう終わったんだよ」と、宥められる始末。ワタシはなんとなく万冬と気まずいまま、いつもの様に夕食を作り、万冬の世話をして、そして朝食を作り。先ほど千冬様を小学校へと送り出したが、心のモヤは全く晴れないのだった。
「おはよう!!」
「ふうぇ!?」
いきなり誰かに話しかけられて、ワタシは飛び上がった。ドギマギしながら、どうにか声の主を探す。するとそこには、女性が立っていた。両手いっぱいに野菜を抱えている、ご年配の女性。腰は少し曲がっているが、とても健康的で血色が良く、顔はふっくらとしている。大量の野菜も相まって、福の神を彷彿とさせた。鬼は外、福は内である。
「も、もしかして山田さんですか?」
「そうよ~! 昨日はありがとうね。はいこれ! 報酬の野菜ね。果物と米が、まだ軽トラにあるから。あ! お米はね、親戚が米農家してて、貰いものなんだけど!」
「え、あ、ありがとうございます」
山田さんは玄関の前に野菜をおろすと、ワタシに手招きをした。どうやら山田さんの車へと向かうようだ。
「あの後、万冬ちゃんの言った通り、ハーちゃん自分から家に帰って来たわ!」
「おー! 良かったです! それじゃあミーちゃんは?」
「え?」
「え? あ、いや、そのー……」
ワタシは、視線を右往左往させた。
「あぁ、そういうことね。万冬ちゃんは、事の顛末を助手ちゃんには教えてないと」
「はい……」
「万冬ちゃんはね、とっても優しい子なの」
「──え?」
山田さんの返答は、ワタシにとって想像外のものだった。万冬が優しい? 何も教えてくれない万冬は、ワタシにとって意地悪な存在であって、どう考えても優しいとは思えない。
「万冬ちゃんが言わないって決めたなら、こちらからは何も伝えないわ。でも、これだけは言わせて」
山田さんは一度言葉を切った。そして、ワタシの顔を覗き込むと、優しく微笑んだ。微笑んだその表情は、やっぱり福の神そのもので────
「万冬ちゃんは、助手ちゃんことを、よっぽど大切に思っているのでしょうよ」
「え?」
ワタシは、雲一つない澄んだ青空を、なんとなく見上げた。万冬がワタシを大切にしている? もしかすると万冬は何か理由があって、ワタシの問いに答えないのだろうか。
「どんな理由が……」
「はい、これ!」
「っんも!! 重過ぎっ!!」
山田さんは、軽トラックの荷台から大きなダンボール箱をおろすと、それをワタシに手渡した。山田さんは軽々と持っていたが、そのダンボール箱はとてつもなく重いのだった。多分20kg以上ある。
「えぇ、米が入っているからね! 運べる? 大丈夫そう?」
「だだだ大丈夫です……!!」
「そう? じゃあワタシは行くからね~」
「は、はい! あああありがとうございました」
車は颯爽と去っていった。対するワタシはというと、あまりのダンボール箱の重さに、深く絶望しているのだった。
「ど、どどどどうしよよよよよ。一度地面に置いて、中身をちょっとずつ持って行けば──」
「ボクが運ぼう」
いつの間にか現れた万冬は、ワタシからあっさりと、ダンボール箱を奪い取った。
「──え? 万冬?」
万冬は、涼しい顔で難なく、荷物を屋敷の中まで運び込んだ。そして何事も無かったかのように、自室へ戻ろうとする。
「あ、待って!」
「なんだい?」
万冬はこちらへと振り返らずに、言葉を発した。なんとなく気まずいというのは、お互いに共通の認識だったようだ。
「えっと……ありがとう。重かったから助かった」
「別に構わないよ」
「そっか……」
それからワタシ達の間にあるのは、気まずい沈黙のみであった。困ったものである。どうしても次の言葉が見つからない。
「部屋に戻っても良いかい?」
「え? うん、あ、いや、その……」
ワタシは……ワタシは……。ワタシはどうしたいんだ……?
