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異世界に転移したけど思ってたのと違う
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「えっ……? ナニコレ」
眩しさに思わず目がくらんでいたが、多少慣れてきたところでうっすらと目を開く。鬱蒼と茂った森が広がっているのが見えた。前後左右どこを見回しても見える景色は同じだ。しかも昼間なのか、木漏れ日から覗く空は青い。
思わず頬をつねってみるけど痛い。どうやら夢ではないらしい。
「マジかよ」
ついさっきまで、夜遅くに予備校から帰宅している最中だったはずだ。街灯の照らすアスファルトの道を歩いていると、いきなり光に包まれたのだ。なんとなく魔法陣のようだった気がしないでもない。
「ははは……、これってもしかしなくても異世界転移ってやつ?」
受験勉強ばっかりで鬱屈していた心に光が射した気がした。訳の分からない世界に飛ばされた不安より、これから先の出来事にワクワク感が増してくる。
これでも異世界転生や転移もののラノベは数多く読んできたのだ。そんなうまい話はないと心のどこかでは思いつつ、期待するなというのも無理な話だ。
「ステータスオープン」
とりあえずのテンプレとして試してみるが、残念ながら半透明なウインドウは出なかった。残念。
「そう何もかもテンプレ通りとはいかないか……」
落胆しつつも改めて周囲の自然を見渡してみる。鬱蒼と茂る植物の先は十メートルほど先も見通せない。見たことのない昆虫や植物がそこかしこにいるが、高校生程度の自分の知識なので日本に存在しないものかはわからない。
しばらく周囲を観察していたが、さすがにこのまま何も起こらないまま数時間が過ぎては焦りが出てくる。
「……腹減った」
適度に木の実は生っているが、食えるかどうかわからない。まだ空腹には耐えられるが、いつまでもつかわかったもんじゃない。こんなところで餓死とか勘弁だ。
恐る恐る赤いリンゴのような実に手を伸ばしているところに、藪をかき分ける音が聞こえてきた。
「いやいやいや……」
伸ばしていた手が止まる。音が聞こえる方へと向いて体を強張らせる。ここでゴブリンとか魔物みたいなやつが出てきたら終わりだ。
「見つけました!」
「異常はないか?」
何も身構えることもできない間に、人と思われる人物が二人現れた。まさに異世界に来たなと思える、騎士風の男と魔法使い風の女だ。
「あー、言葉は通じますか? たぶん大丈夫だと思うけど……」
「えーっと、はい、大丈夫です」
よかった。とりあえずいきなり襲われることはなさそうだ。異世界に転移してさっそく盗賊とかに身ぐるみはがされるとか勘弁だし。
「怪我などはしてないですか?」
「はい」
「それはよかった。我々はあなたのような、この世界に飛ばされてきた異邦人を保護している者だ。安心して欲しい」
「そうなんですか……」
えーっと、保護ですか。どうやら勇者様とか崇められるようではないらしい? ……いやまだわからんが、焦るんじゃない。きっと特別なスキルとかがきっとあるはず。そう、きっと俺TUEEEができるはず……。
「まぁこんなところで立ち話もなんだし、行こうか」
「あ、はい」
騎士風の男についていくと、後ろを守るようにして魔法使いの人が後ろからついてくる。やっぱりこの世界には魔法があるのかな。先端に赤い宝石みたいなものが付いた杖らしいものを持ってるし。とにかく期待に胸が膨らんでくる。
騎士風の男――ラスガルさんが道中、いろいろ教えてくれたところによると、この国には十年に一度くらい、俺みたいな異邦人が転移してくるらしい。で、そんな重要人物の保護を行っているとのことだ。
「そろそろ植物園から出るよ」
「……へっ?」
十分ほど歩いたところでラスガルさんにそう声を掛けられた。植物園ってナンデスカ。ここって自然あふれる街の外とかじゃ……。よく見れば前方に金属製の柵みたいなものが見えてきた。そこから向こう側は通路になっているのか、コンクリートのような地面が見える。
「それにしても転移場所が近くてよかったですね」
「そこは確かに運がよかったね。人の手が入っていない山とかだったら大変なことになってたかもしれない」
えーっと、俺が転移した場所って町の外とかじゃなかったんですかね。魔物とかに襲われたらどうしようとか考えてたけど、心配するだけ無駄だったのか。っていうか植物園って、そんなものが異世界にあるのかよ。
「あはは……」
自然あふれるエリアから通路に出ると嫌でも実感する。確かにここは植物園と言われればそれっぽい雰囲気がある。
通路を進んでいると扉らしきものが三つならんだエリアに出てきた。上下の矢印が描かれたボタンが二つある。扉の上には何か文字が書かれていて、そのうち一つが光っていた。
「ってこれエレベーターじゃねぇの……」
「よく知ってるね。ここは地下なんだけど、これに乗ると好きな階に行けるんだ。もしかすると君の世界にもあるのかな」
地下……だと?
思わず振り返って上空を見上げるが、空の青さと白い雲が見える。よくあるラノベだと昼夜があって空の見えるダンジョンが出てくるけど、この植物園はダンジョンなんだろうか。
「あはは、ここは結界技術を応用して、空が疑似的に再現されているんだ。ありふれた技術だけど、異邦人の方には馴染みがないかもしれないね」
おいおいおい、なんかすげー高度な技術がある異世界なんですけど?
眩しさに思わず目がくらんでいたが、多少慣れてきたところでうっすらと目を開く。鬱蒼と茂った森が広がっているのが見えた。前後左右どこを見回しても見える景色は同じだ。しかも昼間なのか、木漏れ日から覗く空は青い。
思わず頬をつねってみるけど痛い。どうやら夢ではないらしい。
「マジかよ」
ついさっきまで、夜遅くに予備校から帰宅している最中だったはずだ。街灯の照らすアスファルトの道を歩いていると、いきなり光に包まれたのだ。なんとなく魔法陣のようだった気がしないでもない。
「ははは……、これってもしかしなくても異世界転移ってやつ?」
受験勉強ばっかりで鬱屈していた心に光が射した気がした。訳の分からない世界に飛ばされた不安より、これから先の出来事にワクワク感が増してくる。
これでも異世界転生や転移もののラノベは数多く読んできたのだ。そんなうまい話はないと心のどこかでは思いつつ、期待するなというのも無理な話だ。
「ステータスオープン」
とりあえずのテンプレとして試してみるが、残念ながら半透明なウインドウは出なかった。残念。
「そう何もかもテンプレ通りとはいかないか……」
落胆しつつも改めて周囲の自然を見渡してみる。鬱蒼と茂る植物の先は十メートルほど先も見通せない。見たことのない昆虫や植物がそこかしこにいるが、高校生程度の自分の知識なので日本に存在しないものかはわからない。
しばらく周囲を観察していたが、さすがにこのまま何も起こらないまま数時間が過ぎては焦りが出てくる。
「……腹減った」
適度に木の実は生っているが、食えるかどうかわからない。まだ空腹には耐えられるが、いつまでもつかわかったもんじゃない。こんなところで餓死とか勘弁だ。
恐る恐る赤いリンゴのような実に手を伸ばしているところに、藪をかき分ける音が聞こえてきた。
「いやいやいや……」
伸ばしていた手が止まる。音が聞こえる方へと向いて体を強張らせる。ここでゴブリンとか魔物みたいなやつが出てきたら終わりだ。
「見つけました!」
「異常はないか?」
何も身構えることもできない間に、人と思われる人物が二人現れた。まさに異世界に来たなと思える、騎士風の男と魔法使い風の女だ。
「あー、言葉は通じますか? たぶん大丈夫だと思うけど……」
「えーっと、はい、大丈夫です」
よかった。とりあえずいきなり襲われることはなさそうだ。異世界に転移してさっそく盗賊とかに身ぐるみはがされるとか勘弁だし。
「怪我などはしてないですか?」
「はい」
「それはよかった。我々はあなたのような、この世界に飛ばされてきた異邦人を保護している者だ。安心して欲しい」
「そうなんですか……」
えーっと、保護ですか。どうやら勇者様とか崇められるようではないらしい? ……いやまだわからんが、焦るんじゃない。きっと特別なスキルとかがきっとあるはず。そう、きっと俺TUEEEができるはず……。
「まぁこんなところで立ち話もなんだし、行こうか」
「あ、はい」
騎士風の男についていくと、後ろを守るようにして魔法使いの人が後ろからついてくる。やっぱりこの世界には魔法があるのかな。先端に赤い宝石みたいなものが付いた杖らしいものを持ってるし。とにかく期待に胸が膨らんでくる。
騎士風の男――ラスガルさんが道中、いろいろ教えてくれたところによると、この国には十年に一度くらい、俺みたいな異邦人が転移してくるらしい。で、そんな重要人物の保護を行っているとのことだ。
「そろそろ植物園から出るよ」
「……へっ?」
十分ほど歩いたところでラスガルさんにそう声を掛けられた。植物園ってナンデスカ。ここって自然あふれる街の外とかじゃ……。よく見れば前方に金属製の柵みたいなものが見えてきた。そこから向こう側は通路になっているのか、コンクリートのような地面が見える。
「それにしても転移場所が近くてよかったですね」
「そこは確かに運がよかったね。人の手が入っていない山とかだったら大変なことになってたかもしれない」
えーっと、俺が転移した場所って町の外とかじゃなかったんですかね。魔物とかに襲われたらどうしようとか考えてたけど、心配するだけ無駄だったのか。っていうか植物園って、そんなものが異世界にあるのかよ。
「あはは……」
自然あふれるエリアから通路に出ると嫌でも実感する。確かにここは植物園と言われればそれっぽい雰囲気がある。
通路を進んでいると扉らしきものが三つならんだエリアに出てきた。上下の矢印が描かれたボタンが二つある。扉の上には何か文字が書かれていて、そのうち一つが光っていた。
「ってこれエレベーターじゃねぇの……」
「よく知ってるね。ここは地下なんだけど、これに乗ると好きな階に行けるんだ。もしかすると君の世界にもあるのかな」
地下……だと?
思わず振り返って上空を見上げるが、空の青さと白い雲が見える。よくあるラノベだと昼夜があって空の見えるダンジョンが出てくるけど、この植物園はダンジョンなんだろうか。
「あはは、ここは結界技術を応用して、空が疑似的に再現されているんだ。ありふれた技術だけど、異邦人の方には馴染みがないかもしれないね」
おいおいおい、なんかすげー高度な技術がある異世界なんですけど?
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