「ま、万冬!!」
拳をグッと握って、顔をパッと上げ、ワタシは決意を固めた。そして、尚もワタシに背を向ける万冬の正面へと、大股で一歩一歩確実に歩みを進めた。
「万冬、お願い。ワタシとちゃんと話そう?」
ワタシは、万冬の瞳をじっと見つめた。対する万冬は表情を変えず、そして何も言わなかった。
「万冬が意地悪だから、今回の事件について何も言わないのだと、そう思ってた。でも、それ以外の理由があるのかなって。他の理由があるんじゃないかって、今はそう思ってる。でもだから、理由だけでも、話せない理由だけでも良いから教えてほしい。ワタシ、このまま万冬と気まずいなんて嫌だよ。そんなの絶対に嫌だから……お願い」
万冬は小さくため息を吐くと、困ったような表情になった。
「これは弱った。そんな風に頼まれてしまうと、ボクも断れないじゃないか」
「えっ! じゃあ!」
「答えるとも。しかしその問いに答えるということは、失踪事件の核心を白状したようなものだよ。それでも良いのかい?」
ワタシは一度、深く頷いた。万冬はそんなワタシを見て優しく微笑むと、指先で垂れた髪を掬って、それをワタシの耳へとかけた。
「キミに、傷付いてほしくなかった」
「え?」
予想外の回答に、ワタシは目を丸くした。
「優しいキミにとって、悲しい結末は苦でしかないだろう? だから、事の顛末を知らせたくは無かったんだ」
「え、じゃあ、それってつまり、ミーちゃんは……」
ワタシは鼻の奥がツーンとなるのを感じて、咄嗟に下唇を噛んだ。
「ほらやっぱり。キミは既に泣きそうになっている」
「ご、ごめん……」
「いいや、キミが謝る必要はないんだ。しかし、ここまできたら、全てを話す他あるまい。覚悟は良いかい?」
ワタシは、一度深呼吸をした。
「うん、大丈夫。だからお願い。話を聞かせて」
ミーちゃんは、山田家の裏山にいたんだ。しかしボクが見つけた時、カノジョは既に息を引き取っていた。特に外傷は無かったのと、高齢だったという観点から、ミーちゃんは老衰によって亡くなったのだと、そう推測できたよ。
ボクは考えたんだ。どうして、ミーちゃんは家を抜け出したのか。そしてボクは思い出した。ネコという生物は、自分がもう少しで亡くなると察すると、その姿を消すと言われているって。姿を消す理由については、ハッキリとはしていないけれども。家族に迷惑をかけないためだとか、静かなところで最期を迎えたいだとか、本能だとか……。しかし本当の理由なんて、ネコ自身にしか分からないことだ。そうは思わないかい?
だから実際のところ、ミーちゃんが家を抜け出した理由は誰にも分からない。誰にも分からないが、家を抜け出すことは、ミーちゃん本人の意思であった。それだけは間違いないはずだ。そうだろう?
ハーちゃんはというと、ミーちゃんにぴったりと寄り添っていたよ。それはもうぴったりと。
ここからは、ボクの想像なんだがね。ハーちゃんが家から抜け出した理由は、ミーちゃんを看取るためではないかと、ボクはそう思うんだ。ミーちゃんとハーちゃんは、本当の親子のように仲が良かったみたいだからね。ボクはそう考えずにはいられなかったよ。
つまりこの失踪事件は「看取ったネコと看取られたネコの話」だと、ボクはそう結論付けたんだ。
「そう……だったんだ……」
ワタシの瞳から涙が溢れ、それは頬を伝った。万冬はその涙を、着物の袖で優しく拭った。
「やっぱりキミは泣くんだね」
「うん、そうみたい。とっても悲しいもん。いや、でも、それだけじゃないよ。悲しいだけじゃなくて……。ちゃんと話してもらって、本当に良かった」
ワタシは万冬を見つめて、微笑みを浮かべた。すると、万冬も同様に優しく微笑んだ。
「でも凄いね。万冬って本当に探偵だったんだ。名推理だよ」
「そうかい?」
「うん! ん? あれ?」
ワタシの中で、1つの疑問が湧いてきた。
「でも推理というより、まるで実際に見たみたいじゃない? うーん?」
先ほどの口ぶりからしても、まるで全てが見えているかのようだった。「ボクが見つけた時」って、そう言ってたし。
「よくよく考えてみたら、にゃんこ達をどうやって見つけたの?」
ワタシの言葉を聞いて、万冬はしめしめといったような表情を浮かべた。そして、ゆっくりと次の言葉を続けた。
「ボクの行動を思い返してみてはどうだい?」
「え? 行動? あ……」
行動といえば、万冬は昨日、不可思議な動きをしていた。万冬は、片目を瞑ってキョロキョロとしていたのだ。あ、そうだ。その後、何もない壁を凝視していた。あれはホラーだったな。
「ん? うーん?」
もしかして、万冬はキョロキョロとしただけで、にゃんこ達を見つけられたと言うの? そんなことが可能なのは────
「万冬って千里眼とか、そういった特殊能力を持ってたりする? いや、ま、まさか──」
「キミの推理は正しい」
「ぬっ!?」
ワタシは、驚き固まった。特殊能力!? そんなモノが本当に存在するのだろうか?
「キミはボクの想像以上に、愉快なリアクションを見せてくれるね」
万冬はとても楽しそうに笑い、そして両手を大きく広げた。
「あぁ、そうだとも!! 特別な探偵であるボクには、全てが見えているのさ!!」
「……ふぇ?」
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる